【野球】打線の援護なく、投手戦を落とす　立大①

５月１４日（土）東京六大学野球春季リーグ戦　立大１回戦

先発の加藤拓。今季ここまで防御率トップの右腕はこの試合で痛い失点を喫した

ここまで慶大の成績は２位。優勝への望みを繋ぐため、３位 立大との負けられない戦いが始まった。慶大エース加藤拓也（政４）と、今季絶好調の立大田村の対決は、両者とも一歩も譲らぬ展開へ。好投を見せる加藤拓を打線が援護したいところだったが、相手の好守を前になかなかチャンスを作ることができない。１点が命取りとなる試合展開の中、皮肉にも６回にバッテリーミスで失った１点が決勝点となり敗戦を喫した。

慶大：●加藤拓（３勝１敗）―須藤

明大：◯田村（３勝１敗）―髙田

◆慶大出場選手

初回、得点圏に進もうとするランナーを刺し、チャンスの芽を摘んだ

両者とも落とせないカードだけに、緊張感の漂う中始まったこの試合。

初回、１番・倉田直幸（法３）が初球を見事に捉えヒットとするも、後が続かず得点には繋がらない。攻守変わったその裏。なんと立大が見せた攻撃は全く同じ展開。両校とも一歩も譲らない意気込みを漂わせる。

２回表、６番・山本瑛大（商４）が四球で出塁すると、続く柳町達（商１）のレフト前ヒットで２アウト一、二塁のチャンス。しかし、８番・須藤隆成（環４）が放った大きな当たりは惜しくもセンターのグラブの中へ。得点を挙げることはできない。

慶大先発の加藤拓也（政４）は、２回、３回とピンチを招くも、持ち前の勝負強さで切り抜ける。結局両校とも互いの投手を打ち崩すことができず、無得点のまま試合は後半へと差し掛かった。

試合が動いたのは　６回。照屋塁（環３）がヒットで出塁したのち暴投の隙に次の塁を狙おうとしたが、相手捕手の好送球でアウトになってしまう。なおも続く攻撃で沓掛祥和（商４）、山口翔大（環４）が２アウトから一、二塁のチャンスを作るも、またしてもモノにすることはできなかった。その裏、加藤拓が四球で先頭打者を出すと、バントとヒットで２アウト一、三塁というピンチの場面を背負う。１点が明暗を分ける投手戦。何が何でも抑えたい場面だったが、ここで、まさかの暴投をしてしまい大きな１点を失う。

キャッチャーフライを捕球した須藤(写真中央)。２回の大飛球は惜しかったが、打撃も好調。

「点をやれないような展開」でピッチングをする中、起きてしまったミス。何としてでも取り返したかったが、相手投手の前に完全に封じ込められてしまった慶大打線。その後もチャンスらしいチャンスを作ることなく満足な反撃もできぬまま、０対１で試合終了となってしまった。

加藤拓の好投は言うまでもなく、打撃面においても、ヒットにはならずとも良い当たりがたくさん出ていたこの試合。しかしその中で、前半に得たチャンスであと１本が出なかったことが敗因となってしまった。「レベルの高い投手を相手に、少ないチャンスをどれだけモノにできるか」。これが今の慶大の課題である。また、チャンスが潰れたあと、その裏で相手にチャンスを与えてしまうという展開がいくつか見られた。これは、攻撃での悪い流れが裏の守備にも影響してしまっていたと言っていいだろう。黒星スタートとなったこのカード。明日の２回戦では、いかに今日の悪い流れを断ち切ることができるかが勝負のカギとなる。

記事　鈴木優子

◆打撃成績

◆投手成績

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

負けてしまったのは悔しいが、選手は締まったゲームをしてくれた。負けたのは監督が上手くやれなかっただけ。抜けたと思った当たりでも捕られてしまったのは、相手も最後まであきらめない姿勢で臨んでいたから。加藤があのようなピッチングをしても勝てないという野球の難しさを感じた。バッテリーミスで失点してしまったが、点をやれないような展開の中で起きてしまったプレー。あのようなことをどんどん経験しながら、同じ思いはしたくないと思ってまた成長してくれればいい。立大の田村投手は今季ずっと調子が良く、どの学校も打てていない投手。初回バントで得点圏にランナーを進めたが、そう何回もチャンスがもらえるわけではない。レベルの高い投手を相手に、少ないチャンスをどれだけものにできるかが重要。ただ、スキなく集中してやれているので、非常に良い状態ではある。結果だけ見れば負けだが、これがもっとちゃんとやれていなかったらひどいことになる。個人が好き勝手にやってしまったらチームが崩壊してしまうという心配をしていたが、すごく良くやってくれているので、チームとしては良い方向に行っていると思う。明日は、選手がどれくらい開き直りの覚悟を持ってくれるか。負けたら優勝争いから脱落するという思いを持って、集中してやってほしい。

加藤拓也（政４）

負けてしまって悔しい。調子は悪くなかったが、調子が良いか悪いかではなく、点を取られるか取られないかだと思う。バッテリーミスが決勝点になったが、こういうミスで取られた点は返ってこないことが多い。一番してはいけないミスだった。いつも気をつけて練習していたが、出てしまったのは仕方ない。６回、先頭打者に四球を出してしまったが、僕自身ストライクを投げて勝負しようと思ってやった結果なので、やっている最中はそれを気にせず、終わったことには影響されないように意識して投げていた。結果的に点数につながってしまったので、次から気をつけなければいけないところだと思う。立大の打線はみんな振ってくる、というのが特徴だと思う。まずは明日勝てるように僕も準備をして頑張りたい。

須藤隆成（環４）

自分のミスで失点してしまい、加藤に勝ちを付けてやれなくて悔しい。本当に拮抗した試合でどっちに転んでもおかしくない試合だった。ミスした方が負けるなと感じていた。加藤の出来はすごく良かった。真っ直ぐも球が伸びていて、ほぼ打たれないだろうなと感じた。打撃の状態は悪くないですけど、結果的にアウトなので関係ない。田村はストライク先行だったので、3点取れたらいいなと。向こうは守備でもいいプレーがあった。少しボール球に手を出してしまう場面があり、簡単にフライアウトにならないようにはできた。澤田もいいピッチャーなので、しっかり見極めと低めに手を出さないことを意識してやっていければいいと思う。