第3週で明大に勝ち点を落とし、勝ち点「1」で現在リーグ4位の慶大は、折り返しとなる第4週で東大と対戦する。リーグ戦優勝&日本一へ望みをつなげるためにも、東大相手に2連勝で確実に勝ち点を取り切りたい。しかし、昨秋の2回戦では序盤にリードを許すと、鈴木太陽(令7経卒・国立)に完投を許し、連敗を「18」で止める勝ち星を献上。“逆襲”を誓い、2017年秋季以来15季ぶりの勝ち点を目指す東大に、慶大は投打ともにさらなる奮起が求められる。
立大から勝ち点を獲得し、勝ち点2を狙い臨んだ明大とのカード。1回戦は毛利海大(情コミュ4・福岡大大濠)から初回に2点を奪ったものの、リードを守り切れず悪夢のサヨナラ負け。2回戦は最大4点のリードを追いつかれ、延長12回に2点勝ち越されたがその裏2死から中塚遥翔(環2・智辯和歌山)の適時三塁打で同点とし、なんとか次戦以降に望みをつなげた。しかし3回戦は先発の外丸東眞(環4・前橋育英)が5回途中6失点(自責5)の大乱調。9回2死走者なしで森村輝(総4・小山台)のリーグ戦初本塁打が飛び出し、零敗は免れたが13安打8失点の大敗で対明大6連敗。優勝争いから大きく後退し、3戦全てで投打ともに課題が残る内容となった。

明大3回戦9回に森村が本塁打も打線は15三振
しかし昨秋のように勝ち点「4」での優勝の可能性も残っている。絶対に負けられない戦いが続く慶大は、折り返しとなる第4週で東大と対戦。昨季7年ぶりに慶大・法大から2勝を挙げた東大の投手陣は、昨季2回戦で完投勝利を許した鈴木や平田康二郎(令7教卒・都立西)が抜け、1回戦の先発はエース・渡辺向輝(農4・海城)、2回戦の先発は増田滉生(教育4・城北)が濃厚。渡辺はアンダースローで、独特なフォームから繰り出される緩急自在な投球が特徴、慶大としては1回戦の結果が勝ち点に大きく影響するため、なんとしても渡辺攻略の糸口を見つけたい。

第2先発が予想される東大・増田
今季の渡辺は4月12日・早大1回戦で、8回127球、被安打8、四死球2、4失点(自責4)の内容にまとめると、前回登板の4月19日・明大1回戦では、強力明大打線を9回109球、被安打7、2失点(自責2)の内容で完投するなど、尻上がりに調子を上げている。渡辺との対戦を振り返ると、過去5度対戦(2先発、3救援)し、初対戦の2023春季・2回戦、先発登板の2024秋季1回戦・3回戦で複数得点を挙げており、対慶大防御率8.49。ここまで渡辺のリーグ戦通算防御率が3.74だけに慶大にとって相性のいい相手エースを攻略し、チームに勢いをつけたいところだ。

東大エース・渡辺の攻略が最重要
しかしここまでチーム打撃は、打率.243&四死球数16はリーグ4位、三振数69はリーグトップで最も少ない早大の18と比較しても4倍近くの数値をたたき出すなど全体的に低調。その中でも、東大戦では打撃好調な今津慶介(総3・旭川東)と小原大和(環3・花巻東)の1・2番コンビに注目。今津は立大1回戦でマルチ安打を放つと、立大2回戦でリーグ戦初本塁打が飛び出すなどここまで6試合全てで出塁し、自身3試合連続安打中で打率は.304(チーム3位)。小原は立大3回戦で猛打賞の活躍をみせ、明大2回戦では先制適時三塁打を放ち、リーグ戦初打点を挙げるなど打率.333はチームトップ。この2人で攻撃の起点を作り、試合を優位に進めたい。そしてここまでチーム盗塁数は「3」、最下位の東大とはわずか「1」差でリーグ5位。早大は東大戦で15盗塁、明大は5盗塁を記録し、得点に絡めているだけに、慶大も今まで以上に足を使った攻撃を仕掛け、ビックイニングを作りたい。

元気印・今津の出塁で得点機を作れるか

巧みなバットコントロールが持ち味の小原
先発陣は外丸が1回戦に先発する場合、明大3回戦から中4日でのマウンドとなるため、体力面にやや不安が。一方渡辺和は前回登板の明大2回戦で6回83球、被安打6、奪三振9,1失点(自責1)の好投を見せるなど調子を上げているため、東大戦では渡辺和を1回戦、外丸を2回戦に入れ替える可能性も。中継ぎ陣は水野敬太(経2・札幌南)がリーグ戦初登板含む2試合を0封と完璧な投球を見せ、今季抑えに君臨する広池浩成(経3・慶應)は登板した4試合すべてで自責0。明大2回戦では8回途中から最後まで明大打線を2失点(自責0)に封じ、中塚の同点打を呼び込んだ。

ここまで2試合に登板し、無失点継続中の水野
対する東大打線は4戦とも打順の組み替えはあるものの、不動のメンバー。3番・中山太陽(経4・宇都宮)や4番・大原海輝(文4・県立浦和)、現在は打撃不振だがリードオフマン・酒井捷(経4・仙台二)らベストナイン受賞者、さらに今季遊撃手の座を掴み取った樋口航介(理Ⅰ2・海城)は、現在打率.385(リーグ6位)、ここまで4試合全てで安打を放つ活躍を見せている。投手陣は東大の上位打線をしっかり抑え、打線の援護を待ちたい。

打撃好調、東大のニュースター・樋口に警戒
(記事:加藤由衣、写真:林佑真)