7月7日、味の素フィールド西が丘にて4年ぶりに男女同日での早慶サッカー定期戦(早慶クラシコ)が開催される。慶應スポーツでは早慶クラシコにあたり、女子ソッカー部主将・福岡愛実(環4・横須賀シーガルズJOY)と副将・及川莉子(総4・常盤木学園)と主務・野田明日香(総4・十文字)の3名に取材した。史上初の早慶戦勝利を狙う女子ソッカー部。宿敵撃破への思い、4年間での成長などを伺った。(*6月8日に取材)
――今年のチームの雰囲気は
福岡:開幕から6節終わって勝てていないので良い雰囲気とは言えないんですけど、頑張ってます。
野田:勝てていないのでシーズン前に想像していたより苦しくて辛い時間が続いているのが現状なんですけど、その時間を共有しているからこそ先に繋がることがあると信じてやっています。
及川:人数が少ないので全員で頑張ろうという意識があって、みんなでもがいて頑張っているところです。
――今年のチームの攻撃、守備においての特徴は
及川:今までに比べたら攻撃型かな。
福岡:強豪校から一年生が多く入ってきて、個を生かした攻撃が多いかなと思います。1年生の野村亜未(総1・十文字)だったり、3年生の大橋桜子(商3・INAC東京レオンチーナ)だったり、縦に速いとか個人を生かした攻撃が増えていると思います。
野田:今年大きく変わったことはないですね。去年、一昨年はほとんど守備の時間だったからこそ学べたことが多かったです。守備の規律は安定しているのかなと。
福岡:攻撃も守備も全員で走って、全員で戦って、全員で点を取ってというのをやらないといけないと意識しています。
――お三方は早慶戦のピッチに既に立っていますが、いずれも敗戦と悔しい思いをしている。その敗戦から今年はどんなことを意識して練習してきたのか
福岡:上級生になるにつれて早慶戦への思いが強くなって、早慶戦に特別な意味があるからこそ結果を残したいという思いもあるけど、見ている人の記憶に残るようなプレーをしたいと思っています。頑張ったところが人の心を動かすことにつながればいいなと思いますし、その結果が勝利となればいいなと思います。
野田:高校の時に早慶戦を見に行ってそれをきっかけに慶應を目指した部分があるので早慶戦への思い入れは強いですし、自分は主務もやっているので選手として戦うだけでなく大会を作り上げるという2つの面で関われているので、何か下の代に残したいと言う思いがあります。最後の早慶戦なので自分が動くことで人の心を動かすような、慶應ソッカー部に入りたいと思ってもらえるようなきっかけを作りたいなと思います。
及川:3回経験してきて全部負けていて、早稲田はレベルの高い選手がそろっているんですけど、早慶戦でしか発揮できない力があるなと感じています。特別な早慶戦だからこそ、全員で力を発揮すれば勝てると思いますし、見てくれている人たちに何か原動力を与えたいなと思います。
――お互いの魅力的な部分は(サッカー面、プライベート面)
及川・野田→福岡
(サッカー面)
及川:主将なので変わったなと思います。
野田:人に寄り添うのが上手だなと。気持ちを汲み取って、自分も苦しいはずなのに自分を犠牲にして、チームのために、みんなのためにという思いが強いです。先頭に立って引っ張ってくれるというよりかは一緒に頑張ってくれるというイメージが強いです。
(プライベート面)
及川:クラスが一緒だったので一年のほとんどを一緒にいるんですけど、魅力しか感じません。コミュ力が高いです。みんなとすぐに仲良くなっている印象があります。なんでもこなせるタイプなので色々器用だと思います。
及川・福岡→野田
(サッカー面)
及川:マルチタスクをこなしてくれるところ。
福岡:主務で仕事量もあると思うんですけど、大変そうな顔を見せることなく頑張ってくれているから自分も頑張らなきゃと思っています。
(プライベート面)
及川:私たちの学年の母です。
福岡:意外とすぐに落ち込んじゃうなと思うんですけど、そこから立ち上がる力が強いなと思います。
野田・福岡→及川
(サッカー面)
福岡:自分を前にというよりかは周りをたてながら静かに闘志を燃やしていて、だからこそ自分の背中を押してくれますね。あとシンプルにサッカーが上手いなと思います。
野田:キーパーから見ていて気持ちいい攻撃をしていて、スイスイスイと行くんですよ。
福岡:あと味方とか監督の意図を汲み取ってプレーしてくれるので賢いなと思います。
野田:頭を使いながらプレーしているんだろうなって思うし、一歩引いたところから冷静に考えて行動できるし、それを伝えてくれますね。
(プライベート面)
福岡:感受性豊かでプレゼントとかあげたらめっちゃ喜んでくれるんですよ。あとは人と打ち解けるのが早いなと思います。ピッチ内外でのギャップがすごいです。1番女の子しているなと思います。
――自分自身のプレーにおける強み、誰にも負けない、というところはどこか
及川:私は今までずっと攻撃の選手だったのでドリブルとかスピードに乗っていく部分を強みとしていたんですけど、慶應に入ってからは周りを見てプレーすることを覚えて今の中盤のポジションに変わったのかなと思います。
野田:シュートストップです。1年生のころから早慶戦に出させてもらっていて、3回とも負けはしたんですけど良いセーブができたなという感覚があるので、今年こそ守備の選手と協力しながら無失点に抑えたいです。
福岡:守備的な選手で器用にプレーできるわけではないんですけど、とにかく体を張ってハードワークできるところが自分の強みだと思っていて、それが空中戦だったり、球際だったりの強みに繋がっているなと思います。
――大学4年間をソッカー部に捧げてきて成長できた部分は(精神面、技術面など)
野田:毎年キーパーコーチが変わって年によって違う指導を受けたんですけど、その中でどう吸収していくかを考えながらプレーできたなと。高校までは感覚でプレーしていたので、大学では自分のプレーを客観的に見られるようになったことが成長だと思います。プレー以外ではマルチタスクができるように、自分がチームのためにできることは何なんだろうと考えながら組織への貢献、組織への役割を見出して出来ることを探し続ける姿勢、行動が成長できた面だと思います。
福岡:1番は自分の価値観が広がったことが大きいなと思います。サッカー経験、バックグラウンドが様々だからこそ色々な考えに触れることができて自身の世界観、価値観が広がりました。自分は誰かのため、チームのために動くことができるようになったとうのもあるし、それが自分自身のためにもなっていると気付けました。みんなは犠牲にしてくれると言ってくれるんですけど、チームのため自分のためにやることが重なっているからこそできています。ピッチ内では考えながらサッカーをするようになったし、レベル差がある中で全員が力を発揮するためにはどう行動をすべきか考えられるようになりました。
及川:プレー面では、圧倒的にプレーの幅が広がったなと思っていて、もともと攻撃が大好きな選手だったんですけど、今は中盤のポジションをやってプレーの幅が広がってそれがピッチ外の部分でも視座を変えていろんな人の立場を考えられることにつながったと思います。
――早慶戦とは一言で表すとどんな舞台ですか
野田:憧れの舞台です。
福岡:全部の思いが詰まった舞台。公式戦同等、それ以上にかける思いが大きい舞台だと思います。
及川:集大成の場。社会人になったらサッカーを辞めるのでサッカー人生の集大成という思いがあります。
――早慶戦「私のここを見てほしい」という部分は
福岡:上手い下手は置いといてハードワークをする姿を見て欲しいなと思っていて、それが勝利につながることが1番。その姿が誰かの心に届いたり、きっかけにつながったりができたらいいかなと思います。
野田:シュートストップのところです。自分がシュートを止めることでチームに勢いをもたらしたりとか、押し込まれる時間を守り切ったりして攻撃陣につなげたいです。自分がシュートを止めることで雰囲気を変えたいです。
及川:流れを変えるプレー、チームを勢い付けるプレーに注目して欲しいです。それが得点としてチームに貢献できればいいなと思います。
――最後の早慶戦にかける思いを教えてください
及川:最後にこんな貴重な経験ができることは早々ないので、そういう舞台でプレーできることに感謝しつつ楽しむことを忘れずにプレーできたらと思います。
野田:シンプルに勝ちたいなと。まだ早稲田に勝ったことがないということで、自分たちが積み上げてきたものを発揮しなければ行けない場所だと思っているので、自分たちが頑張った証を残したいです。
福岡:特別な舞台の中でプレーできることに感謝しなければならないし、感謝を伝えられるようなプレーをしなければいけないと思います。だからこそ勝ちたいし、見ている人の記憶に残るようなプレー、歴史に残るような結果を残したいと思います。チーム全員で勝ちに行きます。
――以上になります。お忙しいところありがとうございました。
(取材:金子拓登)
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