第101回早慶対抗陸上競技会が日吉陸上競技場にて開催された。男子は100mで林明良(政3・攻玉社)の優勝やフィールド陣の活躍で食い下がるも、要所で得点を伸ばせず25-32で敗戦。女子も800mで4年生が意地を見せたが、総合力で及ばず12-26と苦杯を喫した。

3走三宅からアンカー吉岡へ(男子4×200mリレー)
♢結果♢
男子 ×慶大25ー32早大
女子 ×慶大12ー26早大
♢全選手成績(対抗戦出場選手のみ)♢
競技名 | 選手名 | 記録 | 順位・得点 |
男子4×200mR | 林明良(政3・攻玉社)―岩井章太郎(環4・同志社)―三宅陽立(環1・長田)―吉岡秀(経3・学習院) | 1分24秒72 | 2位・1点 |
男子100m | 林明良 | 10秒63 | 1位・3点 |
| 篠宮健吾(政4・慶應) | 10秒88 | 4位 |
| 田辺勇希(環4・成蹊) | 11秒01 | 6位 |
男子400m | 川西晴大(理1・早稲田) | 48秒64 | 3位・1点 |
| 横井健道(法4・城北) | 49秒19 | 4位 |
| 久保亮太(法3・慶應志木) | 49秒50 | 6位 |
男子1500m | 井上丈瑠(経4・長岡) | 4分5秒44 | 2位・2点 |
| 野田大晴(経3・慶應湘南藤沢) | 4分8秒61 | 5位 |
| 辻文人(理2・都立駒場) | 4分10秒14 | 6位 |
男子110mH | 岩井章太郎(環4・同志社) | 14秒05 | 3位・1点 |
| 五十嵐大輝(総2・川和) | 14秒76(PB) | 4位 |
| 藤原聡大(商2・佐原) | 15秒26 | 5位 |
男子棒高跳 | 鎌形圭佑(経4・慶應) | 3m80 | 2位・2点 |
| 大熊靖吾(環2・都立駒場) | 3m10(PB) | 3位・1点 |
| 渡部瑞己(理1・湘南) | 2m60 | 5位 |
男子走高跳 | 須﨑遥也(商3・丸亀) | 2m03 | 1位・3点 |
| 若原祐人(経4・慶應) | 1m85 | 2位・2点 |
| 渡部瑞己 | 1m70 | 4位 |
男子走幅跳 | 細萱颯生(政2・桐朋) | 7m22 | 1位・3点 |
| 田中大梧(理4・高松) | 6m73 | 4位 |
| 黒川拓人(総3・慶應湘南藤沢) | 6m35 | 5位 |
男子やり投 | 小倉拓己(理2・南多摩中等) | 49m35 | 4位 |
| 山田直弥(商4・清水南) | 45m17 | 5位 |
| 岸村祐月(環1・八日市) | 記録なし | |
男子円盤投 | 高橋諒(商2・桐朋) | 34m | 1位・3点 |
| 山田直弥 | 31m88 | 2位・2点 |
| 大熊靖吾 | 25m53 | 6位 |
女子4×100mR | 玉置彩乃(文2・成田)―清水美甫(環3・中大附属)―藤井菜々子(法1・修猷館)―山川菜々子(文1・宇都宮女子) | 48秒73 | 2位・1点 |
女子200m | 清水美甫 | 26秒55 | 3位・1点 |
玉置彩乃 | 27秒54 | 4位 | |
女子800m | 井上汐莉(法4・韮山) | 2分14秒49 | 1位・3点 |
鴨下友織菜(環4・都立三鷹) | 2分16秒30 | 3位・1点 | |
女子100mH | 喜久里彩吹(商1・那覇国際) | 15秒63 | 3位・1点 |
女子走高跳 | 佐田那奈(看2・福岡雙葉) | 1m50 | 2位・2点 |
女子走幅跳 | 喜久里彩吹 | 5m32 | 2位・2点 |
| 浅見姫菜(商2・都立駒場) | 5m12 | 3位・1点 |
女子やり投 | 浅見姫菜 | 35m30 | 3位・1点 |

今年で101回目をむかえた早慶戦
昨年節目の100回目を迎え、新たな100年への一歩目となった今大会。舞台となった慶大日吉陸上競技場のスタンドには、悪天候の中多くの観客や応援団が駆けつけた。早慶戦では、男子10種目/女子7種目が行われ、各種目の順位に応じて加算される得点の総合点で勝敗を争う。

両校の応援団の後押しも受けた(写真は大会最優秀選手に選ばれた林)
3年ぶりの優勝を目指した男子戦では、トラック/フィールド種目それぞれに実力者が出場し早大に肉薄。しかし、1位・3点獲得が10種目中4種目に留まったことで得点を伸ばしきれず、25-32で敗北した。2022年の開催以降、未だ勝利がない女子戦も、4年生が意地をみせ、下級生が奮闘するも、全体的に早大に力の差を見せつけられ、12-26で敗北した。大会最優秀選手には、男子100mで優勝を果たした林が選ばれた。
ここからは今大会特に活躍が光った種目・選手を取り上げていく。
♢男子戦♢
昨年は2種目のみでの得点獲得に終わったトラック種目。慶大は意地を見せる。

男子100mで優勝を果たした林(写真左)
まずこの試合最大のハイライトは100m。林明良(政3・攻玉社)が競り合いを制し優勝、3点を獲得した。この種目での優勝は2018年の永田駿斗(平30卒)以来7年ぶりの快挙。直近のレースで100m/200mそれぞれで自己記録を更新してきた好調そのままに、早慶戦の花形種目を制した。

男子1500mで2位に入った井上(丈)
110mHでは、岩井章太郎(環4・同志社)が昨年同様2着でゴールし、2点を獲得。1500mでは、井上丈瑠(経4・長岡)が2着に入り、2点を獲得するなど、4年生の活躍が随所で光った。

男子400mで3位に入った川西
400mでは、ルーキーの川西晴大(理1・早稲田)が学生トップレベルの記録を持つ早大・森田陽樹(創理3・早稲田本庄)らを相手に力走を見せ、3着・1点を獲得。早慶戦で同種目で何度も自己記録を更新してきた短長ブロック長・横井健道(法4・城北)は4着、ラストランで2年連続の得点とはならなかった。

力を振り絞る選手たち
最終種目、対抗男子4×200mリレーには、林、岩井、三宅陽立(環1・長田)、吉岡秀(経3・学習院)が出場。今季リレーで活躍してきた篠宮健吾(政4・慶應)を欠く布陣の中、慶大は早大とデッドヒートを繰り広げる。1走・林が100mで優勝した勢いそのままに先頭に。2走、3走で逆転を許すも、アンカー吉岡が猛追をみせる。一度は背中を捉えるも、最後の50mで再び引き離され惜しくも2着となった。

1走林から2走岩井へ

2走岩井から3走三宅へ
昨年の早慶戦で大きな躍進を遂げたフィールド種目。まず、慶大勢が躍動したのは、昨年表彰台独占を果たした走高跳だった。連覇を狙う若原祐人(経4・慶應)、2m16の自己ベストを持つ須﨑遥也(商3・丸亀)、渡部瑞己(理1・湘南)の3選手は、1m85を一回で通過し、2年連続の表彰台独占を確定させると、渡部が1m85で3位、若原が1m90で2位、そして須﨑が単独トップとなる1m95を飛び優勝。慶大は計6点を同種目で獲得した。

男子走高跳で優勝を果たした須﨑

2位に入った若原

3位に入った渡部
走幅跳でも、昨年同種目で3位の細萱颯生(政2・桐朋)が最終6回目の跳躍で7m22を記録し優勝、3点を獲得した。

男子走幅跳で優勝した細萱
棒高跳では、大熊靖吾(環2・都立駒場)が3m10を記録し3位、昨年同種目2位の鎌形圭祐(経4・慶應)が3m80で2位に入るも、4m70を記録し優勝した早大の佐々木秀晟(スポ2・高松第一)には大きく突き放される結果となった。

男子棒高跳で2位に入った鎌形
円盤投では、今年の関東インカレ・十種競技で連覇を果たした高橋諒(商2・桐朋)が一投目で34m00を記録し優勝。貴重な3点を慶大にもたらした。また、今年度投擲ブロック長を務めた山田直弥(商4・清水南)が2位、大熊靖吾(環2・都立駒場)も得点の獲得こそならなかったものの、最終6投目で自己ベストとなる25m53を記録。今後の更なる活躍に期待を抱かせる結果となった。

男子円盤投で優勝を果たした高橋
♢女子戦♢
慶大最大の見せ場は800m。今大会が大学ラストレースとなる副将・鴨下友織菜(環4・都立三鷹)と井上汐里(法4・韮山)の4年生コンビが出場した。井上が2周目から先頭に立つと、ラストの直線で抜け出し2分14秒49で優勝、それに続いた鴨下も2分16秒30で3位に入り、慶大に貴重な4点をもたらした。

ラストスパートを決め優勝を果たした井上(汐)
100mH では、1年生の期待の新人・喜久里彩吹(商1・那覇国際)が15秒63で3位。200mでも、清水美甫(環3・中大附属横浜)が粘りの走りで26秒55を記録し3位。それぞれ1点を獲得し、さらにチームを勢いづけた。

女子200mで3位に入った清水
しかし、最終種目である4×100mリレーでは、200m3位の清水、2年生・玉置綾乃(文2・成田)、そして藤井菜々子(法1・修猷館)、山川菜々子(文1・宇都宮女子)の1年生2人を起用するフレッシュな布陣で臨むも、スタートから突き離される展開となり、48秒73で2位。同種目初優勝とはならなかった。

2走清水から3走藤井へ(女子4×100mリレー)

3走藤井から4走山川への1年生リレー
フィールド競技では、走幅跳にて喜久里が5m32で2位、十種競技を専門とする浅見姫菜(商2・都立駒場)が5m12で3位に入り、合計3点を慶大にもたらした。

100mHと走幅跳2種目で得点した喜久里
走高跳には、佐田那奈(看2・福岡雙葉)が出場。昨年度の日本インカレ覇者・矢野夏希(スポ3・時習館)との一騎打ちとなったが、1m70を記録した矢野には及ばず、2位となった。

女子走高跳で2位の佐田
男子はフィールド陣を中心に得点力を示したが、トラック種目での取りこぼしが響き、優勝には届かなかった。女子も800mを筆頭に成果を挙げつつ、総合力では早大が上回った。慶大は来季以降、トラックでの底上げと若手の成長が勝利への鍵となる。
それでも、男子100m・林の優勝や女子800m・井上(汐)のラストスパート、男子走幅跳・細萱の最終跳躍での逆転優勝など、今年のスローガン“此処ぞ、勝ち鬨”を体現する勝負強さを各選手が随所に発揮した。
今大会は、井上や鴨下、若原など、多くの4年生にとっては最後の対抗戦となった。彼ら“競走部第108代”が残した確かな足跡を心に刻み、慶大競走部は次なるシーズンへ歩みを進める。
試合後に選手の皆様に行ったインタビュー記事もぜひ併せてご覧ください(【競走】第101回早慶対抗陸上競技会 試合後インタビュー | KEIO SPORTS PRESS)
(取材:吾妻志穂、長掛真依、小澤理太、片山春佳、神戸佑貴、小林由奈、五條理子、竹腰環、中原亜季帆、野村康介、檜森海希、山口和紀)