【テニス】前年度振り返りインタビュー③ 坂井利彰監督

テニス部は昨年度男女ともに好成績を収め、テニス部の長い歴史の中でも輝かしい1年となった。いよいよ始まる今年シーズンの試合の数々を前に、昨年1年間の振り返りと今年度へ向けて様々なお話を伺った。インタビュー第3弾は坂井利彰監督です。

——昨年を振り返って

コロナの中でチームが苦しんでいた部分もあったんですけど、苦しみながらもみんながいろいろ工夫をして練習をなんとか続けられる環境をつくることも大変だったりしたので、コロナ禍でも活動しようとみんながいろいろ考えて活動できたので、すごくみんなの気持ちが入ったシーズンだったなというのが率直な感想です。結果ももちろん男子が久しぶりに早慶戦で勝ったり、女子が55年ぶりに優勝したり、個人ではインカレで4種目中3種目優勝したりとトップのチームは結果が出せた1年でした。

 

——昨年度のチームの始動から4年生の引退までのチーム全体の成長をどう感じていますか

4年生の力を信じたシーズンだったので、4年生に引っ張ってもらったというところで4年生の成長はすごく大きかったなと思います。その4年生についていってチームをサポートしてくれた1年生から3年生、チーム全体のチームワークがとても進化したなと思いました。特に4年生は愛媛で行われる団体戦の全国大会で引退になるんですけど、監督の立場としては全員を連れていきたいけどもコロナ禍で部員全員を連れていけなかったんですけね。各大学何名までと会場に行ける人数が限定されてしまって、最後までチームとして誰を連れて行くかということをものすごく悩みました。大学の最後の試合なのでみんな会場に行きたいんですけど、コロナ禍で全員連れていけない。特に慶大は部員数がどこの大学よりも多いので連れていけなかった部員もいて、愛媛と日吉に分かれて、オンラインで日吉で試合を見ながら日吉から愛媛に戦略分析のデータを送るなどのチームワークを最終的につくれたので、4年生を中心にチーム全体が今できることを工夫してやっていこうと物理的に離れていてもみんなで戦えたというは大きかったかなと思います。

 

——特に主将の羽澤慎治選手と平田歩選手は試合でもチームを引っ張る存在だったが、監督の目にはどのように映っていましたか

羽澤についてはもともとやさしいところがある選手だったんですけど、キャプテンになって責任感と緊張したときにどのようなプレーをするかというところでチームを本当に背中で引っ張ってくれたなと思います。羽澤が引退した時に「緊張を越えることができると感じた」と言っていたんですけど、今までは緊張した時にどうするかを彼が悩んでいたんですけど「緊張を越えることができる」というチームに応援されることによって自分の緊張感を凌駕できる領域になったことは彼がチームを引っ張った結果だと思いました。平田についてはインカレも優勝して団体戦でも全国優勝に導いてくれたので、チームを引っ張るということですごく悩んではいたんですけど、悩んでいる中で最終的にチームに必要なことを伝え続けて途中で難しさを感じながらも最後は4年生を一緒に引っ張ってくれたので、本当に2人には感謝というか2人がいなければ昨年のチームはなかったなと思います。

 

——昨年好成績だったことで、今年の選手はプレッシャーを感じていますか

1番大きいのは僕らには今「守る」という概念がないということです。昨年いい成績を男女ともに残せたのは負けられないとか負けたくないということよりも、そこの領域ではないチャンピオンのメンタリティーをみんなが獲得できたのが大きくて、「守り」というのが今チームの中にはないんですよね。ですから、「やってやろう」という気持ちが全てだと思います。自分たちを信じて「やってやろう」という気持ちにチーム全体がなっているので、守ってもいいことはないのでそのメンタリティーを持っているということが1番の強みだと思います。勝ったことによって得られた自信がチームの中にあるということが1番大きいと思います。

 

——今年度主将の2人に期待することは

今はキャプテンとしていろいろと試行錯誤している時ではあると思うんですけど、昨シーズンから彼らは羽澤、平田を支えていた選手なのでやるべきことに迷いはないと思います。ただ、やるべきことをチームのみんなんとやっていくときには今年のチームには今年のやり方があるので根本的に目指す方向性やメンタリティーは変わらないんですけど、それぞれ毎年チームが変わって今いるチーム全員の強みは何なのかを一度考えた上で、その強みをどうやって生かすのかを今春の早慶戦に向けていい形で作っているところなので、新しいキャプテン2人も頼もしく感じています。

 

——主将以外の4年生に期待する働きは

学生スポーツは4年生のプライドであったり、最後の年にかける思いが正しいメンタリティーの方向にしっかりいけばそれが1番大きな力になると思っているので、4年生の力を信じてチームづくりをしているというのは昨年と変わらないです。

 

——選手へのインタビューで新1年生に期待する声が多かったのですが、監督が新1年生に求めることは

1年生は失うものは何もないので思い切ってプレーしてほしいと思います。あまり期待しすぎてもいいことはないので、最終的にはみんながやってやるぞという気持ちをチームでつくるということなので1年生には思い切ってプレーできる環境を作ってあげたいと思っています。新1年生の戦力は男女ともに今シーズン鍵にはなるので期待する一方で、今まで出ていなかった上級生、昨年ギリギリで出られなかった選手にも期待しています。

 

——長年監督を務めていますが、コロナ禍で変化した取り組みはありますか

やっぱりたくさんあります。コロナ前は全員を部室に集めるということに苦慮していたんですけど、リモートだとみんなが集まる機会をつくりやすくなっている、これはチームにとってものすごく大きいですし、現場にいなくてもコミュニケーションを個別に取ることができるようになってきているのでコミュニケーションの回数が増えるという意味ではリモートは逆にありがたいなと思っています。

 

——リモートでやりにくくなったことはありますか

バランスだと思うんですよね。体育会の活動をしていると一般の学生よりも対面で会うことが多いんですけど、リモートだけになりすぎてもいけないし直接会ってお互いの空気感を確認できることもあるので、お互いにどれくらい対面でコミュニケーションをしていくのか、リモートでコミュニケーションをとるのか割合が難しいなと思うときがあります。それでも海外遠征に行っている人の動画が送られきて試合が見られるというのは遠隔コーチングもできるなと思うので、リモートのメリットの方が大きいかなと思います。

 

——今年、男女ともに王座決定戦優勝を目指す上で必要になってくることはありますか

テニスは個人スポーツですけど「支える」ことの価値をわかってる部員がいたり、「背負う」ことの価値をわかっている部員がいるというのはとても大事だと思っています。みんなが最初から最前線で戦えるかもわからないし、色々な理不尽なことも当然ある中で背負う価値やサポートする価値をみんながどれくらい実行に動かせるか。チームワークが1番大切なので、どうやってチームワークをつくれるかというのは自分の役割をしっかりと見つけてやれるのかをみんなの表現できて共有できていけば結果はついてくると思います。

 

——今年のキーマンとなる選手は

女子だったら佐藤南帆、男子だったら藤原智也がエースなので、この2人がエースとして重要です。

 

——今年の目標・意気込み

もちろん日本一、男女ともに王座を目指すこともそうですが、チーム全員が本気で団体戦に臨めるかの挑戦かなと思っています。チームワークがものすごく大切なので全ての部員がチームワークを持って戦う、一人ひとりが背負うことができれば男女ともに日本一の目標は達成できると思っているので、勝ち負け以外のところに意識を持っていきたいと思っています。

 

——お忙しい中、本当にありがとうございました

 

※当取材は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、オンライン上で実施しました。

(取材:船田萌恵)

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