【野球】神ってる!加藤拓也ノーヒットノーラン達成! 東大①

9月17(土)東京六大学野球秋季リーグ 東大1回戦

 

ノーヒットノーランを達成した加藤拓

ノーヒットノーランを達成した加藤拓

華々しい幕開けだ。慶大の開幕カードとして迎えた東大戦。エース加藤拓也(政4)が史上24人目(25回目)のノーヒットノーランを達成。大偉業をやってのけた。打線は初回に5連打4得点のビッグイニングを作ると、3回に岩見雅紀(総3)が特大アーチを描くなど序盤から得点を重ねた。6回には加藤拓が本塁打を放ち、自らの大記録に花を添えた。最高の形で白星発進となった慶大。記録に、そして記憶に残る開幕戦となった。

 

 

東大

慶大

×

 

東大:●有坂、三木、柴田―喜入

慶大:○加藤拓―郡司

 

◆慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[5]

沓掛祥和(商4・慶應義塾)

[9]

河合大樹(総2・関西学院)

[8]

柳町達(商1・慶應義塾)

[3]

山本瑛大(商4・South Torrance)

 

山口翔大(環4・桐光学園)

 

清水翔太(総3・桐蔭学園)

[7]

岩見雅紀(総3・比叡山)

 

重田清一(環4・佐賀西)

[2]

郡司裕也(環1・仙台育英)

[4]

倉田直幸(法3・浜松西)

[6]

照屋塁(環3・沖縄尚学)

[1]

加藤拓也(政4・慶應義塾)

 

 

カラッとした秋晴れの神宮球場。今日も多くの観客が球場に詰めかけた。

 

慶大の開幕投手は加藤拓。序盤は制球が定まらず、ピリッとしない。球速こそ最速150km/hを記録するも、初回2回と四球で出した走者を得点圏に進められるなど、不安定な立ち上がりを見せる。

 

特大の2点本塁打を放った岩見

特大の2点本塁打を放った岩見

打線は初回、いきなり東大先発の有坂を捉えた。1死から、リーグ戦初出場の河合大樹(総2)が一塁へのヘットスライディングで内野安打をもぎ取ると、柳町達(商1)、山本瑛大(商4)がヒットでつなぎ満塁。続く岩見雅紀(総3)が、鋭い打球をレフト線へ飛ばし2点先制。最初のチャンスをしっかりものにした。なおも二、三塁のチャンスで、リーグ戦初スタメンの郡司裕也(環1)。三塁線を破る2点適時打で初回から4点のリードを奪った。

勢いは止まらない。3回、先頭の柳町がヒットで出塁すると、その後1死二塁のチャンスを演出。ここで再び岩見。会心の一撃は左中間スタンド中段へと突き刺した。岩見の特大アーチで点差を6とし、試合を優位に運ぶ。

 

打っては2点本塁打を放った加藤拓

打っては2点本塁打を放った加藤拓

大量援護をもらった加藤拓は、落ち着きを取り戻した。3回以降は圧巻のピッチングを披露。力のあるストレートに、赤門打線のバットは空を切った。変化球も冴える。130km/h台後半のスプリットは、捕手の構えたところへ吸い込まれていく。中盤3・4・5回をパーフェクトに抑え、試合は後半へ。6回1死、3番山田に右中間フェンス際への大きな当たりを打たれるも、この大飛球をライト河合がフェンスにぶつかりながらのジャンピングキャッチ。エースの力投にバックも応えた。

 

打線は4回5回と、東大二番手のアンダースロー三木を打ちあぐね無得点。しかし6回、意外な形で試合が動く。照屋塁(環3)が相手の失策により出塁すると、続く加藤拓の渾身のフルスイングはレフトポール際へ。大きな弧を描いた打球はそのままスタンドイン。加藤拓の野手顔負けの一発で追加点を奪った。

 

フェンスに直撃しながら捕球した河合。加藤拓を助けた

フェンスに直撃しながら捕球した河合。加藤拓を助けた

終盤7回8回、球数が100球を超えても加藤拓に疲れの色は見えない。宮台、桐生といった東大の強打者が代打で登場するも、冷静に打ち取った。無安打ピッチングを続け迎えた最終回。ざわつくスタンド。先頭の山本克を三球三振に切って取り、あと2つ。しかし続く山田は四球。1死一塁、4番田口へ投じたこの試合129球目は遊撃手照屋の正面へのゴロ。落ち着いてさばき6-4-3の併殺打でゲームセット。加藤拓が史上24人目(25回目)のノーヒットノーランを達成した。

 

エースの存在感が一層際立った試合だった。それだけに鬼門の第二戦をいかに戦うかが、カギとなってくる。昨季、加藤拓以外が先発した試合はいずれも先発が6回持たずに降板。6試合で47失点と散々な結果だった。そんな中、今夏のオープン戦では下級生投手の活躍が光った。次期エース候補に名乗りを上げるのはいったい誰か。頼もしいエースの背中を見て成長してほしい。

 

ノーヒットノーランで歴史に名を刻んだ

ノーヒットノーランで歴史に名を刻んだ

【Keispo pick up】 「ブレない」エース 加藤拓也

最後の打者のアウトを見届けると、両手を天に突き上げた。投げてはノーヒッター、打ってはホームラン。まるで野球漫画の主人公だ。人生初のノーヒットノーランが四球5つとは、なんとも彼らしい達成の仕方だ。新調した黄色のグラブには、「ブレない」という文字の刺繍が入っている。「自分が投げる試合は全部勝ちたい」そう意気込んで臨んだラストイヤーは、最高の形で幕を開けた。次、その拳を天に突き上げるのは、ワセダを倒し天皇杯を奪還する時だ。

 

                                                           記事: 若林 晃平

 

◆打撃成績

 

 

[5]

沓掛

捕邪飛

空三振

 

左安

 

三ゴロ

 

 

[9]

河合

二安

中飛

 

二ゴロ

 

投ゴロ

 

 

[8]

柳町

左安

 

中安

 

右飛

 

逃三振

 

[3]

山本瑛

右安

 

捕邪飛

 

中安

 

 

 

山口

 

 

 

 

 

 

空三振

 

清水翔

 

 

 

 

 

 

 

 

[7]

岩見

左2②

 

左中本②

 

三ゴロ

 

右飛

 

重田

 

 

 

 

 

 

 

 

[2]

郡司

左安②

 

逃三振

 

遊ゴロ

 

 

遊ゴロ

[4]

倉田

一ゴロ

 

右飛

 

 

逃三振

 

遊ゴロ

[6]

照屋

右飛

 

 

空三振

 

遊失

 

空三振

[1]

加藤拓

 

捕邪飛

 

二飛

 

左本②

 

 

 

 

◆投手成績

 

投球回数

打者数

球数

被安打

三振

四死球

失点

自責

○加藤拓

31

139

10

 

 

◆選手コメント

 

重田清一主将(環4)

今日はとりあえずしっかり勝てて良かった。そして選手陣も、この熱気を緩めず隙を見せず終わった後も浮かれすぎるのではなく明日に向けて、という良い雰囲気だった。ベンチに入っていなくて一軍の練習を手伝いに来てくれる四年生とか練習中に一生懸命声を出してくれる四年生とか、そういう人たちがいるので、勝ててほっとしている。守備面に関しては、出たら自分の役割をしっかりこなすということを考えていたので、集中していた。いつでも飛んでこいと思っていた。(ノーヒットノーランについて)加藤には、投げる試合は全部勝ってもらわないと困るので、内容はどうでもいいので一個一個しっかり勝ってほしい。本当に頼りになる。明日からも、一個一個大切に丁寧に勝っていきたい。

 

加藤拓也(政4)

うちが後攻だったので、0点に抑えてチームに流れを持ってくることを一番に考えて試合に入った。初戦ということで、気分が上がって序盤は制球を乱してしまったが、だんだん試合に慣れてきて、徐々にコントロールも良くなった。郡司とはオープン戦からバッテリーを組んでいて、あっちも遠慮するタイプではないので、積極的に話しながらリーグ戦に臨むことが出来て、全然不安はなかった。ノーヒットだということは最初からずっと知っていたので、特別に意識してはいなかった。ただ、周りが騒ぎ始めたのは7回くらいだったと思う。(河合選手のファインプレーに助けられる場面もあり)、あの打球は抜けたと思ったので、大きいプレーをしてもらってありがたかった。正直、ああいったプレーが出た後はやられそうだな、という予感もあった。最後ノーヒットノーランを達成した瞬間は、中々出来ることではないので、素直に嬉しいなと思った。あとは、勝ててよかったなと。今振り返ると、先頭に四球を出してしまった7回辺りが一番きつかった。今までノーヒットノーランを達成したことはないので、初めての経験だった。バッティングではホームランもあったが、あまり良い感触ではなかったので、捕られると思っていた。詰まった分、切れなかったのも功を奏したと思う。入って良かった。この開幕戦でチームに良い形で勢いがついたと思う。明日は違うピッチャーが頑張ってくれると思うので、しっかりサポートしたい。

 

山本瑛大(商4)

一戦一戦大事に戦っていこうということで、オープン戦と同じアプローチの仕方をしようかなと試合前に思っていた。最初の打席は無理せずチームバッティングのようなものができてよかったなと思う。2打席目はちょっと手を出してはいけないボールに手を出した感じがあって、そこらへんは課題だ。チャンスの場面では、監督がオープン戦でずっと4番で起用してくださっていたのでもう慣れたかなというような感じで普段通りプレーできた。つなぎの4番であったり、回の先頭だったらチャンスを作る4番であったり、臨機応変にやっていこうと思っていて、今日はある程度仕事ができたかなと思う。2連勝して明治戦をむかえたい。

 

岩見雅紀(総3)

自分も活躍できたし、リーグ戦初戦を勝ててよかった。3回の2ランは打った球はストレートで、手応えもあった。加藤選手がノーヒットノーランを達成したが、自分は守備交代でベンチに下がるまで気づかなかった。あくまでチームの勝利が優先だが、今シーズンはホームラン王も狙えると思う。今シーズンもチームの勝利に貢献していきたい。

 

河合大樹(総2)

オープン戦からスタメンで使っていただいてチャンスをもらって、リーグ戦でも自分は2番で出ると思っていたので、あまり緊張などはなく、自分のできることをやろうと思って試合に入った。好調が続いているというよりも、自分がやるべきことを意識して、ランナーがいるときはバントであったり、ランナーがいなければ出塁することであったりと、自分のするべきことができている。リーグ戦初ヒットを打ったボールは、チェンジアップだったと思う。基本的に自分は内野安打が多いので、自分らしいヒットが打てたと思う。(6回のファインプレーについて)飛んできたボールをしっかり食らいついて捕ろうとして、ミスを恐れないプレーができたと思う。初戦を良い形で入れたと思うので、大勝はしましたが、また明日気を引き締めて勝ち点を取れるように、次に繋がる勝ち方ができればいい。いつも通り自分のできることを意識してやりたいし、このリーグ戦を通して一試合一試合自分のやることを考えてできればいいと思う。

 

郡司裕也(環1)

加藤さんがノーヒットノーランを達成したのですが、リーグ戦で初めて加藤さんと組ませていただき、僕自身初スタメンということでプレッシャーもありました。しかし加藤さんが上手く僕を引っ張ってくれたという部分もあって、僕がリードしたというよりも加藤さんの力で抑えてくれたので、感謝したいです。1打席目でリーグ戦初安打が出て、初打点も記録して、正直ホッとしているのが一番です。ストライクが来たら思いきり振ろうというのを考えていたので、とりあえず1本出て良かったです。ノーヒットノーランは正直全く意識していなくて、目の前のバッターだけを抑えることだけをずっと考えていました。気がついたら8回くらいになっていて、0が並んでいるなという感じで、ベンチ裏で加藤さんとも話をしました。加藤さんは中盤くらいから意識していたみたいですが、僕自身はそのような意識はなくて、目の前の打者に集中できたことがいいリードにも繋がったのかなと思います。加藤さんも秋初登板ですし、細かいことはあまり言わずに、大きく僕が構えていました。あとはたまに任せるではないですが、加藤さんが自由に投げてもらえるような配球をしました。今日は加藤さんの力でねじ伏せたのですが、慶應は春2戦目以降が課題と言われてきた中で、明日は僕のリードにかかっている部分もあると思います。リーグ戦初登板のピッチャーが下級生でも出てくると思うので、そこを上手く僕がリードして、いつも通りのピッチングを引き出したいです。今日は上手くいった試合だったのですが、これに慢心せずに気を引き締めて明日以降戦っていきます。

 

柳町達(商1)

怪我の具合が戻って開幕スタメンで出場できてよかった。調子自体はぼちぼちだった。最初の打席でヒットが出たのでそれで調子を戻した感じ。1本目は追い込まれていたので変化球にも対応しようとした結果左方向に飛んだ。2本目は速い球にしっかり対応できた。盗塁はランナーをスコアリングポジションに置いて攻撃ができる。成功したのでよかった。後ろに長打が打てる先輩がいるので僕がいる3番はつなぐ役割だと思う。7回の守備機会は思ったよりも伸びなくて守備範囲内だったので捕れてよかった。ノーヒットノーランは見たことはなかった。加藤さんはすごい。まだ勝ち点は取ってないので明日も頑張る。

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