多くの観客が詰めかけた春の野球早慶戦だったが、宿敵・早稲田大学に2連敗。早大の2020年秋以来、7季ぶりの優勝で終焉となった。「ムソウ~連覇への軌跡~」を掲げ2か月間を戦ってきた應援指導部は、早稲田の“無双”を目の当たりにする屈辱を味わった。ケイスポ応援席特集もいよいよ最終章。最後に早慶2連戦の奮闘を、ここに記したい。
6月1日(土) 慶應義塾大学 ●1-8○ 早稲田大学
~試合概要~
慶大・外丸東眞(環3・前橋育英)、早大・伊藤樹(3年)のエース対決となったが、早大の3番・吉納翼(4年)にソロホームランを浴びるなど5回までに3点を失う。6回には一挙5得点で突き放され、8点を追う展開に。打線も8回に無死満塁から併殺打の間に奪った1得点にとどまり、初戦を落とした。
午前10時。開門と同時に応援席には多くの慶應ファンが詰めかけ、試合前企画を楽しんだ。試合前にはチア曲「Happiness」「いつだって僕らは」の披露のほか、慶應義塾高校とのコラボ企画である「慶應高校メドレー」も。慶應義塾高校限定の応援歌である「烈火」が神宮の応援席に流れるなど、早慶戦ならではの光景となった。
午後1時。試合が始まると、壇上にはいきなり鎌(カマ)が登場。稲刈りにかけ「早稲田を倒すために必須の鎌である」という説明があった。
なかなかヒットが生まれず重苦しい展開となる中、3回には「私の肌を見てください」という部員が。「どの部員よりも焼けているが、これからも熱い応援を続けたい」と熱意の伝わる声かけを行った。5回にはなぞかけも炸裂。「野球部とかけて疲れている時の私ととく その心は どちらもホームに返してあげたい」というものだった。
早慶戦では外野席でも応援が行われ、7回には内外野でタイミングを合わせた応援が。こちらも早慶戦ならではの光景となった。続く8回、ヒットで先頭が出塁すると、この日初めての「朱雀」を演奏。打線の沈黙が続きうずうずしていたのだろうか、応援席の声援は最大限となった。その8回、慶大が初得点を挙げ、得点時の「若き血」が。試合を通して劣勢の状況が続いたものの、早慶戦の雰囲気を楽しみ笑顔で声を出す部員や観客のみなさんの姿が印象的だった。
6月2日(日) 慶應義塾大学 ●2-12○ 早稲田大学
~試合概要~
慶大は初回、今春初めて3番に入った清原正吾(商4・慶應)のタイムリーツーベースで先制する。しかし2回に2点を奪われ逆転されると、5回には尾瀬雄大(3年)のホームランなどで6失点、9回にも3失点など計12失点。投手陣が崩れ、大敗を喫した。これで早大は早川隆久(現楽天)を擁した2020年秋以来、7季ぶりの優勝となった。
動画「塾歌斉唱&スタメン発表」
この日は悪天候が心配されたが、昨日に続き開門と同時に多くのお客さんが。7年ぶりの満員(3万人)となった第1戦に続き、この日も2万8000人が来場した。試合前企画は無事に行われたものの、試合が始まると少しずつ雨が降りだし、時には試合続行が危ぶまれるほどの豪雨に。しかし応援席には多くの観客が残り、水も滴る良い男(自称)であるというNさんから「内野外野で社中一体となって、慶應義塾を応援していきましょう」と前向きな声かけが行われた。
5回には慶大を勝たせるためのコツを紹介。それは「心の底から応援を楽しむことだ」といい、「残りの後半戦、死ぬ気で声を出して、心の底から応援を楽しむためにも、大きな声で「Blue sky KEIO」いくぞ」と声がかかり、「Blue sky WASEDA」の姉妹曲である「Blue sky KEIO」が演奏された。
降り続く雨の中で応援が続けられたものの、早稲田に圧倒され敗戦。彼らは早慶2連戦を終え、どんな言葉を残すのだろうか。最後に応援全体を統括する応援企画責任者にインタビューを行い、その胸の内を聞いた。
[応援企画責任者 Iさん]
非常に悔しい2日間となりました。ただ、優勝が無いにも関わらず、こんなにも多くの塾生、塾員の皆様にお越しいただき、感謝しております。課題は山積みですが、一つ一つを練習し、秋季リーグ戦こそ、打倒早稲田、そして日本一を果たせる応援席をつくって、戻ってきます。
[応援企画責任者 Kさん]
この春季慶早戦は、應援指導部としての真価を試される戦いだったと思います。
決して忘れることの出来ない、昨年度秋季リーグ戦での優勝の瞬間。紙テープが飛び、野球部が胴上げをしており、泣いて喜んだ瞬間。その優勝の瞬間を3塁側から呆然と見た今年度春季の慶早戦。悔しいという言葉じゃ足りない何かが、自分の中にありました。
応援企画責任者として初めてのリーグ戦、1プレイヤーとして何ができるかだけでなく、部員が本気で勝ちを信じて応援に全力を注げる環境を作ること、観客の方がまた来たいと思える応援席にすること、そして何より選手の球を少しでも速くできる、少しでも遠くに打球を飛ばせる、そんな応援を追い続けてきました。
そんな中迎えた慶早戦。悔しい結果とはなりましたが、土日ともに立ち見が出るほどの観客の方と「若き血」を歌い、メガホンを回し、応援歌を歌いながら見る景色は最高でした。暑い中でも雨の中でも応援席に足をお運びいただいた皆様に感謝申し上げます。秋も更に進化した応援席で待っています!
(取材:酒井里彩、雨ノ宮乙葉、塩田隆貴、岩切太志、竹腰環、小林由奈、工藤佑太)
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<さいごに>
記事をお読みいただいたみなさん、本当にありがとうございました。この春、ケイスポ應援指導部班では應援指導部や観客の皆さんとともに、応援席のすばらしさを伝えるべく様々な活動を行ってきました。YouTubeでの動画公開や早稲田大学での早慶合同デモの取材など、初めてのこともいくつかありました。早慶戦の週には記事を7本公開し、どれも多くの方に読んでいただきました。中にはYouTubeのチャンネル登録を呼びかけてくださる方もおり、感謝しています。今後もさらに勢力を拡大させられるよう、頑張ります。
慶應スポーツ新聞会 應援指導部班チーフ
工藤佑太
完