8月10日、新潟県三条市の三条パール金属スタジアムで開催予定だった次世代育成大学野球サマーリーグ・慶應義塾大学と早稲田大学の一戦は悪天候のため中止となったが、球場では慶應義塾大学應援指導部・早稲田大学応援部による応援合戦が行われた。降りしきる雨の中行われた熱い応援合戦の様子に、ケイスポが迫った。
次世代育成大学野球サマーリーグは2015年から毎年夏に開催されており、今年で11回目を迎える。1、2年生が中心に出場し、野球の技術向上にとどまらず地域貢献も目標に掲げ、三条市をはじめとする新潟県の各地で熱戦が繰り広げられている大会だ。慶大と早大の伝統の一戦は、降雨による悪天候で前々から開催が危ぶまれており、なんとか試合を開催しようと運営・スタッフが尽力したものの、試合開始時刻である13時に近づくにつれ雨が一層強くなり、グラウンドコンディションがかなり悪くなってしまった。13時頃、無念の試合中止が発表されたが、両校応援団による応援合戦は行うとのアナウンスが。駆け付けた両校のファンは応援合戦のため球場に残り、今か今かと開始を待ちわびていた。
13時45分、スタンドに設置されたステージ上で応援合戦が始まる。両校応援団による挨拶のあと、「若き血」にのせて試合出場予定だった慶大野球部の選手たちが三塁側から登場。続いて、「紺碧の空」にのせて早大野球部の選手たちが登場した。
最初に演奏されたのは「Blue Sky KEIO」と「Blue Sky WASEDA」。両校合同で作られたこの応援歌は、学校名を除いた全ての歌詞が同じで、應援指導部・Kさんによると「慶早戦の伝統を表している」とのこと。爽やかな旋律に早慶のファン・選手たちの歌声が乗り、球場に共鳴していた。
続いて、“慶應義塾が誇る名応援歌中の名応援歌”、「若き血」が演奏される。野球部員が肩を組んで左右に揺れ、早慶合同の吹奏楽団による美しい音色が三条の地に高らかに響いた。早大も「紺碧の空」を演奏し、エンジ色のグッズを持ったファンたちが熱唱していた。
そして、お待ちかねのチャンスパターンメドレーの時間。枝廣二葉代表の「金属は雨に強い」という球場名の三条パール金属スタジアムになぞらえた声掛けののち、雨を吹き飛ばすような熱い応援が始まった。「そら慶應」から「シリウス」、「アニマル」、「アンタレス」、さらに、慶應の勝利を呼び込む大人気曲の「朱雀」が演奏され、野球部員が待ってましたと言わんばかりに飛び跳ねながら応援に参加した。続いて、「アラビアンコネクション」、「突撃のテーマ」から「コールケイオウ」、「ダッシュケイオウ」の鉄板の流れで、慶大ファンたちはこの日一番の大盛り上がり。どこに行っても変わらない慶應義塾への愛が、スタンドに溢れていた。応援合戦の間も雨は止むことはなく、時折激しさを増していたが、「「雨だから」を言い訳にせずに、むしろ「雨だから」こそがむしゃらに声を張り続けました」というKさんの言葉の通り、雨音をかき消すほど大きな声で応援をリードする應援指導部員の姿が随所に見られた。
早大もお馴染みのメドレーで盛り上げる。雨が米を育て、私たちや選手たちの食卓に届く。恵みの雨と米どころ・新潟への感謝を伝え、「大進撃」や「コンバットマーチ」など、稲穂軍団の名応援歌を届けた。
印象的だったのは、互いに自校の応援歌のみならず相手校の応援歌も歌い、応援を盛り上げていたことだ。應援指導部員が早大の各応援歌を手拍子で盛り上げ、一方早大応援部も慶大の「シリウス」など応援歌に合わせて観客をリードし、また「若き血」の演奏の際は慶大の野球部員だけでなく早大の野球部員も肩を組んで左右に揺れ、「紺碧の空」の際も同じように早慶両方の野球部員がそれぞれ肩を組んで応援歌にノっていたシーンなど、その他にも多くのシーンで両校の絆が感じられる応援合戦だった。戦国時代、信濃の上杉謙信が敵対していた甲斐の武田信玄が塩不足に苦しんでいた際、武田軍を救うため塩を送ったという逸話のように、互いにリスペクトを持ち、ときには励まし合い、助け合う関係性。1903年に始まり、現在も歴史が紡がれ続ける早慶戦。その伝統の所以を、新潟・三条の地で見ることができた。
応援歌の演奏が一通り終了した後は両校野球部員による挨拶が執り行われ、慶大は近藤大翔(経4・慶應湘南藤沢)学生コーチが秋季リーグでの優勝と早慶戦勝利を誓い、お開きとなった早慶による特別なステージ。激しい雨の中、三条パール金属スタジアムに訪れた両校のファンをはじめとする多くの観客は、晴れやかな表情で球場を後にしていった。
~インタビュー~ K.Sさん
Q.応援合戦を終えてみての率直な感想をお聞かせください
A.1年に1回のみの夏の慶早戦が実施されなかったことは大変残念でしたが、地元の三条市の方々、そして出場予定であった選手の方々と共に、一体感のある空間を作りあげることができて素直に嬉しかったです。試合結果など記録には残りませんでしたが、みんなの記憶には残る1日となりました。
Q.雨天の中での応援で意識されていることはありますか
A.「雨だから」を言い訳にせずに、むしろ「雨だから」こそがむしゃらに声を張り続けました。慶早戦は何かと雨天が多いので、逆に適した天候であるとポジティブに捉えていました。
Q.Blue Sky KEIOとBlue Sky WASEDA について、どんな想いが込められていますか
A.これまでも、これからも続いていく「慶早戦の伝統」を表しています。この曲は記念すべき慶早戦90周年をお祝いして早慶合同で作成された曲なので、応援席にいらっしゃる際には是非覚えてきてほしいです。
(取材:柄澤晃希)