全6回にわたってお送りしてきた早慶戦企画もいよいよ最終回となる。第6弾は慶應の主将・出原佳代子(#99・経4・慶應女子)選手と早稲田の主将・細見千明(#1・文構4・昭和学院秀英)選手の早慶主将対談。早慶ラクロス部を率いるライバルであるとともに、U-22日本代表ではチームメイトとしてプレーするお二人に早慶それぞれの印象、そして早慶戦での両校のキープレーヤー、キーポイントについてお話を伺った。
(この取材は5月8日(月)に行われたものです。)
「早慶戦では自信を持っていつも通りのプレーをすれば大丈夫」(出原)
――他己紹介をお願いします
出原→細見:本当に大人で、クールで、何があっても本当に冷静な判断をしている。プレーに関しては鉄壁なDFで超頼れる選手です。
細見→出原:始めは見た目から怖かった(笑)一緒にプレーすることがあって、性格も良くて超フレンドリーなんだなと。私は人見知りなんですけど、それにもかかわらず話しかけてくれるような人です。プレーは超得点力のあるキーマンプレイヤーです。
――今年の両チームのスローガンや重点的に強化しているところを教えてください
細見:今年の早稲田のスローガンは「RIDE ON」です。これには日本一を取るには一人一人の技術が必要っていう意味と早稲田という大船に乗って日本一になろうっていう意味があります。重点的に強化している点としては一人一人の技術を上げて日本一になろうと言っている中で、個人の強みを生かせるようなチームが作れるように日々やっています。
出原:慶應は「Grit’n’Grind」というスローガンを掲げていて、言ったことは最後までやり通す。それをそれぞれがぶつけ合って切磋琢磨して日本一を目指そうというスローガンです。チームとして去年の反省を生かして、行動で示して体現しようって話していて、有言実行してできるような環境作りを目指しています。あと、全員が意見を言いやすい環境を作って、練習の質を上げたり、試合に向けていい方向に進めようとしています。
――お互いのチームのスローガンや強化点を聞いてどう思いました?
出原:早稲田っぽいと思いました。
細見:正直、意外でした。もっと強い人がどんどん行くイメージがあるんで、こういうチーム作りしてるんだって思いました。
――六大学戦を振り返っていただいて
出原:代表活動があった関係で、なかなかメンバーが揃う試合が少なかったんですけど、各々がやれることを出し切ろうと思って試合に臨んでいました。でも、まだまだ反省点がたくさんあって、早慶戦に向けて練習している中でその反省を生かしてやっています。印象に残っているのは法大戦(◯11-3)でフィールドに立っているメンバーがやっていて一番楽しかった試合で、ボールも動いていたし、まだまだ完成形ではないものの、やりたいラクロスをある程度できたかなと思っていて。やってる方も見ている方も良かったっていう印象がありました。
細見:早稲田としては優勝を目指してやっていたんですけど、結局立大戦(●6-7)と慶應戦(△5-5)は勝ち切れず反省の多い大会でした。その点として、慶應とか立大に比べて初歩的なミスが目立った印象でした。慶應に比べて早稲田のやりたいことがまだ体現し切れないなと思った六大学戦でした。
――今のチームの完成度はどうですか?
出原:早慶戦に向けてチームの完成度はまだまだ上げられますし、2週間でやるべきことと言ってもそれぞれの技術が高くなることはないと思うので、自信を持って早慶戦でいつも通りのプレーをすれば大丈夫だと思いますし、そういうメンタル作りだったり最後の調整で自分たちが何をすればいいのかを明確にしてやっていきたいです。
細見:早稲田としてもメンバーが揃わなかった時期もあったんですけど、残り2週間なのでそこは詰めていきたいです。初歩的なミスが目立っていルところもありますが、完成度はもう少しで、やるべきことは変わらないので、早慶戦に向けて戦術とかをラスト2週間で詰め切りたいです。
――自分のチームの強みや魅力はどこにあると思いますか?
細見:個の強さかなと思っています。あとはボールに対する執着心とか泥臭い一面は強みだと思っています。魅力としてはがむしゃらなラクロスって印象が他大よりあると思います。とにかく点を取る意識は一人一人が持っているので、その強さや熱いところを見てもらいたいです。
出原:一人一人の強さもあるんですけど、「超攻撃型ラクロス」を掲げていて、守りじゃなくて攻めるチームでいたくて、DFの時も攻め続けたいし、常にゴールを向いていて、フィールド上にいる12人がゴールへの意識を持っているところが強みだと思います。魅力としては見ている人が楽しいラクロスを掲げていて、そのラクロスは得点が入ることですし、それだけではなくてパフォーマンスがかっこいいラクロスをしたくて、ラクロスこんなプレーがあるんだとか。魅せるラクロスをしていきたいと思っています。
――お互いのチームの印象はどうですか?
細見:早稲田から見たら慶應は攻撃型ではあるんですけど、綺麗なラクロスをしている。早稲田はがむしゃらにゴールに向かうんですけど、慶應は流れを持って美しいラクロスをするって印象があります。
出原:早稲田は個が強くて、貪欲さもプレーに現れているチームだと思います。あとはDFが本当に強いチームで守備に関してはトップレベルのチームだと思っています。
「下級生がやりやすい環境を作るとともに、自分の活躍も勝利には必ず必要だと思っています」(細見)
――主将に就任してそして4年になって変化したところはありますか?
出原:ラストイヤーなので、やりきりたいなと思っていて。後悔したくないので何においても全力でやりきりたい。あとは挑戦し続けたいと思っているので、今自分ができなかったり苦手なプレーもそれを練習してできるようになりたいっていう気持ちは持ち続けてます。あとは誰よりもラクロスを楽しみたいので、どんな局面でもラクロスを楽しみたいっていう気持ちでやっています。
細見:去年はチーム全体のことを考えるっていうよりは自分がDFとしてどうチームに貢献するかを考えていたんですけど、4年で主将になってからはどうチームを引っ張るかを考えるようになりました。その中で上級生っていう立場もあって、自分たちが2年の時から試合に出る機会が多くて、その時はやりやすい環境で「自由に挑戦しな」って上級生に言われながらラクロスをやっていたので、自分たちも下級生が思いっきりできるようなチーム作りを意識したいます。それとともにラストイヤーなので、自分が活躍することもチームが勝つために必ず必要なことだと思っています。
――主将をやっていて辛かったことはありますか?
出原:六大学戦や練習試合で結果が出ないときは幹部を中心にその試合に向けての練習メニューを考えているので、そのときは後悔があります。
細見:そうだよね。責任感はすごいなと思っていて、試合の1個1個の結果は幹部の責任で、責任は大変だと思う反面、自分が変えようと思えばチームを変えられる、チームをどうにかできるのが主将のいい部分だとも思っているので、そこは楽しいですし、主将としてやっていてよかった部分だとも思います。
――自分のチームの下級生にはどういった印象を持っていますか
細見:私たちの代は個性が強い中で、3年はみんなで頑張ろうって意識が強くて思いやりのある学年で、すごいチームのことを考えてくれていて。チームの雰囲気作りとか加担していて、プレー面でもすごく成長していて、4年として私も刺激を受けて頑張らなきゃと思える後輩が多いので、頼もしいなと思います。
出原:私たちの2、3年もラクロスに対して一生懸命で毎日楽しそうに練習をしていて、その中でも練習やチームの雰囲気を盛り上げてくれていて。プレー面でも3年は試合に出てくるメンバーも増えてきて、私自身もやらなきゃなと思って、自分自身の成長にもなりますし、逆に色々教えてもらって、学年関係なく高め合えるような下級生が多くてありがたいです。
――いつからチームの主将という役職を意識しましたか?
出原:主将になるということは全然考えていなくて、3年になるときに副将になった時も主将になりたいという気持ちはなかったです。ただ3年になったときに自分が主将になってこのチームを変えたいって思って主将になりました。
細見:私は入部したときはそういう役職になると思っていなくて。3年で副将になって、来年もしかしたらチームを引っ張るかもしれないなと思い始めて、4年が引退して自分が主将になるって聞いて、やるしかないと思って、そこからより一層気合を入れてチーム全体を見るようになりました。
――出原選手がATで細見選手がDFということで試合では対峙することになりますが
細見:超攻撃型ATなので走り始めたら止められなくて、そこはしっかり気持ちで止めたいです。本当にキーマンなのでそこは厚く早稲田としては点を取らせないようにしたいです。
出原:対峙されたらいけるのかなって思うくらい、レベルの高いDFなんですけど、嫌なときはあるんですけど、そうは言ってられないのでATとして点を取るために頑張って抜きます。
――U-22の代表ではチームメイトとしてやっていますが、チームメイトとしての印象はどうですか?
出原:そこ止めてくれるんだっていうシーンがすごく多い。DFとして頼れる存在です。
細見:同じチームでやっていて困ったときに必ず点をとってくれるイメージ。ボールを託したら点をとってくれる頼れるATだと同じチームの時は密かに思っています(笑)
――お互いに質問したいことはありますか?
出原:「主将として一番意識していることは?」
細見:とにかく雰囲気作り。早稲田はラクロスに対して真面目すぎるところがあって、プレーで失敗すると悪い雰囲気が流れてしまうところがあるので、それをどう切り替えていくか。キャラじゃないって言われるんですけど(笑)盛り上げていってます。
出原:慶應は練習の雰囲気がだらけたり、ゆるくなりがちなんですけど、ミスに対してもゆるくなることがあるので、ボールひとつに対しても練習中から諦めずに追いかける雰囲気を作ろうって4年でも話し合っているので、そこは練習中に意識してます。
細見:「主将ってどうやって決めてる?」
出原:私たちは学年で話し合い。立候補して他薦もありだし、最後は話し合ってその人のメリットデメリットを出したりどういうチームにしたいかを話して最終的に決める。
細見:すごい決め方だね〜。早稲田はどうやって決めているのかわからない(笑)なんとなく去年の幹部は集められて、そこでコーチとかと話すんですけどそのときは分からず、後からコーチからこういう布陣で行こうって連絡が来て、それから最終決定して、チームに落としていきます。
「勝って陸の王者は慶應だって証明したい」(出原)
「勝つところから伝統を積み重ねて行きたい」(細見)
――去年の早慶戦を振り返っていただいていかがでしたか?
出原:10連覇と言っている中で、それができなかったのは悔しいんですけど、その結果を受け止めれず、練習に向き合えないのは意味がないので去年の負けは認めて、その悔しさを晴らすべく、絶対に自分たちにできることをやって勝ちきりたいです。
細見:逆に早稲田としたら負けたら10連敗で2桁に乗ってしまう試合で、去年はそれもあり、勝ちたいって気持ちを強く持って挑んで、出し切れた試合だったと思います。
――主将として自分のチームで特に注目している選手を教えてください
出原:AT友岡阿美(#32・経3・慶應女子)かなと思っていて。六大学戦や最近の練習試合でも得点に絡む機会が多いなと見てわかる選手で成長もしてますし、持ち前のスピードや小ささを生かしてDFの間をすり抜けていくプレーがいいなと思うので、早慶戦でもたくさん点に絡んで、得点力のあるプレーに期待したいです。
細見:1個下のMF永廣めぐみ(#17・スポ2・Lafayette)です。去年はあまり試合自体にはずっと出ている選手ではなかったんですけど、今年は中心選手に成長していて欠かせないメンバーになっています。彼女の強みはボールへの執着心とゴールを決めたいって気持ちが人一倍ある選手なので、今年の早慶戦でもしっかり点を決めきてくれるんじゃないかと思います。
――逆にお互いのチームで警戒している選手を教えてください
出原:ほーちゃん(AT山田美帆副将=#11・社3・South Brunswiok)です。ドローもうまいですし、オフェンスになったら強くゴールに向かってきてシュートのレベルも高いので、慶應はどう守るか考えています。
細見:私は4年のかおる(MF竹村薫副将=#11・環4・桐蔭学園)とみゆう(MF白子未祐=#96・文4・慶應女子)です。この二人はキーマンでどう抑えるかで早慶戦が決まってくるので、得点力をぐっと抑えるDFをしたいです。
――今年の早慶戦の見所はどこですか?
出原:早稲田の4年の代は新人戦3冠していて本当に強い代で。そこに私たちもウインター、あすなろと1点差で負けて悔しい思いをしているので、今度こそ最後の早慶戦で慶應が勝って慶應の方が強いよって証明したい。あと六大学戦では引き分けだったので、今回は決着がつくのでそこは注目してもらいたいです。
細見:六大学戦を見てもらえばわかるように五分五分の力量だと思うので、そこはしっかり勝ち切って、今年は早稲田だってところを見せたいです。あとは新人戦3冠していて他大からもこの代強いって思われているのでそこから成長した姿を4年として見せたいです。
――今年の早慶戦のキーポイントはどこにあると思いますか?
細見:お互いに攻撃力があるので、最初のドローを取り切れるかどうかは初めに攻めができるかどうかなのでかなり重要な点になると思います。
出原:ドローは大事ですし、最後のシュートの場面で決めきるか。Gにセーブされるかは大きな差だと思うので、攻撃陣はしっかり決めきって、Gにはしっかりセーブしてもらうのが鍵だと思ってます。
――早慶戦はどんな舞台ですか?
出原:私は小学校の時から慶應で早慶戦にはすごく大きなもので、16年目の集大成として早稲田を倒して陸の王者は慶應だってところを証明したいです。
細見:リーグより観客が来ていて注目をしてもらえる試合なので、早稲田としては去年10連覇を阻止して、次勝つかどうかで勝ちの伝統を作れるかの勝負なので、早稲田にとっては重要で勝つっていう伝統を作っていきたいです。
――早慶戦に向けて意気込みをお願いします
細見:早稲田は今年勝つかどうかで今後の伝統を作れるかに関わってくるので、しっかり勝つところから伝統を積み重ねていきます。その中で得点を決めてもらって、圧倒的に早稲田が強いってところを見せたいと思います。
出原:たくさんの方が見にきてもらえる試合なので、見にきてくれた人に楽しいと思える試合をしたいのと、大量得点をして慶應が圧勝できるように頑張ります。
お忙しい中ありがとうございました!慶應女子ラクロス部の皆様、並びに早稲田大学女子ラクロス部の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
(取材:森田悠資)
◇慶應大学・出原佳代子(#99・経4・慶應女子)
幼稚舎から数えて慶應歴16年目の出原選手。主将としてのみならずエースとしてチームを勝利に導く得点に期待です!
◇早稲田大学・細見千明(#1・文構4・昭和学院秀英)
早稲田の組織的なDF陣をまとめる細見選手。慶應の強力攻撃陣の前に立ちはだかります!
記念すべき第25回早慶ラクロス定期戦は5月21日(日)に日吉陸上競技場で行われます!また、女子部ではこの日から早慶両校とも新ユニフォームでプレーをします!
当日タイムテーブル
9:05 開会宣言
9:30〜10:10 男子高戦
10:30~11:10 女子高戦
11:30~11:50 開会式
12:30~13:40 女子大学戦
14:10~15:50 男子大学戦
16:05~16:30 閉会式
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