副将の木村健人（写真 左）と沓掛祥和
開幕直前特集第２弾は副将の沓掛祥和（商４）と木村健人（政４）。持ち前の明るさとプレーでチームを引っ張る沓掛選手と、一歩引いた目線から冷静にチームを見る木村選手。今年はタイプの違う２人の副将が主将、そしてチームを支えていく。対談では思い出話にも花が咲き、ともに慶應義塾高校出身で高校時代はいつも一緒にいたという二人の仲の良さがうかがえた。
――まもなく春季リーグ戦が開幕です。現在の心境は
沓掛祥和（以下 沓掛）：いつもならオープン戦でけっこうみんな打つんですけど、今年はあまり打ってなくて。ローゲームの試合が多くて大丈夫かなとも思う反面、リーグ戦になるといつも打てなくなるので、ローゲームでどうやって勝つかっていうのが分かって良いんじゃないかなと思います。まあ、僕はけっこう打っていると思いますが（笑）
木村健人（以下 木村）：僕はキャッチャーなのでその目線からいうと、アメリカキャンプでかなり良い感じに勝っていて、でも日本帰ってきて結局環境の差があったから勝てなくて。でもちょっとずつオープン戦も終盤になってきて、みんなの調子も上がってきているのでリーグ戦に向けて良い感じにはなっていると思います。
――2人にとって昨季はどんなシーズンでしたか
沓掛：昨秋は調子が悪くて、東大戦でスタメンから外れてしまって、フルで出ないと面白くないなと思いました。その原因は大久保監督からの信用が足りなかったかなと。今季はフル出場するために守備もしっかり練習しました。だから昨季を振り返るとけっこう悔しかったです。今年は全試合フル出場しますよ。途中から守備固めとして出されないようにします。
木村：去年は試合に出ることは少なくて、数打席しか立ってないんですけど、チーム全体をベンチからお祭り騒ぎして盛り上げようというのがあって、選手みんな「野球を楽しむ」というのはできていました。でも、やっぱり勝ち試合は少なかったですね。それを生かして今年は、騒ぐだけではなくて、監督が日々言っている「スキのない野球」ができるチーム作りをしています。
――新チームの雰囲気は
沓掛：去年は、主将だった横尾俊健さん（現 日本ハムファイターズ）が絶対みたいなところがあったんですけど、今年は重田清一（環４）が主将になって、ワンマンではなくてチームみんなで野球ができているかなと思います。
木村：たしかに、横尾さん谷田成吾さん（現 JX-ENEOS）、山本泰寛さん（現 読売巨人軍）っていう絶対的なスター選手がいないからこそ、誰かが引っ張るという意識ではなくてチーム全体がちゃんとやろうっていう意識があると思います。監督も就任２年目で少しずつ監督の色が浸透してきているなとも感じます。
――重田主将はどんな選手ですか
沓掛：重田は守備がうまいんで、あいつのところに飛んで行くと安心はありますね。キャプテンとしては、もう少し引っ張ってもいいのかなとは思います。
木村：明るくて、盛り上げて引っ張るというのはできていると思います。でも、もっと厳しく引っ張ってもいいのかなと。
――副将が二人と聞いてどう思われましたか
木村：妥当かなと思いました。
沓掛：僕は主将か副将になると思っていました。僕の持論なんですけど、主将が重田で副将が僕だと少し不安だったから健人が入ったのかなって（笑）健人は高校時代もキャプテンやっていたのでまかせられるかなと。健人がいてくれているから僕は自由にやらせてもらっています。
木村：沓掛は一生懸命やっているので、プレーで引っ張れるタイプなので。その分、僕は試合に出ていなかったのでチーム全体を見る役目なのかなと思ってやっています。
――お互いの意外な一面とは
沓掛：うーん、なんだろう。
木村：沓掛だったら、初対面だと大きいしけっこう怖いと思うんですよ。でも実際喋ってみると、明るくてめちゃくちゃ優しくて（笑）
沓掛：健人は、高校の時とか真面目だったんですけど、一緒に飲みに行くと大変です（笑）
木村：お前もだろ（笑）
――すごく仲が良い2人はプライベートでも遊んだりは
沓掛：最近あんまりないね。
木村：大学入ってから減りましたね。
沓掛：高校の時は常に一緒にいました。
――高校からチームメイトですが、お互いの第一印象を教えてください
沓掛：僕ら中学の時対戦してるんですよ。で、健人はピッチャーだったんですけど、俺だけこいつからセンターオーバー打って（笑）
木村：その試合、僕のチームが勝ったんですけど、唯一打たれたのが沓掛でしたね。
沓掛：最後も俺いいのを打ったのにセカンドのファインプレーでライナーアウトだったな。で、高校で会って「お前あの時の！」みたいな（笑）
木村：そうそう（笑）
――大学入ってからお互いに成長した部分は
木村：高校の頃の沓掛は、チームのことを考えるようなタイプには見えてなくて、完全にプレーでチームを引っ張るような。でも、いま大学に入って副将になって真面目な話とかすると、すごいみんなのこと考えていて。全然考えてないように見せてすごく悩んでいるし、考えているなーと感じるようになりました。
沓掛：健人の場合は高校の時は試合も出ていてキャプテンですごく引っ張っていました。大学入って思うように試合出られなくなったけど、変わらずみんなのこと引っ張っていて、そこがすごいなと思います。
――仲の良い選手は
木村：沓掛はけっこうみんなと仲良いよね
沓掛：そうですね。僕は一軍で試合出ている選手より、一軍と二軍の間くらいの選手と遊ぶことが多いです。
木村：僕はお酒飲むのが好きなんで（笑）暇な時に誘って来てくれる人ならって感じです。けっこう飲みながら野球について熱く語ったりしています。
――アメリカキャンプが決まった時はどう思われましたか
沓掛：ラッキーだなあって（笑）
木村：嬉しかったです。楽しみだなーと思いました（笑）
沓掛：僕はアメリカ初めてだったので。よかったなと思いました。
沓掛副将
――キャンプを通して得られたものとは
沓掛：IMGに行ってなにを教えてもらえるのかワクワクしていたんですけど、新しいものより、自分でやってきたことが正しかったんだなっていう再確認になりました。あとは、向こうの人はもう身体が違いますね。バケモンです（笑）
木村：監督も言っていたんですけど、野球だけではなくて人としてアメリカの文化に触れて視野が広くなったと思いました。言葉の壁があっても野球というツールでコミュニケーションが取れて感動しました。野球に関しては、アメリカ人って大雑把なイメージがあったんですけど、実際は理論的にやっていて、細かく基礎から作っていて、メジャーリーグってすごいんだなと感じました。
――キャンプで重点的にやっていたこととは
沓掛：バッティングですね。僕はマイクトラウト（現 ロサンゼルス・エンゼルス）という選手を尊敬していて、彼のバッティングを真似していたんですけど、そのフォームはダメだって怒られて（笑）自分の考えを理解してもらえてないと思ったんですけど、言われた通りにやってみたらそっちの方が良かっです。
木村：野球技術とかではないんですけど、チーム全体の雰囲気をよくしようと思っていて。練習通して、ちょっと怠けている選手に声かけたりしてチーム全員で野球をするという意識を作ろうと頑張っていました。
――これまでのオープン戦で手応えはありましたか
沓掛：僕は余裕ですね。リーグ戦も不安はないです。立正大戦で0-10で負けて、やばいなとは思ったんですけど、よく立て直したなと思います。
木村：逆に帰ってきてすぐの試合で大敗したからこそ、みんなで話し合って立て直せたなとは思います。
――最高学年になって気持ちの変化はありましたか
沓掛：僕はけっこうありましたね。今までは横尾さんとかにずっと教えてもらっていて。僕はあんまり後輩をかまってないんですけど、一軍以外の後輩も積極的に絡むようにしました。向こうから絡んでくれれば楽なんですけど、多分僕、怖がられているので（笑）
木村：今までは先輩についていけば良いと思っていましたけど、自分が最高学年になったからには自分で考えて後輩にも指導して、同期と仲良くするとかも意識するようにしました。
――自分なりのルーティーンはありますか
沓掛：僕は昔からけっこうルーティーン大事にしていますね。お守りだったりとか。でも、ルーティーンができなかった時に調子崩れるんで、自分がしたいことをするっていうのをルーティーンにしています。
木村：上田さん（高校時代の監督）も言ってたもんね、ルーティーンに潰されるなって。
沓掛：そうそう。
木村：俺はリーグ戦の時は毎回同じパンツ履いています（笑）
沓掛：あ、それは俺もしてる！俺の場合はスラパン（スライディングパンツ）だけど。神宮用と他の用ってあります。あとは、いつもコンビニで好きな物買っているんですけど、打てた日に買ったものを毎回買ってます！打てなくなったら違うものを買うようにしてってしてます（笑）
木村：食べ物は俺ないかなあ（笑）
――新チームの注目選手は
沓掛：うーん、アキ（山本瑛大・商４）かなあ。いまは僕と翔大（山口・環４）が塁に出て、５番６番が打ってくれないと点につながらないので。去年の僕みたいにアキが打点王になってほしいです。
木村：僕は原田匠（商２）かな。監督もすごく期待しているし、あいつが本調子で投げてくれればピッチャー陣安定してくると思います。
木村副将
――健人さんから見て須藤隆成（環４）選手とは
木村：キャッチャーとしてのスキルは、ズバ抜けていいとは言えないんですけど、安定していて。僕が安定してないってのもあって、須藤には負けてるかなと思います。バッティングも良くなってるんで、ライバルではあるんですけど、試合勝つためには頑張ってほしいですね。仲悪いとかは全然ないですよ！（笑）
――他大学で意識している選手は
沓掛：まあ、同学年のピッチャーには負けたくないです。澤田（立大）とか柳（明大）とか。バッターだと、中澤（早大）とか石井（早大）は友達なので負けたくないです。あとは、サードのやつは全員（笑）ベストナインかかっているので（笑）
木村：まあ、知り合いが出てたら、自分の試合では頑張って欲しくないです（笑）でも、他の試合ではすごく応援しちゃいます。
――慶大野球部の見てほしいところは
木村：監督もいつも言ってるんですけど、僕たちは「スキのない野球」をしているので、最後まで全力で駆け抜けたり、回の合間のキャッチボールから全てが「スキのない野球」なので、プレーひとつひとつではなく、全体的に見てくれたら嬉しいです。
沓掛：僕は自由さを見てほしいです。去年もそうだったんですけど、お祭り騒ぎができるチームって慶應くらいだと思うんです。「やっぱり慶應いいな」って「楽しそうに野球しているな」って思ってほしいです。楽しみながらも締めるところは締めてやっていて、そういうところが慶應らしいかなって思います。
――お互いのどんなところに期待していますか
木村：得点圏での勝負強さ、ですね。ここって時にいつも打ってくれるので！今年の沓掛も期待してください（笑）
沓掛：健人は代打で１本打ってほしいです。必ず機会はあると思うので。
――今季の目標と意気込みを
沓掛：タイトル取りたいです。あとは、首位打者いけるんじゃないかなと思っています。そうすればベストナインもいけそうですね！自分以上のバッターはそうそういないと思っています。自分の持っているもの全部発揮します！（笑）
木村：すごいね、頑張れよ（笑）僕は、機会が回ってくれば絶対に結果残したいし、たとえ自分が打てなくても、優勝してくれれば。優勝からの日本一は絶対になりたいです。
――最後にいつも応援してくれている皆さんに一言お願いします
沓掛：えー、えっと、これからも応援よろしくお願いします。（照笑い） 僕はサードかファーストというスタンドのみなさんと近い守備位置なので名前呼んでいただければうれしいです。パワーもらえます（笑）
木村：一生懸命やって優勝するので最後まで応援よろしくお願いします！絶対優勝しますよ！（笑）
取材：千綿 加華、写真：下川 薫、江島 健生
