春季は2連敗で勝ち点を落とした立大を相手に、見事な勝利を収めた。慶大は1回に岩見雅紀(総3)のタイムリーで先制すると、4回には柳町達(商1)のソロホームランで加点。1点を返された後の5回にも打線がつながり4点を加えた。先発の加藤拓也(政4)も4点を奪われたものの、直球と変化球を効果的に使い分け、15奪三振で完投。現役最多の通算24勝目を挙げた。
10月15日(土)東京六大学野球秋季リーグ 立大1回戦
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
立大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 4 |
慶大 | 1 | 0 | 0 | 1 | 4 | 0 | 0 | 0 | × | 6 |
慶大:○加藤拓 ―郡司
法大:●田村、黒萩、田中誠、手塚―上野敦、高田
◆慶大出場選手
| ポジション | 選手名(学部学年・出身高校) |
1 | [5] | 沓掛祥和(商4・慶應義塾) |
2 | [4] | 倉田直幸(法3・浜松西) |
3 | [7] | 岩見雅紀(総3・比叡山) |
| 7 | 重田清一(環4・佐賀西) |
4 | [3] | 山本瑛大(商4・South Torrance) |
| R | 大川慎太郎(商2・慶應志木) |
| 3 | 清水翔太(総3・桐蔭学園) |
5 | [9] | 山口翔大(環4・桐光学園) |
6 | [2] | 郡司裕也(環1・仙台育英) |
7 | [8] | 柳町達(商1・慶應義塾) |
8 | [1] | 加藤拓也(政4・慶應義塾) |
9 | [6] | 照屋塁(環3・沖縄尚学) |
爽やかな秋晴れの神宮球場には、今日も多くの六大学野球ファンが詰めかけた。
立大の先攻で始まった今日の試合の先発マウンドに上がったのは、エース加藤拓。序盤は、立大打線を相手に快調な投球を見せる。1回、2回と、直球に加えてタイミングを外す変化球も効果的に織り交ぜ、簡単に三者凡退に切って取る。3回、4回とヒットでランナーを背負うものの、点は与えない。
対する慶大の攻撃。相手の先発ピッチャーは、プロ志望届も提出し、春は慶大を苦しめた田村。雪辱を誓う慶大打線は初回から田村を捉える。1番の沓掛祥和(商4)がセンターオーバーのツーベースで出塁すると、2番倉田直幸(法3)が送りバントでいきなり1死三塁のチャンスを作る。続く3番岩見がセンター前へタイムリーヒットを放ち、春は点を奪えなかった田村から1点を先制する。4番の山本瑛大(商4)もツーベースを放ち、チャンスが続くが後続が倒れ追加点は奪えない。2回、3回もチャンスは作るものの、あと1本が出ない。追加点を奪ったのは4回。調子を上げてきた柳町のバットからだった。「一打席目からタイミングが合っていた」と語るように、田村の2球目をしっかりと捉えると打球はセンター方向へとグングン伸び、バックスクリーンに飛び込むソロホームランとなった。
両チームにとって、キーポイントになったのは5回。表の立大の攻撃、先頭の笠松の当たりはピッチャー頭上に上がり打ち取ったかに思われたが、加藤拓がボールを見失い不運な内野安打で出塁を許す。続く田村のバント失敗で1アウトを取るも、加藤拓の制球がばらつき始め、8、9番に連続で四球を与えてしまう。1死満塁で迎えるバッターは前週に通算100安打を達成し、波に乗っている1番の佐藤拓。注目の対決だったが、加藤拓の制球は定まらず、四球を与え押し出しで1点を返される。しかし、ここでギアを入れた加藤拓は、2番熊谷を高めのストレートで、3番飯迫を内角低めの変化球で連続の空振り三振を奪い、なんとか最少失点で切り抜ける。
このピッチングに応えるように、打線が裏の攻撃で猛攻を見せる。先頭の山本瑛、5番山口翔大(環4)の連打などでチャンスを演出すると、7番の柳町がこの日3本目のヒットを放ち、2点を追加。ここで、相手先発田村をノックアウト。さらに、秋季ここまでノーヒットと苦しんできた9番照屋塁(環3)の待望のヒットで、セカンドランナー柳町が好走塁で生還。続く1番沓掛もこの日4本目のヒットとなるタイムリーツーベースを放ち、この回一挙4点を加点した。
6、7回と両チーム、ランナーは出すも無得点。8回表、加藤拓は二度目の山場を迎える。1死後、飯迫にツーベースを打たれると続く4番佐藤竜にもライト線へツーベースを打たれ1点を失う。その後、2死まで取るが一、三塁のピンチ。ここで代打の松尾に、左中間を破られるタイムリーツーベースを打たれ、2点差まで詰め寄られる。しかし、今日の加藤拓は、あと一本を許さなかった。続く代打の秋山をライトフライに打ち取り、さらなる反撃はさせない。
9回のマウンドにも加藤拓が向かう。簡単にツーアウトを取ると、最後のバッターは今日15個目となる三振で抑え、危なげなく三者凡退。161球の熱投で現役最多の24勝目を挙げた。
前週の法大戦から、打撃陣の調子が上向いているのは明らかだ。今日も、春は3安打に抑えられた投手を打ち崩し、16安打という十分な内容。ただ、「ヒット数の割に点数が稼げなかった」(沓掛)という声も聞かれ、選手たちはまだまだ満足はしていない。
今日、明大が勝利したため、明日の結果次第では明大の優勝が決まる可能性もある。しかし、優勝の可能性はまだ残されている。「目の前の試合に勝つしかない」(加藤拓)。「目の前の試合を一戦一戦やって勝つことだけが僕らの仕事」(岩見)。選手たちは、最後まで決して諦めず、前を向き続けている。
【Keispo pick up】頼れる副将 沓掛祥和
法大1回戦、守備の際にランナーと交錯し負傷交代。その後の試合の出場が危ぶまれたが、ここまで全試合で慶大のスタメンには「1番 サード 沓掛祥和」の文字が存在する。負傷した足の影響がないとは言い切れないだろう。しかし、ラストシーズンに懸ける思いは、負傷をしてでも試合に出場し続けるその姿からしっかりと感じとることができる。今日も5打数4安打と慶大打線を勢いづけるバッティングを見せ、打率は3割に到達した。頼れる副将がプレーでチームを引っ張り、勝利へ導く。
記事:重川 航太朗
◆打撃成績
|
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
[5] | 沓掛 | 中2 | 遊安 |
| 左安 | 左中2① |
| 中飛 |
|
|
[4] | 倉田 | 投犠打 | 捕邪飛 |
| 右安 | 遊ゴロ |
|
| 遊飛 |
|
[7] | 岩見 | 中安① |
| 空三振 | 中飛 |
| 二ゴロ |
|
|
|
| 重田 |
|
|
|
|
|
|
| 空三振 |
|
[3] | 山本瑛 | 右2 |
| 空三振 |
| 左安 | 遊ゴロ |
| 右2 |
|
| 大川 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
| 清水翔 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
[9] | 山口 | 空三振 |
| 右安 |
| 右安 | 空三振 |
| 空三振 |
|
[2] | 郡司 | 三ゴロ |
| 三ゴロ |
| 三犠打 |
| 中安 |
|
|
[8] | 柳町 |
| 中安 |
| 中本① | 右安② |
| 投犠打 |
|
|
[1] | 加藤拓 |
| 投犠打 |
| 空三振 | 投犠打 |
| 空三振 |
|
|
[6] | 照屋 |
| 投ゴロ |
| 遊ゴロ | 左安① |
| 四球 |
|
|
◆投手成績
| 投球回数 | 打者数 | 球数 | 安打 | 三振 | 四死球 | 失点 | 自責 |
○加藤拓 | 9 | 38 | 161 | 6 | 15 | 5 | 4 | 4 |
◆監督・選手コメント
大久保秀昭監督
前半から打線の方が活発に頑張って、加藤もいいピッチングをして流れを持ってきたこともあるが、しっかりと相手のエースピッチャーを打ち崩したのが、一番の勝因。5回表にマウンドへ行ったときは攻め方について言った。8回表のときは、頑張れよということしか伝えていない。加藤を変える可能性はゼロではなかった。ただその選択肢を加藤と比較して誰にするかというのは、こっちの判断だし、最も勝つ確率が高いことを選択した。(16安打の打撃陣について)打たないよりは打った方がいい。(対して11残塁だったことについて)あれもこれもやっていたら20-0になってしまう。相手に流れを渡さないということができて、みんなが必死に役割を果たしてくれればいいけど、相手も必死だろうからそんなに甘くないことも分かっている。明日は逆のパターンになる可能性もあるので、そこまで求めてはいない。今日の試合で感じた課題は、特に無かった。いいプレーをして、それが結果に繋がってくれればそれでいい。見ている人や応援してくれる人は、結果が全てかもしれないけれど、やっている側とすれば普段の練習を大切にして、試合で勝つために最善を尽くすということをやっている。明日の先発は、これから考える。明治がどうとかではなくて、自分たちは目の前の試合に全力を尽くす。この前は、2戦目にいいゲームができたのでまたそこに期待してピッチャーが頑張ってくれると思う。
沓掛祥和副将(商4)
みんな打って良い感じで勝ててよかった。でも、ヒット数の割に点数が稼げなかったので、そこが今後の課題。8回で3点取られて、簡単には勝たせてくれないな、と思った。法政戦で怪我した膝が良くなってきたのでバッティングも調子戻ってきた。オープン戦では先頭ヒットも多くあったので、(今日先頭で打てたのも)本来のバッティングができたというのが感想。全員がバット振れていて、打線を繋ぐ意識があるのでみんながヒット打ててる。明日も勝って2連勝したい。
加藤拓也(政4)
試合に勝てたことが1番よかった。法大戦の3戦目と同じで先頭を出さないように気をつけ、1個1個アウト取ることを意識して投げた。三振は狙っていたわけではない。打線の援護があったが、安心したりせずに、0点に抑えるという役割を変えないように投げていた。
打線の援護には感謝している。目の前の試合に勝つしかないので最高の準備をして明日に臨みたいと思う。
山口翔大(環4)
皆の調子が良かったので春のリベンジで今日は皆打ててよかった。加藤の押し出しがあったが、加藤自身もわかっていると思うし自分で何とかやってくれるので、全体として悪いところはあまりなかった。良かったのは序盤からたくさんヒットを重ねられたところ。攻撃面では、チャンスでは打てなかったがその後自分が打ってチャンスを作れたので試合に貢献することができたと思う。チームのムードが今日はかなり良く、雰囲気も良かった。明日も点の取り合いになると思うが、何とか打ち切って二連勝したい。
山本瑛大(商4)
第1打席での2ベースは、とりあえず食らいついていこうかなと思って振り抜いた結果。第3打席のヒットは点を取られたので、とりあえず先頭が出ないとという意識を持って打席に立った。第5打席はここまでで積極的に振っていなかったので、とりあえず振っていこうかなと思ってストライクゾーンに入って来た球に手を出していこうと思って振ったら2ベースという結果になった。もう優勝は他人に頼るしかないので僕たちは勝ち続けることしかできないので開き直って振っていこうというチームの状態がある。チーム全体でよく振れていると思う。今季初の猛打賞だったが調子はまあまあだった。練習が結果に繋がっていると考えていいと思う。今チームの雰囲気はすごくいい。ずっとみんなでやろうとしてきたことが出来るようになってきて良いと思う。明日も頑張る。
岩見雅紀(総3)
今日の試合は勝てて良かった。1回裏のタイムリーヒットは、少しつまっていたのでクリーンヒットではなかったが、抜けてくれて良かった。結果として出ているし、チームの状態は良いと思う。これを続けていきたい。負けられない戦いが続いているので、このカードを2連勝したい。優勝はどうなるかわからないが、目の前の試合を一戦一戦やって勝つことだけが僕らの仕事だと思う。しっかりやっていきたい。
倉田直幸(法3)
チーム状態はいいと思う。一人ひとりの良い部分が出ている。自分の調子も悪くはない。ボールもしっかり見えている。明日も勝てるように頑張る。
照屋塁(環3)
今日は勝たないといけない試合だったので、勝ててよかった。ここまで周りのみんなに迷惑をかけてばかりだったので、今日1本打てて本当に嬉しい。(バッティングに関して)先週からいい当たりが続いていて、それでも結果が出てなくて監督からバットなどの話もあった。守備は自分の持ち味なので、常にしっかりやっていかなければならない。今日1本打てたので、その次が大事だと思うので明日また勝ちに貢献できるように頑張っていきたい。
郡司裕也(環1)
加藤さんの調子があまり良くなくて、それなりに点数もとられてしまったが、その分野手全員が加藤さんを助けられた試合だった。個人としては序盤みんなが打っているなか、自分は凡退してしまったが、周りが助けてくれたので良かった。凡退しているぶん、バントはしっかり決めなくてはいけなかったが、うまく決めることができた。あと最後に一本打てたのも良かった。(5回のピンチでは)加藤さんには特に気にする必要はないと伝えた。前のカードで2試合完投した疲れもあると思うが、そんな状況でも力でねじ伏せられるのが加藤さんなので、本当に頼もしい存在。(配球について)立大は真っ直ぐに強いチームだと個人的に思うし、真っ直ぐ一本だけを狙ってきている打者もいるのを感じたので状況によって変化球と使い分けることにした。今日はスライダーも良かったし、フォークで結構三振がとれた。変化球でカウントや三振がとれるのは加藤さんにとってやっぱり良いことなので。(明日に向けて)チームはとてもいい状態だし、怖いものも失うものも何もないので、相手に必死にぶつかって行くだけだと思う。
柳町達(商1)
相手先発の田村投手をみんなで攻略することが出来て、最後加藤さんも踏ん張ったので勝つことが出来たと思う。バッティングは一打席目からタイミングが合っていたので、今日は良い感じでバットが振れた。ホームランの感触は良かった。少し詰まったが良く伸びてくれたと思う。バックスクリーンへのホームランは初めてだったので、正直嬉しかった。(好調が続いているが)今週は数多く振ることを意識して、練習をやってきた。今日もみんな打てていているので、チームの雰囲気はいい感じだと思う。まだ一勝しかしていないので、明日勝って勝ち点を取りたい。