【野球】歴史的大敗で勝点奪取ならず 明大④

先発の小原大は打者5人に対して4つの四死球を与え降板。2勝目が遠い

先発の小原大は打者5人に対して4つの四死球を与え降板。2勝目が遠い

 

沓掛祥和(商4)の本塁打による劇的勝利から一夜明け、勢いそのままに勝点を奪取したい 慶大。1勝1敗1分けと、両者譲らぬ攻防戦の行方は第4戦にゆだねられた。真夏のような強い日差しが照りつける中で迎えた、天下分け目の大一番。だが初回から得点を積み重ねられると、満塁本塁打の被弾を機に流れは一気に明大へ。被安打15、四死球11と投手陣が崩壊し、記録に残る屈辱的大敗で待望の勝点を落とした。 

 

 

4月26日(火)東京六大学野球春季リーグ 明大4回戦

 

 

明大

18

慶大

 

明大:○水野、星、川口―牛島、中道

慶大:●小原大、原田、清水洋、亀井、大田、藤原―須藤

 

◆慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[8]

柳町達(商1・慶應義塾)

 

H8

重田清一(環4・佐賀西)

[4]

川崎晃佑(環4・智弁和歌山)

[5]

沓掛祥和(商4・慶應義塾)

[9]

山口翔大(環4・桐光学園)

[7]

岩見雅紀(総3・比叡山)

[3]

清水翔太(総3・桐蔭学園)

[2]

須藤隆成(環3・創志学園)

[1]

小原大樹(環4・花巻東)

 

原田匠(商2・慶應義塾)

 

H

天野康大(環3・智弁和歌山)

 

清水洋二郎(法2・函館ラサール)

 

H

小原徳仁(文3・慶應義塾)

 

亀井倫太朗(商3・慶應義塾)

 

太田力(経2・桐朋)

 

藤原陽介(経4・慶應義塾)

[6]

照屋塁(環3・沖縄尚学)

 

木村健人(政4・慶應義塾)

 

宮田皓(商1・慶應義塾)

 

H4

倉田直幸(法3・浜松西)

 

チームの5安打中3安打を放った清水翔(写真左)。一人気を吐いた

チームの5安打中3安打を放った清水翔(写真左)。一人気を吐いた

慶大の先発は、2回戦で3回2/3を投げて5失点と苦杯をなめさせられた小原大樹(環4)。雪辱を果たしたい小原大だが、立ち上がりから制球が定まらなかった。1回、先頭打者を打ち取ったものの、その後四者連続の四死球を与え、押し出しで簡単に先制点を与えてしまう。いつもは投手を引っ張る大久保監督だが、この一戦にかける思いは相当なものだった。今日はここで交代を選択。小原大はわずか19球でマウンドを降り、悔しさを滲ませる表情でベンチに下がった。緊急登板となった原田匠(商2)は、初球を併殺ゴロに打ち取り、絶体絶命のピンチを切り抜けた。 続く2回。先頭打者に四球を与え、バントで送られると、またもやピンチを迎える。しかし、ここで迎えた9番・渡辺の強い左翼線への打球は、岩見雅紀(総3)がダイビングキャッチ。悪い流れを断ち切ったかのように見えたが、その後踏ん張れず、2本のヒットで痛恨の追加点を許した。

 

対する明大の先発は、第2戦で慶大を完封し、リーグ戦初勝利を挙げた水野。慶大は、昨日までとは大きく打順を入れ替え、柳町達(商1)を1番に、今季初出場の川崎晃佑(環4)を2番に置いた。だが伸びのあるストレートと変化球を織り交ぜた丁寧な投球の前に、凡打を積み重ねる。2回、2死から清水翔太(総3)がチーム初ヒットとなる二塁打を放つも、後続が続かず。3回には照屋塁(環3)が好守備を見せ、明大打線を初の三者凡退に押さえた。チャンスが訪れたのはその裏。代打で登場した天野康大(環3)が追い込まれながらもライト前へ運び、リーグ戦初打席初安打を記録。だが後続が連続三振に倒れ、なかなか差を詰められない。4回からマウンドに上がったのは三番手清水洋二郎(法3)。低めの投球を意識したテンポの良い、 打たせて取るピッチングで6回まで明大打線を三者凡退に押さえ、着実にアウトを積み重ねた。相手に傾きかけた流れを止め、味方の反撃を待つ。

 

バックスクリーンに消えていった打球を見つめた清水洋。3イニングを三者凡退に抑えていただけに悔やまれる一球だった

バックスクリーンに消えていった打球を見つめた清水洋。3イニングを三者凡退に抑えていただけに悔やまれる一球だった

何とかして一点をもぎ取り、流れを引き寄せたい慶大。5回には、無死一、二塁の チャンスを作り、反撃の狼煙をあげるチャンスを得る。だが、水野の的を絞らせない投球を前 に全く手が出ず、ランナーを返すことができない。スコアには0が並ぶ。逆に7回、好投を続けてきた水野に代打が送られ、四球と安打で繋がれると、二死満塁のピンチを迎える。大久保監督がマウンドに向かい、「あと一つアウトをとれ」と声を掛けた。続くバッターは佐野恵。だがその初球、甘く入った真ん中高めの球はバックスクリーンへ運びこまれる。試合を決定づける満塁本塁打となってしまった。

 

ここで集中が切れてしまったのだろうか。8回、火がついた明大打線を止めることができない。この回から登場した亀井倫太朗(商3)は、4連打を浴び2点を奪われると、ワンアウトもとれずノックアウト。ブルペンが騒がしくなる。急遽登板した太田力(経2)も、四球からの3連打を許し、アウトが遠のく。その後、6番手として藤原陽介(経4)がマウンドへ。適時右安打を打たれ、2点を献上したものの、なんとかその場を切り抜けた。打者15人、被安打9、四死球4の猛攻で、一挙9点を追加されるという悪夢のようなイニング。一イニングに5つの二塁打は六大学公式記録タイでもある。9回も明大の勢いは衰えなかった。連続安打で2点を追加され、ダメ押しをくらう。次につながる得点がほしい慶大であったが、星から代わった川口の前に力なく凡退。一度も三塁を踏むことすらできないまま試合は幕を閉じた。

 

1勝1敗1分けまで持ち込む粘りを見せたが、加藤拓也(政4)の300球を超える力投も虚しく、明大に勝点を献上してしまった慶大。総力戦で臨んだ第4戦では、絶対に負けられないという監督と選手たちの強い思いが伝わってきた。だが結果は惨敗。重田主将が「チームの力不足だった」と語るように、明大との実力の差を見せつけられた。投げては2回戦、4回戦で投手陣が大炎上。打線は4試合でわずか2得点と元気がなかった。この4連戦で課題はくっきりと見えただろう。エース加藤拓以外の投手陣の立て直し、そして法大戦で爆発した打線の復活が 必須だ。次に激突するのは、エース宮台擁する東大。粘る野球、繋ぐ打線を体現し、まずは目前の一戦一戦で勝ちを積み重ねて、優勝を手繰り寄せてほしい。慶大の逆襲劇がここから始まる。

記事:反保真優

 

◆打撃成績

 

 

[8]

柳町

左飛

 

見三振

 

左飛

 

 

 

 

H8

重田

 

 

 

 

 

 

 

空三振

 

[4]6

川﨑

捕邪飛

 

空三振

 

 

空三振

 

左安

 

[5]

沓掛

遊ゴロ

 

 

二ゴロ

 

右飛

 

三ゴロ

 

[9]

山口

 

二ゴロ

 

遊ゴロ

 

空三振

 

 

二ゴロ

[7]

岩見

 

空三振

 

見三振

 

 

空三振

 

二ゴロ

[3]

清水翔

 

左2

 

 

一安

 

右安

 

二ゴロ

[2]

須藤

 

見三振

 

 

四球

 

遊飛

 

 

[1]

小原大

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原田

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天野

 

 

右安

 

 

 

 

 

 

清水洋

 

 

 

 

空三振

 

 

 

 

小原徳

 

 

 

 

 

 

空三振

 

 

亀井

 

 

 

 

 

 

 

 

 

太田

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤原

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[6]

照屋

 

 

三犠打

 

 

 

 

 

 

木村健

 

 

 

 

空三振

 

 

 

 

宮田

 

 

 

 

 

 

 

 

 

H4

倉田

 

 

 

 

 

 

 

左飛

 

 

◆投手成績

 

 

打者数

球数

安打

三振

四死球

失点

自責

●小原大

01/3

19

原田

22/3

10

37

清水洋

16

63

亀井

00/3

大田

01/3

25

藤原

12/3

10

38

 

 

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

応援してくれている方に申し訳ない。今日は監督がすべて悪い。どうしても負けられない戦いだった。四死球が4つで、初回で勝負が決まってしまうような真似はしたくなかったから1回3分の1で小原大を降板させた。その後うまく1点でしのげたのは良かった。原田の調子は悪くなかった。その後の2点はもったいなかった。清水洋は満塁本塁打を打たれたが、それまでは持ち味を発揮した良い投球だった。それ以降の8,9回は止められなかった。(投手陣をどう立て直すか)今いるメンバーで乗り切りたい。

 

重田清一主将(環4)

勝ち点とれなかったことが非常に悔しい。小原大がなるべく粘って、野手陣が点を取ろう と言っていたが、押し出し四球で先制されてその後も苦しい展開だった。水野投手に対し てはしっかり打てる球打とうと言っていたが、チームの力不足だった。明治戦を振り返る と、守備が我慢強くできたことはよかった。後はバッティングと投手陣の立て直しが必 要。昨日一勝したことは今後の展開で大きいと思う。優勝の可能性もまだ残っている。気 持ちを切らさずに戦っていく。中三日で東大戦だが、加藤が投げる試合は絶対に負けない。二回戦は絶対に打つ。絶対に2連勝する。 

 

清水翔太(総3)

ラッキーな部分も大きかったが打てたことはよかった。守りの部分では取れるゴロを一つ取れなかった。バッティングはよかったが守りできっちりピッチャーを助けられなかったのが悔しい。明治のピッチャーはまっすぐが速かったので、まっすぐに振り負けないようにと思っていた。(3打席目の安打は)多少つまっていたが、しっかりとまっすぐを待って打てたのでいい方向にも打てた。スタメンとして出していただいているのに、まだ自分の力を出し切れていない。今日のような守りのミスはしないようにしたい。 東大戦はとにかく泥臭く、どんな形でもよいので勝つことができればいい。

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