【野球】投打噛み合わず完敗 勝ち点は3回戦へお預け 法大②

10月2日(火)東京六大学秋季リーグ戦 法大2回戦

投手陣が計3発を浴びた

天王山初戦を白星で飾り、3連覇へグッと近づいた慶大。しかし12季ぶりVを狙う法大は、そう簡単には勝ち点を譲ってくれないようだ。試合は、初回にバッテリーミスにつけ込み慶大が1点を先制したが、先発の森田晃介(商1・慶應)が3回までに4点を失い試合を作ることができず。代わった投手陣も強力法大打線に打ち込まれ計8失点。打線は何度も好機を演出するも、あと一本が出ずわずか2得点に抑え込まれる。完敗を喫し、勝負は3回戦へと持ち越された。

 

慶大

 

慶大バッテリー森田晃、木澤、津留﨑、前田―郡司

法大バッテリー:髙田、菅野―中村浩

 

法大本塁打:宇草2号ソロ(1回)、中村浩1号2ラン(3回)、吉岡1号ソロ(3回)

◆慶大出場選手

 

ポジション

選手名(学部学年・出身高校)

[9]

中村健人(環3・中京大中京)

[8]

渡部遼人(環1・桐光学園)

 

橋本典之(環1・出雲)

[7]

柳町達(商3・慶應)

 

杉本京平(理3・中央中等教育)

[2]

郡司裕也(環3・仙台育英)

[5]

内田蓮(総4・三重)

[3]

嶋田翔(環2・樹徳)

 

H3

橋本昂樹(商3・慶應)

[4]

小原和樹(環3・盛岡三)

[6]

瀬戸西純(政2・慶應)

 

大平亮(環4・鎌倉学園)

森田晃介(商1・慶應)

 

木澤尚文(商2・慶應)

 

植田清太(総4・慶應)

 

津留﨑大成(商3・慶應)

 

前田和真(商4・津西)

 

田中凌馬(商3・長崎東)

2安打1打点の渡部

宮球場はこの日も雲一つない快晴。平日にも関わらず慶大側応援席には、天王山に挑む慶大ナインを後押しするべく、多くの観客が詰めかけた。スコアボードには、東大2回戦で初勝利を挙げたルーキー右腕・森田晃の名前が表示された。ルーキーを早いうちから援護したい打線は初回、好調の中村健人(環3・中京大中京)がセンター前に安打を放ちチャンスメイクすると、四球とワイルドピッチの間に1死満塁とする。ここで打席には副将の内田蓮(総4・三重)。相手先発の投じた4球目が再びワイルドピッチとなり幸先良く先制に成功した。しかし、なおも続いたチャンスで内田、嶋田翔(環2・樹徳)が連続三振に倒れ、リードは1点にとどまった。一方、先発マウンドに上がった森田晃は、初回から強力法大打線を前に苦戦を強いられる。先頭打者にいきなりライトスタンドに運ばれ同点とされると、安打、死球、四球で満塁のピンチを招く。しかしここは打ち急いだ打者を三球三振に切って取り、何とか窮地を切り抜けた。

 

2回には、小原和樹(環3・盛岡三)が一、二塁間を抜ける安打で出塁するも、後続が連続でバントを失敗し走者を二塁に進めることすらできず。3回にも、渡部遼人(環1・桐光学園)の安打から連続四球で再び満塁のチャンスを作るも、後続が内野フライに倒れ無得点。好機を作りながらもなかなか得点につなげることができない展開が続く。するとその裏の守りで、森田晃がついに法大打線に捕まる。1死一、二塁のピンチからセンター前の安打で勝ち越しを許すと、続く打者の5球目を完璧に捉えられ打球はレフトスタンドへ。一気に3点を失い、ここで森田晃は無念の降板となった。代わってマウンドに上がったのは、150㌔右腕の木澤尚文(商2・慶應)。先頭打者をセカンドゴロに打ち取るも、続く打者に甘く入った球をライトスタンドへ運ばれさらに1点を追加されてしまう。

 

ここまであと一本が出ない打線は4回、またしてもチャンスを演出する。小原がこの日2本目の安打で出塁すると、木澤が四球を選び1死一、二塁とする。続く中村はライトフライに打ち取られたが、その間に二塁走者の小原は三塁へ。ここで渡部がライト前へ安打を放ち点差を3点に縮める。なおも一、二塁のチャンスで、柳町達(商3・慶應)が完璧に捉えた打球は不運にもレフト正面に飛び追加点とはならなかった。裏の守備をしのいで何とか反撃の狼煙を上げたいところだったが、ここで踏ん張れないのが今日の慶大。1死一、二塁のピンチを招くと連続適時打で2点を追加されてしまう。

 

今季初出場でヒットを放った大平

5回は互いに無得点に終わり、6回からは津留崎大成(商3・慶應)が登板した。四球で走者を出したものの、後続をダブルプレーに打ち取りこの回を打者3人で終わらせる。しかし、7回に味方のエラーも絡み1点を追加されると、8回には1死一、二塁のピンチを招きここで交代が告げられた。このピンチでマウンドに上がったのは、リーグ戦初登板となった前田和真(商4・津西)。左のサイドスローから繰り出される角度のあるボールで、1人目の打者をショートゴロに打ち取ると、次の打者のバットをへし折りファーストゴロに仕留める完璧な火消しを見せた。一方の打線は、5回からマウンドに上がった菅野の前に、中盤以降完全に沈黙していた。9回には代打で出場した大平亮(環4・鎌倉学園)がライト前へ運び4年の意地を見せるが、後続は打ち取られ無得点。2-8で完敗を喫し、勝負は明日の3回戦へと持ち込まれた。

 

少しでも気を抜けば一気に点差を離される。嫌というほど法大打線の恐ろしさを味わった試合となった。この日は投手陣の崩壊だけでなく、打線も再三のチャンスをふいにし、これまでの慶大とはまるで別のチームを観ているようだった。とはいえ、どんなに強いチームだろうと、今日のような最悪な試合を味わうことはある。明日は気持ちを切り替えて天王山に臨んで欲しい。

(記事・内田貴啓、写真・尾崎崚登)

◆Topics  「諦めない」の体現者・左キラー前田和真ついに初登板

苦しい試合展開で4年の意地を見せた

4年秋、ラストシーズンにして前田は初めてリーグ戦のマウンドに立った。強力な左打者が揃う法大相手だったが、「緊張はしなかった」とバッター2人を内野ゴロに打ち取ってみせた。大学入学後からサイドスローに転向した前田。2年次には新人戦で神宮のマウンドに上がったが、結果を残すことは出来ず。今春のオープン戦ではワンポイントとして起用されることもあったが、リーグ戦で出番はなく、試合に出場する選手のために裏方として活動することもあった。それでも「前を向いて」努力を続け、ついに今日、完璧な投球で期待に応えてみせた。

慶大の左のサイドスローといえば昨年の川端康司(H30政卒)を思い出す人もいるだろう。川端もまた、試行錯誤の末に4年の秋に初登板を果たして花を咲かせた一人だ。川端渾身の投球は崖っぷちから6連勝で優勝を飾った昨秋の「諦めない野球」をまさに体現した存在だった。

「出られない人たちのために投げきらないと」と話した前田。試合に出場する選手だけではない、たくさんの人の後押しがあって慶大野球部は成り立っている。応援する人がいる限り、彼らは絶対にあきらめない。

 

◆打撃成績

 

 

[9]

中村

中安

 

三ゴロ

右飛

 

空三振

 

 

中飛

[8]

渡部

一犠

 

左安①

右安

 

 

左飛

 

 

橋本典

 

 

 

 

 

 

 

 

三ゴロ

[7]

柳町

四球

 

一ゴロ

左飛

 

 

逃三振

 

 

杉本

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[2]

郡司

四球

 

四球

 

三邪飛

 

三ゴロ

 

 

[5]

内田

空三振

 

四球

 

四球

 

 

空三振

 

[3]

嶋田

空三振

 

二飛

 

 

 

 

 

 

H3

橋本昂

 

 

 

 

三邪飛

 

 

空三振

 

[4]

小原

 

中安

 

左安

二ゴロ

 

 

中飛

 

[6]

瀬戸西

 

捕ゴロ

 

捕邪飛

 

空三振

 

 

 

大平

 

 

 

 

 

 

 

 

右安

[1]

森田晃

 

投併

 

 

 

 

 

 

 

木澤

 

 

 

四球

 

 

 

 

 

植田清

 

 

 

 

 

左飛

 

 

 

津留﨑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

前田

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田中凌

 

 

 

 

 

 

 

 

三飛

 

◆投手成績

 

投球回数

打者数

球数

安打

三振

四死球

失点

自責

●森田晃

2 1/3

14

60

木澤

2 2/3

14

62

津留﨑

2 1/3

13

37

前田

2/3

 

◆監督・選手コメント

大久保秀昭監督

――今日の試合振り返って

明大の2回戦と同じように苦しかったですね。

 

――打線はいかがでしたか

中軸にもうちょっと頑張ってほしいなと思います。

 

――4年の大平、前田が意地を見せました

今日の良かったところはそこですね。泣きそうになりました。嬉しかったです。

 

――法大の投手の印象は

菅野君はドラフト候補生だし、そういう投手から1点2点取っていかないといけないですね。

 

――次戦に向けて

総力戦で頑張ります。優勝の行方を左右する試合なので、良い試合して勝ちたいと思います。

 

大平亮(環4・鎌倉学園)

――今日の試合を振り返って

みんなでどうにか逆転したかったですが、苦しい試合でした。

 

――今季初打席でヒットを放ちました

一打席ごとに「これが最後だ」というくらいの気持ちでやっています。その覚悟がいい方向にあらわれてくれたかなと思います。

 

――狙っていた球はありましたか

最初はストレートを狙っていましたが、空振りしてしまったので、変化球も来るかなと頭に入れていたら、ちょうど来て打つことができました。

 

――ラストシーズンを迎えられていかがですか

あっという間だなというのが率直な感想です。3連覇がかかっているので、それに向けて気負うことなく全力で頑張りたいと思います。

 

――最後に、明日に向けての意気込みをお願いします

それぞれが自分の役割を果たすことができれば勝てると思います。しっかりと準備をしてまた明日頑張りたいと思います。

 

前田和真(商4・津西)

――今日の試合を振り返って

投手陣として8失点したというのは課題だと思います。

 

――リーグ戦初登板となりましたが

4年や下級生の試合に出ないメンバーの人たちがサポートをしてくれて、その人たちの分まで投げれたらと思っていました。初登板でしたが、緊張はなかったです。

 

――オープン戦では昨年から出番が多々ありましたが登板できなかったことへの思いは

チャンスはたくさんもらってきた中で、なかなかいい結果が出せなくてはがゆい部分もありましたが、それでも前を向いて練習に毎日取り組んできたので、その成果が少しは出たかなと思います。

 

――4年にしてようやく回ってきた出番でした

嬉しい気持ちもありますが、それ以上に出られない人たちのために投げきらないという気持ちが強いです。

 

――独特なフォームは大学に入ってからですか

もともと1年の夏に監督に「サイドスローの方がいいんじゃないかと」言われてそこからサイドスローにしました。そこからまた上に戻したり、さらに下げたり色んなフォームにしましたが、今はあの位置に落ち着いています。

 

――現在4年がブルペンにいない状況でご自身の役割も大きいと思います

後輩たちに頼ってばかりなので、なんとか4年としての意地をしっかり見せれたらなと思います。

 

――明日に向けて

法政打線は左打者が多くて、宇草や小林満平といい打者が多いんですけど、なんとかそのバッターからアウトを多くもぎ取れるように頑張ります。

 

小原和樹(環3・盛岡三)

――今日の試合を振り返って

相手はチャンスをものに出来ていたのに自分達はチャンスで一本打てなかったり、最後に粘って守れなかったので、それが敗因だったと思います。

 

――本日2安打の自身の活躍を振り返って

2回とも先頭で回ってきたので、なんとしてでも塁に出ようと思い、その結果シングルヒットになって次のバッターにつなげられたことが良かったと思います。

 

――昨日はリーグ戦初本塁打も飛び出しました、現在の打撃の調子は

結果よりも自分の中で後悔しないような打席を作ろうと思っているので、それが結果につながってきていると思います。

 

――明日への意気込みを

明日負けると優勝が危うい状況になってしまうのでなんとしてでも全員で勝ちたいと思います。

 

渡部遼人(環1・桐光学園)

――今日の試合を全体的に振り返って

投手が点を取られた中で野手がカバーできなかったということが、一番の敗因だと思います。明日は、ピッチャーが点を取られても野手がカバーできるようにしたいと思います。

 

――リーグ戦全体を通して、ご自身については

これまであまり結果を出せていなかったのですが、気持ち的に焦っていた部分があったので、今日はリラックスして焦らずに打席に入れて結果が出たと思います。

 

――昨日もナイスキャッチがありましたが、守備はいかがですか

もっとレベルを上げなければいけないなと思っていたので、その分練習もしてきましたし、そういう中で結果が出たのでよかったです。

 

――今日は2安打でした

落ち着いて1日1本でもヒットが出ればいいなという気持ちで打席に立ちました。仕事は果たせたのでよかったと思います。

 

――明日にむけて一言お願いします

明日は三連覇に向けて絶対に負けられない戦いになってくると思うので、ピッチャーにも頑張ってもらいたいですし、野手もカバーできるように、打線が活気づくように、2番として繋げていきたいと思っています。

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