今年は春秋ともに早慶戦まで優勝の可能性を残しつつも3位に終わった慶大。新チームでは重田清一(環3)が主将に就任した。黄金世代と呼ばれた代でもなし得なかった優勝、そしてその先にある日本一をこの代で果たすためには、何が必要でそのために何をすべきなのか。思い描いているチーム像を伺った。
―主将就任の経緯について教えてください。
早慶戦の前に監督から言われました。正式に決まったのは早慶戦の2日目の朝です。
―その時の心境はいかがでしたか。
その時は、その日の早慶戦に勝とうという気持ちが強かったです。早慶戦が終わって実感が湧いて、やるか!という感じです。
―主将をやりたいという気持ちはありましたか。
小・中・高とずっと主将をやってきたので、特に意識はなかったです。
―高校と大学で違う部分はありますか。
まず、人数が全然違うこと。それと、大学生は大人なので高校生のようにガチガチに縛らなくても、自分で考えて行動してくれることが一番違います。
―200人近い部員をまとめていくことについて、どうお考えですか。
僕は方向性を示せばいいかなと思います。あとは優秀なスタッフ陣たちがいるので、4年生中心にうまくまとめてくれると思います。
―監督からはどんな言葉をかけられましたか。
「お前のよさは声が出せるところだから、しっかりバカになってやってくれ」と言われました。
―先代の横尾主将からはどんな言葉をもらいましたか。
しっかりやれよ、と言われました。
―副将の木村健人選手と沓掛祥和選手はどのような方ですか。
木村は僕がいないときに代わりに先頭にたってやってくれる人です。沓掛は元気で後輩にも好かれていて、後輩と上手くコミュニケーションをとりながら僕に足りないところを補ってくれます。
―副将が二人いる意味、役割というのはどのようにお考えですか。
僕らの代は公式戦を経験している選手が少ないので、チーム全体でやっていこうと。二人いた方が意思の疎通がしやすく周りにも伝わりやすいというところです。
―副将が二人というのは監督のお考えですか。
そうですね。
”こいつについていけば間違いない”と思われる主将です。
―理想に近づくために今までの主将の経験は生きてきますか。
意識はしてないですけど、生きてくると思います。
―では、今季を振り返っていただいて、どんなシーズンでしたか。
いいところまでいきながら最後勝ちきれないところに、ちょっと詰めの甘さが出てしまいました。
―今年は谷田選手や横尾選手のように下級生から試合に出ている選手が多かったのですが、来年はガラッと変わると思います。どのような代にしたいですか。
下級生から試合に出ている選手が加藤拓也(政3)ぐらいなので、逆にやりやすいかなと思います。完全に僕らのチームっていうのが作れると思いますし、逆にいいのではないかと思っています。
―新チームで全早慶戦と奄美大島での交流戦の2試合を戦ってみていかがでしたか。
まだまだですね。もう少し投手陣も頑張って、野手陣も点を取らなければ。まだ最初ということもありますし、チームがすぐに上手くいくわけではないので。逆に反省点がしっかり見えたので、そこをどれだけ詰めて冬やれるかというところです。
―試合での反省点とはどのようなものですか。
バッテリー的にはフォアボールだと思います。フォアボールでランナーを出してしまうので、そこは加藤拓とか須藤隆成(環3)とかを中心にバッテリーで話し合ってくれています。打線はいいピッチャーがきたらそう簡単には打てないので、いかに少ないチャンスをものにできるかだと思います。
―良かった点はありましたか。
秋から出てきた山口翔大(環3)、勝負強いところで打ってくれる沓掛、そして岩見雅紀(総2)が一皮向けたかなと。俺らが引っ張っていくんだというのが目に見えてわかるのは嬉しいです。
―他に注目選手はいますか。
個人的には田中裕貴(環1)に注目しています。長身の左投手で、出てきてくれたら嬉しいですね。野手でいうと、照屋塁(環2)はもちろんですが、天野康大(環2)に期待しています。
―三宮選手・加嶋選手といった先発経験豊富な投手が抜けます。
悲観することなくチャンスだと思って、加藤に負けないぞっていう意地を見せてほしいですね。特に小原大樹(環3)とか藤原陽介(経3)とか。清水洋二郎(法2)、亀井倫太朗(商2)、原田匠(商1)とたくさんいますけど、意地を見せてこの冬頑張って取り組んだ選手が結果を出すと思います。
―ご自身の打順は全早慶戦では2番、奄美大島では6番でした。スタメンや打順はまだ試行錯誤ですか。
まだリーグ戦が近いわけでもないので、いろんな選手をいろんなところで試したいのだと思います。僕は与えられた役割をしっかりこなすだけです。もちろん1番や3番を打てるようにしていきますけど。そこはチームのためにという感じです。
―最後の一年間どのような気持ちでいきたいですか。
監督のしたい野球にどれだけ近づけるか。僕は他の選手と比べてそんなに慶應らしさがないと思います。僕のプレースタイルはガッツでいく感じで、声を出しながら泥臭くいきたいので、慶應の爽やかな感じは最初少し戸惑いました。みんなでガッツをだしていけるようなチームにしたいです。
―声出しは今年度卒部された原田直道選手が積極的でした。
僕とは少しタイプが違いますけど(笑)みんなあのぐらい出してほしいですね。何人かが声を出し始めたらみんなついてくると思います。
―来年からは背番号『10』を背負っていきます。
高橋由伸さんをはじめ、いろんな人がつけてきた番号なので重圧はありますが、僕は僕なので。やれることをやるだけです。
―個人の目標をお願いします。
優勝はもちろんですけど、ベストナインを取りたいです。
―そのために必要なことは具体的に何でしょうか。
出塁率です。僕が出たらしっかり返してくれると思うので、出塁率にはこだわっていきたいです。ヒットじゃなくても、フォアボール・デッドボール、エラー、内野安打なんでもいいので、とにかく塁に出てあとはみんなに託すっていう感じですね。
―慶應スポーツのインタビューで「バランスよくやれる」と以前おっしゃっていました。
小さい頃から秋山幸二さんに憧れていて、走攻守全部においてお客さんが呼べるそういう選手が目標ですね。
―優勝に向けて必要なことは何でしょう。
勝利への執念です。当たってでも塁に出たり、死に物狂いでボールを止めたり、そういうところが出てきてほしいです。執念はみんなに乗り移っていくと思いますし、僕が執念を出していったら、みんなが打ってくれたりといった経験は今までの野球人生でいっぱいあるので、そういうのを見せていきたいです。
―応援しているファンの方へメッセージをお願いします。
今年は思うような結果が出せなくて、応援してくださった方に悔しい思いをさせてしまったので、来年は優勝してみんなで喜べるようにやっていきたいと思います。
―お忙しい中、ありがとうございました!
(取材:木下恵 , 若林晃平)