7月7日、味の素フィールド西が丘にて第74回早慶サッカー定期戦(早慶クラシコ)が行われる。慶應スポーツでは早慶クラシコにあたり、計19人の選手に取材した。最終弾を飾るのは、主将を務める山本献(商4・國學院久我山)選手だ。1年生の頃からトップチームで活躍を続ける山本は、セットプレーやクロスをはじめ、攻守におけるキーマンである。一昨年味わった勝利を今年こそ皆で分かち合うため、そして昨年のリベンジを果たすために闘志を燃やす。大学最後の早慶戦という大舞台に挑む山本に、意気込みを伺った!
――今シーズン、成績なども含めてここまでをチーム全体として振り返っていただくといかがですか?
山本:まずシーズンとして、今年はどういうサッカーをしたいのかという点では自分たちは「攻撃的なサッカーをしたい」ということを掲げていて、それをチーム全員が体現しようと頑張っています。そのために普段の練習から日々頑張っていて、それがだんだん形になっている部分もあれば課題ももちろんあって、試行錯誤しながら今現在戦っているというところです。今シーズンは、目標としては今年から併設された3部リーグの「初代王者」、チャンピオンになるために今チーム作りをしているんですけど、でもやっぱり勝ち切れる試合が少ないところが課題でもあり、危機感を持ちながらチームとしてどうやっていくのかを考えながらやっています。
――「攻撃的なサッカー」を掲げられている中で攻撃の中心として活躍されている山本選手ですが、ご自身のプレーをここまで振り返ってみていただくといかがですか?
山本:今シーズンは前線に良い選手がたくさんいて、攻撃に特徴のある選手もたくさんいる中で、自分の役割としては攻撃と守備をつなぐポジションではあると思うので、自分が攻撃に参加することで攻撃により厚みが出て、守備も、自分が守備をしっかりすることで守備に厚みが出ると、その両方の大事なタスクは負わせてもらっているのかなと。そこに関しては、試合の中でも徐々にではあるんですけどできてきているのかなと思いつつ、まだ結果を出すことができていないので、そこに関してはもう少し頑張っていきたいなとは思っています。
――昨年の取材でもお伺いしましたが、ご自身の強みとしては変わらず「キックやクロスの精度」でよろしいですか?
山本:そうですね、はい。自分としてはキックやクロスを強みとして持っているんですけど、監督には結構イジられることもあって(笑)
取材者:どうイジられているんですか?(笑)
山本:全然キックに調子上がってこないじゃん、とか。俺が時々練習とかで良いボールを出したりすると「良いね、今シーズン2本目だね」とか(笑)イジられながらだけど、自分のキックで勝利できる試合が去年もあったので、そういう試合を今年ももっと作っていかなければいけないなと自覚はあります。
――「イジられている」というお話がありましたが、セットプレーなど重要な場面を任される中で、クロスやキックの時にどんなことを意識して臨まれていますか?
山本:うーん、特にあまりないというか、普段の練習でやってきたことを出すだけということがあるので、自分はそんなに緊張するタイプでもないので、そこはいつも通りやれば大丈夫だろうという感じですかね。
――今シーズン、ここまで印象深い試合はありますか?
山本:2つあって、1つは(第1節の)開幕の共栄大学戦です。開幕を下田で迎えられるということで気合いも入っていましたし、何としても結果を残したいという思いで臨んだんですけど、そこが自分たちとしても試合に入ることができて波に乗ることができたので良かったです。もう1試合は(第7節の)専修大学戦なんですけど、実力が均衡していく中で、自分たちのサッカーができなくて苦しい時間帯が長い時に、自分たちはどのようなプレーができるのかという部分が課題になってくると思うので、そういった最後の粘り強さや勝負強さが今後も大事になるかなと思います。そのような点でいくと、課題が残る試合として専修大学戦かなと思います。
――では、逆に収穫やチームの成長を感じられた試合はありますか?
山本:あれ、最後に勝ったのどこだっけ(笑)… (第7節の)中央学院大学戦は収穫があったなと思っていて、というのも、自分たちがやりたかった攻撃的なサッカーが前半から本当にできたと思っていて、前から後ろに行くし、攻撃もどんどんプレスを上げて厚みのある攻撃ができたなと思っていて、課題が後半体力的にも落ちてきてたところで緩みが出てた部分もあるんですけど、そこで上手く粘り強く耐えて最後に点を取って、勝てたというところは収穫だったなと思います。
――続いて、主将に就任されてからのお話に移っていきます。今年最終学年、大学サッカー最後の年ということで、今までと比較して成長を感じられる部分はありますか?
山本:成長を感じた部分は2つあります。まず1個が大学入ってプレー面だったりとか先輩たちから色々な刺激を受けて、自分自身も1年生の頃からトップチームにいさせてもらっていて、上手い4年生先輩たち、松岡瑠夢(令和3卒・國學院久我山)さんだったり橋本健人(令和4卒・横浜FCユース)さんだったり、本当にJリーグにいくようなトップレベルの選手たちと一緒にやりながら大学のスピード感も全然違う中で色々なことを吸収させてもらって、自分自身の中で価値観が1つ増えたのかなというところで成長が1つとしてあります。もう1つ成長したポイントとしては大学4年生になって、大学3年生の12月に代としては4年になったんですけど、入れ替え戦で負けてしまって3部のチームになってしまった時に、本当にそこから自分たちで変えていかないといけないという上級生としての責任感が芽生えて、1つチームを背負うという意味で大きくなれたのかなと思います。
――先ほども入れ替え戦のお話が出ましたが、3部になってからどのような思いを強く持って戦われていますか?
山本:3部と言えど、やっぱり関東リーグで同じ舞台で戦っている相手も上手いし、自分たちもスポーツ推薦がない中でスポーツ推薦のある他大学の選手たちと戦って勝っていかなければいけないという面では、チャレンジャーの姿勢は忘れないようにしたいなという思いはあります。自分たちがどんどん結果残していくためには、謙虚な姿勢は大事にしないといけないなと思いますし、逆にそこで堅くなりすぎずってところは大事だと思っていて、そこの両立というか、自信を持つところは持って、ただそれが過信にならないようにっていう意識はあります。
――主将に就任されてから、ピッチ内外での役割に何か変化などはありますか?
山本:まずピッチ内でいうと、1つタスクは増えたのかなとは思っています。自分自身のプレーだけではなくて他の選手のプレーにも目を配って、チームとしてどういう方向性で、局面局面で流れを読んでどういうプレーをするっていうのはすごい意識し始めましたし、そう言った点ではピッチ内での声掛けは意識的に増やしていますね。ピッチ外に関しては、後輩たちは自分たちを見て生活してくるって中で、自分が本当に模範的になる行動だったり生活をしていかないとみんなが付いて来ないと思うので、そういうところは意識しています。
――ピッチ外で特に意識している行動だったりとかはありますか?
山本:何だろうな… 掃除したり、落ちてるゴミ拾うとか、さりげない何気ないことでも自分の行動を見て何かしら感じてくれることとかはあるのかなと思います。そういうのを意識的にやっている訳ではないですけど、それを無意識化できるぐらいにできるように頑張っています。
――昨年の主将だった田村祐二朗(令5卒・藤枝東)さんから引き継いだ点や、受けたアドバイスなどは何かありますか?
山本:祐二朗君とかは本当に、監督だったりを最後は信じてチームとして一体感を持つために選手と監督をつなげる役割をやってくれてたと思うんですけど、そこは自分たちも大事だと思っていて、どこかで監督のこと信じられないだったりとか、選手が独立してしまうことがないように意識している部分はありますね。
――最後に早慶戦についてのお話に移っていきます。コロナ禍で無観客試合なども経験された中で、早慶戦に抱く思いや印象を教えて下さい
山本:自分が2年生の時に西が丘のピッチで勝利を味わったんですけど、その時は出てる選手としては上級生が中心で、下級生で出てたのは俺とか(山口)絋生(商3・國學院久我山)とか、(村上)健(政3・國學院久我山)とかで、その喜びっていうのをもう1回みんなで味わいたいなというのが1番強い思いとしてはあって、勝った時の喜びはより強い試合にはなると思いますし、もう1回勝ちたいなと思います。
――今年の慶應の勝利のキーマンには誰を挙げられますか?
山本:キーマンは… 誰だろう、マジでいないなあ(笑)
取材者:絞り出して下さい(笑)
山本:色々いるんだけど… まず1つは… うーん難しいなあ(笑)
取材者:攻撃的な面でいくとどなたになりますか?
山本:プレー的なことで言ったらキーマンは(立石)宗悟(法2・桐蔭学園)かな。今ちょっと怪我してるけど、宗悟は今年めちゃくちゃ調子良いし、去年悔しい思いしてるし、あいつも早慶戦で活躍させたいなっていう思いはあって、本当に今成長している段階で、(塩貝)健人(政1・國學院久我山)とかもいるけどあいつは逆に背負わせすぎない方が良いなという思いを持っているので、宗悟には頑張って欲しいと思います。
――立石さんに期待しつつ、山本選手はどのようなプレーをしたいですか?
山本:人生でもしかしたらこんな大きな舞台が最後になるかもしれないから、だから2つあって、1つはチームのために動いてくれている人だったりとか、応援してくれている人のためにも頑張りたいなっていうのと、あとはやっぱりサッカーを楽しむ中で色々な人が見てくれていると思うから、見にきてくれた人を楽しませられるような、心を動かせるような試合をしたいなと思います。
――最後に意気込みをお願いします。
山本:去年、前回もそうだけど、今年はリーグ戦とは別に早慶戦という舞台を設けてもらってるから、やっぱり気持ちとしては非常に大きいものもあって、2年前に勝った喜びとかは(山口)絋生とかもすごい感じてるけど、そこはやっぱり色々な人とその喜びを分かち合いたいみたいなのは1番強い思いとしてはあって、そのために全力で準備してマジで勝ちたいです。
――お忙しい中、ありがとうございました!
取材:佐藤光