【野球】長い春の終焉 日本一の夢、剛腕の前に散る

6月12日(土) 全日本大学野球選手権 準決勝 慶大―東海大 @神宮球場
  

 ここまで順当に勝ち上がってきた慶大。準決勝は、今大会注目の好投手・菅野を擁する東海大と戦ったが、投手陣が好調東海大打線に2本の本塁打を浴びるなど5失点。一方、打線も菅野の前に散発の4安打無得点に終わり、0-5で敗れた。11季ぶりの優勝を決めた日から12日、他の5大学より長く戦ってきた慶大のシーズンはついに終わりを告げた。

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東海大 000020102 5
慶大   000000000 0

 慶大:●竹内大、福谷-長﨑、松本和

 慶大出場選手

1 [6]  渕上(法4・慶應)

2 [4]  湯本(商4・野沢北)
3 [9]  山口(商4・慶應)
4 [9]  伊藤(環3・中京大中京)
5 [3]  髙尾康 (商4・慶應)
  [H]  松尾(環4・鳥栖)
6 [DH] 竹内一(商4・慶應)
7  [5]   伊場(政3・慶應)
8 [2]  長崎(商4・高志)
9  [8]   辰巳(文2・郡山)
P [1]  竹内大 (環2・中京大中京)
  [1]  福谷(理2・横須賀)

 梅雨入り前、最後の青空の下で行われた今日の準決勝。慶大の先発は今大会初登板となったエース竹内大(環2)。

 1回表、いきなり1死3塁のピンチを作ったが、相手の3、4番を三振に打ち取り、先制点を与えない。その裏、慶大も東海大・菅野から1死2塁のチャンスを迎えるも、こちらも3番山口(商4)、4番伊藤(環2)が倒れ、得点を挙げられない。

 毎回安打を許しながら4回まで無失点に抑えてきた竹内大だったが、5回2点本塁打を許すと、7回にも本塁打を打たれ、3失点で降板。2回戦で好投を見せた福谷(理2)がマウンドに上がるも、火のついた東海大打線はさらに勢いを増し、9回にも4安打で2点を奪われ、勝負を決定づけられた。

 頼みの打線も5回以降、回を追うごとに調子をあげてくる菅野の前に手も足も出ず。まさかの17三振を喫し、今季初の完封負けとなった。

 湯本主将(商4)の生まれた1987年以来の日本一、その夢は後2勝のところで惜しくもならなかった。試合後、秋季でのリベンジを口にした選手たち。しかし、このリベンジを果たすにはまたも激戦のリーグ戦を勝ち抜かなければならない。そして、他の5大学から追われる立場となる秋季は、苦しい戦いが待ち受けることとなるだろう。だが、負けたら終わりのトーナメント方式の今大会、常にプレッシャーのかかるこの3試合の経験は、秋季リーグ戦の苦しい場面で生かされるはずだ。

2か月半後の開幕戦に向けて、慶大の試練の夏はもう始まっている。

選手のコメント

江藤監督

(今日の試合を振り返って)見た通り。(力の差は)結果の通り。(相手の投手の印象は)17三振に抑えられるっていうのはそれだけ(慶大打線が)未熟っていうこと。(今日竹内投手を先発させることは前から決めていたのか。)全然考えてなかった。竹内は抹消するはずだった。(調子が悪くて)全然投げたれなかったから。(今日登板させたのは)昨日初めて(調子が上がって)投げられたから。(実際、今日投げさせてみて)調子悪いけどあんだけ抑えられるのはたいしたもん。絶好調だったらああいうことはない。(東海大学は)強い。まとまってる。いいチーム。10戦連勝はちょっとやそっとじゃできない。ただ勝てない相手ではない。3回までに1点取ってたら流れは変わってた。(この大会を振り返って)みんな燃え尽きてる。リーグ優勝で。気持ちを1週間で立て直すのは難しかった。気持ちの面が大きかった。リーグ優勝が最大の目標だったわけだから。それが正直な話。(秋季リーグは追われる立場になるが)今はアマちゃんだから70%もできてない。あと30はやる。今度は厳しく行く。もう4年生に温情かけたりはしない。秋は実力主義でいかないと連覇はできない。(メンバーの入れ替えは)ある。変えなきゃ勝てない。

湯本主将

(今日の試合をふりかえって)力負けだった。(相手投手の印象は)ボールが甘いところに入るなどの失投が少なく、コントロールがいい投手だった。(最終的にベスト4まで進出することができたが)リーグ優勝できて幸せだけど、日本一を狙うことのできるチャンスというのは本当に少ないので、日本一になりたかった。(春期リーグ中キャプテンとしての負担は)特になかった。むしろ、1人1人が何をすべきかをわかっていたので助けられた。(秋期リーグへ向けて)次は追われる立場になるが、それを考えすぎることなく常に春期と同じように挑戦者としてがんばりたい。

竹内一

(今日の試合を振り返って)完全に力負けです。秋に向けた課題がはっきり見えた試合だった。(菅野投手から2安打放ったことに関して)普通にイメージ通り打てた。(今季の結果を振り返って)目指すは日本一なので、もっともっと練習して秋には日本一になりたい。(これからと秋への課題と抱負)チームとして全体的にレベルアップする。日本一になれるように頑張りたい。

長崎

(今日の試合を振り返って)最初に先制点をとられたのが痛かった。先に点を取ってれば状況も変わっていたのかなと思う。(大学選手権初登板の竹内大投手の調子は)リーグ戦ほどの調子ではなかったですけど、もうちょっとぼくが考えてれば抑えられるぐらいにはなっていたと思うので、あいつにはほんとに申し訳ないことをした。(東海打線に対して気をつけたことは)できるだけ狙い球を絞らせないようにして上手くやろうとしてたんですけど、最後欲が出てしまった分やられてしまった。(菅野投手の印象は)すごいいいピッチャーだなと。スライダーというかカットボールというかあのボールは投げミスがなくて、すごいなと感じた。(守備の方で2回に好プレーがありましたが)ランナーがちょこちょこしていたというのがあった。そういう部分でもピッチャーを助けてやるというのがぼくの仕事なので、そういう意味では貢献できた。(リーグ戦から大学選手権までを振り返ってみて)今まで大学入ってからこんなに長い春のシーズンっていうのは初めてだったので、体てきにはしんどいなと思う部分もあった。それでも、それなりに充実したシーズンを送ることはできたのでそれはよかった。(来季に向けて)来季も優勝したい。今回日本一、そういう所のチームのレベルを肌で体感できて、どこを目指せばいいのかというのははっきりしたので、そこに向けてこれから頑張っていきたい。
 

渕上

(今日の試合を振り返って)序盤のチャンスで打てなかったのが痛かった(菅野の印象は)スライダーとコントロールが良かった。2-3(ツースリー)でうまくかわされた。いい投手だと思う。(全日本でベスト4といういい結果だったが、春を振り返って)勢いでここまで勝てた。秋は本当の実力がでると思う。(秋への意気込みを)追われる立場になったが日本一を目指したい

伊藤

 (今日の試合を振り返って)完敗。(東海大の印象は)強かった。(菅野の印象は)一昨日語った印象とは違ったが、やはり良い投手。(リーグ戦から大学選手権とシーズンを振り返って)自分が入ってから優勝したことかなかったので、良かった反面、いろいろと勉強になることも多かった。今日、大学選手権はベスト4で終わったが、秋に向けて何が足りないか分かったので、しっかり夏を過ごして、明治神宮大会で東海大にリベンジしたい。(来季に向けてどのような夏を)打線はワンランクレベルアップして、菅野くらいの投手は打ち崩せるようにしたい。(来季への意気込みは)とにかく連覇して、明治神宮大会で優勝したい。その為に良い夏を過ごす。
 

辰巳

(今日もスタメン出場だったが、試合を振り返って)今大会2回目のスタメンで、チームに何らかの形で貢献したかったが、出来なかったので残念だった。(東海大の菅野投手の印象は)コントロールが良くて良いピッチャーだった。(秋にはスタメンとしての期待もあるが、秋に向けての意気込みは)春はチームに迷惑をかけたので、その分秋はチームに貢献できるように頑張りたい。
福谷
(今日の試合を振り返って)完敗。強い相手から学ぶこともある。(9回の2失点は)(捕手の)松本さんと相談した結果。要求通りに行かなかった。自分の力不足。(そんな中、同級生の坂口・伏見を三振に打ち取ったことについて)三振をとれたのは嬉しい。(伏見は)JAPANにも入っているし、(この場に戻ってきて)もう1度、勝負したい。(今日は)意識しなかったが、(次は)意識して勝負できるようにしたい。(東海大の印象は)雰囲気とか精神的に強い。初球から振ってくる。投げづらい感じ。(秋に向けて)リーグ戦や今大会で見つけた課題を一つ一つつぶして、成長した姿を見せたい。
 

by Michio Ikezawa

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