前節の悔しい逆転負けから中3日で臨んだ中大戦。試合は、立ち上がりにセットプレーから失点し、開始早々1点のビハインドを背負ってしまう。しかし、徐々に流れをつかみ、中大に退場者の出た前半32分以降は完全に相手を圧倒する。後半日髙(総4)の4試合連続となるゴールなどで3点を挙げる一方で、守っても笠松(総4)を中心とする気迫あふれるディフェンスで、相手攻撃陣を完璧に抑え込んだ。3-1で試合を終え、インカレ圏内となる4位以内死守へ大きく前進した。
第85回関東大学サッカーリーグ戦 第17節
2011/11/2(水) 13:50KO @荻野運動公園
慶應義塾大学2-1中央大学
{得点者}2分大岩一貴(中大) 、59分増田湧介(慶大) 、66分森田達見(慶大)、72分日髙慶太(慶大)
ここ数試合で採用してきた4-4-2のフォーメーションから、「バイタルエリアのスペースが空く」(須田監督)中大対策として、1トップに大塚(総4)、トップ下に河井(政4)を置く布陣で試合に臨んだ。試合は2分、課題としているセットプレーから失点を喫し、苦しい立ち上がりとなる。早い時間帯に同点としたい慶大は、長短を織り交ぜたパスで相手に揺さぶりをかけていくが、パスの精度が悪く中々ゴール前まで行くことが出来ない。それでも、河井、日髙を中心にチャンスを作り、徐々に慶大が主導権を握り始める。そうした中、32分試合は大きく動く。中盤で河井が相手DFに削られると、主審はイエローカードを提示。この日2枚目となる警告で相手に退場者が出て、慶大は数的有利に立つ。これを機に流れは一気に慶大へ傾く。44分には、右サイドを田中(環4)、森田(経3)の2人で崩しチャンスを迎えるも、ここは相手DFのブロックに合い得点はならず。このまま得点を奪えず、1点ビハインドで試合を折り返す。
後半に入っても慶大は完全に相手を圧倒する。DFラインからのロングパスに、FWだけでなく、2列目、3列目の選手たちも果敢に裏に飛び出していき、チャンスを生み出していく。こうした裏を突く動きがようやく実を結んだのは14分だった。右サイドで日髙がボールを受けると、すかさず増田(環1)がDFラインの裏へ抜ける。柔らかい日髙からのボールに合わせた増田のヘディングシュートはゴール左隅へと吸い込まれた。これでスコアをタイに戻した慶大はさらに勢いを増していく。21分右サイド田中から河井へとボールが渡ると、河井はそのままPA内へと侵入。ラストパスを受けた森田のシュートは相手DFに当たりゴール。続く27分には、田中がドリブルで侵入したところを相手DFがたまらずファウルし、PKに。これを日髙がきっちり決めスコアを3-1とする。試合の大勢は決まったかに見えたが、その後も「点を取りに行った方が、相手にとって嫌だろうなと思った」という言葉通り攻撃の手を緩めない。前がかりになった相手DFラインの裏を森田らスピードのある選手たちが狙う一方で、笠松、松岡(商3)の両CBを中心に、相手の屈強な相手FWを抑え込む。追加点こそ奪えなかったもののこのままタイムアップ。3-1で試合を終え、勝ち点3を手にした。
「チームとしてのやり方にはまった」(日髙)という言葉通り終始中大を圧倒した慶大。セットプレーでの守備の対応という課題は残るものの、90分間集中力を切らさず素晴らしい内容で勝ち点3を積み上げた。4試合連続ゴール中の日髙や、絶好調森田など、ここに来て選手たちの調子も上がってきている。インカレ出場をかけた試合も残りわずか5試合。上位との直接対決が続くだけに「どことも負けるわけにはいかいない」(笠松)。すべてはインカレ制覇のために。荒鷲たちは勝利だけを見据え、戦い続ける。
By Daiki Ishiduka
コメント
須田監督
(今日の試合を振り返って)まず、立ち上がりああいう形で失点してしまってまたセットプレーで入れられたというのは、集中しないといけないかなと。あのシーンも含めて全体的にボーとしていたというか、集中していなかった部分もあるので気を付けなければいけないと思います。それから、4-2-3-1にして、彼ら(中央大)が真ん中のDFとMFの間がかなり空くので河合をあそこのポジションの入れたのは正解だったのかなと思います。ああいう形で退場になって、我々もリズムよくいい攻撃をしていて、全体的にすごく良かったと思うし、相手が10人になった後焦らないでしっかりと抑えられていたし、後半入って2列目からの飛び出しで1点取れたので、選手たちは本当に成長をしたなという印象を受けました。(1トップだったが)相手の中盤のバイタルエリアが空くので、4-2-3-1にして河合を真ん中に持ってきて、かなりフリーな状態でボールを持てるんじゃないかなと思ったのが一つです。あと、風間がやはり途中から出した方が相手としては怖いんじゃないかと、最初からというよりは、あと20分とか、30分とかで出した方が、相手にとっては怖いし、こちらにとってはチャンスになるんじゃないかと。まずは大塚が中央で相手のCBにダメージを与えたところで、早い風間を投入するというゲームプランがあったので、1トップにしました。(相手DFの裏を突く動きが盛んだったが)大塚に関してはポストプレーヤーなのであまり裏に出るということは無かったんですが、その中で森田には試合前にスピードがあるのでとにかくまず裏を狙えという形で指示を出しました。彼は非常にいいプレーをしたね、攻撃の場面で相手にとって怖かったと思うし、彼は以前であれば90分の中で消える場面というのが非常に多かったんだけど、今日は90分間攻守に渡って活躍できていたので、成長したなと思いました。(ボランチの攻撃参加というのも非常に目立っていたが)彼らも非常に経験があって、特に相手がブロックを作って引いている相手であれば、縦の動きで崩すということで、春先から常々言っていたので、その経験上彼らも出ていったと。特に相手が一人少ない中で、そこ(縦)をついていくのは非常に難しかったと思うので、1点目はそんな中増田が前線に飛び出して行ってとれたので、そこも彼らが良く考えて、経験をもとに上がっていったんじゃないかなと。(体の張ったディフェンスが出来ていたように思うが)この前負けて、ただ負けんたんじゃ意味がないので、彼らのハードワークというのはやはり我々には欠けていたんじゃないないかということを話して、今日はその足りないと思っていたところを体現できたんじゃないかなと。まずは戦う姿勢というのは、戦術だとか技術とか以前に重要なものなので、その中で守備でハードワークをしようということで臨んで、彼らは良くやってくれたと思います。(次節は田中選手が出場停止だが)いずれ4枚目はもらうだろうと思っていたし、総力戦なのでまた新しい選手が活躍してくれると思うので、まだだれが出るかは決めてないけど、もう誰が出てもそんなに変わることは無いので、戦い方を変えるなんてことは無くやっていきたいと思います。
笠松
(今日の試合を振り返って)前半最初にセットプレーから失点して、少し慌てた部分もあったんですが、そのあとは相手にチャンスも作らせず、相手自陣に押し込めることが出来たので、余裕をもって試合を進めることが出来たので、内容的には悪くなかったと思います。(フィジカル面であいてFW に手を焼いていた面もあった思うが)競り合いの部分で前に跳ね返せないところも何度かあったんですが、ただ別に自由のやらせていてわけではないので、その後のシュートのところまではやらせていなかったので、怖さという面は感じませんでした。(セットプレーから失点が増えているが)今週もしっかりと集中して試合に臨めていたんですが、やはりマークの部分であったり、臨機応変に対応しなければいけないところというのができないと何をやってもきついので、そこのところを詰めていきたいです。(退場者が出た後、完全に押し込んでいたが慶大の攻撃陣について)テクニック、技術が高く、相手が1点取った後でもガンガン来られたら怖い部分もあったと思うんですが、徐々に引いて行ったので、攻撃で押し込んでくれました。(CBからの攻撃の組み立てについて)今週は4-5-1だったんで、サイドのところをワイドに使っていくということを狙っていて、森田なんかは非常にスピードもあるのでそこを生かしていこうというところを意識していました。(次節は田中選手が出場停止だが)誰が出るかはまだわからないですけど、しっかりとコミュニケーションを図っていきたいと思います。(次節以降上位の直接対決が控えているが)ラスト5試合どことも負けるわけのはいかないので、しっかり準備して次は連戦の最後なので、上手くすべてをぶつけられるように次を気にしなくていいので、まずは回復していい状態で臨めるように頑張りたいです。
日髙
(今日の試合を振り返って)前半最初に集中力を切らし失点して、そのあとも我慢の時間が続きましたがしっかり耐え、相手の退場もあったのであまり焦らず、自分たちのサッカーを展開出来たことが逆転に繋がったのかなと思います。(4-2-3-1について)自分は前にスペースがあるよりも中にスペースがある方がやりやすいので試合前は自分にとってはやりにくいかな、と思ったのですけど(試合が)始まってみたら相手のサイドにやっぱりスペースがあって、自分が起点を作れればチャンスが生まれるかなと思いました。今日の試合は自分のやりやすさっていうよりもチームとしてそのやり方がはまったかなっていう感じですね。(4試合連続ゴールを決めたが調子はどうか)今日とかもあと2点くらい取れたかなって感じだったので。PKに関して蹴らせてくれた聡一に感謝ですし。他のチャンスでも決められないといけない。これからの5試合、大事なところで決められないと勝ち星を重ねられないと思うので。点に絡むことが自分の仕事だと思っているのでこれからもこだわってやっていきたいです。(逆転後に追加点を狙いにいこうとする声が日高選手から積極的に出ていたが)一戦一戦成長しなきゃいけないと思うし、毎試合学ぶことがあります。今回も1点差だったら勝てないのではないかと思ったし相手が10人なので守るのではなく点取りにいった方が相手にとって嫌だろうなと思ったので積極的に声を出していきました。(次の試合に向けて)この前の試合(神大戦)で負けはしましたが、今チームはとても良い状態だし、一人一人が自分の役割をわかっているので、次の相手に対しても自分たちのサッカープラス相手の特徴をしっかりつかんで試合に臨めば負ける相手ではないと思います。しっかり準備して勝ちをものにしたいなと思います。
河井
(今日の試合を振り返って)先制点を取られちゃったんですけど、その後逆転できたというのは収穫ですし、連敗しなかったのは良かったと思います。(試合内容は)中大は攻撃能力が高いので、守備陣が頑張ってくれれば勝てるんだろうなと思って試合に臨みました。先制点を取られて苦しい展開になったんですけど、点を取れないことはないと思っていたので、落ち着いて試合を運べたかなと思います。(中盤でフリーになる機会が多かったが)今日は真ん中でプレーさせてもらったので、上手くボールを引き出すということを意識していました。ただ少し下がり過ぎた部分があるんで、もうちょっと前の位置でプレーするというのを次の試合では意識したいと思ってます。(流経大戦に向けて)選抜でやったこともあるメンバーもいるので、やりにくい部分はありますけど、インカレを狙うにはもう1回連勝することが必要だと思うので、いい準備をして臨みたいなと思ってます。
松岡
(振り返って)非常に厳しい試合だったと思います。相手のフォワードに高さのある選手がそろっていたということや、前回の試合でセットプレーからやられてしまっていたこともあって、その対策はしていたのですが、立ち上がりにCKから失点してしまったのでそこは反省点だと思います。ただ、相手に退場者が出た後は自分たちのサッカーができたのでそこは良かったと思います。(立ち上がりの失点を除くとDFラインは締まっていた)相手のFWが前線に残っていても、完全に孤立している形だったので、そこはじっくりと対応して、リスクを考えた守備ができたかなと思います。(スタメンとして1年間やってきて余裕だったり、自信という面で手ごたえは)自分のプレーに関してはまだまだやらなくてはいけないなと思っています。ただこうやって試合に使ってもらって、ピッチに立てていることは非常に貴重なことなので、ピッチになった時は自信をもってプレーをしています。(残りわずかになったリーグ戦の意気込みを)残り数少ない試合ですが、貴重な経験だと思っています。いまの4年生にはうまい選手がたくさんいて、そんな4年生とプレーしたいという気持ちがあります。一試合でも多く戦って、上に行くためにも、残りの試合は強い気持ちをもって戦いたいと思います。
森田
(試合を振り返って)立ち上がり、少しふわっと入ってしまって、前の試合同様にセットプレーから失点してしまったのですが、相手に早い時間帯に退場者が出たことが(この結果に)表れたと思います。(久しぶりの先発出場でしたが)(先発で出られなかったときには)ずっと悔しい気持ちを持ち続けていました。ただ今日に関しては、自分のプレーの前に、前回チームが負けていたので、勝つことだけを考えてプレーしていました。(そんな中見事な逆転弾でした)シュート自体は河井君のおぜん立てという形だったし、後ろの人が必死に耐えてくれていた中で自分がたまたま決めたという感じだったと思います。ただ結果を残すということは重要なことですし、それがチームの結果につながったのでよかったと思います。(ここまでやってきて自身のプレーにて手ごたえは)リーグ戦が再開してから自分の中で、関東リーグの中でも余裕を持ってプレーすることができていた。個人的には思うところはないのですが、長い時間使ってもらって、その中でアピールすることができたのかなとは思います。(リーグ戦も残り少なくなってきたが)今のチームでもっとサッカーをやりたいという気持ちが強いです。自分の成長のためにも、4年生のためにも、試合に出られていないメンバーのためにも、できるだけ多く勝って日本一という目標に近づけたら良いと思います。
増田
(今日の試合を振り返って)立ち上がりに失点してしまって、自分達は今までも立ち上がりが課題だったので、そこで失点してしまってどうなるかと思ったんですけど、相手が退場して数的優位になって、前半もそれから自分達が主導権を握っていいサッカーが出来てましたし、前半は点を取れなかったですけど、後半は何とか大丈夫だろうと思ってました。(前線に飛び出す機会が多かったが)これまでも試合に出させてもらってたんですけど、チームに全然貢献出来てないなという不甲斐なさを感じてて、自分はディフェンス面で仕事をしろということを言われてたんですけど、やっぱり出てる以上はもっとやらないといけないなと思ってて、そういう面では立ち上がりから攻撃の方でも積極的にやろうということを意識していました。(ポジショニングについて)慶太君とか河井君が降りてくることが多かったので、そこで同じポジションにいても意味がないので、空いたスペースに自分が出て行ったりとか、そういうことを意識してやってました。(得点も挙げたが)相手は2列目からの飛び出しに弱いということだったので、それは何度もやってたんですけど、やっと慶太君と気が合っていいボールが来たので、決めれて良かったです。(インカレ出場に向けて)そうですね、やっぱり僕らは日本一というのを目標にやってるので、それは意識してます。開幕から出させてもらってるんですけど、自分が4年生から学べる時間もあと少ししかないので、インカレに出て1試合でも多く一緒にやりたいと思ってます。(流経大戦に向けて)流経の選手は個の能力が高いので、やっぱりまずディフェンスが重要になってくると思うので、今日みたいに積極的に自分の持ち味を出していければいいかなと思ってます。
慶大出場選手
GK 中川翔太(環4)
DF笠松亮太(総4)
DF松岡淳(商3)
DF黄大城(総4)
DF田中奏一(環4)
MF増田湧介(環1)→75分山浦公祐(商3)
MF藤田息吹(政3)
MF森田達見(商3)→88分長尾賢太郎(総1)
MF日髙慶太(総4)
MF河井陽介(政4)
FW大塚尚毅(総4)→67分風間荘志(商4)
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