今回で62回を数える早慶ボクシング定期戦が、ホーム・日吉で開催された。記念館改修中につき、蝮谷体育館にて行われた本試合。1年生から4年生までが一同に戦い、見事全階級で勝利を収めた。慶大は、33年ぶりの完封勝利で3連覇を達成した。
2018年12月1日(土) 12:30試合開始 @慶大蝮谷体育館
結果
○ | 慶大 | 7−0 | 早大 | ● |
階級 | 勝敗 | 慶大選手名 |
| 相手選手名 |
LF | ○ | 古山皓介(環2・新潟江南高等学校) | RSC3R0’48 | 青木真誉 |
F | ○ | 成澤諒(理1・東工大附属科学技術) | RSC1R2’47 | 津田大賀 |
B | ○ | 井上慈元(総3・広陵) | 3ー0 (30-27,30-26,30-27) | 三輪裕之 |
L | ○ | 松木健太(総1・鎌倉学園) | RSC1R0’34 | 首藤功大 |
LW | ○ | 武智琉馬(環1・新田) | RSC1R1’18 | 藁品健介 |
W | ○ | 北岡秀石(経2・清風) | 2ー1 (28-29,29-28,29-28) | 土田大輔 |
M | ○ | 林麟太郎(経4・慶應) | 3ー0 (20-17,20-18,20-18) | 上野秀希 |
ライトフライ級は、古山皓介(環2・新潟江南高等学校)が出場。1Rから効果的な右ストレートで攻め、2:04にダウンを奪い、好調な滑り出し。2Rはボディを織り交ぜながら隙を見てとことん打ち込み1:54に2度目のダウンを取ると3R、再び積極的なボディを放ち、30秒あまりで3度目のダウンを奪うとそのままRSCで勝利した。
続いてフライ級は、1年生ながら早慶戦に出場する成澤諒(理1・東工大附属科学技術)だ。左右フックを次々と食らわせ、1:24にダウンを取らせると、さらにプレッシャーをかけ2:30に2度目のダウン。そのままボディとフックで攻め続け、1R残り13秒を残してRSCで圧勝を収めた。
バンタム級は、代替わりして主将の井上慈元(総3・広陵)が登場。これまでの試合とは打って変わって、重さのあるパンチを繰り出す。細かくフックやアッパーを織り交ぜ、素早いコンビネーションも使いこなすと相手に攻撃の隙を与えない。2R1:53には相手からダウンを奪い、優勢を貫く。3Rに差し掛かると、強烈な右攻撃を繰り出し、相手は体力を奪われるばかり。そのまま優位に立ち続け、ポイント勝ちとなった。
あと1勝で慶大の勝利が決まる中、ライト級は松木健太(総1・鎌倉学園)が出場した。スピード感あるパンチで、相手は攻撃を受けるばかりとなり、わずか6秒で1度目のダウン、そして開始24秒で2度目のダウンを奪うと、ついにRSC勝ち。類を見ない速さでこの試合を制し、この時点で慶大の勝利が決まった。
あとは完封勝利を狙うのみ。ライトウェルター級に登場したのは武智琉馬(環1・新田)。リーチの長さで圧倒し、左右フックを食らわすと0:52に1度目のダウン、そして1:10に2度目のダウンを奪う。そして10秒足らずでこの試合もRSC勝ち。2試合連続で1R終了を待たずして勝利した。
ウェルター級には北岡秀石(経2・清風)が出場。開始から接近戦を繰り広げ、どちらも譲らない。相手攻撃も、北岡は左ストレートで応戦。2Rまで両者一歩も引くことなく攻撃を続ける。3Rになると、互いに疲れを見せ始めるも、北岡は左ボディで徹底的に攻め込み、ラスト20秒は残る力を振り絞って打ち合いを見せた。3Rフルで戦い抜き、判定次第となったこの試合を制したのは北岡。客席が大いに沸き、ますます完封勝利が現実味を帯びた瞬間だった。
ついに迎えた最終試合。ミドル級を任されるのは、4年生の林麟太郎(経4・慶應)だ。期待が高まる中始まった1R。絶妙なコンビネーションでコーナーへ追い込み、優勢に試合を進める。2Rに入ると、相手より長いリーチで強烈な右フックを浴びせ開始27秒でダウンを奪う。しかし途中でアクシデントが。林が額を負傷し試合続行不能となる。この場合、そこまでの試合のポイント数で勝敗が決まる。結果、林の勝利となり、慶大は早慶戦3連覇、さらには33年ぶりの7階級制覇を収めた。
歴史的瞬間をホーム・日吉で迎え、垂れ幕通り“若き血を滾らせた”今回の早慶戦。4年生はここで引退となり、次世代にそのあとは継がれる。4年生の林は、「大学(から始めた)初心者がもっと食い込んでいけるようになればさらに強くなる」と、大学始めの選手の活躍に期待を残した。今回7試合中6試合を3年生以下が戦い、下級生が大いに活躍した。この勝利の経験を得た彼らにとって、来年のチームにつながる試合だったことは間違いないだろう。主将井上は「ボクシングが楽しいなとみんなに思ってもらえるような環境づくり」をしていくと意気込んだ。彼が率いる来年度の慶大ボクシング部なら、今年果たせなかった2部Aクラス入り、はたまた1部昇格さえ見せてくれるかもしれない。
(記事:津田侑奈/写真:船田千紗、堀口綾乃)
以下、コメント
林麟太郎(経4・慶應)
——今日のプレープランは
自分の方がリーチが長かったので、しっかり左を突いてロープ際に追い込んでから右に当てていくというプランでしたね。
——実際にプレーしてみて
ちょっと近づきすぎた場面はあったんですけど、相手が入ってきたときにしっかり右に合わせられたりして、完璧ではないですけどほぼプラン通りにいきました。頭が当たっちゃったところだけ予想外でした。
——相手選手の印象は
同じ階級にしては小さくて、ガツガツしたところがあるし、結構前に出てきて制止力が強いというイメージなんですけど、耐久性はあるかなと思いました。
——早慶戦3連覇、完封勝利でしたが
完全勝利の最後の一人として、試合を締めることができて、また4年間で最後の試合だったので、そこを記録的な勝利で飾れてよかったです。
——4年生としての1年間を振り返って
選手としてレベルアップして、強い相手にも勝てるようになったんですけど、やっぱりリーグ戦の最後の試合で鼻を骨折して出れなくなるという悔しいこともありましたが、そんな中最後の1ヶ月半はしっかり練習して、最後は笑顔で引退でいたのでよかったと思います。
——この4年間を振り返って
ボクシングとしても、ときには人間としても成長できたと思いますし、大学から始めた初心者として、インターハイに出て結果を残してきた選手と戦って、勝てるということができたのは貴重な経験だったと思います。
——後輩へのメッセージをお願いします
リーグ戦で日体大を倒して、3位、2部Aクラスに入ることを期待しているので、頑張ってください。もう一つ、今のボクシング部はAOが強くて成り立っているところがありますが、大学(から始めた)初心者がもっと食い込んでいけるようになればさらに強くなると思うので、同じ大学から始めの初心者として大学から始めた人は期待しています。
井上慈元(総3・広陵)
——試合を振り返って
自分の弱いところが出たな、という試合でした。緊張で狙いすぎて、大振りになってしまいました。
——勝利に繋がったと思う点は
落ち着いてやることはやっていたところだと思います。左突いて左突いて、という自分のボクシングはやれていたと思うので、そこが勝った要因だと思います。
——完全勝利となりました
そこは満足しています。みんな勝てて、気持ちよく4年を送り出せたという感じがします。
——個人としては最優秀選手賞を受賞されましたが、お気持ちは
あの試合で最優秀選手というのは、ちょっと気を遣われたなという感じはするんですけど、1年前から獲れずにずっと意識していたところなので、素直に嬉しいです。
——早慶戦に向けてどのような準備をされてきましたか
慶應一練習をしようと思って。練習量の多さは早稲田でも慶應の中でもとびぬけてやっていた方だと思うので、練習量だけでは負けないぞという気持ちで準備していました。
——次チームの主将として、今後はどのようなチームを作っていきたいですか
勝つことはもちろんなんですけど、ボクシングが楽しいなとみんなに思ってもらえるような環境づくりをしていこうと思います。
古山皓介(環2・新潟江南高等学校)
——今日のプレープランは
相手が1年生だったので自分のボクシングをやれば勝てるかなというのと、相手がサウスポーだったので相手の左をもらわないように意識しながら最後右でダウン取ること意識していました
——実際に戦ってみて
最初パンチ力がすごくあるというのをコーチから聞いていたので少し警戒していたんですけど、自分のパンチが当たる分相手が前に来なかったので、思っていたよりは楽だったかなと思います
——相手選手の印象は
多分大学から始めたみたいなので、これから伸びる選手なのかなと思いました。
——早慶戦3連覇、完封勝利でした
僕は2年なので一昨年の早慶戦は観に行っただけなんですけど、その時にすごく盛り上がっていて3連敗から4連勝して逆転勝ちしてすごかったので、今回は7連勝ですけど来年どうしようと思いましたね。(笑)自分が勝ってチームが勝てばなんでもいいかなと思います。
——個人で技能賞を獲得した
素直に嬉しいですけど、持って帰るの面倒くさいですね。(笑)
——来年に向けて
今年はリーグ戦も良かったですし、国体もベスト4まで行って全日に出られたっていうのは本当にいいシーズンを送れたと思うので、それを継続して来年も出た試合は全部勝って国体全日と出たいと思います。