4月23日(土)東京六大学野球春季リーグ 明大1回戦
「勝てなかったことが悔しい。負けなかったことがいいこと。」—(大久保監督)2連勝の開幕週から1週空いて迎えた明大との第1戦。4回表に加藤拓也(政4)の内野ゴロの間に1点を挙げるも、9回裏に犠飛を打たれ同点に追いつかれる。12回裏には1死1、2塁のピンチを迎えたが後続を抑え、引き分けに持ち込んだ。先発の加藤拓は12回を投げ155球の熱投。勝負の行方は第2戦以降に委ねられた。
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 計 |
慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
明大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 |
※規定により12回引き分け
慶大:加藤拓―須藤
明大:柳、齊藤―牛島
◆慶大出場選手
| ポジション | 選手名(学部学年・出身高校) |
1 | [4] | 倉田直幸(法3・浜松西) |
2 | [6] | 照屋塁(環3・沖縄尚学) |
3 | [5] | 沓掛祥和(商4・慶應義塾) |
4 | [9] | 山口翔大(環4・桐光学園) |
| 9 | 中村健人(環1・中京大中京) |
5 | [7] | 岩見雅紀(総3・比叡山) |
| 7 | 重田清一(環4・佐賀西) |
6 | [3] | 山本瑛大(商4・South Torrance) |
| 3 | 清水翔太(総3・桐蔭学園) |
7 | [8] | 柳町達(商1・慶應義塾) |
8 | [2] | 須藤隆成(環4・創志学園) |
9 | [1] | 加藤拓也(政4・慶應義塾) |
慶大先発はエース加藤拓也(政4)。この日も前回先発した法大第1戦同様、安定した投球を見せる。3回表に1死1、3塁のピンチを迎えるも明大の1番の越智を3球三振。さらに続く竹村の打席の際、1塁牽制を投げるが悪送球になってしまう。だがこのシーン、一塁手・山本瑛大(商4)の冷静な判断により本塁に向かっていた3塁走者を本塁で刺した。さらに5回には、小フライとなったバントを三塁手・沓掛祥和(商4)が処理すると、飛び出していた1塁走者を刺し併殺を完成させるなど、バックも加藤拓を盛り立てた。
打線は明大先発・柳の緩急自在のピッチングの前に8回までに16三振を喫した。その中で4回、先頭の柳町達(商1)がレフト前にヒットを放つと、続く須藤隆成(環4)が相手の守備位置からバスターを決行。レフト線にライナーを飛ばす2塁打となり無死2、3塁のチャンスを作ると、加藤拓がフルカウントの6球目を叩きつける内野ゴロを放ち、その間に3塁走者・柳町が生還し先制した。その後2死2、3塁で再びチャンスを作るも沓掛が三振。さらに7回にも無死満塁のチャンスを作るも、柳町の走塁ミスなどで無得点。先制後の少ないチャンスを生かしきれなかった。
試合は9回裏、1死2塁のピンチを招くと、相手代打・宮崎の際に加藤拓がまさかの2塁への牽制ミス。無人の2塁ベースにボールを投げてしまい、3塁まで走者を進めてしまう。このチャンスを宮崎は見逃さず6球目をしっかりセンターに弾き飛ばし犠飛で同点に追いつかれる。後続の逢澤を抑えたが試合は六大学今季初の延長戦へ。
加藤拓に援護点を与えたかった打線だったが、9回から登板した明大2番手・齊藤の前に1安打も放てず、12回表を終える。第2戦以降も登板するであろう柳、齊藤をどう攻略していくかが勝ち点奪取への鍵になるだろう。
12回裏も加藤拓はマウンドへ。すると1死から2連打を浴び、1、2塁のピンチを招いた。だがそこで「本当に点を取られないようにという気持ちしかなかった」という加藤拓が、相手中軸の牛島、佐野恵を抑え試合終了。1対1で引き分けとなり第2戦から0勝0敗の状態で再び勝ち点奪取に向けての戦いが行われる。
2006年以来10年ぶりに慶應義塾の開校記念日である4月23日に行われた六大学野球の慶大戦。スタンドで若き血を歌う機会は1度しかなかったが、「今日負けなかったことをポジティブにとらえて」(重田主将)というように初戦を落としたわけではない。この加藤拓の155球の熱投を第2戦以降どうチームで生かしていくか。そして、昨秋勝ち点を落とした明大戦でいかに勝ち点への執着心を見せられるか。春季リーグの前半戦の山場に差し掛かっている慶大野球部。その山を越えた時、優勝への視界はさらに良好となるだろう。
記事:森田悠資
◆打撃成績
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| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
[4] | 倉田 | 空三振 |
| 三邪飛 |
| 四球 |
| 右ゴロ |
| 遊ゴロ |
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| 遊ゴロ |
[6] | 照屋 | 見三振 |
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| 見三振 | 遊ゴロ |
| 見三振 |
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| 右飛 |
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[5] | 沓掛 | 見三振 |
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| 遊安 | 空三振 |
| 空三振 |
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| 遊ゴロ |
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[9] | 山口 |
| 中安 |
| 死球 |
| 遊飛 |
| 空三振 |
| 二ゴロ |
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9 | 中村 |
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[7] | 岩見 |
| 空三振 |
| 空三振 |
| 遊ゴロ |
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7 | 重田 |
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| 空三振 |
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| 空三振 |
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[3] | 山本瑛 |
| 空三振 |
| 空三振 |
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3 | 清水翔 |
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| 右邪飛 |
| 空三振 |
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| 遊飛 |
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[8] | 柳町 |
| 空三振 |
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| 左安 |
| 二安 |
| 空三振 |
| 一ゴロ |
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[2] | 須藤 |
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| 左直 |
| 左2 |
| 投野 |
| 遊ゴロ |
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| 左飛 |
[1] | 加藤拓 |
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| 空三振 |
| 遊ゴロ①
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| 遊安 |
| 四球 |
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| 遊ゴロ |
◆投手成績
| 投球回数 | 打者数 | 球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責 |
加藤拓 | 12 | 41 | 155 | 5 | 5 | 2 | 1 | 0 |
◆監督・選手コメント
大久保秀昭監督
勝てなかったことが悔しい。負けなかったことがいいこと。12回にマウンドに向かったときは加藤拓投手に任せたぞと声をかけた。7回の無死満塁の場面で1点が出なかったのが痛かった。2点3点といきたい場面ではあったが、(倉田選手の右ゴロは)外野手のストライク返球もあったし、3塁走者の判断ミスでもあった。ただ、これも経験。(明日の試合に向けて)サヨナラ負けとかしているわけではないので、悲観することなく、また0からのやり直しということで、全勝するというところに向かって全員で戦うだけ。
重田清一主将(環4)
勝ち切れなかったことは悔しいが、負けなくてよかった。空き週は柳投手からどう点を取るかを考えていたのと、ミスしたほうが負けるのでミスをなくす練習をしてきた。今日の柳投手は緩急をつけてどの球でもストライクを取ってきた。さすがいい投手だと思った。齋藤投手に変わってよかったとも思ったが、齋藤投手もいい投手だった。加藤拓は最後少しミスが出たが、そこまで十分しっかり投げていた。勝ちをつけてあげたかった。チームは我慢強く辛抱強く戦えたことはよかった。逆に攻撃のミスや走塁のミス、そしてノーアウト満塁で点をとれなかったところがは反省点。あそこで1、2点とっておいたら全然展開が違ったはず。(ユニフォーム授与式があったと野球部のブログに書いてあった)ユニフォームを持って慶應のユニフォームを着て戦うということはこの部員全員の代表であるということ。新しく背番号をもらった人はベンチに入りたくても入れなかった人の気持ちも背負って戦うという意味でユニフォーム授与式をやった。(明日への意気込み)今日負けなかったことをポジティブにとらえて、どっちが有利とかはないので一戦一戦戦っていうのみ
加藤拓也(政4)
負けなかったことが一番良かったが、勝ち切れなかったのでそこが悔しい。マウンドに上がっている以上0点に抑え、相手に点を与えないことを目標に投げているので、相手どうこうというよりは自分のピッチングに集中して投げた。最後まで投げ切ったということは自分の中でプラスに捉えてもいいと思うが、先頭が出た回で点を取られたので、そういう部分を減らせればいいと思う。スタミナに元々不安があるようなタイプではないのでイニングは気にせず投げていた。最終回ももちろん点を取られないようにと思って投げていて、12回で引き分けというよりは本当に点を取られないようにという気持ちしかなかった。明治戦はしんどい戦いになると思うが、なんとか勝ち切れるように準備をしていきたい。(直球と変化球を織り交ぜた投球の組み立てについて)真っ直ぐ一本で投げてもいいのだが、そうするとファールが増えたりする。球数を減らすということを監督から言われたり自分自身昨シーズン終わってからずっとやってきたりしたので、それを上手く出した結果だと思う。
須藤隆成(環4)
きつい試合だった。ゼロで抑えられるとは思っていなかったので、1点を取られたことは想定内だった。むしろ、チャンスで打線が打てなかったことが課題。相手先発の柳投手はヒットを打たれながらも要所を締めるピッチングだった。今シーズン初ヒットはバスターの構えからだったが、バントの構えをすることによって、内野が前に出てヒットゾーンが広がったり、配球がストレート中心になる。バスターは監督の指示だったが、そういった意図があると思う。受けていて、加藤の調子は基本的には良かったように感じた。途中悪くなる時もあったが、上手く修正出来ていた。試合中に修正出来るところが加藤の良いところ。1点は取られたが、加藤は良く投げてくれた。試合中に配球の組み立てを変えたが、その場面での点差や加藤の調子、相手打者との兼ね合いなどを考慮した。明日はもっと点を取らないと勝てない。ゼロで抑えることは難しい。野手陣の奮闘が必要。アウトになるにも、もっと粘ったりして、終盤で点が取れるようになれば勝てると思う。
山口翔大(環4)
負けなかったのは良かったが、9回に勝ち切れなかった。牽制球のミスやサインプレーのミスなどちょっとしたミスが絡んで失点につながって、それが最終回に出てしまった。でも同点に追いつかれて、延長戦になってから毎回サヨナラの可能性があった中で、加藤拓(政4)を中心に踏ん張れりきれたのは大きかった。(明日の試合に向けて)明日は打ち合いになると思うので、こちらが遅れをとらないように頑張る。
柳町達(商1)
1対1の引き分けだったが、負けなかったことは良かった。悪かった点は勝ちきれなかったこと。僕自身が走塁ミスを一つしてしまったことが勝ちきれなかった要因。ノーアウト満塁の時のホーム封殺のプレーで、あの回に得点を取れなかったのが引き分けになった原因かなと思う。明大には柳投手というすごいピッチャーがいて、柳さんは真っ直ぐが早いのでそれをどうやって打ち崩すかこの2週間考えてやってきた。(第1打席の三振からの修正)けっこう序盤は変化球が多かったので、それに対応するように変化球を頭に入れて振ったのがヒットになった。ツーストライクと追い込まれていたので、 真っ直ぐに対応しながら変化球を打つという感じで待っていて、変化球が来たので上手く対応できた。明日は、明日がまた一戦目だと思って、まず1勝目指してやっていこうと思う。