【ラグビー】早慶戦100周年特別企画!母校監督に聞く、高校から慶應への飛躍①/桐蔭学園高校・藤原監督

ラグビー

慶應義塾大学蹴球部には毎年日本中の名門高校から数多くのラガーマンが”日本一”の野望を胸に入部する。そんな慶應選手を輩出する高校で指揮を執る監督に当時の選手の姿や現在の成長を聞く取材企画。第1弾は東の高校ラグビー絶対王者・桐蔭学園の藤原秀之監督。全国優勝3回を誇る名将に話を伺った。

横浜市青葉区にそびえる桐蔭学園。最近ではスポーツの活躍が目覚ましく、野球の森敬斗(DeNA)や茂木栄五郎(早大→楽天)に高橋由伸(慶大→巨人前監督)、サッカーの戸田正幸(清水エスパルスなど)、柔道では高松正裕(アテネ五輪日本代表)と、輩出してきた選手を挙げ始めたらキリがない。

そんな桐蔭学園の名はラグビーで一際輝いている。松島幸太郎(サントリーサンゴリアス)などのプロ選手を輩出し、神奈川県では慶應・相模台工業(現・神奈川総合産業)しか達成していない全国制覇を県内最多の3度達成。さらに21世紀に入ってからの東日本優勝校は桐蔭学園のみという、言わずと知れた超名門校である。

桐蔭学園は、慶應蹴球部4年で主将の今野、副将の佐々木、そして中村大地の3名の出身校でもある。そこで今回は桐蔭学園で監督を務める藤原秀之監督のもとを訪れ、当時の選手の様子や現在までの成長、慶大以外にも活躍するOBについてなどのインタビューを、同じく桐蔭学園出身の記者2名が敢行した。

 

桐蔭学園の入り口にはラグビー部がこれまで  獲得してきたトロフィーが並ぶ

 

ー本日はよろしくお願いします

桐蔭学園ラグビー部顧問の藤原です。よろしくお願いします。

ー<共通質問>教え子たちが慶應のみならず関東、全国のラグビー部に羽ばたき活躍している。送り出した監督としての受け止めや感想など

単純に順調に育っているのかなというところですね。自分のチームを見たときに、自分がどういう役割をすればいいのかなというところを理解してやっているのかなと。

ー主将・今野に関して。当初は6軍だったという話もあるが、どういう目線からの指導だったか

本人は6軍と、そう言ってるかもしれませんが、うちの場合は1stグレードと2ndグレードという感じで、1stはメンバーで40人程度。100人という部員数ですから、それ以外は2ndが普通ですね。特に1年生・2年生はこっちにいるのが普通ですのでね。逆に1stにいる人の方が珍しいくらいで。この代だと小西(泰聖、早大・スポ4)くらいだったんじゃないかと。彼だけは能力的に高かったので上でした。逆にそれ以外はほとんどは育成組という感じでした。そこではうちの練習を春から夏にかけてきっちり教え込むというところで、さらに秋に深めて。やっぱり1年くらいかけないと練習は覚えていかないので。大学、社会人のカテゴリーに行ってもそうですが、1年間は練習をじっくり覚えさせて。そこから自分のオリジナリティを入れていくのが桐蔭学園時代のやり方ですね。

ー副将・佐々木はPOMの獲得など今季ここまで大車輪の活躍。桐蔭学園時代の印象

今野とは好対照ですね。兄も早稲田にいましたが、基本的には佐々木家は全般的に外向けに発信するタイプではなくて内向的な感じですよね。3年になって、彼は2年生からメンバー出てたのもあったので、3年になって、小西はジュニアオリンピック等でクラブにいないことが多くて今野がキャプテン代行みたいな役割でしたので、当然そこでリーダーの名前はついてないですけど佐々木が支えなければいけなくなり、必然とそういう役割を。我々が君がやりなさいとかは言ってないですけど、自分で自覚したのではないでしょうかね。うちはキャプテン不在となったら僕らが言わなくても誰かが手を挙げて出てくるっていうのは桐蔭学園全体としてありますので。

副将・佐々木隼。フィールド上ではどう猛な一面を見せる

ーでは対照的に、今野はチームを引っ張る役目を果たしていたと

そうですね。リーダーシップをとれ、言葉も明確に喋れるし、自分の気持ちを伝えながら、さらにはいろんな部員のことを考えながら、話をして、うまく突っ走るんじゃなくて、メンバーの気持ちも考えながら。そういう子たちをうまく繋げることを考えてたんじゃないかと思います。

ー進学後に会うことは

たまたま私が慶應のグラウンドに行ったときに会ったかな。今野には最近会ってない気がしますね。

ー今野のプレーは桐蔭学園時代のものを引き継いでいるようにも映る

それは直近の試合を見てないので何ともわかりませんが(笑)、修正能力があるということではないかと思います。チームとしての修正能力ですね。強い・レベル高いチームは特に。ゲームは生き物なので、事前の用意したデータがあって、それと実際照らし合わせてどうだったのかという前半40分間、その後の10分(ハーフタイム)で話し合いがあると思うんですが、その10分間で修正していく能力は高いということかと思います。

ー今なにか彼らにアドバイスできることなどはあるか

話してないのでなんともですが、今野は高校時代からミーティングとかも考えてできる子でしたし、印象的だったのは彼が3年の夏合宿の時小西がいなかったので、1次合宿の寮でのミーティングをどうするかと。そのときに大体彼らの中でスケジュールが決まってたんですよね。こうやってやりたいんですと。我々としては、手放すというかリリースするには一番いい時期かなということで彼らにイニシアチブを取らせてやらせたと。その時は3年生がコーチとして上手くやって、我々の意図してるところと彼らの考えていることがマッチした。そんなこともあったので、計画的に物事を考えられるので、今もうさらに磨きかけてやってると思うので、何らアドバイスできることは…。ただ今年でラストイヤーにすると言ってましたし、その思いは人一倍強いでしょうし、慶應を復活させたいという強い思いは彼の中であるので。この3年間で恐らくどこか不完全燃焼というのはあると思うので、どうにかしてそれを完全燃焼するためのキーワードか何か作ってやっていると思うので、それに向かって。組織作りも上手くやったでしょうから、その人たちとも上手く繋がってくれると。

主将・今野(左)。的確に戦況を把握し、積極的に声をかける

ー桐蔭卒の4年生3人へのメッセージを

(中村)大地に関してはとにかく大変な思いをしてここまで復活してきましたのでね。とにかく体に気をつけて最後グラウンドの上に入れれば、タイガージャージを着ていれば彼にとって大学生活は素晴らしいものだったんじゃないかと思うので、とにかく体に気をつけてくださいってことですね。

佐々木は副キャプテンという本来自分のやりたい位置ではないかもしれないですけど、やらざるを得ない状況になったんだろうなということなので、左手、というのは上手く書けない方を丁寧に丁寧にやりながら、やってくしかないだろうと。右でやると雑になっちゃうんで。それを使うってことでしょうね。

今野は周りが多少なりとも見えてるでしょうから、自分が突っ走ったなと思ったら他の4年生や3年生の情報をキャッチして、最終的に自分たちが思っている最終目標へ。優勝することが全てじゃないということは彼は知ってると思う(注:今野は高校3年生の全国大会決勝で敗れ準優勝)ので、優勝以外の何かも掴んで欲しいなと。それが何なのかは本人に聞かなければわかりませんが、そこに向けて邁進して欲しいです。

ーありがとうございました!

桐蔭学園ラグビー場。近年になって砂から人工芝へと変わった

 

教え子の活躍については喜ぶ姿を見せたわけではなく、クールなイメージは健在の藤原監督。ただ、その言葉からは彼らが手元を離れた後の4年間の「成長」を信じている姿が強く印象に残った。高校時代から主将不在時のチームをまとめ協力してきた今野・佐々木と、苦しみながらも最後の大舞台までたどり着いた中村。桐蔭学園で養った「最後までやり抜く強い意志」を持つ3人の活躍が慶大を活気づけ勝利を呼び込む。取材陣2人は桐蔭学園の一OBとしても、彼らの活躍に期待したい。

(取材:吉岡 洲、東 九龍)

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