確かに見えていた2部残留。しかしわずか10分で儚く散った。
引き分け以上で残留となる慶大。1点リードのまま迎えた後半39分に同点に追いつかれると、アディショナルタイム3分、ほぼラストプレーの相手コーナーキックからヘディングを沈められ、まさかの失点。来季新設される関東大学サッカーリーグ3部への降格が決まった。
2022/12/3(土)15:00キックオフ @浦安市運動公園陸上競技場
【スコア】
慶應義塾大学1―2亜細亜大
※亜大は2012年以来11年ぶりの2部昇格・慶大は新設の関東大学サッカーリーグ3部へ降格
【得点者】
15分 山本献(慶應義塾大)
84分 山下翔輝(亜細亜大)
90+3分 長渡彗汰(亜細亜大)
◇慶大出場選手
GK
1 根津拓斗(政2・慶應)
DF
2 山口絋生(商2・國學院久我山)
3 川野太壱(政4・横浜FCユース)→28 蛯名亮太(法3・横浜FCユース)
5牧野晋作(経4・東京武蔵野シティFC U-18)
6 森友紀(環4・FCトリプレッタユース)
MF
16 菱川天風(総3・桐蔭学園)→19 柳瀬文矢(法1・駒大高)
8 小澤星夜(商3・慶應)→20 内藤豪(法2・駒大高)
15 角田惠風(商1・横浜F.マリノスユース)
7 山本献(商3・國學院久我山)
FW
10 熊澤維吹(文3・國學院久我山)→9 宮本稜大(商4・國學院久我山)
11 清水皇貴(経1・三田学園)→30 立石宗悟(法1・桐蔭学園)
1年での1部復帰を目指した今季。しかしその結末は、あまりに残酷なものだった。1―1と同点で迎えた後半アディショナルタイム3分、慶大は相手コーナーキックのピンチを迎えた。ここを守り切れば残留が決まるシーン。右サイドのコーナーキックに相手選手が頭で合わせると、ボールは無情にもネットへ吸い込まれる。その約1分後、3部への降格を告げるホイッスルが浦安市陸上競技場に鳴り響いた。ピッチ上、ベンチで倒れ込む選手たち。2022年シーズンは涙の結末となった。
リーグ最終節の結果により2部参入プレーオフに進んだ慶大。相手は関東大学サッカー大会からこのプレーオフへ駒を進めた亜大だ。この試合の前に行われた2部参入プレーオフのもう一つの試合では、2部の城西大が作新学院大に敗れ降格。先週には1部の駒澤大が2部の東海大にまさかの大敗で降格するなど今季のプレーオフは下部リーグの健闘が目立っていた。この試合も互角の展開に。慶大は熊澤維吹(文3・國學院久我山)を中心にゴールを狙い、亜大がそれを跳ね返すシーンが続く。
なかなか決定機が生まれない中15分、16番からペナルティエリア内でボールを受けた熊澤の右サイドからクロスに、逆サイドでフリーの山本が合わせ先制。引き分け以上で残留の慶大にとって大きな先制点が入る。
その後も攻め込むシーンは続くがなかなか決定機を生めない時間帯が続く。34分には前半最大のピンチ。ペナルティエリア内に入り込まれシュートを許すが、ここはGK根津が右手一本でファインセーブを見せ、得点を許さない。1―0のまま、前半を折り返す。
西日が差し込む後半。亜大が攻勢を強める。慶大はチャンスらしいチャンスがなく、亜大が攻め込む時間が続く。13分、亜大のシュートはGK根津の正面を突く。
21分から22分にかけては相手コーナーキックから立て続けにクロス、シュートを浴びるがここも粘り強く跳ね返し、得点は許さない。粘り強い守備を見せていたDF陣だったが39分、ついにその牙城を崩される。左サイドからのふわりとしたクロスにヘディングで合わされ、失点。1―1の同点に追いつかれる。
規定によりこのまま同点の場合は2部の慶大が残留。もう1点失うと一転降格となる。残り5分間、勢いに乗る亜大が攻め込み、慶大がなんとか跳ね返す緊迫した展開に。しかしAT3分に、痛恨の失点で幕を閉じた。
来季は新設される関東3部を戦うことが決まった。この日もスタメンには下級生が多く名を連ねるなどまだまだ若いチーム。この悔しさを糧にまずは2部復帰を目指す戦いが始まる。戦う舞台は変わるが、歴史と伝統の詰まった荒鷲のプライドを胸に慶大イレブンは走り続ける。
(取材:佐藤 光・松田 英人)