9月10日(土)、味の素フィールド西が丘にて第73回早慶サッカー定期戦(早慶クラシコ)が行われる。慶應スポーツでは早慶クラシコにあたり、計14人の選手に取材した。第1弾は立石宗悟(法1・桐蔭学園)と角田惠風(商1・横浜F・マリノスユース)の1年生コンビ。1年生ながら関東リーグで出場を続ける期待のルーキーだ。高校時代と大学サッカーの違いや初めての早慶戦にかける思いなどを伺った。
――サッカーを始めたきっかけは?
立石:兄2人がサッカーをやっていた影響で5歳ぐらいから始めました。
角田:自分も(立石)宗悟と同じでお兄ちゃんがやっていて、4歳ぐらいから始めました。
――ご自身のプレーの武器はなんですか?
立石:前線で体を張ってボールをおさめるところとか、その裏抜けのスピードとか駆け引きとか、そういうところかなと思います。
角田:自分は、落ち着いてプレーできるところです。他の選手よりもゲームの流れとかをよく見てプレーできるかなと思います。
――お互いのプレーの印象は?
立石:かぜ(角田)が言ったまさにその通りで、周りの選手より落ち着いてプレーしていて、全体を落ち着かせることができるかなって思います。
角田:相手のセンターバックってデカくて強い選手が多いと思うんですけど、そういう相手でも体の使い方がうまくて、ボールをキープして攻撃の起点になれる、自分でも点を決められる、良いFWだなと思います。
――ピッチ外での交流はありますか?
立石・角田:コロナで会食とかが禁止なのでカテゴリー間の関わりとかはいつもの年よりは少なくなっていると思いますけど、結構話すし仲は良いと思います。
――お互いにライバル意識はありますか?
角田:あーライバル意識?
立石:でもポジション違うからね。
角田:確かに最初からライバルって感じではなかったかも。
――試合前のルーティーンはありますか?
立石:スマホのメモに今日の目標みたいなの書いてます。
角田:自分は基本朝公園に動きに行って、ボールのタッチの感触とかを確かめて試合に臨むかなと思います。
――大学に入ってからの高校時代との違い、感じることはありますか?
立石:ピッチ内だったら、「勝利のために」っていう気持ちが高校の時よりあります。ピッチ外では、出ている選手以外のサポートがすごいなと思っています。グラウンドマネージャーとかマネージャーを中心に、組織の裏側をサポートしてくれる人たちが明らかに高校に比べて多いし、そういう人たちの情熱が1番の違いかなと思います。
角田:自分はユース出身だったので、ピッチ内ではいかにボールを保持してきれいなサッカーをして、きれいに勝つというところを目指していました。しかし大学に入って、その考えがちょっと変わったというか、どんな形でもゴールを決められればいいし、守れればいいし、試合に勝てればいい、という風に「勝ちが全て」という考えに変わりました。1番勝ちに近いサッカーをどのチームも選んでいるという印象が強いです。あとフィジカルの強さの部分は、一段レベルが上がったなという風に、関東リーグを経験して実感しました。ピッチ外では、この部活に関わっている人全員が1つの試合に向けて沢山の準備をしてくれていて、その1試合の勝利に懸ける思いが高校時代とは全く別物だなと思います。ユースだと試合の勝敗っていうよりはその試合でどれぐらい成長できたか、にみんなのベクトルが向いているんですけど、このチームに入って、さっき宗悟が言ったみたいに裏で支えてくれる人もそうだし、ピッチで戦っている選手も、その1試合に懸ける思いがすごく強いなと感じています。
――同期で今後注目の選手はいますか?
立石:柳瀬文矢(法1・駒澤大高)です。柳瀬は僕と同じポジションなんですけどプレースタイルは違います。柳瀬は前線で溜めを作ったり体を張ったり、背後っていうよりは足元で受けて時間を作れる選手で、結構ガタイも良いのでこれからに期待かなって思います。
角田:自分は齋藤真之介(経1・FC町田ゼルビアユース)選手です。主に左サイドでプレーをしていて、足元の技術が高くて、自分でボールを持って攻撃の起点になれる良い選手です。
――前期リーグで一番印象に残っている試合はどの試合ですか?
立石:自分は開幕戦が1番印象に残っています。初戦でスタメンで使っていただいて、大学と高校のレベルの違いを肌で感じられたというのが1番の理由としてあります。
角田:2試合あります。1試合は中央大学戦です。中央大学は、ボールを大事にしながら敵のゴールに迫っていくっていう自分がユース時代にやっていたプレースタイルのチームで、自分がしていた、目指していたプレーを久しぶりに肌で実感できてよかったなと思っています。あとひとつは、後期開幕戦の日本大学戦です。前期とスタイルが変わってきて、勝ちだけを目指した、どんどん前線にボールを蹴り込んでゴールに近寄るスタイルで、大学サッカーを改めて実感した試合でした。
――前期を個人として振り返っていかがですか?
立石:FWとして点を取らなきゃいけないポジションなのに、ゴールを取れていないのは1番の課題です。高校の時は全然点取れないことで悩んではいなかったんですけど、大学入ってからこの現状なので、逆にこれを乗り越えたら成長できるかなって前期を通して感じました。通用した部分も少なからずあるので、そこはしっかり吸収して、後期はけがを完治させて臨みたいなと思います。
角田:前期は一応全試合スタメンで出させてもらいました。ただ自分はボールをより多く触ることでチームの力になれると思っているんですけど、全く何もできない試合も2、3試合ありました。分かりやすく言うと、ゴールもアシストもできていなくて、数字に残る結果を残せなかったです。自分の武器っていうのはチームの力になっていると思うんですけど、目に見えてわかる結果は出せていないので、そこが自分の課題だなと感じています。
――後期リーグへの意気込み、目標を教えてください
立石:自分も前期に結果を残せなかった分後期でしっかり結果を残して、まだけがが治ってから万全ではないのでコンディションを戻したいです。1年のうちに「昇格」という経験をして、2年生、3年生とかになった時に自分たちがチームを引っ張っていけるように、そう思えるように後期また良い試合をしていきたいです。
角田:練習試合で明治大学とかの1部の大学とやらせてもらう機会があったんですけど、個人のレベルに差があるなと感じました。リーグ戦で1年通してより高いレベルでやりたいなと思っているので、今年で自分が結果を出して1部に昇格させて、今年の代が、「1部に昇格させた」という結果を慶應の歴史に残せるように頑張っていきたいと思います。
――理想、目標とする選手像はありますか?
立石:先輩を見てて吸収したいなと思うのは宮本(稜大)さんとか古川(紘平)さんです。宮本さんはスピードがあって、古川さんはキープ力があります。自分はそのどっちもを、宮本さんぐらいのスピードもあって古川さんぐらいのキープ力もある選手を目指していきたいなって思ってます。
角田:あまり体が大きくないし、足も速くないっていう自分の特徴を考えると、頭を使って他の選手と違いを出したいです。より頭を使うっていうところを意識してチームに貢献できる選手になりたいです。それと、ユース時代と比べて目指しているチーム像が大きく違います。チームのスタイルに順応する、コンセプトにのっとったプレーもしながらその上で自分の武器も出せる、ということが大事だと思うので、どんなスタイルにも順応できる選手を目指したいなと思います。
――早慶戦に懸ける思いを教えてください
立石:自分は兄2人が慶應で、早慶戦とかも結構見に行っていました。他にも色んな大学を考えたんですけど、早慶戦に出たいから慶應入ったっていうのがあるので、一年で出るのが目標ですね。ただメンバーに入れるかもわからないので、もし出られたら点を取ったりチームの流れを変えたりできるプレーをしたいなと思います。
角田:実際これまで肌で早慶戦を経験している先輩方がいます。その中で1年生はチームに勇気を与える、自分の武器を全面に押し出す、溌剌(はつらつ)としたプレーをすることがチームにとって大事な役割だと思うので、あんまり背負いすぎず、いつもの関東リーグとか練習試合に臨むメンタリティで戦いたいなと思います。
――今後の試合で注目してほしい点はどこですか?
立石:自分は今復帰をして、足元というより裏の抜け方をけがしている間に学びました。結構タイミングとかを自分なりにとれるようになってきたので、背後への抜け出しとかを特に見てほしいです。
角田:自分はサッカーをあまり知らない人でも、ゴールとかアシストをしたら数字に残って、自分の存在をわかってもらえると思います。前期出せなかった分、結果っていうところにこだわってプレーしていくので、個人の結果だけじゃなくてチームの勝利にも、その結果っていうところに注目してほしいです。
――ありがとうございました!
(取材:愛宕 百華)