5月3日(土) 東京六大学野球春季リーグ戦 東大1回戦 @明治神宮野球場
前カードの明大戦で勝ち点を落とし、これ以上勝ち点を落とせない慶大。立大戦、明大戦と2回戦の先発を務めてきた渡辺和大(商3・高松商業)が東大1回戦の先発マウンドに上がった。「渡辺対決」となったこの試合は、30分で序盤3回を終え両軍合わせて1安打と東大先発・渡辺向輝(農4・海城)との息詰まる投手戦を展開。試合が動いたのは、5回。先頭の上田太陽(商3・國學院久我山)が左前安打で出塁すると、2死二塁から1番・今津慶介(総3・旭川東)が立大2回戦以来の自身2本目となる2点本塁打を放ち先制する。7回には3番・中塚遥翔(環2・智辯和歌山)にリーグ戦初本塁打となるソロ本塁打が飛び出し貴重な追加点をもたらした。渡辺和は9回まで1人で投げ抜き、1安打14奪三振の圧巻投球を見せ、今季初勝利となる完封勝利を挙げた。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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東大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 0 | X | 3 |
慶大バッテリー:○渡辺和ー渡辺憩
東大バッテリー:●渡辺、高橋、杉浦
慶大本塁打:今津2号2ラン(5回)、中塚1号ソロ(7回)
東大本塁打:なし
◆慶大野手成績
位置 | 選手 | 1回 | 2回 | 3回 | 4回 | 5回 | 6回 | 7回 | 8回 | 9回 |
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[9] | 今津慶介(総3・旭川東) | 左飛 | 三ゴロ | 右本 | 一ゴロ | |||||
[7] | 小原大和(環3・花巻東) | 中飛 | 左飛 | 中安 | 一ゴロ | |||||
7 | 丸田湊斗(法2・慶應) | |||||||||
[3] | 中塚遥翔(環2・智辯和歌山) | 四球 | ニゴロ | 空三振 | 右本 | |||||
[8] | 常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢) | 投飛 | 中飛 | 空三振 | 死球 | |||||
[5] | 吉野太陽(法3・慶應) | 遊2 | 中安 | 死球 | 左飛 | |||||
5 | 八木陽(法2・慶應) | |||||||||
[2] | 渡辺憩(商2・慶應) | 投ゴロ | 中飛 | 空三振 | 遊ゴロ | |||||
[6] | 上田太陽(商3・國學院久我山) | 投ゴロ | 左安 | 左安 | 右飛 | |||||
[4] | 林純司(環2・報徳学園) | 一邪飛 | 三犠打 | |||||||
H | 吉田雄亮(商3・慶應) | 四球 | ||||||||
4 | 服部翔(政2・星稜) | 空三振 | ||||||||
[1] | 渡辺和大(商3・高松商業) | 三直 | 一直 | 二飛 |
◆慶大投手成績
選手 | 投球回 | 打者 | 投球数 | 被安打 | 被本塁打 | 与四死球 | 三振 | 失点 | 自責点 | |
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先発 | 渡辺和大(商3・高松商業) | 9 | 28 | 125 | 1 | 0 | 3 | 14 | 0 | 0 |
先週の明大戦を1分2敗とし勝ち点獲得とはならなかった慶大。春季リーグ戦優勝へ向けて勝ち点を落とせない厳しい状況の中、慶大はこれまで1回戦の先発を務めていた外丸東眞(環4・前橋育英)ではなく、昨秋東大戦2試合に先発し17イニング3失点と東大と好相性を誇る渡辺和を先発マウンドへ送った。渡辺和は昨秋、リーグ最優秀防御率に輝く大活躍も今季はこれまで未勝利であり、このマウンドで初勝利を挙げ流れに乗る良いきっかけにしたいところだ。
渡辺和は序盤3回を9人で抑える完璧な立ち上がりを披露。一方で打線は、東大先発・渡辺のアンダースローの特徴を活かした高低差のある投球の前に、3回で1安打と抑え込まれ、わずか30分で序盤を終えるハイペースな試合展開に。しかしその後も渡辺和は好投を続け、前半5回を終え7奪三振、被安打0と東大打線を完全に抑え込み、味方の援護を待つ。

第1先発を担うのは、昨秋早慶戦以来の渡辺和
渡辺和の活躍に奮起した打線がついに渡辺をとらえる。5回、先頭の上田が左前安打で出塁し続く林純司(環2・報徳学園)の三犠打で1死二塁の好機を演出すると、打席には先発・渡辺和。自身を援護する適時打かという鋭い当たりを放つも東大一塁手・中山太陽(経4・宇都宮)が好捕球を見せ2死二塁に。打線が先頭にかえると、これまで2打席凡退の1番・今津が2球目の甘く入った球を振り抜き、自身2本目となる右翼席へ飛び込む先制2点本塁打を放った。6回にも2死満塁で渡辺和に打席が回ったが二飛に倒れ、追加点とはならなかった。

今津の2号2ランで先制に成功
無安打投球を続けていた渡辺和だったが、7回2死から4番・大原海輝(文4・県立浦和)に初安打を許すと、三塁側の淡青色のメガホンが大きく揺れ、この日一番の大歓声が上がる。しかし、落ち着いて後続を遊ゴロに打ち取りホームは踏ませなかった。その裏、2死から3番・中塚が初球を豪快に捉えると、リーグ戦初本塁打となるソロ本塁打を放ち貴重な3点目をもたらした。

中塚が待望のリーグ戦初本塁打
疲れ知らずの投球で迎えた最終回、先頭打者を147キロの威力ある直球で空振り三振を奪うも、その後少し制球に苦しみ2つの四球を与える。唯一の安打を放っている4番・大原の打席での暴投で二、三塁とし、9回にして最大のピンチを招いた渡辺和。しかしフルカウントから外角の146キロの直球でこの日14個目の三振を奪うと、最後までホームを踏ませず、マウンドを一人で守り抜き、慶大に勝利をもたらした。
負けられない重圧の中、マウンドに立った渡辺和が最高の投球を見せ勝ち点獲得へ大きく近づいた試合。自身の初勝利を飾っただけでなく、慶大に今季の流れを引きつけるチームを鼓舞する投球で、他の投手陣の刺激にもなったことは間違い無いだろう。打撃陣では今季開幕から上位打線に座り続ける今津と中塚に本塁打が飛び出したのも、今後へ向けて明るい材料となった。2回戦では渡辺和の好投に勢い付いた慶大打撃陣が爆発することを期待したい。
◆活躍選手コメント
渡辺和大(商3・高松商業)
大事な初戦で勝つことができて良かったです。一戦必勝で自分のベストを尽くしたいです。

昨秋東大1回戦以来の完封勝利・渡辺和
今津慶介(総3・旭川東)
ボスから教わったスイングが出来ました。残りの試合も忠犬としてグラウンドを駆け回ります!

スタンドの声援に応える今津
中塚遥翔(環2・智辯和歌山)
かずさんを援護できて良かったです。明日も勝って勝ち点とります!応援よろしくお願いします。

試合を決定付けた中塚の1発
(記事:鈴木啓護、写真:柄澤晃希、河合亜采子、大泉洋渡)