【ラグビー】五三の桐へ4年間の雪辱成る!死闘の末ロースコアゲームを制す/関東大学ラグビー対抗戦第4戦

ラグビー

小田原城山競技場で行われた慶應義塾大学と筑波大学の一戦。慶大は秋季3連敗を喫しており、現4年生にとっては最後の勝利のチャンス。試合は両校の気迫が激しくぶつかる熱戦となり、互いに点を取り合いながら進行。中楠一期(総4・國學院久我山)を攻撃の要として、追いすがる筑波大を振り切りノーサイド。慶大は開幕4連勝で次戦以降に弾みをつける形となった。

10/16 関東大学ラグビー対抗戦 第4戦 @小田原城山競技場 13:00キックオフ

 

慶應義塾大学

筑波大学

前半

6

7

後半

10

5

16

12

 

 

 

 

曇り空の小田原城山競技場に慶應義塾大学と筑波大学が姿を現した。慶大はここ3年連続で筑波大学に敗北しており、今年こそはと意気込んでこの日を迎えた。一方の筑波大学は今季ここまで惜しいスコアにこそ持ち込むものの勝ちがなく、絶対に落とせない一戦として臨む。試合には1000人以上の観客が押し寄せ、客席はほぼ満員、通路の立ち見も出るほどの大盛況。10月からは試合開始前に両校の校歌演奏が行われるようになり、コロナ禍前の試合を想起させるような盛り上がりで試合が開始された。

両校の応援もひときわ大勢であった

 

慶大は前戦で大事を取って出場しなかった主将・今野勇久(総4・桐蔭学園)が実戦に復帰。副将2名はもちろん、中楠や永山淳(総3・國學院久我山)、髙武俊輔(総4・尾道)、アイザイアマプスア(総4・King’s College)といったフルメンバーで挑む。試合は序盤から両校とも攻めの姿勢を見せる。筑波大が開始早々慶大陣地に切り込むと、慶大のペナルティーで先制の機会を得る。しかしこのキックが外れ先制に失敗。慶大としてはまず一つピンチを切り抜けた。一方の攻撃は敵陣の目の前まで猛追するが、あと一歩のところが進めずトライが遠い。両者無得点で迎えた11分、相手のペナルティーで獲得したキックを中楠が見事に決め、待望の先制点を奪う。

中楠。キックの精度は非常に高かった

しかし負けていられない筑波大は17分に谷山隼大(体4・福岡)のトライで73と逆転。この日の試合を慶大、筑波大の選手全員が重要と認識しているのは明らかで、緊張からか両校とも普段にはないようなミスや反則を繰り返しており、勝機がどちらに傾くかは全く読めない状況であった。慶大は前半終了間際の43分に再び中楠がペナルティーゴールを決め1点差に追いつき試合を折り返すこととなった。

必死に筑波大の攻撃を食い止める永山淳

後半に入り、次の点数がどちらに入るかで試合展開が大きく変わるという状況で、11分に筑波大の濱島遼(体1・福岡)がキックを見事にキャッチしトライを決め、慶大を突き放す。しかしその直後、アイザイアの強力な進撃からパスを繋いで佐々木隼(総4・桐蔭学園)がトライ。中楠が難しいキックを決め、これでついに逆転を果たす。

佐々木のトライ。ぽっかり空いた場所を突く見事な一本

このまま逃げ切りたい慶大だったが、攻撃の手は緩めない。この後も果敢に敵陣へ入り込み得点を狙う。そんな中31分にキックされたボールを捕球しトライを決めようとした髙武が筑波大選手と激しく接触。これが危険なプレーとみなされ、髙武はシンビン(10分間の退出処分)となってしまう。この際に客席からは主に髙武に対する野次が飛び、会場放送でも声を出しての応援を自粛する旨が周知された。このプレーの前から力が入ってしまっている選手に対して、双方の主将がレフリーに呼び出され注意を受けるなどしていたのも相まって、やや険悪な空気も生み出されてしまった。しかしこのプレーが故意によるものではないのは勿論、それだけ両校選手・応援席の勝利への執念が強かったということもできよう。

とはいえシンビンによって慶大は最後の10分間を14人で戦わざるを得ない状況に追い込まれ、この試合一番のピンチを迎える。しかし慶大はスタミナを切らすことなく積極的にボールに向かっていった。何度か自陣まで押し返されるも追加点を防ぎ続けキックで陣地を回復するという、いわば標準的なプレーを冷静に続けることができた。髙武の復帰直前の40分には中楠がペナルティーゴールで3点を奪取し、これで4点差。依然1トライでひっくり返る点差ではあったが、貴重な追加点となった。このまま筑波大の追撃をかわし、最後はボールを蹴り出してノーサイド。慶大は雪辱を果たし歓喜に沸いた。

試合結果は1612。慶大は開幕4連勝を飾った。また、MVPに当たるプレイヤーオブザマッチには11得点をあげた慶大・中楠が選出された。

蹴球部員が出迎える中ノーサイド

窮地に何度も追い込まれながらも勝ちを手にした慶大。特に4年生は今まで下風に立ってきた屈辱を見事に晴らしてみせた。低空飛行のスコアの中での戦いは今季ここまでのリーグ戦では経験がなかったにも関わらず、逃げ切ることができたのは大きい戦果と言えるだろう。ただ、故意ではないのは勿論だがラインアウトに代表される普段起こらないようなミスや反則の多さ、さらにはシンビンを受けてしまったのは今後の課題に上がるだろう。今回は両校の意地がぶつかる一戦であっただけに選手は肩に力が入ってしまったと推察するには十分だが、今後の慶大の対戦校はどこも名門中の名門で、毎回が今回のような意地のぶつかり合いになることも想像できる。自分たちらしいプレーを会場で披露するためにもぜひ修正して欲しいところだ。次戦は熊谷に戻っての慶明戦。ここ2年は1勝1敗だ。一昨年の勝利メンバーには今日活躍した佐々木、中楠、鬼木をはじめ現役選手も複数名を連ねている。お互い全勝同士でぶつかる戦いにも臆することなく、その当時を想起させる慶大らしいプレーを見せてほしい。

(取材:東 九龍、濱島達生)

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