【野球】春季リーグ戦開幕直前特集① 佐藤旭主将

東京六大学春季リーグ戦開幕まで1週間を切った。慶大は第2週目からの登場となる。昨年春秋ともにBクラスと悔しさを味わった慶大野球部。その主力が多く残った今年、王座奪還を目指す『陸の王者』の熱き春の陣が始まろうとしている。

開幕直前特集第1弾は佐藤旭主将(商4)。新チーム始動時から常に先頭に立ち、チームを力強く牽引してきた。そんな佐藤旭のこれまで、これからを大いに語ってもらった。 

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「誰よりも熱くという思い」

 

―11月に新チームが始動して5ヶ月ほど経ちました。ここまでを総括していかがですか

新チームが始まって厳しい雰囲気の中で練習をやっていこうとチームで言い合って、自分たちで何が必要なのか、勝つために何をしなければならないのかを考えて、竹内監督の方から今年のスローガンである〝How to play, How to win〟というのを掲げられて、そういう風に年末までやっていきました。年が明けて再始動した時に竹内監督が不在という中でスタートして、正直不安がなかったという訳ではなかったんですけど、選手たちでこれをいい機会にしていこうという風にプラスに考えてやっていった中で、すごい手応えのある練習ができました。今までにないくらい充実した日々を送ることができたので、良い雰囲気で取り組めたと思います。

 

―2月からの再始動では竹内監督の不在というまさかスタートになりました

年末に体調を崩されて僕たちも当然年明けには帰ってくるだろうと思っていたのですが、まだ戻れないということでした。でも最初の練習で竹内監督から元気な姿のビデオレターをいただいてすごくホッとしたというか、竹内監督も頑張っているということが伝わってきて、僕たちも竹内監督が帰ってきた時に安心してもらえるようにと思ってやっていました。竹内監督がいないからと言ってチームが沈んだりするということはなかったので、逆に選手たちが奮起する機会になったと思います。

 

―そのビデオレターでは竹内監督からどのような言葉がありましたか

頑張ってくれという感じで、自分のことは心配しなくてもいいから練習に集中してくれ、僕も頑張るから、と。これで本当に僕たちも頑張らなくてはいけないなと思いました。

 

―そして代行として前監督である江藤監督が就任しました

選手たちの中では江藤監督が戻ってくるとは予想していなかったと思うので驚きはあったと思うんですけど、昨年まで率いてくださっていたので気心の知れた監督というか、僕たちのことを分かってくれている監督なので、そういう面でやりやすいです。慶應の野球をよく分かってくれているので、江藤監督が来てくれたことに感謝しています。

 

―江藤監督からはどのような言葉がありましたか

竹内監督がやってきたことを継続してやっていきたいという風に仰って、あとは勝つためにやっていこうと、やるべきことをやってしっかり練習していけばいくらでも勝つチャンスはあるからという言葉がありました。それを信じてやっていくしかないなと思います。

 

―主将として迎えた初のキャンプを振り返っていかがでしたか

今までのキャンプとはやっぱり違って主将として迎える初めてのキャンプだったので、誰よりも熱くという思いもありましたし、疲れてくる中でも自分が率先して動いていかないといけないと思っていたので、そういう面ではみんなも動いてくれて活気溢れる充実した2週間を送れたなと思います。

 

―キャンプの中でチーム全体として意識したことなどはありますか

チームが始まる時に掲げたスローガンが一番大きなものなんですけど、石垣島キャンプでは〝Do my best〟というスローガンを掲げました。できることを最善を尽くしてやっていこうと、一瞬一瞬で自分たちのできる最善のことをやっていこうというのをみんなで共有していたので、キャンプではそこを意識していました。

 

主将としてチームを引っ張る

主将としてチームを引っ張る

―個人的に重点を置いたことは何ですか

個人的な印象ではスイング量ですね。チームとしても今年は打撃重視のキャンプだったんですけど、自分でも振り込んでいこうと決めていたので、石垣島での2週間はバットを振り込むということに重点を置いていました。

 

―オープン戦など、実戦の場面での手応えはどうですか

チームとしては、関西遠征で社会人相手に2勝1敗だったのでキャンプでやってきた成果が感じられています。個人としても、練習でやってきた成果が少しずつ出てきていると思うので、そういう面も含めてキャンプの成果は出ているかなと思います。

 

「『行くぞ』という雰囲気を与えることが1番打者としての使命」

 

―佐藤主将から見て今年の慶大の強みは何であると思いますか

やっぱり昨年から神宮を経験している選手が多いということは慶應にとって強みだと思います。あとは今年のチームは勝つことに対して貪欲にやっていくということを使命として掲げたので、勝つんだという気持ちはどこよりも強いかなと思います。

 

―昨年からのスタメンが多く残る打撃陣についてはいかがでしょう

経験が豊富なのであまり心配はしていませんが、逆にリーグ戦を知りすぎているという不安があります。ただ今年のチームはピッチャーもしっかりしていて打線も昨年からの軸が残っているので投手と打線が絡み合えば間違いなく勝てると思うので、そこのバランスというのを意識してやっていければなと思います。

 

―投手陣について実際に外野で守っていてどのような印象を受けますか

どのピッッチャーにしてもゲームを作ってくれるので守っていて安心というか、彼らに任せておけば大丈夫だと思って守っているので、投手陣には自信を持って投げてもらいたいです。

 

―キャンプやオープン戦を通して、伸びてきたと感じる選手や期待している選手はいますか

そうですね…谷田(商3)とか横尾(総3)って言ったら普通すぎますよね(笑) そう感じるのは竹内惇(商4)です。昨年は代打とか最後の方に守備から入ることが多かったんですけど、一発もあり小技もありといった感じですごく魅力的な選手です。新チームになってから自分の味を出してくれているというか、自分の強みをチームに貢献させてくれているので、このキャンプから伸びてきているなと感じています。このリーグ戦でも期待できる選手だなと僕は思います。

 

―勝利にためにチームとして必要なことは何でしょう

それはまだ答えとして出ていないんですけど、勝つために何が必要なのかということは模索しながらやっている最中です。ただ自分たちで考えてやっていくことは少なくともマイナスにはならないと、プラスになると信じてやっていくだけなので、自分たちがやりたいと思ったことは全部やっていこうと思っています。それは必ずリーグ戦に結びついてくると思います。

 

―〝How to play, How to win〟は追求中ということでしょうか

そうですね。これは1年間を通して追求していくものだと思います。ただ当たり前のことを当たり前にできないと勝てる試合というのも勝てないので、昨年からある全力疾走であったり、基本的なことをしっかりもう一回チームとして見直していきたいです。

 

―主将就任当初は背番号10を付けることの実感が湧かないということでしたが、オープン戦で実際に10を付けていかがですか

関西遠征の時に初めて10番のユニフォームを着たんですけど、今まで以上に気が引き締まるというか、目に見えない何かを着た時に感じました。プレッシャーというよりも、気持ちが引き締まったというような印象を受けました。背番号の重みというのを感じることもありますね。自分が意識しているからかもしれないですけど10番を付けられるということは幸せなことだと思いますし、それを背負えるだけの選手になっていかないといけないなということを改めて実感したということが率直な気持ちでした。

 

―ご自身の中で『佐藤旭』という野球選手はどのような選手だという風に思っていますか

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不動のリードオフマンだ

いつも自分で思っているのは、積極性もあり粘り強さもありといったようなどちらも兼ね備えているというか、どちらも意識していつもプレーしています。1番を打っていますし主将という立場にあるということで、チームに勢いを与えるというためにも積極性は必要だと思いますし時には粘って粘ってということも求められると思うので、そこのバランスを意識しています。

 

―1番という打順へのこだわりはありますか

小さいころからずっと1番だったので、中学でも高校でも1番でしたし1番へのこだわりというのは強いものがあります。先頭でまっさらな打席に立つということがすごく好きで、そこでチームに勢いを与えるということや、チームに「行くぞ」という雰囲気を与えることが1番打者としての自分の使命だと思っているので、そういう面ではすごく1番へのこだわりはあります。

 

―リーグ戦を見ていて佐藤主将のピンク色のリストバンドがとても印象的なのですが、どのような経緯からピンク色のリストバンドを付けるようになったのですか

昨年背番号1を付けていたんですけどその前につけていたのは福富裕さん(商卒、現日本生命)で、僕がすごく福富さんを尊敬していて、「ぜひ何かください」と言った時にピンクのリストバンドをいただいてリーグ戦でつけろと言われて、僕も着けさせていただきますという感じだったので、それからずっと着けています。福富さんが着けていたのを着けさせてもらったという思いが強いです。それから番号は変わりますけどやっぱりこの色は変えないでやっていきたいなと今は考えています。この間の日本生命とのオープン戦でお会いした時、リストバンドのことに触れてくれたので良かったです(笑)

 

「このまま負けて終われない」

 

―リーグ戦開幕が間近に迫ってきましたが、意識する大学はありますか

やっぱり特別意識するのは早稲田かなと思います。一昨年から6連敗しているので今年は負けたくないというか、このまま負けて終われないので今年は勝って優勝したいという思いはあります。どこの大学も強いですけど一つ一つ戦っていければなと思います。

 

―早大・有原投手、法大・石田投手、明大・山﨑投手とドラフト候補と言われている投手を相手にリーグ戦を戦うということについていかがですか

どこの大学にもドラフト候補がいて、そういう大学を倒してこそ優勝が見えてくるので有原にしろ石田にしろ山﨑にしろ手強いピッチャーですけど、自分たちもそのピッチャーを打ち崩すだけの練習を積んできたと思っていますし、そういう自信を持っていけば必ず慶應に勝機が見えてくるので、そういう気持ちを持ってリーグ戦を戦い抜きたいなと思います。

 

―他大学の主将の方々についてはいかがでしょう

明治の高橋隼之介とは仲がいいですね。お互いのチームのことは何も話さないですけど、お互い頑張っていこうという話しをしています。

 

―今年の主将には法大・安慶名主将、立大・我如古主将と2010年に甲子園春夏連覇を達成した興南高校のメンバーが就任しています

彼らも力は持っていますしチームを引っ張っていくという力も持っているので、主将になって当然ではないですけど主将になるのに相応しい器だろうなと思います。逆に言えば自分たちは高校の時チームとして結果を残せなかったので、そういう人たちには負けたくないというか、大学の舞台では慶應が勝つということを見せたいです。

 

―いよいよKEIOラストイヤーとなりましたが、今の心境はどうですか

最初に高校の時に慶應のユニフォームを着た時には着られているという感じを受けたんですけど、今年7年目を迎えてやっと着ることができている、自信を持って慶應のユニフォームを着ることができているという風になってきたかなと思います。7年間同じユニフォームを着ることが初めてのことなので、すごく感慨深いというか、あと1年しか着られないのかという寂しい気持ちもあります。ただ、この1年間が終わった時に自信を持って慶應のユニフォームを脱げるように、有終の美を飾れるように1年間頑張っていきたいと思います。

 

―チームとしての目標、個人としての目標はそれぞれ何ですか

チームとしてはリーグ優勝、日本一ということはずっと掲げていることなのでそこは揺るがないです。個人としては首位打者とベストナインを狙っていきたいです。でも個人のタイトルを意識しすぎないで自分のやれることをしっかりとやって、プラスになることをやっていけば自ずと結果は付いてくると思います。

 

―最後にファンの方々へのメッセージをお願いします

応援して下さる方々の声援が自分たちの力になりますし、いつも勇気をもらって背中を押してもらっています。自分たちが思い切りプレーできているのは応援があるからこそだと思うので、その恩返しとして優勝の報告ができるように全力で頑張っていきたいと思います。ぜひ神宮に足を運んでいただいて、勝つ瞬間や優勝の喜びを一緒に味わいましょう!

 

―お忙しい中、ありがとうございました!

(取材 山内貴矢)

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