前日に手痛い敗戦を喫し、優勝に向けて後がない慶大。打順を大きく変えて挑んだ大一番は、初回に2点本塁打を浴びあっさり先制される。しかし2回、3回と打線がつながり序盤で逆転に成功。細かい継投でリードを守りたい慶大だったが、立大に2者連続本塁打を浴びるなど逆転を許す。その後代打攻勢を仕掛けるもチャンスを活かすことはできず、優勝の可能性はなくなった。
5月15日(日)東京六大学野球春季リーグ 立大2回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
立大 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 2 | 0 | 6 |
慶大 | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
慶大:原田、高橋佑、清水洋、●加藤拓、亀井―須藤、郡司
法大:黒萩、藤田、○澤田圭―高田
◆慶大出場選手
| ポジション | 選手名(学部学年・出身高校) |
1 | [4] | 小原和樹(環1・盛岡三) |
| 4 | 倉田直幸(法3・浜松西) |
2 | [9] | 山口翔大(環4・桐光学園) |
3 | [3] | 山本瑛大(商4・South Torrance) |
| 3」 | 清水翔太(総3・桐蔭学園) |
4 | [5] | 沓掛祥和(商4・慶應義塾) |
5 | [7] | 岩見雅紀(総3・比叡山) |
| 7 | 重田清一(環4・佐賀西) |
6 | [8] | 柳町達(商1・慶應義塾) |
7 | [2] | 須藤隆成(環3・創志学園) |
| R | 小原徳仁(文3・慶應義塾) |
| 2 | 郡司裕也(環1・仙台育英) |
8 | [1] | 原田匠(商2・慶應義塾) |
| H | 明渡稜(政3・桐蔭) |
| 1 | 高橋佑樹(環1・川越東) |
| 1 | 清水洋二郎(法3・函館ラ・サール) |
| 1 | 加藤拓也(政4・慶應義塾) |
| H | 天野康大(環3・智弁和歌山) |
| 1 | 亀井倫太郎(商3・慶應義塾) |
9 | [6] | 照屋塁(環3・沖縄尚学) |
| H | 木村健人(政4・慶應義塾) |
前日の試合で完封負けを喫し、優勝戦線に留まるには絶対に勝たなければいけない一戦。「考えられる全てを出した」というように打線を大幅に変えるなど、大一番に向けて死力を尽くす姿勢が試合前から見てとれた。
慶大は今シーズン初先発の原田匠(商2)。立ち上がりから試合を作りたいところだったが先頭の佐藤拓に二塁打を打たれる。その後1アウトを取るも、好調の佐藤竜の放った打球は打った瞬間に分かる大きな当たり。本塁打を浴びあっさりと2点を先制されてしまう。しかしその後は変化球が冴え、後続に出塁を許さない。
2回表、先頭の高田に四球を許すもアウトを重ね2アウト二塁。立大打線がちょうど一巡したところでベンチが動く。マウンドに向かうのは今シーズン2試合目の登板となる高橋佑樹(環1)。左の佐藤拓を三振でぴしゃりと抑え、この回を無失点で切り抜けた。
早い段階で得点を上げたい慶大はその裏、先頭の沓掛祥和(商4)が立大先発の黒萩からサードの頭を越す鋭いヒットを放つと、2者連続で四球を選び無死満塁の大チャンス。ここで打席には7番・須藤隆成(環3)。4-6-3のダブルプレーに打ち取られてしまったものの、この間に1点を返し、なおも2死三塁。高橋佑の代わりに明渡稜(政3)が打席に入ると、「ヒットを打つイメージが出来ていた」という言葉通りの初球狙い撃ち。レフトへの二塁打となり試合を振り出しに戻す。
3番手で登板するのは東大2回戦で初勝利を記録した清水洋二郎(法3)。2アウトからエラーと四球で2死一、二塁を作るも、後続を打ち取り立大に勝ち越しを許さない。制球に課題は残るものの、緩急を上手く活かし自分のリズムを作る投球を見せる。その後も毎回得点圏にランナーを背負うものの、要所を締める粘りの投球でホームを踏ませない。
清水洋の好投に応えたい打線は3回裏、2アウトから山本瑛大(商4)がライトにヒットを放つと、沓掛も四球を選び一、二塁のチャンスを作る。続く岩見雅紀(総3)が甘い球を逃さず振り抜くと、打球はぐんぐん伸びてセンターの頭上を越えていく。勝ち越しの二塁打となり、立大に2点差をつける。
その後慶大3番手の清水洋、立大2番手の藤田ともに好投し、4回、5回と両軍ともにスコアボードに0が並ぶ我慢の展開。6回からは慶大4番手に加藤拓也(政4)、立大3番手に澤田圭とエースを投入。7回には一気に3人もの守備固めを起用し総力戦でリードを守る様相をみせる。しかし連続三振で2アウトまで漕ぎつけたものの、ヒットと四球でピンチを迎える。ここで立大は代打に飯迫を送りだすと右中間への三塁打を浴び、まさかの同点を許す。
なんとしても再び勝ち越して勝利を手繰り寄せたい慶大だったが、続く8回には代打・松崎、1番・佐藤拓に2者連続本塁打を浴び立大が勝ち越し。伏兵の一発に球場は対照的な盛り上がりを見せる。
絶対に負けられない慶大はその裏、二アウトから四球と連続安打で2死満塁。1塁側のスタンドが再逆転を期待し一層大きな声援が送られる。ベンチは代打に天野康大(環3)を送り、打球はレフト前。誰もが得点になると信じたが立大ショートの熊谷のファインプレーが飛び出し、反撃ムードが潰える。続く9回にも立大から得点は上げられず、今シーズンの優勝が消滅した。
優勝に向けて総力戦で挑んだものの、立大に連敗し勝ち点を献上してしまった慶大。あと1本が出ない打線に、勝負どころで踏ん張り切れない投手陣と雪辱を晴らすために越えなければいけない壁は無数に存在する。優勝できなかったという厳しい現実がある以上、覚悟を決めて今後の試合に挑むことになるだろう。しかしまだリーグ戦は終わっていない。悔しさと打倒早稲田という使命を胸に、早慶戦を迎え春を締めくくる。
記事:村上 慶太
◆打撃成績
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| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
[4] | 小原和 | 一飛 |
| 二直 | 一直 |
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4 | 倉田 |
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| 一ゴロ |
| 投ゴロ |
[9] | 山口 | 二ゴロ |
| 空三振 |
| 空三振 |
| 見三振 |
| 右飛 |
[3] | 山本瑛 | 中飛 |
| 右安 |
| 左安 |
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3 | 清水翔 |
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| 一ゴロ |
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[5] | 沓掛 |
| 左安 | 四球 |
| 遊併殺 |
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| 空三振 |
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[7] | 岩見 |
| 四球 | 中二② |
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| 空三振 |
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7 | 重田 |
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| 四球 |
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[8] | 柳町 |
| 四球 | 中飛 |
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| 四球 |
| 左安 |
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[2] | 須藤 |
| 二併殺 |
| 見三振 |
| 一直 |
| 右安 |
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R | 小原徳 |
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2 | 郡司 |
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[1] | 原田 |
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H | 明渡 |
| 左安① |
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1 | 高橋佑 |
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1 | 清水洋 |
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| 二ゴロ |
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1 | 加藤拓 |
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| 左安 |
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H | 天野 |
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| 遊飛 |
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1 | 亀井 |
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[6] | 照屋 |
| 中飛 |
| 右安 |
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| 一犠打 |
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H | 木村健 |
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| 右邪飛 |
◆投手成績
| 投球回数 | 打者数 | 球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責 |
原田 | 1 2/3 | 9 | 34 | 3 | 2 | 1 | 2 | 2 |
高橋佑 | 1/3 | 1 | 6 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
清水洋 | 3 | 14 | 47 | 2 | 4 | 2 | 0 | 0 |
●加藤拓 | 3 | 15 | 63 | 4 | 4 | 2 | 4 | 4 |
亀井 | 1 | 3 | 9 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 |
◆監督・選手コメント
大久保秀昭監督
色々な手を打って、前半劣勢になり追いつき追い越した。加藤で何とか逃げ切りたいという思いで6回から登板させたが、相手に上手いことやられてしまった。負けたら終わりなので、打順は考えられる全てを出した。清水、亀井が好投したが今日好投したことは次に繋げて、常に安心感を与えられるレベルになってほしい。加藤に対してマウンドに向かった時は、まだ終わってないぞということを言った。早慶戦は慶應の使命として最後まで頑張っていきたい。
重田清一主将(環4)
勝てなかったのが本当に悔しい。最後まであきらめずに何とか後ろに繋ぐように声かけしていた。野手陣はいいピッチャーが出てきたときに打てなくなる。個々のレベルがまだまだ低い。投手陣は加藤以外のピッチャーがいないのが課題。優勝はなくなってしまったが、慶大野球部である以上早大に勝つことは使命。たくさんの人が応援に来てくださるので、いい試合をしてしっかりと勝ちたい。
明渡稜(政3)
同点に追いつくヒットを打って自分の仕事はできたが、チームが勝たないと意味がないので、その点に関してはもっと何かできることがあったのではないかと思う。もちろん、相手の方が技術面で高いというのはあるが、チャンスで一本を打ったり、粘り強さであったり、そういう部分で劣っていたのかなと思う。(2回のタイムリーツーベース、どのような気持ちで打席に入ったか)あの時は打てる気しかしなかった。ヒットを打つイメージが出来ていたので、イメージ通りになってよかった。リーグ戦に入る前は捕手でやっていたが、リーグ戦に入る直前に内野手に変更した。代打が主だからというのはあるが、試合の中で代打が終われば捕手が足りてないてない時に投手の球を受けるなど、そういう仕事はしている。早慶戦でも代打でヒットを打つのはもちろんだが、チームが勝てなかったのでチームが勝てるように自分の役割をもう少し考えていきたい。
岩見雅紀(総3)
勝ち越しタイムリーの打席は打てる球だけを振るということを意識して打席に立った。結果として打てたのは良かったが、勝ちにつながらなかったのが残念。相手投手はボール先行で打ちづらい場面だったが、逆に甘い球が来ると思っていた。ボール、ストライクがはっきりしていたのでその甘い球を絶対見逃さないように振り抜こうと準備はしていた。ランナーがいる場面で僕に回ってきているのは打順的にそういう回りからだと思う。むしろ自分としてはこのリーグ戦は期待に応えきれていないという部分があるので優勝はなくなったが、あと1カード残っているので少しでも責任を果たしたい。それで秋のリーグ戦につなげられたらいいなと思う。
亀井倫太朗(商3)
今シーズンは日々加藤さんに負担をかけてしまっていて、その負担が今日のゲームで現れてしまったと思う。今日はビハインドでの展開でマウンドに上がったが、まだ2点差だったので、リズム良く抑えればチャンスはあると思った。とにかくテンポ良く、一人一人を打ち取ることを意識した。ちょうど今、林コーチと加藤さんに手伝ってもらいながら、新しい投げ方に取り組んでいる。始めたばかりだが、一つの段階としてこの試合で良い結果を出すことが出来たので、それはポジティブに捉えたい。今までは、勝負どころで甘い所に投げてしまっていた。それは運ではなくて、自分の実力だと思う。いかに自分をコントロール出来るかが、今の課題で、これからもっとレベルアップさせていきたい。早慶戦に向けて、このままでは終われないので、バッターに気迫を前面に出して抑えたい。
清水洋二郎(法3)
負けられない試合だったので、ストライクが入らなくてもとにかく思い切りいこうという気持ちで投げた。全部の球種を腕振って投げられて良かった。スローボールはけっこうストライクが入るので、プルペンから投げていた。それが打たれてしまったけど、そこを上手く使えれば自分のリズムも上がってくる。今日は自分が行けるところまで投げるつもりでした。中3の頃に早慶戦に行って、早慶に入ってこの舞台でやりたいと思っていたので、早く思い切りプレーしたいと思う。
小原和樹(環1)
スターティングメンバーで出させていただいたのに、チームの力になれなかったことが悔しい。今日の朝集合した時に自分がスターティングメンバーだと知ったが、準備はしていたので、行くぞと思った。ミスしないことを心掛けたのと、自分は気持ちや元気が取り柄なので守備で引っ張っていこうと思っていた。明大戦とは全然違う気持ちだった。打順は1番ということで勢いづけなければいけなかったが、仕事が出来なかった。まだまだ練習が必要。パワーが足りないので、これからウエイト等で体作りをしていきたい。早慶戦もいつでも出られるように準備する。応援してくださる方がたくさんいるので、その人たちの声援にこたえたい。