去る3月12日に行われた第11回明治神宮外苑大学クリテリウム。今年は、大会として初めてパラサイクリング・ロードレースの国際試合が開催された。2020年には東京パラリンピックも迫ってきており、近年注目度も高まりつつあるパラスポーツ。その魅力に、普段は体育会各部を追う我々記者が触れてみた。
第11回明治神宮外苑大学クリテリウムで行われたパラサイクリング・タンデムロードレースの国際試合には、海外選手3チームと日本人選手3チームが参加した。
パラサイクリング・タンデムは、タンデムと呼ばれる2人乗り用自転車で行われる。前にはパイロットと呼ばれる障害を持たない選手、後ろには視覚障害を持つ選手が乗り、2人が息を合わせて自転車を操り、レースを展開していく。2人がいかに呼吸を合わせられるかということも、勝敗に大きく関わってくるスポーツである。
記者の私が実際にパラサイクリングを観戦してみて、まず感じたのは2人乗り自転車によるレースの迫力である。1人乗り自転車よりも一回り大きな自転車にまたがった2人の選手が颯爽とコースを走り抜けていく光景は、通常のサイクリングレースとは異なる重量感があった。もう一つ大きく感じたのは、2人が息を合わせて自転車をこぐ一体感である。2人の間に視覚障害の有無という違いがあることも感じさせず、カーブを曲がっていくときの姿などは2人の磨き上げられたペアワークを感じることができた。
「視覚障害でもタンデムという自転車によって自転車に乗ることが出来ること。苦しいこともあるが、ゴールした時の達成感があることで、それが自分の原動力となっている。自転車は、自分を前向きにさせてくれる存在。」と今回の試合で2位に輝いた大城竜之選手はパラサイクリングの魅力を語る。自転車に乗り、全身に風を感じ、全力でレースに臨む。その楽しさを、障害の有無に関わらず感じることができるのがパラサイクリングなのである。
パラスポーツは、近年CMや広告なども増えてきており、注目度は徐々に高まってきている。しかし、他のメジャーなスポーツに比べれば、まだ十分に認知はされていない。大城選手もパラサイクリングのさらなる周知のためには「都心で行われるレースが増えてくると良い」と語ったように、パラスポーツにはまだまだ課題があるのも事実である。2020年に控える東京パラリンピック。それまでにパラスポーツの魅力を広めていくことは不可欠なことだろう。
パラサイクリングだけでなく、パラスポーツは他のスポーツと同じく勝利を一途に追い求める選手たちが行う熱い戦いである。スポーツが好きな人もそうでない人も、ぜひ一度観戦に足を運び、その魅力に触れてみてはどうだろうか。
(記事:重川航太朗/写真:内田貴啓)