【競走】「夢の舞台」に立った!10区を完走の貝川 応援を力に走り抜く/東京箱根間往復大学駅伝競走

競走

 今年も箱根路をKの文字が駆け抜けた。12月下旬に走ることが決まったという貝川裕亮(環4・美濃加茂)だが、万全の準備で臨み、学生連合チームの一員として10区を完走した。沿道からの応援を振り返り、自分一人で走っているのではないと感じたという貝川。箱根駅伝は支えてくれた人への恩返しの舞台となった。

第99回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)

2023年1月2日、3日

関東学生連合・貝川裕亮(環4・美濃加茂) 10区 1時間13分31秒

 

関東学生連合の中でタイムは11番目だった貝川が箱根を走ることが決まったのは12月下旬だった。走る区間は10区。アンカーとして一番インパクトを残せる区間であり、「この走りで恩返しをしたい」と語った。さらに、10区は自分が志望していた区間だったことに加え、三田キャンパスがある慶大ゆかりの地だ。走ることが決まったとき「華のある区間を走らせていただくことになったときはうれしかったし、やっと夢の舞台に立てるんだという思いもあり、なおさら頑張らないと」と思ったという。

箱根駅伝予選会後、関東学生連合チームに選ばれてからはずっと複雑な気持ちを抱いていた。「どれだけ準備しても走れるか分からないというもやもやした時期過ごしていた」というが、コーチが喝を入れてくれた。「走るにしろ走らないにしろ、今までの自分の競技人生を懸けて箱根に向かって行くという過程を大事にして、その集大成を作ろうという気持ちで挑めた」。貝川は夢の舞台に向かって万全の準備で臨んだ。

夢の舞台に立った貝川

向かえた当日、繰り上げスタートになり、貝川のもとに学生連合の襷は届かなかった。「大学でずっと駅伝をやっていなかったので襷リレーしたかったという思いはあったが、その前に走ってきた9人の思いはテレビを見ていて伝わってきましたし、その9人のために頑張りたいと思いました」。今まで懸命に走り抜けてきた9人、そして箱根を走ることができなかった選手たちの思いを乗せて鶴見中継所を出発した。 前半はあっという間に過ぎたというが13キロを過ぎたあたりで「まだ10キロもあるのか」とつらくなってきた。しかし、10キロ、15キロ地点の同期と後輩からの給水で切り替えることができた。そして何より沿道に溢れる応援してくれる人たちの存在は大きかった。中学の先生や友達などいろいろな人に応援され、自分一人で走っているものではないと感じ、応援してくれる人たちのためにも、「自分の全てを出し切りたい」と頑張れた。ゴール付近では應援指導部の応援でパワーをもらい、10区を最後まで走り抜いた。

応援を背に走り抜く

慶大競走部での4年間はいいことばかりではなかったというが、貝川は、最後まで箱根を目指してコツコツ地道にやってきてよかったと感じている。「自分一人ではここまでこられなかったので、自分は恵まれていたという気持ちになりました」。支えてくれた人々へ恩返しをしたいという貝川の思いは、10区を最後まで懸命に走り抜け姿からも伝わったのではないか。

16年間競技を続けてきた貝川が考える長距離の魅力は「愚直に継続していくことが大きく、自分の頑張りが結果になる」ことである。「駅伝は自分の体の限界まで行きますが、そうすることで、いろいろな人に感動を届けられる魅力があると感じました」。駅伝には人々の気持ちを動かす力がある。だから選手たちを応援したくなる。

すでに2023年チームは田島公太郎(環2・九州学院)を中心に始動している。後輩に向けて、「最後まで箱根駅伝にチームで出るという目標を見失わず、犠牲になることもあると思いますが、箱根に出られたらそんな苦しいことなんて忘れられるくらい最高な気持ちになれると思う」と語り「箱根駅伝のために全身全霊をかけて残りの大学生生活を過ごしてほしい」と力強くエールを送った。

新チームは田島(2番)を中心に

「競技人生最大の目標で夢の舞台」であった箱根駅伝を終え、「人生で初めてでこれ以上ないとてつもない応援だった」と振り返る貝川。「この舞台にはチームで立ちたかった、チームで立つべきだと感じました。学生連合チームとしてやってきましたが、慶應の襷がつながる瞬間を考えるとうれしいですし、慶應としてチームで出ることが叶えば最高だと感じました」。貝川の思いは後輩たちへ託された。

(記事:長沢美伸、写真:東九龍)

 

以下、應援指導部からのコメント

大手町付近での応援

――何を意識して応援を作り上げたか

オフ期間、慣れないお正月の応援ということもあり、なるべくいつものスタイルに近い応援の形を意識しました。貝川選手が通過する際に最高の熱気を持ってくることを目的としました。

――「初」の大手町での応援での感想

駅伝は走者によって、目の前を通るタイミングが変わるので、応援歌を始める時刻の調整は何度も打ち合わせました。初めて箱根駅伝の場に訪れ、その規模感に驚きました。20校の応援団が並んでいる姿は圧巻でした。またここに戻ってきて応援したいと強く感じました。

――伝えたいこと

今回は、貝川選手に箱根路に連れてきていただきました。来年は我々の応援で慶應義塾を箱根に連れて行けるよう精進して参ります。

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