【應援指導部】応援企画責任者対談 ~蘇る本来の早慶戦!応援とは「感情を揺さぶるもの」~

應援指導部

来たる早慶戦に向けて、応援全体をマネジメントする役割を担う応援企画責任者の3人にお話を伺った。今までと違い、観客と一緒に盛り上がれる早慶戦に向けた難しさや期待感をありまま対談してくださった。現在は「切り替え時で転換点」であり、新しいことに取り組むことへ積極的な部内の状況についても語ってくれた。

 

――自己紹介

:本年度吹奏楽団の応援企画責任者を務めております、法学部政治学科4年のSと申します。

:商学部のMです。所属は吹奏楽団で昨年から配属になりました。

:チアリーディング部の応援企画責任者を務めております、Fと申します。

 

――応援企画責任者になった経緯は

:基本的に應援指導部は4年生の役割を、同期内で固めるという組織体制を取っていまして、最終的に私たち3人が今の4年生に推薦をもらって、部長やコーチから承認をもらいました。その理由は、言葉にするのは難しいですが、応援において印象深い人間だったのではないかというのが率直な感想です。よく応援活動に熱量を持って参加していて、自分たちが発信している応援について考え方に共感があったから応援の責任者という形で応援企画責任者の推薦をもらったのではないかと思います。

 

――SさんとFさんはどういったところで周りから推薦を得たと思いますか

:僕は塾高(=慶應高)の時に吹奏楽部に入っていて、六大学の応援も客として見に行っていたということもあり、大学に入って應援指導部の吹奏楽団に入部してからもそのノウハウは、他の外部生や部員よりあり、熱量も最初から持っていました。それが3年間続いたということもあります。また、この3人は昨年野球応援を統括する野球サブを務めておりましたが、野球サブが応援企画責任者に推薦されるということも多いです。この3人もその例です。

:2人と理由は一緒で、推薦理由を拝見する機会があり、そこで理由として挙がっていたのは、「熱い」ということでした。声を出すのももちろんですが、すごく周りに訴えかけるというのが強みとしてあると思います。

「熱く」応援するFさん

――それぞれ2人の印象は

:(→S)どの人も結構言うかなと思うのですが、慶應義塾の応援をすごく良く考えるというところがあります。リーグ戦に限って言えば六大学間おいて行われる試合ですし、慶早戦に限って言えば、早稲田ということになりますが、野球部も六大学というくくりの中で雰囲気は全然違いますし、應援指導部・応援部・応援団も当然全然違います。各校長い歴史を持っている中で何をよりどころにするかが大事なところです。その根拠をちゃんと持って行動しようとしたときに、やはり歴史的な軸があった上での根拠のある応援を追及しています。かつ、伝統など根拠だけでなく現状に即した応援で何が必要かを考えて行動していると思います。

(→F)どちらかというと現場担当者という認識が強いです。Sはそういうロジカル的なところをかなり重点的にやっていく印象を受けるのですが、Fはどちらかというと現場で周りの部員を鼓舞するなど、そういった方向性で良く動いています。また、その場で下級生や同期に対しても「もっとこうしたいから、こうしてほしい」という指示出しなどもしています。チアリーディング部員に対しては我々他の部門の部員から言うよりもチアリーディング部員の目線の方が伝わるということが当然ありますから、そういった意味でチアリーディング部員に対する指示をやってもらっているという感じです。とにかく元気がいいというところも特筆すべき点だと思います。

:(→M)塾高の時からMは應援指導部に所属していたというのがあり、どうすればうまくいくか、M自身答えのようなものを持っていると思っています。応援部ではなく應援「指導」部であるあり方を持っているのかなと思います。またMは物おじせずに何でもできるタイプですし部員の中でも人前に立って話すのがうまいです。例えば急に劣勢になってしまい、急に塾生注目をなど人前に立って話さないといけないという時でもうまく状況を把握しながら人前で話すという能力に長けているのかなと思います。

(→F)Mも言った通りですが、應援指導部はチアリーディング部の部員が多いということで、チアリーディングの指揮をどう統制するか、士気を上げて動かすかということが応援を構築するにあたってとても大事なところです。Fはチアリーディング部員からの信頼も厚いということやチアリーディング部を鼓舞するということが得意なのかなと思いますので、そのあたりで責任者として貢献していると思っています。

:本当に応援企画責任者3人ともすごく個があり、それぞれの良さは全然違うと感じております。

(→S)Sは理念の内側、ロジカルな部分を部員に浸透させるのがうまいと考えております。福澤(諭吉)先生の教えや應援指導部がなぜ存在するのかという存在意義にからめながら今の応援体制をきちんと内側からいつも中心となって考えてくれているのかなと考えています。

(→M)、スポーツによって応援形態は違うと思うのですが、どのスポーツに関してもすごく全体を俯瞰しながら落ち着いていて、実際現場に行った時に予想していなかった事態にも冷静に対応してくれるというのが私の中で大きいです。責任者として一人そういった「どんと構えている者」がいるとすごく部員たちも安心して応援に取り組めますし、今後どういう応援を築き上げていきたいかという新しい案を出せるということも、安心の面で存在はすごく大きいと考えています。

頼りになる存在・Mさん

――ここまでの六大学の応援を振り返って

:応援はそもそも何のためにやっているかというと勝利するためです。実際リーグ戦も明治大学が優勝となってしまったわけですが、その点が悔しいです……そうですね、勝利につなげることができなかったということは悔しい部分が大きくあります。それでもリーグ戦という形態をとっていますから、まだ終わっていないですし、慶早戦という我々にとって別に意味で非常に重要な試合が残っています。いろいろな理由をつけていろいろな方が言っていますが、早稲田大学には負けられないです。また、久しぶりに大きなトピックとしてあるのは観客の方と一緒に応援することができるようになったことです。一緒に声が出せる、我々も観客のいるエリアに入っていくことができるという、應援指導部の本分が果たせる環境になりました。「指導部」と言っていますから、指導すると言うと上から目線ですが、そうではなく一緒に応援しようと促していくことが應援指導部だと思っているので、應援指導部であるために必要な「応援を一緒にしませんか」という働き掛けができるようになったというのが、今季においては重要なトピックです。それの延長線というと難しいのですが、慶早戦だと動員する人数の規模が違い、いつもの2倍以上になるので、難しさはあります。しかし、前提である早稲田に勝つというところを達成するために全部員が一丸となって、その上で応援席が一丸となり、応援で試合を変えていくということができるといいなと思っています。

:特筆すべき点としては応援席エリアが復活したというところで、今まで我々は連盟の感染症対策規定よりお客さんに応援指導することができなくなっていたので、自分から応援する、自分が直接的に選手に声を出して届けるといういわゆる「応援部」という状態が3年間続いてきました。今年からお客さんが応援席エリアに入ってこられるようになったというのと、連盟の感染症の規定が緩和され「応援部」という状態から「應援指導部」という状態に戻ったというところが大きいです。最初のカードの法政大学戦では初めてのことでお客さん対してどうアプローチしていいか分かりませんでした。例年であれば1年生は初めてでも4年生は経験があるから何とかなるというところがあったのですが、今年に関しては今の4年生が1年生の時からずっと外野席応援で全ての学年がお客さんに対してアプローチするのは初めてということになっており、本当にほとんどの部員がノウハウもなくかじりつくというところでした。最初の方はうまくいなかったり、改善点が発生していたりしていましたが、カードを重ねていくにつれ、我々が「平サブ」と呼んでいる、お客さんと一対一で応援指導するということにだいぶ慣れてきて慶早戦に向けていい空気感ができてきたと思っています。

:本年度の応援のコンセプトは「KEIO PRIDE」ですが、野球(応援の)コンセプトとしては「執念」というものがあります。これは今までの外野応援の時はすごく勝ちにこだわるということがあったのですが、それに加えて応援を楽しむという新しい要素が追加されたと考えています。本当にSも言ってくれていた通り、制限がなくなった中で、私たち部員一同観客の方を巻き込みながら応援を楽しむか、観客の方々を楽しませられるかを追及している部分もありますし、それが慶早戦でもいろいろな方が注目しているポイントなのかなと思います。新たに「楽しみ」といった要素を今カードもそうですし、前の4カードからも私たちで更新していくということがあると考えています。

 

――慶早戦を控えた中で部の雰囲気

:もちろん部員一同楽しみにしているということも前提ではあるのですが、やはり今年に関しては内外野共にお客さんを満員まで動員するという2019年以来の形に戻ります。今の4年生が2020年の入部なので経験した者がいないというところになっています。観客のチケット面や動員する面などいろいろなところで誰もノウハウを持っていないです。2019年に務められていた方にお伺いしても覚えていないということもあったり、例年応援関連の他の仕事を依頼していた学生団体に、それまでやっていただいていたお仕事を依頼しても、その団体の中でノウハウを持っていなくうまくいかなかったりして、そういうところでは焦りもあります。逆に前例にとらわれずに新しい慶早戦を作り上げていけるというポジティブな捉え方もできると思っています。試合前の企画や応援の作り方で前例がない分自分たちで開拓していこうという気持ちが部員の中にもあります。そういうところでどんな慶早戦になるか楽しみに思っている次第です。

ロジカルな応援を追及してきた

:ノウハウがある、ないということは当然あることで、なかなか難しいなと感じております。やはり観客相手の行動・活動はある程度経験が生きるということがあります。例えば学年が上がっていくにつれて技術力があがっていったりします。しかし今までは別軸のスキル、例えば自分がいかに選手に気持ちを届けるかを追及していて、そこからいかに観客の方からそういう気持ちや行動を引き出して一緒に応援するかというところにシフトしていっています。自分のスタンスが今までは完全に球場の選手に向かっていたのが、逆に応援席の観客の方に向かっていくことになります。なかなか難しいなと感じている部員がいるのも事実で、今までとベクトルが変わってしまいました。その中でも我々の使命を果たさないといけないので、1個下の野球サブが実際に運用を考えるということになりますから、そこでいかに観客の人と一体となって応援するのかという案をひたすら考えているというところです。そこをいかに最大化できるかというのが問われていると思います。今は切り替え時で転換点となっているので、今までの概念とこれから先頑張らないといけない概念が入り混じっているという状況だと率直に感じます。

:2人が観客目線のことを言ってくれたと思うので、私からは学生目線で話させていただきます。実際に今やっているプロジェクトがたくさんあるのですが、例えば食堂の企画や一貫校の応援指導、デモンストレーションなど学生に向けての働き掛けもありがたいことに行わせていただいて、中でもデモンストレーションに実際に選手の方が来てくださることや、今年からは(月曜日に試合実施の場合)休校になることなどで認知度も上がってきているのかなと思っているので、学生の慶早戦に対する意気込みや熱量もすごく増していると思うと、こういった一つ一つのイベントがそういったところに貢献できたらいいなという思いのもと、下級生もいつも取り組んでいると思います。当日に向けて、一人でも多くの観客の方や学生の方を集めるためにも私たち自身が頑張っているポイントかなと思います。

ノウハウがない中でも応援を作り上げる

――応援に来る学生へメッセージ

M:応援は楽しいものでありますし、感情を揺さぶるもので、試合のいい部分も悪い部分も一緒に楽しんで全力で選手を応援して、全力で応援すれば必ず選手たちは応えてえてくれますから、それで必ず早稲田を倒すということを我々と一緒に果たしていけたら、應援指導部としてはこれ以上ない幸せだと思います。まずは応援席に来てください!一緒に応援しましょう。早稲田を倒しましょう!

S:慶早戦に限った話ではないですが、神宮に来ると塾歌を歌ったり塾旗を見る機会やいろいろな応援歌を歌う機会、慶應としての一体感を感じたりする場面がたくさんあります。特に慶早戦はそれの最たる例で、普通のリーグ戦に比べて歌う曲や目にする曲も多いと思うので、塾生であれば一度は慶早戦に来て慶應義塾を感じてもらえたらと思っています!

:選手の方も学生や見に来てくださる観客の方を盛り上げようとすごく頑張ってくださると思うので、そういったところを私たちと一緒に全力で応援していただきたいというのと、球場で一緒に滾(たぎ)らせる若き血は私たちにとっても思い入れのある「若き血」を歌えることでもありますし、塾生の一人としてそういった青春やひと時を私たちと一緒に過ごしていただけたらと思います!

 

――お忙しい中ありがとうございました!

 

(取材:長沢美伸)

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