秋春連覇を達成し、全日本大学野球選手権でもベスト４まで駒を進めた慶大野球部。慶大史上２度目の３連覇をかけた秋のシーズンに向けて、注目選手に話を伺った。あと一歩に迫った日本一へ、陸の王者の進化は止まらない。
鉄壁投手陣の象徴ともいえる２人
―今季は僕が胴上げ投手に！―
秋季開幕前特集・第３回にお話を伺ったのは髙橋佑樹（環３・川越東）（以下、髙橋）と石井雄也（商３・慶應志木）（以下石井）の中継ぎ２人だ。今春はともに勝ちパターンの中継ぎとして髙橋佑は防御率０．００、石井も防御率１．０６と抜群の安定感で盤石の投手陣を支えた。３連覇を目指す秋に向けてのインタビューを２人の対談形式でお送りする。
――他己紹介をおねがいします
髙橋:緻密なコントロールで、ストレートとチェンジアップの緩急でバッターを抑えていく、チームから信頼されているピッチャーです。
石井:髙橋はものすごい縦のスライダーを投げて、夏の試合でも良いピッチングをしてて、頼り甲斐のあるピッチャーです。
――春の優勝を振り返っていかがですか？
石井:髙橋は防御率０.００で活躍してくれて…
髙橋:もう他己紹介じゃないから！笑
石井:そっかそっか（笑）。自分でも出来過ぎなくらい抑えることができて、すごく良い感じで行けてましたね。
髙橋:去年の秋に全然活躍出来なくて、悔しい思いをしました。今年は自分が抑えてっていう中で優勝できたので、去年よりも全然嬉しい優勝だったな、と思います。
――なかでも印象的な試合はありましたか？
石井:僕は法大戦（２回戦）で１点差で９回にマウンドにあがったんですけど、いきなり二塁打を打たれてしまって、これはもうヤバイと思ったんですけど、でもそこから何とか抑えて勝ちに結びつけられてとても嬉しかったです。
髙橋:昨年の秋に東大戦で負け投手になって、それからどんどん調子を崩してしまいました。今年の春は東大戦にリリーフで出ていってリベンジ出来て、良い切り替えのきっかけになったかなと思います。
――春のリーグはお二人とも好調だったと思いますが、その要因は何かありましたか？
石井:僕は冬の間にめちゃくちゃ筋トレをしてそこから球が速くなって、ストレートが速くなった分チェンジアップが活きるようになって、それが活躍出来た要因だったと思います。
髙橋:僕は試合の途中で出ることが多かったんですが、後ろに石井雄也っていう絶大な信頼の置けるピッチャーがいたことで思いっきり投げられたからだと思います！
石井:嘘つけ！（笑）
――髙橋佑選手から石井選手に繋ぐ登板が多いですが、その時意識することはありますか？
髙橋:９回始まるまでに抑えていればその後石井が抑えてくれます。石井が点を取られるってことはそうそう無いので僕は何とか８回まで投げればいいということだけ考えて投げていました。
――春リーグでの反省点はありましたか？
石井:結構先頭バッターを出すことが多かったです。一点差とかの場面なので、１人でもランナーを出したくなかったのに出してしまったことと、あとは長打を打たれる場面が多かったですね。失点に繋がってしまったら終わりなので、短打に抑えられる球威が必要だなと思いました。
髙橋:試合の途中で投げるピッチャーとして、リズム良く行きたかったんですけど、無駄なランナーを出してしまうことが多かったです。もう少しリズムの良いピッチングをしたかったなと思います。
―センスの違いを感じさせられた―
春季は守護神として圧倒的な投球をみせた石井
――この夏取り組んだことは？
石井:変化球のコントロールをもっと良くしようとやりました。
髙橋:球を速くすることですね。
――現在の調子は
髙橋:やって来たことの結果がだんだん出て来て、良い調子で秋のリーグを迎えられるんじゃないかなと思います。
――ご自分のピッチャーとしての強みはどこだと思いますか？
石井:マウンドに立たされるのがいつも結構緊張する場面なんですけど、ある意味開き直って何も考えずにいつも通り投げられるところですね。
髙橋:色んな球種でストライクを取れることですね。
――ピンチの場面でマウンドに立つ時の気持ちの作り方はどうしていますか？
石井:緊張とかは全然しないので、自分の出来ることを精一杯やって、あとはバッター次第なので、特に気持ちは作ってないですね。気楽に投げています。
髙橋:僕は緊張するので、正直試合の前日は気持ち悪くなったりします。ピンチの場面で出て行くことになって打たれたら、使われた場面が悪かったと思って開き直っています（笑）
――マウンドに立つ時のルーティーンはありますか？
石井:決まったストレッチを一通りやってからブルペンに入って、ラインは右足から跨ぐって事はやってます。
髙橋:僕はルーティンとか色々あったんですけど、今年の春はバタバタしながら出てくることが多かったので無くなりました。それで抑えられたので、結局そのルーティンは意味がなかったことが分かりましたね（笑）
――石井選手は六大学選抜に選ばれたと思いますが、いかがでしたか
石井:そうですね、恐縮ながら。野球の能力というかポテンシャルがもう全然他大学の選手の方がすごくて、体の使い方とかのセンスの違いを感じさせられました。
髙橋:僕も参加させて頂いて…
石井:いやいやいや…
髙橋:あれ俺行ってないっけ？え、俺選ばれてない！？（笑）
石井:こいつずっと言ってるんですよ（笑）
――お互いに見習いたいところはありますか
髙橋:図太さですかね（笑）
石井:図太さ！？例えば？
髙橋:だってお前何も気にしないじゃん！
石井:まあ確かに。高橋は変化球がすごいので、彼みたいに僕も投げたいですね。
―埼玉は田舎っぽさが凄い（笑）―
ロングからワンポイント的起用まで対応した髙橋佑
――高校時代は同じ埼玉県の高校でライバルだったと思いますが
石井:いやいや高橋なんてもう有名人なんで…高橋の方が全然凄かったですよ。
――今同じチームになってみてどうですか？
石井:強豪校の選手って怖く感じるんですよ。すごく怖いイメージだったんですけど、意外と会ってみたら優しかったです（笑）
髙橋:慶應志木と何回か戦ったことがあって、石井が投げてたことも知っていました。実際会ってみたら球も早いですし、チェンジアップとかも一級品で、何で高校時代もっと勝てなかったんだろうなって思ったりはしますね。
――埼玉のいいところはありますか？
石井:僕のおじいちゃんの家の小松菜はめちゃくちゃ美味しいですよ。農家なんで（笑）
髙橋:僕の家の前の桜並木が綺麗とか…本当に田舎っぽさが凄いのよね（笑）
石井:自然しかないからね。
髙橋:埼玉の良い所は難しいですね。
石井:越ヶ谷レイクタウンは良いところですよ。
――お２人が仲良くなったタイミングはありますか？
石井:最初の１年間は、ボンバーはＡチームだったのでほぼ一緒に練習する事は無かったんですけど、２年になって一緒に練習するようになってから仲良くなりましたね。
髙橋:途中から寮も一緒になったしね。
――お互いの第一印象は？
石井:中学時代もシニアで一回試合をしたことがあって、その時からすごく実績があって、凄いピッチャーなんだろうなって思ってました。
髙橋:新人は走らされるんですけど、その時石井は足首を怪我してたので立たされてて、気をつけのフォームがとにかく綺麗でした（笑）
――お２人の「伝説」は
髙橋:１年を通して打たれてるところを全然みてないことですかね。伝説的に抑えてるなって思います。
石井:髙橋は防御率０.００っていう金字塔を打ち立てたことですね。
髙橋:お祝いに林助監督からドラえもんの大きいぬいぐるみを頂きました！（笑）
インタビューに答える２人
――この夏楽しかった思い出は
石井:僕は六大学選抜で台湾に行った時に、大久保監督に最後に投げさせてもらいました。最後のバッターをピッチャーフライで抑えて世界一の優勝投手になれたことですね。
髙橋:僕の夏の１番の思い出はそれを日吉の寮で見てたことですね（笑）絶対に夏から秋にかけてやってやろうって思いました。
――今シーズンの目標は
石井:春は防御率が１点台だったので、０点台を目指すことと、２勝１敗だったので、チームが勝てるように負けのつかないピッチングをすることです。
髙橋:監督の期待に応えるようなピッチングをすることです。
――最後に意気込みを
石井:史上２回目の３連覇がかかってるので、それに貢献できるように全力で投げたいと思います！
髙橋:今季は僕が胴上げ投手になります！
――ありがとうございました！
この取材は８月２９日におこないました。
（取材・澤田夏美）
♠髙橋 佑樹（たかはし・ゆうき）
川越東高を経て、環境情報学部３年。投手。球威がアップした直球にキレのある変化球をうまく織り交ぜ、春季は１７回1/3で失点１自責点０の好投を見せた。１㍍７４、８０㌔、左投左打
♠石井 雄也（いしい・ゆうや）
慶應志木高を経て、商学部３年。投手。ノビのある速球とチェンジアップを武器に打者を制圧する。守護神として春季リーグの勝ち試合９試合のうち８試合で試合を締めた。１㍍７５、７５㌔、右投右打
