6月16日、東京都知事杯令和8年度東日本学生レスリングリーグ戦が開幕した。2部の慶大は17日の予選Aグループ、18日の順位決定戦に臨む。予選グループで1位になれば、昇格を懸けた18日の入れ替え戦に進出する。
「去年は(2部)優勝できたものの入れ替え戦では勝てずに1部昇格ができなかったので、1部昇格を目指すことを大前提として、チームとして一つ上に成長できるような試合をできればと思います」。今回が最後のリーグ戦となる髙橋慧大(商4・慶應)主将。1部昇格への想いを語ってくれた。
髙橋の1年時は2部5位。メンバーが揃わず、不戦敗になる階級も多かった。2年時は優勝したが、リーグ改編の影響もあって1部昇格は叶わなかった。3年時も優勝したが、昇格を懸けた入れ替え戦に敗れて2部に残留。今回はラストイヤーでの悲願達成を目指す。
下級生の頃に比べると、部員はかなり増えた。「正直僕が入った時からするとびっくりで、信じられないですけど、ただそれだけの努力はしましたし、環境は変わりましたけど昔からみんなで勝って1部に昇格したいという想いは全く変わらないので、それを達成できる現状に嬉しく思います」。主将としてマットの外でも新入部員の勧誘に尽力し、強い慶大をつくってきた自負がある。
今大会は7つの階級(50−57kg級、61kg級、65kg級、70kg級、74kg級、86kg級、86−125kg級)に分かれた団体戦。4勝以上(勝ち越し)したチームが勝利となる。出場は男子選手のみで、フリースタイルが適用されている。
棄権した1試合を除いて3年間無敗とリーグ戦に強い髙橋は、65kg級に出場する。昨年度のリーグ戦、敗色濃厚で多くの選手が「希望を捨てていた」法大戦と青学大戦では、髙橋の勝利で流れが変わり、劇的な2部優勝を果たした。背中で語る主将は、今大会のキーマンとしてチームメイトから名前を挙げられている。

髙橋
前年度まで髙橋が出場していた61kg級は、ニューヒーロー・菅原大志(商1・慶應)が中心となる。今年4月のJOCジュニアオリンピックカップU20で2大会連続の3位入賞を果たした期待のルーキーだ。今回は普段より遅めに減量を始めたが、体の動きは悪くないと語る。

菅原
50−57kg級は、昨年7月の東日本学生選手権(春季)新人戦フリースタイルB61kg級で準優勝した笹沼拓己(政3・淑徳)。

70kg級は、レスリング未経験で入部ながら、パワーとメンタルを武器に主力選手の座に昇り詰めた松村朝矩(政2・慶應)。

松村
74kg級は、トリプルエースの1人目、瀧澤勇仁(経2・慶應)。今年5月の明治杯(シニア全国大会)でベスト8に輝いた実力者だ。昨年度のリーグ戦は大会1週間前に右足首を負傷し、ベストコンディションとはほど遠かったが、チームのために体を張って強行出場。2部優勝に貢献した。

瀧澤
86kg級には、トリプルエースの2人目、岡澤ナツラ(法2・慶應)副将。今年6月の明治杯でシニア選手に敗れて惜しくも2位に終わったが、大学ではほとんど敵無しの状態。6月10日には今年のシニア世界選手権に日本代表として出場することが決まった(詳細はページ下部に記載)。

岡澤
86−125kg級には、トリプルエースの3人目、佐藤秀一郎(環4・八千代松陰)副将。今年3月のJOCジュニアオリンピックカップU23で優勝し、U23世界選手権への出場を決めた。髙橋と共に1年生の頃から慶大を支えてきた一人だ。

佐藤
2年続けて2部で優勝しながら、あと一歩のところで昇格を逃してきた。髙橋や佐藤ら、チームを支えてきた4年生たちにとってのラストチャンス。総力戦で〝三度目の正直〟を目指す。
【意気込みのコメント】
髙橋:僕は今までリーグ戦で負けたことがないので、今年も全勝を狙って、無敗のまま大学生活を終えたいと思います。
近藤大朗(総3・名古屋):去年の悔しい想いを、去年と同じ場所で晴らしてきます。
飯澤山太郎(文2・國學院久我山):慧大くん(髙橋)よりも勝ちます。
岡澤:毎年「1部昇格1部昇格」と言っていて、今年は選手も揃ってきているので有言実行して来年から1部で戦いますので、ぜひお時間ある人は応援に来てください。
松村:去年は入ったばっかりで応援係で、今年は出られるので頑張ります。
菅原:士気を上げられるような戦い方をして、しっかりポイントゲッターとして勝ちたいと思います。
【岡澤 繰り上げで世界選手権出場決定】
6月10日、2026世界選手権の日本代表選手が発表された。フリースタイル86kg級は石黒隼士(自衛隊体育学校)が代表権利を勝ち取っていたが、出場を辞退。優先順位2番目の岡澤が繰り上がった。
5月23日の明治杯決勝で岡澤は石黒に敗れ、世界選手権の代表権利は石黒が獲得した。しかし、石黒は明治杯直後には世界選手権の出場辞退の可能性を口にしていた。岡澤はそれを聞いた当時、「びっくりして言葉が出ないですが、もし出られる機会があるのであれば、人間性もレスリングの強さも、まだまだ石黒さんのレベルには及ばないですけど、そこまでに少しでもトップクラスになりたいと思います」と語っていた。
出場が決まり、改めて岡澤に話を聞くと、「全日本(明治杯)のモチベーションは、前回(天皇杯)で負けた相手(髙橋夢大(三恵海運株式会社))にリベンジすることで、それができて決勝に行けて、世界レベル(石黒)と戦えてすごくいい収穫だなと思った締めくくりにまさかのことが飛び込んできて、『ほんとうに自分でいいのかな』と、思わない日はないです。自分がシニアの日の丸を背負っていいのかと、不安ばっかりです」と、まだ実感は湧いていないようだった。
今年の世界選手権には慶大から岡澤がU20とシニア、佐藤がU23、コーチのオリンピアン・尾﨑野乃香(令8環卒)がシニアの大会に出場する。
(記事:柄澤晃希)

