8月30日(土) 2025全早慶野球戦愛媛大会 @坊っちゃんスタジアム
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
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全慶大 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 1 | 1 | 4 |
全早大 | 0 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 4 |
松山市の坊っちゃんスタジアム開場25周年を記念し、愛媛県にて開催された全早慶野球戦。先発の渡辺和大(商3・高松商業)は4点を失い、打線も全早大の先発・髙橋煌稀(スポ2・仙台育英)を打ちあぐね、5回終了時点で0-4と厳しい展開を強いられた全慶大。そんな中、6回表に飛び出した山本晃大(令5総卒・現JR東海)の適時二塁打を皮切りに、7回、8回と1点ずつ返し3-4と全早大に迫ると、9回表1死一、三塁の場面で小原大和(環3・花巻東)が犠飛を放ちついに同点に追い付く。6回から登板した4人の中継ぎ投手も好投を見せ、全早大に追加点を許さず4-4で試合終了。現役・OB選手が団結し、両校の誇りをかけて挑んだ戦いは、前日のオール早慶野球戦名古屋大会に続き引き分けに終わった。
全早大の先発は、春のフレッシュトーナメント慶大戦で6回9奪三振1失点と好投した右腕・髙橋。絶対的エース・伊藤樹(スポ4・仙台育英)、左腕エース・宮城誇南(スポ3・浦和学院)の大学日本代表コンビに次ぐ先発候補としてアピールを続けている速球派だ。1回表、全慶大の切り込み隊長・今津慶介(総3・旭川東)は中飛に打ち取られ、続く小原は遊ゴロ。3番・渡辺憩(商2・慶應)が初球の149km/hの速球を捉え、左前に安打を放つが山本晃の打席で渡辺憩が盗塁失敗し無得点に終わる。
一方全慶大の先発は、直球とスライダーの抜群のコンビネーションで打者を手玉に取る快速左腕・渡辺和。四国地方出身の渡辺和、いわば凱旋登板となるマウンドで結果を残せるか。初回は1番を打つ六大学屈指の安打製造機・尾瀬雄大(スポ4・帝京)に対し、カウント2−0から直球を投じ、バットを真っ二つに折って遊ゴロに打ち取る。続く渋谷泰生(スポ4・静岡)、早大主将の小澤周平(スポ4・健大高崎)もテンポ良く打ち取り、三者凡退で終える。

地元四国出身・渡辺和が先発マウンドへ
試合が動いたのは2回裏、先頭の4番・寺尾拳聖(人3・佐久長聖)に二塁打を放たれると、続く前田健伸(商4・大阪桐蔭)にカウント1ー2から低めの変化球を上手く合わせられ、右前への先制適時打を許す。さらに2死二塁で森田丈士(人4・土佐塾)を打ち取ったかに思えたが、打球は左前にポトリと落ちる安打となり二塁走者が生還。一挙2点を失う。
3回まで無安打と髙橋に抑えられていた全慶大は4回表、先頭の小原がチーム初安打となる右翼フェンス直撃の二塁打、続く渡辺憩が死球で無死一、二塁と同点のチャンスを作る。ここで打席には、今大会における全慶大唯一のOB・山本晃。大きな期待がかかったがフルカウントから三振に抑えられ、後続も打ち取られて二者残塁と髙橋を攻略できない。その裏渡辺和は四球と失策で走者を溜め、1死二、三塁とピンチを背負うと9番・尾形樹人(スポ2・仙台育英)を空振り三振に仕留めるも、続く尾瀬に右前への2点適時打を打たれてしまう。5回は両軍得点なく、0ー4と4点ビハインドで前半終了。渡辺和は不運な被安打などもあり、5回81球、被安打5、与四死球2、奪三振2、4失点(自責2)でマウンドを降りた。

チーム初安打となる二塁打を放った小原
試合の流れが変わったのは6回表。1死一塁の場面で打席には山本晃。カウント0-1から全早大2番手・香西一希(スポ3・九州国際大付)の投球を完璧に捉えると、打球は左中間を破る適時二塁打に。反撃の狼煙を上げる。6回裏、渡辺和に代わり竹内丈(環3・桐蔭学園)が登板。竹内は四球で走者を出すも落ち着いた投球を見せ、1回を無失点で投げ切り、慶大に流れを呼び込む。続く7回表、2死三塁で今津に打順が巡る。春は右打席を封印していたものの、本来は両打登録の今津。東京六大学野球オールスター戦では左投手相手に右打席で安打を放つ場面もあったが、ここは左投手の香西相手に左打席に立つ。すると初球、三塁側にセーフティーバントを仕掛ける。香西は素手で捕球し一塁へ送球する完璧な守りを見せたが、今津の足と執念が上回り、ヘッドスライディングで一塁セーフ。三塁走者が生還し2点差となる。その裏、竹内に代わり四国地方出身の右腕・坂中大貴(商4・高松商業)がマウンドに。坂中はサイドスローから丁寧に投げ込み、高松商業高校の後輩・井櫻悠人(スポ3・高松商業)を中飛に打ち取るなど三者凡退に抑える。

反撃の狼煙をあげた山本の一打

無失点投球を披露した竹内

高松商業出身の坂中も無失点に抑える好投
完全に試合のペースを掴んだ全慶大は8回表、連続四球から代打・上田太陽(商3・國學院久我山)の進塁打で1死二、三塁と全早大3番手・森山曜一朗(スポ3・広陵)を攻め、抑えの剛腕サイドスロー・田和廉(教育4・早実)をマウンドに引きずり出す。一打同点の場面で、守備から途中出場の八木陽(法2・慶應)が打席へ。バットを短く持った八木は、初球を捉えるも田和の正面をつき投ゴロに。田和はバックホームし、スタートを切っていた三塁走者・渡辺憩がアウトになると思われたが、送球が少し一塁側に逸れ、本塁生還。続く同点のチャンスは活かすことが出来なかったものの、1点差に迫る。
裏の守りを春季リーグの早慶1回戦で好投した田上遼平(商3・慶應湘南藤沢)がきっちり抑え、3-4で迎えた最終9回表。回跨ぎとなった田和に対し、全慶大打線は積極的な仕掛けを見せる。先頭の森村輝(総4・小山台)は初球で三ゴロに打ち取られるが、続く常松広太郎(政4・慶應湘南藤沢)も初球攻撃。打球はあっという間に一、二塁間を破る右前への安打となり、同点の走者が出塁する。打順は一番に還って、前打席で適時打を放っていた今津。1ボールから常松がスタートを切ると、今津が右方向に打球を飛ばし、飛び込んで捕球しに行った二塁手のグラブの先を抜ける安打に。常松は二塁を蹴って一気に三塁を陥れ、完璧なヒットエンドランが成功。1死一、三塁と一打逆転の絶好機を作り、小原が打席に入る。小原は初球、高めの球を打ち上げると、中堅方向への大飛球に。井櫻が捕球するも、犠飛には十分な飛距離。常松がタッチアップから生還し、ついに同点に追い付く。その後、今津が盗塁を決め2死二塁と勝ち越しの場面を作ったが、渡辺憩は三振に倒れ、全慶大の勝利はなくなった。

2試合連続の登板も安定した投球を見せた田上
全慶大、最終回のマウンドには直球で押すサイド右腕・松井喜一(経2・慶應)が上がる。松井は1死から変化球が抜け死球を与えるも、冷静に修正し吉田瑞樹(スポ4・浦和学院)を変化球で空振り三振。最後は井櫻を左飛に抑え、試合終了。4-4の引き分けに終わった。
序盤は、コンスタントに140km/h後半を記録した髙橋の力強い直球・低めの変化球に苦しめられ、渡辺和も打ち取った当たりが安打となるなど劣勢だった全慶大だが、髙橋降板後は打線が繋がりを見せ、中継ぎ投手陣も奮闘。驚異的な粘りで引き分けに持ち込んだ。春のリーグ戦、7敗のうち4敗が1点差とあと一歩及ばない試合が多かった慶大。4点差を追い付いての引き分けは、秋に向けて大きな収穫となっただろう。
(取材、記事:柄澤晃希、神戸佑貴、工藤佑太)