早慶戦を4日後に控えた5月27日(火)。應援指導部は、最終リハーサルである「総合練習」を行った。3時間以上にわたるその現場を、ケイスポが追った。
應援指導部の総合練習はリーグ戦開幕前と早慶戦前の2度行われ、全部員が集合しリハーサルを行う。今年からは2日間にわたって行われており、2日目であるこの日は18時半から練習が行われた。
はじめに行われたのは、「平サブ」と呼ばれる役割についての説明。1年生も初めて参加する総合練習で、改めて役割を確認する。平サブはコール中に煽ったり声を引き出して盛り上げるのが大切で、野球サブのG.Hさんは「それぞれが孤立してもいけないし、平サブだけでも成り立たない」と改めて各個人が連帯することの重要性を説いていた。
そして2人でペアを作り、平サブ役と観客役に分かれ平サブを実演。終了後には観客役が受け取った印象を平サブ役に伝え、表情や手ぶりについて語り合っていた。上級生からは「単調になっている」という指摘があり、1年生も必死で表情や手ぶりを伝えようとしていた。
そして短時間の休憩後、ホールは静まり返り、代表・副代表が壇上へ。越後真咲副代表から「声を枯らして、今日枯れた分神宮で花を咲かせるぞ」と発破をかけられ、試合想定練習が始まった。
この練習では実際の試合をイメージし、外野応援をイメージした塾歌の通しや、グラウンド整備の時間まで想定した準備が行われる。そして初回に1点を取られる想定で、その裏には「WASEDA」と書かれた服を着た枝廣二葉代表から「今日は俺を倒すつもりでかかってこい」とのお話があった。
そして初回の攻撃が終わるとすぐにフィードバックが。野球サブから「表情を意識して欲しい。意外と表情はどこからでも見られます。声かけだけでなく表情にも意識を持って」というお話があった。
続いては、5回表に3ランホームランで3点を取られるという想定。流れのよい時だけでなく点を取られても、前向きな声かけが続けられるかを確認していた。ストライクが入るたびにお互いに鼓舞しあいつつ、観客にも声をかけるというイメージをもって場を盛りあげる部員たち。筆者も部員から何度も鋭い目つきとジェスチャーで応援を呼びかけられ、本番仕様の練習であることを実感した。
この回の終了後もフィードバックが。野球サブのG.Hさんから3点取られた時の反応が課題だと指摘され、「反応の速度は問題ない。そこでどんな声をかけていくかが大事。一緒に落ち込むのではなくギアを上げて盛りあげていこう」と前向きな声かけが。同じく野球サブのK.Sさんからも「コールを入れる意味を考えて。まとまった声を出そう」とお話があった。
そしていよいよ9回の攻撃へ。ここまで鋭い目つきで練習を視察していた、応援企画責任者のO.Hさんから言葉がかけられた。「前から見た景色を伝える。めちゃくちゃ成長しているぞ。音は耳がちぎれるぐらい出ている。踊りは見たことがないぐらいキレキレだ。1年生も笑顔が最高だ。そんなお前らが大好きだ。そんなお前らとワセダに勝ちたい。151人の若き血をたぎらせろ」
そして応援企画責任者のN.Hさんからもひとこと。「春の総合練習より見違えるほど成長しているぞ。絶対満足するな。最後の一球まで、諦めずに戦え」
9回裏はビハインドから巻き返すという想定で、長い攻撃に。時刻は21時半を過ぎているが、耳がちぎれるほどの音はまだ鳴りやまない。若き血が2回、そして大量得点時のスリー慶應が1回流れ、最後は『朱雀』が。壇上に10人以上が登り、2日間の総合練習にふさわしいフィナーレとなった。
試合後には各担当者からひとことずつのコメントが。応援企画責任者のK.Rさんは「球場は今日と場所が変わっただけ。今日やったことを今週末に出しきれるようにしよう」と呼びかけ、K.Sさんからは「あくまでも総合練習。本番のためにやるもので、ゴールではない。今日やったもの、いやそれ以上のものを出そう」との言葉が。各担当者からは「右肩上がり」「成長している」など前向きな言葉も多く聞かれ、最後は野球サブのG.Hさんが「人の想いでやっているので、仲間を大切に」と訴えかけ練習が終了した。
部員たちは当日、どんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。彼らは常々、我々は應援「指導部」であり、観客とのコミニュケーションが大切だと語ってきている。日々の練習で培った技術や体力が、慶應を愛する観客とのシナジーを生む。その一体感が、稲穂刈りの原動力となるだろう。
(取材:岩切太志、工藤佑太、柄澤晃希、鈴木拓己、小野寺叶翔)
(記事:工藤佑太)