大学リーグ開幕2試合で1勝1分と好調の慶大。しかし、この日は大東大相手に開始1分で先制を許す厳しい展開を強いられる。引いて守る大東大の堅い守備をなかなか崩せず、56分にはカウンターから超ロングシュートを決められビハインドは2点に。71分に山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)の個人技で1点を返したものの追い付くことはできず、大学リーグ今季初黒星を喫した。
第32回関東大学女子サッカーリーグ 第3節 vs大東文化大学
2018/09/05(水)11:30KO @大東文化大学総合グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学1-2大東文化大学
【得点者】
0-1 1分 大門紫 (大東文化大学)
0-2 56分 大門紫 (大東文化大学)
1-2 71分 山本華乃(慶應義塾大学)
◇慶大出場選手
GK 志鎌奈津美(環4・常盤木学園) |
DF 足立智佳(環2・大阪桐蔭) |
DF 佐藤幸恵(総2・十文字) |
DF 奥本くるみ(環3・浦和レッズレディースユース) |
DF 工藤真子(総3・日テレ・メニーナ) |
MF 勝木日南子(総3・大和)→33分 高月彩香(環1・村田女子)→63分 中井里衣子(総1・岡山作陽) |
MF 小川愛(総2・神村学園) |
MF 中島菜々子(総4・十文字)Ⓒ |
MF 松木里緒(環3・常盤木学園)→71分 平田朋(環1・日ノ本学園) |
FW 鈴木紗理(総2・十文字) |
FW 山本華乃(理2・横須賀シーガルズ) |
第2節を終えて3位の好位置につける慶大は、9位の大東大と対戦。累積警告で加藤楓琳(総3・常盤木学園)を欠いたセンターバックには、前節はサイドハーフでプレーした佐藤幸恵(総2・十文字)を起用した。
この日の明暗を分けた1つ目のシーンは、開始1分で訪れた。大東大左サイドからのクロスに慶大守備陣が対応できず、中で待っていたFWにフリーであっさりと決められてしまう。「完全にうちに隙があった」(伊藤洋平監督)。入りの緩さを突かれいきなりビハインドを背負った慶大。その後はいつも通りボールポゼッションを高めたが、大東大の堅い守りに苦しめられ、なかなかシュートまで持ち込めない。伊藤監督は右サイドの松木里緒(環3・常盤木学園)と左サイドの勝木日南子(総3・大和)の位置を入れ替えたり、33分に早くも高月彩香(環1・村田女子)を投入したりと試行錯誤。しかし流れは変わらず、先制弾後の時間は静かに過ぎていった。
後半に入ると、慶大はボランチが1枚最終ラインに落ち、数的優位を作りボールを回す戦術を採用。鈴木紗理(総2・十文字)を中心としたワンタッチでのパスワークで敵陣を切り崩すシーンも見られ、少しずつ大東大ゴールに迫った。しかし56分、GK志鎌奈津美(環4・常盤木学園)が前に出ていたのを見逃さなかった大東大FWがハーフライン付近から超ロングシュート。「カウンターで、難しいことはしない。大東大のしたたかさ」(伊藤監督)が再び慶大ゴールネットを揺らし、点差を広げられてしまった。攻めるしかない慶大は71分、山本がドリブルで中央を突破し、スピードに乗ったままペナルティエリア外から強烈なミドルシュート。低い弾道のシュートがネットに突き刺さり1点差に迫る。そして、これ以降試合はややオープンな展開に。73分に中島菜々子(総4・十文字)のミドルシュートがクロスバーの上に飛び、80分には大東大がカウンターからポスト直撃の決定機を作るなど、お互いにゴールに迫るシーンが増えていった。しかし両チーム最後の精度を欠き、得点には至らず。1ー2で逃げ切りを許し、慶大は大学リーグ今季初黒星となった。
開始1分弾、堅い守備、シンプルなカウンター。完全に大東大の術中にはまった試合だった。開幕2試合は素晴らしい滑り出しを見せたものの、慶大の立場はあくまで“昇格組”だ。伊藤監督が敗因として挙げた「慢心、油断」が本当にあったのなら、1部の舞台で勝ち点を積み重ねることは当然難しい。ここからの戦いは「一戦一戦がトーナメントのようなもの」(中島菜々子主将)になる。インカレ出場のため、今求められているのは、結果のみだ。
(記事:桑原大樹 写真:柴田航太郎、岩見拓哉)
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以下、試合後コメント
伊藤洋平監督
――試合を振り返って
大東大の怖さが出た試合でした。完全に我々の慢心、油断で、それをしっかりマネージメントできなかった僕の責任です。
――大東大の怖さとは
もう割り切ってああいうふうにカウンターで、難しいことはしないというところ。大東大のしたたかさですね。
――前半1分での失点は簡単すぎた
本当にそうですね。ああやってシンプルに、中で3対3の同数を作られて放り込まれてしまったので、そこに至る過程も含めて、立ち上がりは完全にうちに隙があったと思います。
――引いて守る相手をなかなか崩せなかったが
スペースがなくて自分たちからイライラして、自滅でした。
――大学リーグ開幕2試合は良い結果が出ていたが、相手が2連敗中とあって勝ちたい試合だった
そうですね。そのことは逆に怖さでもあったと思って、必ず勝ちたいとか、勝てるものだと思って試合に入ったのが今日だったんじゃないかと。そこで大東大の怖さを想像をさせられなかったのは僕の責任だと思います。
――前半から積極的に選手交代、ポジション変更を行った意図は
できる限り交代枠を使わずに変化を起こしたかったので、サイドを入れ替えたりとか、あとは狭い状況の中でプレーができる選手というのを投入して打開を図ろうとしました。
――次節に向けて
これで本当に大学リーグ1部の怖さを学んだと思うので、反省を生かします。
中島菜々子(総4・十文字)主将
――試合を振り返って
勝たなくてはいけない試合だったのに落としてしまったというのは、まだまだ自分たちの甘さだなと感じました。
――2戦負け無しで来ていた中での敗戦。また、中3日で次戦を迎えるが
コンディションの作り方は特に難しくて、いつもよりハードだったり練習で確認したい部分があっても疲労度的にあまり強度が上げられなかったりと難しいところはあるんですけど、ここで一個落としてしまった以上絶対に帝平には勝つしかないので、最善の準備をしていきたいと思います。
――今日は加藤選手が不在だった
そうですね、練習ではさち(佐藤)だったり(中井)里衣子だったりを試しながら合わせていて誰が出てもやりたいサッカーができるようにはしていたんですけど、球際とかは誰がとかではなくてチームとして弱さが出たなと思います。
――ハーフタイムにはどのような指示があったか
相手のフォワードが2枚かけてきていたので、ボランチが1枚落ちたりして相手を引き出して、下の人数を増やして相手を1人置き去りにするということを意識して後半はやりました。
――次節に向けて
もう一戦一戦が本当にトーナメントのようなもので落とせない試合が続くので、次こそは絶対に勝ち点3を取りこぼさないようにしていきたいと思います。
山本華乃(理2・横須賀シーガルズ)
――試合を振り返って
開幕前から最初の15分は、みんなでちゃんと締めようって言っていたにもかかわらず、立ち上がりすぐに失点してしまって、もっと立ち上がりから今日も勝って終われるように、締めて入らなきゃいけなかったのかなと思います。
――試合の入り方が敗因だった
そうですね。
――得点シーンを振り返って
足元に良いボール来て相手が食いついてくれたので、もうあとはゴールに向かって自分を信じて打ちました。
――今後も山本選手のゴールに期待が高まると思うが、次節からに向けて意気込みを
今日も1点目以外にもCKとかビッグチャンスがあって、そことか決め切れば今日の試合も勝てたと思うので、次はちゃんと決めて勝利につながる得点ができればいいなと思います。