敗戦を喫した前節から約1週間を経て、現在3部首位に君臨する神奈川大学との第8節に臨んだ。先制点を奪うべく、前半は開始直後から慶大ペースで試合を進める。9分、左サイドの角田惠風(商2・慶應/ 横浜F・マリノスユース)から右の山本献(商4・國學院久我山)へとつなぎ、主将のアシストを経て立石宗悟(法2・桐蔭学園)が見事にシュートを決めて先制に成功。だが後半は神奈川大の猛攻を受け、ゴール手前の徹底防衛を余儀なくされる。1度はGK竹内秀太(商4・桐蔭学園)が止めたボールを押し込まれ59分に失点。同点で試合終了となり、獲得した勝ち点は1のみとなった。
2023/6/11(日)14:00キックオフ@神奈川大学中山キャンパス陸上グラウンド
【スコア】
慶應義塾大学1ー1神奈川大学
【得点者】
9分 立石宗悟(慶大)
59分 細田皐太(神奈川大)
DF
2 内藤豪(法3・駒澤大)
5 藤井壮(政3・慶應志木)
3 山口紘生(商3・國學院久我山)
8 小澤星夜(商4・慶應)
14 角田惠風(商2・慶應/ 横浜F・マリノスユース)→65分 6 田中雄大(商2・成城学園/ 三菱養和SCユース)
17 荘司慈英(商3・慶應)→HT 10 塩貝亮太(商4・暁星)
FW
13 山崎健翔(法4・桐蔭学園)→HT 18 香山達明(経3・慶應志木)
24 村井亮友(商2・桐生/ ザスパクサツ群馬U-18)→HT 23 茅野優希(政3・慶應)
9 立石宗悟(法2・桐蔭学園)→75分 30 藤井漱介(商1・静岡学園)
“3部初代王者“となるべく、何としてでも勝ち点3を掴み取りたい慶大。序盤は、暫定3部首位の神大を相手に慶大ペースで試合を展開し、果敢にゴールへ迫る。開始早々、右敵陣でセットプレーのチャンスを獲得するが得点とはならない。左敵陣で相手にボールを奪われると、そのまま右サイドへ展開されてゴールに迫られるも、ここは内藤豪(法3・駒澤大)が相手選手にしっかりとついて突破を許さない。
“鉄壁のDF”を見せた内藤豪
そして開始9分、角田惠風(商2・横浜・F・マリノスユース/慶應)がボールを受けると、相手の隙をついて主将・山本献(商4・國學院久我山)へとサイドチェンジ。山本のクロスを受けた立石宗悟(法2・桐蔭学園)が足を振り抜き、鋭いボールが左のサイドネットを揺らす。立石は、この日(6月11日)が20歳の誕生日。先制弾となる“バースデーゴール”でチームに貢献、最高の立ち上がりを演出した。さらに、その数分後には、山崎健翔(法4・桐蔭学園)が相手選手からボールを奪うと、山本が走りながらボールを受け、そのまま一気に右サイドを駆け上がりゴール前にパスを出すも、小澤星夜(商4・慶應)がうまく合わせられず。小澤は悔しさを滲ませた。
自身のゴールを喜ぶ立石宗悟
しかし、次第に慶大が押される展開となり、我慢の時間が続く。神大は、パスを回しながら左サイドの突破を何度も試みるが、内藤の”鉄壁のDF”で相手選手をゴールに寄せ付けない。19分には右サイドからシュートを放たれるが、ボールは左ゴールポストに弾かれ、九死に一生を得る。その後も、サイドを広く使ったパス回しで幾度とゴール前に攻め込まれるが、立石や山崎のプレス、角田や山本の冷静なクリアで難を凌ぐ。36分、慶大は、またも角田から山本へのサイドチェンジでチャンスをつくると、こぼれ球に反応した荘司慈英(商3・慶應)が左足でシュート。ボールは惜しくも左ゴールポスト外側を直撃し、選手たちは思わず天を仰ぐ。慶大は失点こそ許さないものの、チャンスを生かしきれないまま1ー0で前半を折り返す。
先制弾に沸く応援の選手たち
先制点を上げ、慶大のペースで試合を進められていた前半。追加点獲得を目指し、後半からは塩貝亮太(商4・暁星)、香山達明(経3・慶應志木)、茅野優希(政3・慶應)と攻撃の戦力を代えて挑んだ。だが神奈川大も攻撃のギアを上げ、後半開始3分でいきなりのシュートを打たれる。ここはGK正面で凌ぎ、50分には慶大も右サイドから山本献、小澤星夜とつなぎ茅野優希に合わせるも、前に出てきたGKにボールを奪われる。
貪欲にゴールを狙い続けた茅野優希
その後、52分からはスペースを広く使った相手の攻撃を展開される。デフェンスへ強いプレスをかけられ相手ボールになると、57分には右サイドからのクロス。頭で合わせたボールはゴール上に外れるが、相手に押される状況が続く。すると59分、塩貝亮太の中に入ってきたボールのクリアが甘くなり、左サイドから再度GKとの1対1に持ち込まれる。1度は竹内秀太が止めるも、こぼれ球を押し込まれ失点。同点に追い付かれてしまう。
ポストに弾かれた神大のシュート
立て直したい慶大は65分、75分にそれぞれ角田惠風を田中雄大(商2・成城学園/ 三菱養和SCユース)に、先制点を決めた立石宗悟に代えて藤井漱介(商1・静岡学園)を投入して巻き返しを図る。しかし74分のコーナーキックもゴール上に大きく外れて生かしきれず。79分には相手選手とGKの1対1の危険な構図を作られるが、オフサイド判定。81分にもピッチ中心部から右サイドへロングパスを許し、鋭いシュートを打たれる。ボールは左に逸れて難を逃れるが、相手からのハイプレスによってピンチをなかなか脱せない。藤井壮(政3・慶應志木)や山口紘生(商3・國學院久我山)、内藤豪の強固な守備によって得点は許さないが、前節と同様、守りの時間が長く、後半は特に主導権を握られた場面が際立った。
果敢な守備を見せた藤井壮
だが精一杯の応援に応えたい。守りのサッカーを打開したのは87分。右サイドから山本献がドリブルで運び、茅野優希への縦パスを繰り出す。その後茅野がゴール前に来た山本にアシストを出すが、僅かにタイミング合わず。試合終了間際まで攻撃の手を緩めなかったが今節も勝ち星とはならず、引き分けを示すホイッスルが鳴った。
勝ち切れず、肩を落とした
首位神奈川大との一戦で白星を挙げ、勢いに乗りたいところだった慶大。だが今節とて後半に神奈川大に主導権を握られる時間帯も長く、守備のサッカーに転じる必要があった。失点後、チームでいかに切り替えて勝利を手繰り寄せられるのか。リーグ戦における次節は約1ヶ月後だが、今週末(6月18日)にはアミノバイタルカップの2回戦、そして7月7日には早慶戦も控えている。勝利を祝す「若き血」轟く試合に向けて、チームは課題と向き合い進化を続けてくれるだろう。
取材:岡里佳、島田翼、長掛真依、佐藤光
以下、選手インタビュー
立石宗悟(法2・桐蔭学園)
ーーゴールシーンを振り返って
(山本)献くんからいいボールが来て、自分はとにかくシュートで終わろうと試合前から意識していたので、シュートで終われて、とりあえず振ったら入ってよかったなと思います。
ーーご自身の課題であった得点力について
個人的にはもっと点を取ってチームを勝たせたくて、去年に比べたら点を取れてるんですけど、もっと10点弱ぐらい取りたいなというふうに思っています。
ーー今日の試合を振り返って
みんなよく走ってよく守備していたと思うんですけど、最後の一歩、最後の得点というところが取れなくて、そこが課題だなと思います。
ーー次節への意気込み
前回も負けて、今回も引き分けで終わっていて、何としても勝ち点3が欲しいので、失点後の向き合い方とか、もう一回チームで今日出た課題をしっかり改善した上で臨みたいなと思います。
山本献(商4・國學院久我山)
ーー今節はどのようなお気持ちで臨まれましたか
首位の神奈川大学が相手ということでいつも以上に気合いが入っていて、自分たちが目標にしている3部初代王者ということを達成するために絶対勝たなければいけない試合だったので、いつもより強い気持ちを持って臨みました。
ーーアシストをした先制シーンを振り返っていかがですか?
今年は攻撃的なサッカーをするという中で、フォーメーション的にサイドというポジションは1人しかいないのでサイドからのクロスみたいなところは今年しっかり練習してきて、逆サイドで作りながらボランチの惠風が上手く逆サイドに展開してきてくれたところをしっかりクロスで終われたので良かったと思います。
ーー次節に向けて意気込みをお願いします
1回中断期間が挟まってアミノバイタルカップだったり早慶戦が入ってくるのでまずはそこに標準を合わせてやっていく中で、その間の大会だったりとかでチームとして成長出来れば次の関東リーグでも必ず勝てると思いますし、そういったところはチームとして成長していかないとこの勝てていない状況から脱することができないと思っているので、まずは次のアミノバイタルカップだったり早慶戦に向けてしっかり準備をしてその先の関東に向けてチーム作りをしていきたいと思っています。