【バスケ】見せつけた慶應の底力!社会人王者に勝利 vs九州電力

伊藤はこの日もチームトップの22得点を挙げた

伊藤はこの日もチームトップの22得点

2015年元日、4年生にとっては最後の大会となる天皇杯が開幕した。負けた時点で引退となってしまうトーナメントの最初の相手は九州電力。慶大卒の酒井祐典を擁する、社会人1位のチームである。過去3年は天皇杯一回戦で大学チームを破ってきた実績を持つ強豪だ。しかし選手たちは、決して臆することなく相手へと立ち向かった。試合終了のブザーが鳴るまで勝敗のわからない大接戦を制し、人々の記憶に残るような見事な試合を我々に見せてくれた。

2015/1/1()@駒沢体育館
90回天皇杯 オールジャパン一回戦 vs九州電力
  1Q 2Q 3Q 4Q 合計
慶大 13 4 20 16 53
九電 14 12 14 11 51
慶大スターティングメンバー
PG #4 伊藤良太(4・洛南高)
SG #19 西戸良(総2・洛南高)
SF #10 大元孝文(3・洛南高)
SF #6 権田隆人(4・慶應高)
C #22 トカチョフ サワ(1・國學院久我山高)
 

吉川も少ない出場時間で存在感を見せた

吉川も少ない出場時間で存在感を見せた

黒木、福元という主力選手2人をけがで欠く中、伊藤、権田、大元、西戸、サワというスターティングメンバーで試合に臨んだ。その出だしは両チームともに固く、なかなかシュートが入らない。5分が経過した時点で3-8という非常にロースコアな展開に。しかしここから西戸の一対一からの3ポイント、インサイドでの頑張りは意識していた」という権田のシュートなどが決まりじわじわと点差を詰め、13-14と1点ビハインドで1Qを終えた。

2Q、慶大は終始九州電力の固いディフェンスに苦しめられることに。持ち味である速攻をほとんど出すことができず、自分たちのリズムをつかめない。ターンオーバーを連発し、シュート確率も上がらない。結局、このQでは真木とサワによる4得点しか上げられなかった。一方の九州電力もオフェンスには苦しみながらも、フリーのミドルシュートやゴール下は着実に沈め、17-26と点差が開いて前半を折り返した。

勝利に向けてこれ以上点差を離されるわけにはいかない慶大。迎えた3Qで奮起したのは見ている人たちに何か与えられるような試合をしよう」と意気込む主将・伊藤であった。オフェンスリバウンドからの得点や、スクリーンを使った3ポイントなどでビハインドを縮める。さらに途中出場の吉川、真木もゴール下へのアシストや、3ポイントで貢献を見せ、流れを引き寄せた。迎えた3Q残り2分、権田のスティールからサワが繋ぎ、伊藤が再び3ポイントを決め、慶大が逆転に成功する。しかしここで待ったをかけたのが九電の酒井だった。盛り上がる慶大応援席を静まらせる3ポイントを決め返し、九電が再逆転。37-40と3点ビハインドで最終Qへ。

決勝点を挙げた大元

決勝点を挙げた大元

その序盤、「外が入ってなかった分、中で頑張ろうと思っていた」というサワが、ゴール下でのバスケットカウント、速攻からのレイアップで得点し慶大がリードを奪う。だが、続くプレーでは酒井がまたも3ポイントを沈め、九電が再逆転。さらに続くプレーでは、今度は伊藤が酒井とのルーズボール争いを制し、そのままペネトレイションでバスケットカウントを奪い、慶大が再びリードを奪い返した。一瞬も目が離せない応酬が続く中で、迎えた最終局面。残り34秒で酒井がぺリメーターからのバンクショットを冷静に沈め、51-51の同点。続く慶大のオフェンスで放たれた権田のミドルシュートはリングに嫌われてしまう。しかし、「チームのみんなが声をかけてくれたことで、気持ちを切らすことなくプレーできていた」と語る大元がオフェンスリバウンドを獲得。これをそのまま左手のリバースでリングに押し込み、貴重な勝ち越し点を奪った。残された時間は4秒。九州電力の最後の望みを託したロングシュートは外れ、慶大が53-51とわずか2点差で勝利。会場は勝利への喜びと、番狂わせへのどよめきに包まれることとなった。

「みんなで頑張れるチームになった」という阪口HCの言葉もあるように、慶大はけが人を抱えた中でも、ベンチメンバー含め全員で戦い抜き、見事に社会人王者から勝利をもぎ取って見せた。試合を見ている人たちの心にも響く感動的な勝利でもあった。この全員でつかんだ一勝は引退のかかっていた4年生はもちろん、それを送り出す後輩の選手たちにとっても特別なものになったに違いない。続く相手はNBLに所属する兵庫ストークス。相手が九州電力よりさらに格上であることは言うまでもない。しかし慶大の選手たちは最後まで慶大らしいプレーを、バスケットの聖地・代々木第二体育館で見せてくれるに違いない。

(記事・岩田亮)

◆試合後コメント

阪口HC

(試合を振り返って)まあ気持ちよくやらせてもらったよね。延世にも勝ったし本当によかったよ。(ロースコアの展開は狙い通りか)いや向こうのペースだったね。ただやっぱり向こうがばてていたね。まあそこらへんは若さを出せとは言ってあったんだけど。(相手ペースの中でも勝てた要因は)やっぱり追いついたところがよかったね。真木とか吉川とかあとから出てきたのがね、もちろんマイナスもあるんだけど、よく頑張ってくれたね。ミスもあるんだけどそこでムードが変わったからね。そんな感じです。(相手には慶大卒の酒井選手がいたが)酒井には点を入れられてもいいと言ってたからね。20点入れられてもそういうプレーヤーだからしょうがないと。まあでもその中でもみんなで頑張れるチームになったよね。(けが人を抱えた中での試合だったが)けが人がいてもみんなで頑張れるようになったし、けがなんていつ起こるかわからないからね。(この一勝の意味は)もう本当にプレゼントだよね。オールジャパンに出て一個勝てたからね。ひとつくらい勝てたらいいなと思っていたら本当に勝てたよ。(次戦に向けて)明日は本当にエンジョイバスケットボールで頑張りたいと思います。

[PG]伊藤良太主将(環4・洛南高)

(試合を振り返って)まず第一にみんなで楽しく頑張ろうと。最後の大会なのでそういった気持ちで臨んだのですが、前半まったくシュートが入らなくて苦しい展開で、それでもシュートは打たなくては入らないものなので、打ち続けることと、バスケットを最後まで楽しくやろうということを突き通した結果、勝てたのでうれしいというのが今の気持ちです。(相手は社会人王者の強敵でしたが、どういった気持ちでこの試合に臨みましたか)僕たちは学生の代表として出ていて、学生らしくやるというのが慶應の伝統だと思うので、結果より内容を、見ている人たちに何か与えられるような試合をしようということをということを試合前に言ったので、そういった部分では見せられたのかなと思っていて、その部分が社会人1位の相手にも通用したのだと思います。(チームの雰囲気が良い試合でしたね)シーズン当初から、出ているメンバーは5人だけなのですが、応援席やベンチのメンバー全員で戦おうということを重視していて、苦しい時間帯もあったのですが、そういったときの応援はとても後押ししてくれたと思いますし、そういった意味では今年貫いてきた全員バスケというものを体現できたのかなと思います。(ご自身のプレーを振り返ってみていかがですか)前半は全くシュートが入らなくてそれでも我慢して打ち続けようと思っていて、後半いいところでも3Pが決まってちょっと外のシュートに頼りすぎていたところもあってバスカンのドライブが一つあったので、そういった意味では明日はバランスよく攻めて、チームの勝利が第一なので個人の出来はその後だと思うので、まあまあというところでお願いします。(明日の試合に向けて)明日はプロのチームとあたるので、3年生以下の下級生にとってはいい経験になると思いますし、来年につながる試合になると思います。4年生としては集大成として何か後輩に残せる背中で見せれるように、ひたむきに一生懸命頑張って、慶應らしく観ている人たちになにか影響を与えられるような試合をしたいと思います。

[PF]権田隆人(政4・慶應高)

(試合を振り返って)正直勝てるとは思ってなかったのですが、勝てて良かったです。(インカレ終了後から意識してきたこととは)インカレ中からリバウンドやインサイドでの頑張りは意識していて、後輩たちに残せるのはそういう泥臭いプレーだと思ったので、練習中から意識していました。(九州電力の印象)酒井さんが凄かったのと、要所要所でインサイドでの高いプレーがありました。(自身のプレーを振り返って)ルーズボールやリバウンドで頑張れて、インサイドで体を張れていたので結構満足しています(今日の勝因とは)2Qにシュートが入らず4点しか取れていなかったですが、オフェンスディフェンス両面で良くないを上手に修正できました。(明日に向けて)厳しい戦いにはなりますが、今の勢いは相手にとっても驚異だと思っているので、自分たちのプレーができたら勝てると思います。

[SF]大元孝文(環3・洛南高)

(試合を振り返って)みんな最初は勝つとは思ってなくて、最後の試合ということで楽しくやろうと試合に臨んだんですけど、それが逆にみんなの本来の力を引き出せたんじゃないかと思います。(ロースコアな展開について)僕も含めてお互いシュートが入らない中で、最後走り勝てたというのが社会人と学生の違いだと思います。ですが、社会人のタイミングであったりというのを学べたのはすごくいい経験だったと思います。(決勝点について)それまで全然うまくいかない中、チームのみんなが声をかけてくれたことで、気持ちを切らすことなくプレーできてました。最後の美味しい部分を持っていって申し訳ないなという感じです。そしてこれが最後の試合じゃなくてよかったと思います。(意識していることについて)常にゴールを見る姿勢を意識しようと思ってたんですけど、今日はうまくプレーに表現できませんでした。明日は切り替えて明日は本来の自分のプレーをしたいと思います。(次戦に向けて)自分の力が延世大学に通用することを実感できて、今度は日本のプロ相手に自分のプレーがどこまで通用するかを知るいい機会だと思いますし、もしかしたら明日が最後の試合かもしれませんので、楽しんでやって終わりたいと思います。

[C]トカチョフサワ(環1・國學院久我山高)

(試合を振り返って)延世大学との試合に続き前半ファウル2回で、そこはちょっと反省しなきゃと思うんですけど、最終的にチーム一丸となって勝てたことは良かったかなと思います。(九州電力への対策は)対策は正直0で、延世大学と同じように正直負けることも覚悟でやった結果、普段よりみんなリラックスして、プレーできて勝てたんじゃないかと、それが勝因だったと思います。あとは皆さんの応援の力ももちろんありました。(思い切りの良さがプレーにも出ていたか)迷いがほとんどなくて、ただ最初ミスもあってフリースローもエアボールでもう今日は終わったと思ってたんですけど、前半悪い分後半は良いんだろうと思いつつ、後半は神様に期待して頑張りました。投げやりな部分もあるんですけど、その分リラックスできて、シュートも入りました。(勝負所でのバスケットカウントが印象的だったが)外が入ってなかった分、中で頑張ろうと思っていて、それがバスケットカウントや速攻で走って自分がゴール下を決めるとかにつながったのかなと、ベンチからも中で頑張れと言われていて自分でも頑張ろうと思った結果、自分の中でリズムが変わって、得点とれるようになったと思います。(次戦に向けて)もしかしたら今日と同じように負けると思っていても、シュート7割くらい入れば勝てるんじゃないかなと。まあ僕自身も期待しているので、皆さんも期待していてください。

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