後期リーグでは未だ勝ち点3を奪えていない慶大は、初勝利を懸けて第16節・国士舘大学戦に臨んだ。小雨の影響で滑りやすいピッチコンディションのなか、前半はチャンスを数回作るもシュートの精度を欠き決めきれず、守備では洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)の再三のビックセーブに助けられながらゴールを割らせず、0-0で終了。後半開始から両者攻勢を強め、それぞれ決定機を迎えるも決めきれず、膠着した展開が続く。しかし84分、洪潤太が相手のロングキックの処理を誤り、ボールを奪われて先制点を許す。このままでは終われない慶大は90+7分、コーナーキックの流れから相手のハンドを誘いペナルティキックを獲得する。このPKを角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)が冷静に決め同点に追いつく。ところが直後の90+7分、自陣でのボールロストから相手の突破を許し、強烈なシュートを叩き込まれて勝ち越される。試合はこのまま終了し、1-2と悔しい敗戦となった。
2025/10/11(金)14:00キックオフ@国士館大学楓の杜キャンパスグラウンド
【スコア】
慶應義塾大学1-2国士館大学
【得点者】
84分 国士大 本間凜
90+7分 慶大 角田惠風(PK)
90+7分 国士大 皆川春輝
【慶大出場選手】 | |
ポジション | 背番号 選手名(学部学年・出身高校) |
GK | 1 洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース) |
DF | 3 三浦成貴(商3・浜松開誠館) |
| 4 斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18) |
| 6 永澤昂大(政4・國學院久我山) |
| 27 霜田晟那(理1・都立八王子東/FC町田ゼルビアユース) |
| →88分 16 藤平一寿(法4・桐蔭学園) |
MF | 7 齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース) |
| 8 田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース) |
| 10 角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース) |
| 14 村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬U-18) |
| →67分 23 三浦大其(経2・慶應) |
| 18 石田航大(政3・慶應/ブリオベッカ浦安U-18) |
| →91分 22 梅野真生(総2・成蹊/横河武蔵野FC U-18) |
FW | 30 オノノジュ慶吏(政1・前橋育英) |
| →78分 15 洪潤紀(政2・國學院久我山) |
小雨が降り注ぐ中でのキックオフとなり、序盤は両チームともに滑りやすいピッチコンディションに慣れるためか、ロングボールなどのセーフティなプレーを選択。ボールが落ち着かない展開が続いた。徐々にピッチに慣れてきた慶大は、ビルドアップから攻撃を組み立てる“中町スタイル”でボールを保持しながら相手ゴールへ迫り、11分にはルーズボールを拾った田中雄大(商4・成城学園/三菱養和SCユース)がこの試合初めてのシュートを放つも、相手ディフェンダーにブロックされてしまう。

田中の得意のミドルシュートが炸裂
先制点を奪いたい慶大は17分、中央でのパス交換から齋藤真之介(経4・桜修館/FC町田ゼルビアユース)が左サイドから中へクロスを送り、オノノジュ慶吏(政1・前橋育英)がシュートを放つも、相手ディフェンダーに弾かれゴールには結びつかない。前半中盤あたりから相手の激しいプレスにパスがなかなか通らなくなり押し込まれる展開が続く。25分、相手フリーキックのリスタートから鋭いミドルシュートを浴びるも、慶大の守護神・洪潤太(政4・東京朝鮮中高級学校/三菱養和SCユース)がスーパーセーブ。ここから相手の時間帯が続き、28分、29分と立て続けにピンチを迎えるも、洪潤太が驚異的な反応を見せ、得点を許さない。

スタメン出場の続くオノノジュ
反撃に転じたい慶大は31分、右サイドで村井亮友(商4・桐生/ザスパクサツ群馬U−18)の華麗なフリックから石田航大(政3・慶應/ブリオベッカ浦安U-18)が前線のオノノジュへスルーパス。相手ゴールキーパーと1対1の局面になりシュートを放つも、足でブロックされ先制点とはならない。

久々のスタメン起用となった石田
34分には相手ディフェンダーがゴールキックを2度蹴りし、間接フリーキックを獲得する。田中のフリックを受けた角田惠風(商4・慶應/横浜F・マリノスユース)のシュートは壁に弾かれるが、波状攻撃を仕掛け相手ゴールに迫る。

間接フリーキックのチャンスも実らず
慶大がボールを握る時間帯が続き、前半最後の決定機は44分、高い位置で相手の横パスをカットした村井が石田へパスを送り、石田はミドルシュートを選択。しかしわずかに左へ外れ、そのまま0-0で前半は終了した。後半開始から積極的に攻撃を仕掛ける慶大は52分、自陣の中央から角田がオノノジュへ浮き球のスルーパスを送り決定機を迎えるも、ここはオフサイドの判定。54分、相手のハイプレスから危険な位置でボールを失い、左サイドのクロスからオーバーヘッドシュートを打たれるも、洪潤太がまたしてもビックセーブを見せ、窮地を脱する。

CBでの出場となった三浦成
再三のビックセーブに応えたい慶大攻撃陣は61分、最終ラインに落ちた角田から相手のギャップを通すパスを受け、フリーになった左サイドバックの永澤昂大(政4・國學院久我山) がハーフウェイライン付近から一気にスピードアップして中央へ侵入。右サイドへのパスは相手に止められたものの、こぼれ球を拾った田中が遠めから低弾道の強烈なミドルシュートを放つ。しかし相手ゴールキーパーの右手一本のスーパーセーブによりゴールを割ることはできない。

再三の好機を活かせない
67分には村井に代えて三浦大其(経2・慶應) を、78分にはオノノジュに代えて洪潤紀(政2・國學院久我山)を投入し攻撃の活性化を図るも得点を奪えず、また集中した守備からゴールを割らせず、膠着した状態が続く。しかし84分、相手のロングキックが慶大ディフェンスラインとゴールキーパーの間に抜け、洪潤太がボールを流してペナルティエリア内でキャッチして処理を試みるも、これを相手フォワードに奪われてそのまま無人のゴールに決められ、痛恨の先制点を許す。

後期戦初出場の洪潤紀
慶大イレブンは洪へのファウルがあったのではないかと抗議するも、判定は変わらずゴールが認められた。残り少ない時間で同点に追いつき、さらに逆転したい慶大は88分に霜田晟那(理1・都立八王子東/FC町田ゼルビアユース)に代えて藤平一寿(法4・桐蔭学園)を、90+1分には石田に代えて梅野真生(総2・成蹊/横河武蔵野FC U-18)を投入し攻勢を強める。

途中出場の藤平
90+7分、田中のコーナーキックからキーパーに競り勝った斎藤大雅(文3・立命館宇治/京都サンガF.C.U-18)がヘディングシュートを放つ。これを相手選手が2010年の南アフリカワールドカップにおけるウルグアイ代表、ルイス・スアレス選手を彷彿とさせるハンドブロックを犯し、レッドカード。ペナルティキックを獲得する。キッカーの角田が落ち着いて右へ流し込み土壇場で同点に追いつくことに成功する。

しっかりと決め切った角田

歓喜は一瞬だった
しかし直後の90+7分に自陣の左サイドでボールを失い、相手右サイドハーフの独力での突破を許し、角度の厳しいところから強烈なシュートを決められ、勝ち越しを許す。試合はこのまま終了し、1-2で敗戦となった。終了間際で得点を許し、勝ち点を逃す結果となったが、下を向いている時間はない。今節の収穫と反省を生かし次節の後期初勝利を期待したい。

悲劇的な敗戦となった
(記事:甲大悟 取材:塩田隆貴、小野寺叶翔、甲大悟)