「今年も前日になってしまった」。夏休み最終日の9月30日、坪井代表に残されていた“宿題”は「夏休み中に二つ目の勝ち点を取ること」だった。雨天による度重なる順延を経て迎えた立教大学2回戦。平日の神宮でも応援席の熱気は衰えず、應援指導部は大きな声援で選手たちを後押しした。終盤には打線も勢いを増し、最後は6-0で快勝。慶大は開幕4連勝を飾り、坪井代表が掲げた“夏休み最後の宿題”も見事に完遂した。
9月30日(水)慶應義塾大学⚪️6-0⚫️立教大学
〜試合概要〜
慶大は初回から再三得点圏に走者を進めるも、あと一本が出ず無得点が続く。4回に今津の適時打で先制すると、6回には小原大和の適時二塁打、8回には中塚遥翔の犠飛で追加点。9回には林純司の今季1号ソロ、村岡龍の適時三塁打、丸田湊斗の犠飛で一挙3点を加える。投げては先発・広池浩成が4回無失点と粘投し、鈴木佳門、小宅雅己も無失点でつなぐ。6-0で勝利し開幕4連勝、2カード連続の勝ち点を獲得した。
雨天による度重なる順延を経て、水曜日に迎えた立教大学2回戦。初回には「塾生注目」の掛け声が応援席に響き渡る。「今日は立教戦2回戦である。東京は35日くらい雨が降り続いているらしい。でも今日はもう降ってないぞ。だから晴れた分今日勝とうじゃないか」と、ようやく迎えた一戦への思いを力強く訴え、応援席の士気を高めて初回の攻撃を迎える。
その初回、2死から小原と中塚の連打で一、三塁の好機をつくると、早くも『ダッシュケイオウ』が神宮に鳴り響く。先制への期待が高まる中、一宮は見逃し三振に倒れ、得点には結びつかない。

2回にも好機をつくるが、あと一本が出ず無得点。互いにスコアボードへ「0」が並ぶ中で迎えた3回、応援席に再び「塾生注目」の声が響く。「立教大学は法政大学戦が長引いているらしいぞ」と切り出すと、「さらに追い打ちをかけるために、向こうに諦め宣言をさせようではないか」と呼びかける。イレギュラーな日程で迎えた一戦でも、応援席の勢いは衰えない。この回も小原と中塚の連打で再び好機をつくると、平日の神宮とは思えないほどの声量で『朱雀』が響き渡る。しかし後続が倒れ、この回も2者を残塁。応援席の熱気とは裏腹に、均衡を破る一本はなかなか生まれない。

それでも4回、先頭・吉野の安打と吉開の犠打などで2死一、三塁の好機をつくる。ここで今津が右前適時打を放ち、慶大が待望の先制点。ようやく均衡が破れると、応援席には『若き血』が鳴り響き、神宮は一気に沸く。

1点を先行して迎えた5回、試合が折り返しを迎える中で再び「塾生注目」が始まる。話題に挙がったのは、立教大学応援団のSNSに投稿された、4年生が最後のリーグ戦に懸ける思いを語る動画。「ほとんどの人が勝ちたいとか優勝したいとか言っていた。だけどなぜか全員無言だった」と紹介すると、「無言でいるだけじゃ勝てるわけないだろ」と応援席に語りかける。
そして「私がこのリーグ戦にかける思いは慶應の日本一である」と力強く宣言。「これを実現するためにも、応援席にいる全員で一緒に声を出して応援してほしい」と訴える。その言葉を受け、スタンドから再び大きな声援が響く。目指すは日本一。その思いを応援席全体で共有し、試合は後半戦へと入っていく。

その後、慶大は6回に小原の適時二塁打で1点を追加。2-0とリードを広げて迎えた8回、この日誕生日を迎えた久保副代表がメイン台に姿を見せる。「突然ですが、皆さん本当に優しいと思います」。思わぬ切り口で始まった「塾生注目」に、応援席の注目が集まる。
続けて語るのは“優しい人の極意”。「今日サクッと勝って、いろんな人のために役立つことです」と話し、慶應が勝てばもちろん嬉しい。立教もこの後に法政戦を控えているため、早く試合が終わる方がよい。そして野球部の選手も休むことができる、と理由を並べる。「人の心を考えられる私たちは優しい」とすると、最後は「優しさも兼ね備えた私たちで、次の攻撃いっぱい点数取りましょう」と追加点を呼び込むべく声を上げる。
すると、その言葉に応えるように打線が動く。一死から今津が中前安打で出塁すると、小原が二塁打を放ち二、三塁の好機を演出。ここで中塚が左犠飛を放ち、待望の追加点を奪う。“優しさ”を説いた久保副代表の呼びかけ直後、スコアは3-0となった。慶大は終盤でさらに勝利へと近づく。

3点をリードして迎えた9回、メイン台に立った坪井代表は「私には自信があることが一つある」と切り出す。その自信とは、「今までの人生、夏休みの宿題を前日に全部詰め込んできた」ことだという。
そして今年の夏、自らに課された“宿題”は「夏休み中に勝ち点を二つ取ること」。「今年も前日になってしまった」と笑いを交えながら話すと、「お母さんに怒られないためにも、この回点を入れて勝たせてほしい」と最後の攻撃へ向けて応援席に呼びかける。
その言葉に応えるように、9回の攻撃は一気に動く。『若き血』を歌い終え、『ファンファーレ光』が鳴り響く中、先頭の林が左翼席へ本塁打。4点目が入ると、この日何度目かの『若き血』が神宮に響く。続く吉野も二塁打を放つと、今度は『朱雀』でさらなる得点を後押しする。
吉開の犠打で一死三塁となり、代打・村岡が打席へ。高まる応援に背中を押されるように、村岡は適時三塁打。5点目を奪い、応援席の熱気もさらに増していく。

ビデオ検証を経て、『ファンファーレ勝鬨』に入ると、再び「塾生注目」。「もうすぐ宿題できそうである。応援席全員で勝ち切るぞ」と坪井代表が声を張り上げると、そのまま『突撃のテーマ』へつなぐ。さらに丸田の左犠飛で6点目。この回4度目となる『若き血』が鳴り響き、“夏休み最後の宿題”の完遂は目前に迫る。
そして最後までリードを守り切り、6-0で試合終了。雨天による度重なる順延を経て迎えた一戦で、慶大は今季2つ目の勝ち点を手にする。夏休み最終日、坪井代表が掲げた“宿題”も無事完遂。最後まで神宮に響いた大きな声援とともに、慶大は開幕4連勝で次なる戦いへ弾みをつけた。
〜試合後インタビュー〜
ーー今日の試合を振り返って
野球部の力を強く感じる試合だったと思います。一方で、安打数が二桁に達したにもかかわらず、最終的な得点は6点にとどまりました。走者を最後にホームまで返すところを、応援で後押しできなかったことは反省点です。最後の一押しができるよう、これからも頑張りたいと思います。
ーー水曜開催というイレギュラーなスケジュールでしたが、どのような気持ちで臨んだか
とにかく楽しもうという気持ちを持って臨みました。慶應は9月30日まで夏休みなので、今日は全員が参加できました。土日開催の場合は、他の体育会の応援にも力を入れているため、どうしても人員を分ける必要がありますが、今日は全員で野球応援に臨むことができて、嬉しかったです。
ーー水曜にもかかわらず、応援席に来た皆さんについて
「應援指導部」という名の通り、私たちは応援団ではありません。応援席の皆さまがいてこそ、私たちは実力を発揮できる団体です。本当にいつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
ーー次戦に向けて
準備期間は短いですが、その間も気持ちを緩めることなく、緊張感を保って土曜日を迎えたいと思います。全員で気持ちを高め、モチベーション高く応援していきます。
(取材、記事:小野寺叶翔)

