【連載】突撃!慶應体育会 vol.9 剣道部

連載

慶應義塾体育会には現在、43の部活がある。そんな体育会各部は普段どのような雰囲気で、どのような練習を行っているのか。試合などでは見られない、体育会の知られざる日常に迫る。第9回となる今回取り上げるのは剣道部。多様なバックグラウンドを持つ部員が集まることでお互いを刺激し合い、その効果はチームの成績にも表れている。この強みを生かし、今年の早慶戦ではリベンジを誓う。

活動紹介

朝8時から部員たちの声と竹刀が空気を切り裂く音が剣道場に響く。春休み期間中の2月下旬、日吉記念館のそばにある剣道場にて剣道部の早朝練習が行なわれていた。授業期間中の平日は17時半から、土曜日は16時半から、日曜日は10時からそれぞれ2時間ずつ練習を行う。長期オフは夏(テスト期間前後の約2週間)と冬(例年は12月の初めから2月の中旬)にあり、冬オフ後の春休み期間中の練習は3年生の就職活動を考慮して朝8時から行われるという。朝早い練習のため5時起きの部員もいるが、練習前の準備体操から剣道場には張り詰めた空気が広がり、技の練習後、終盤には試合形式の地稽古が行われた。

部員の熱気で朝の剣道場をあたためる

チーム慶大

慶大剣道部の特徴として部員がそろえて口にするのが多様性である。部には内部生から外部生、初心者・経験者から上級者、さらに留学生といった幅広い部員が集まる。多様なバックグラウンドを持つ部員が集まる中でたて・よこのつながりを強めるため、練部内で「たてわり班」を設けている。年2回「班活日」をつくり、日帰りで箱根温泉へ行ったり、千葉の富津でパラグライダーを体験したりと班ごとに交流を深める。

年2回の班活動で結束力を高める (提供:慶應義塾 剣道部)

近年の試合成績

幅広い技量の部員がつながりを持ち切磋琢磨することは、確実に部の成績にもつながっている。昨年行われた「全日本学生剣道優勝大会」では女子が全国大会へ進出、男子もベスト16という結果を残した。個人でも3年生1人が全国大会へ進出した。初心者も多くいる中で、1・2年生が出場する新人戦では関東ベスト8を達成した。今年の2月上旬に行われたフランスオープンでは女子主将・桑原恵(文3・西春)が優勝、団体でも10年ぶりに優勝に輝いた。女子主将・桑原は剣道部に入り「3年間大変だったが後悔は一切ない」と語る。確かに幅広いバックグラウンドを持つ仲間と切磋琢磨しながら剣道の技を磨く体験はここでしかできないだろう。

時期

大会名

結果

22年10月

全日本学生剣道優勝大会

女子:全国大会進出、男子:ベスト16

22年11月

関東学生剣道新人戦大会

ベスト8

23年2月

フランスオープン大会

男子:(団体戦)優勝

(表)直近の大会における部の成績

女子主将・桑原選手はヨーロッパの選手も参加する大会で優勝に輝いた

 

フランスオープン大会出場選手と吉田副師範(前列中央)

早慶戦にかける思い

男子主将・藤田富乃助(政3・土佐塾)は今年の早慶戦には「何が何でも勝たなければいけない」と語る。昨年の早慶戦、藤田選手はチームとして1本も落とせない場面で出場し、見事相手を倒して大将戦へとつなげた。昨年はチームとしては惜しくも負けてしまったため、今年は自分が大将となりリベンジを誓う。まずは早慶戦の前に控える春の個人戦で成績を残し、「日頃の行いだけでなく目に見える結果でもチームを引っ張りたい」と語る。前述のフランスオープンでベスト8に輝いた佐藤真宇(経3・慶應)選手も早慶戦については「絶対に優勝したい。そのためにこれまで剣道をやってきた」と話しており、復讐への熱情は部員全員で共通していることが分かる。

最後に主将は高校生に向けて「いろいろなバックグラウンドを持った学生がいる中で一緒に稽古をして日本一の景色を見させてあげたい」と語ってくれた。

既に今年の早慶戦を見据える男子主将・藤田選手

たて・よこの強いつながりと部員の幅広いバックグラウンドからくる多様性、これこそが慶大剣道部の強みである。この強さを武器に今後も結果を残し、今年の早慶戦ではリベンジを果たすだろう。

(記事:五関 優太)

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