【ラグビー】接点での圧力に屈する 関東大学対抗戦/筑波大戦

チーム1本目のトライを挙げた浦野

茂木組の真価を問われるシーズンが開幕した。地獄の夏合宿を経て、一層たくましさを増して迎えた関東大学対抗戦の初戦。相手は大学ラグビー界でも随一のタレントが揃う筑波大。個で上回る相手に対し、組織で対抗したかったが、ボールの争奪戦である接点での働きかけやコンタクトの局面で劣勢に。後半は無失点に追い込まれ、12-36と敗戦を喫した。

関東大学対抗戦A VS筑波大

2012/9/16(日)14:30K.O.@秩父宮ラグビー場

 

得点

慶大

チーム

筑波大

前半

後半

 

前半

後半

0

T

2

3

0

G

2

2

0

0

PG

1

0

0

0

DG

0

0

12

0

小計

17

19

12

合計

36

得点者(慶大のみ)

T=浦野、佐藤

G=高田


出場選手
ポジション 名前(学部学年・出身高) 交代選手
1.PR 青木 周太(商2・慶應)  
2.HO 渡辺 祐吉(経4・慶應) →16 神谷 哲平(総2・桐蔭学園)
3.PR 平野 裕馬(環4・国学院久我山) →17 山田 亮介(環4・国学院久我山)
4.LO 遠藤 洋介(環4・国学院久我山)  
5.LO 佐藤 大朗(総4・国立)  
6.FL 石橋 拓也(環2・小倉) →18 吉田 真悟(経4・慶應)
7.FL 茂木 俊和(理4・清真学園) →19 小田村 淳平(政4・慶應)
8.NO8 伊藤 豪(総4・福岡)  
9.SH 渡辺 諒介(経3・慶應) →20 宮澤 尚人(法2・慶應)
10.SO 浦野 龍基(政2・慶應志木)  
11.WTB 鈴木 貴裕(経4・慶應) →22 川原 健太郎(環2・小倉)
12.CTB 高田 英(経4・慶應志木) →21 甲斐 鑑(理4・千種)
13.CTB 大石 陽介(環3・修猷館)  
14.WTB 新甫 拓(経4・慶應)  
15.FB 下川 桂嗣(商2・修猷館)  
 

 

一時筑波大に5点差に迫り、喜んだ渡辺副将(中央左)と佐藤

開始直後に試合は動いた。1分、いきなりFB下川(商2)が運んだボールを奪われ、攻守の切り替えがもたつき、守備に穴があいたところを突破され、最後はゴール前で押し込まれトライを献上。ホイッスルから1分の出来事だった。最初に先手を取ることを意識していた慶大にとっては痛いスタートとなった。しかし、10分に相手Bksのパスの乱れをつき、SO浦野(政2)が独走のトライ。7―7と同点に追いつく。しかしその後はキック処理や、蹴り返した場面でカウンターを受けるなど、試合は筑波大ペースに。23分には外側に大きく展開されたところを、タックルミスで突破を許しリードを許す展開に。29分には慶大もBKsの展開から、大外にいたWTB鈴木(経4)がライン際を駆け抜けるものの、サポートが追いつけず孤立し、チャンスを潰してしまう。しかし35分には相手ゴール前からのスクラムからLO佐藤(総4)が押し込みトライ。前半を12-17と折り返す。

前半戦ではボールを回して攻撃を試みるものの、接点で筑波大の激しい圧力に合い、リズムをつかみきれなかった。また、慶大のキック処理からのカウンターでも相手にプレッシャーをかけられた。逆に敵陣に入るためのキックでも、選手間での反応が遅れているため、有効なものとならない。しかし、生命線となるタックルから相手のミスを誘う場面もあった。相手陣に入るとトライを取れたことも収穫だった。「後半は敵陣に入っていこう」田中監督の檄が飛んだ。

 

突破をはかるCTB大石

「後半は入りの10分を意識するように意思統一していた」(WTB新甫・経4)。後半こそ「入り」の部分で相手にプレッシャーをかけたかったが、4分に自陣での筑波大のモールから、飛び出してきた相手をダブルタックルで止めようとするも、突破を許しトライ。その後は「二人目が相手のほうの寄りが早かった」(HO・渡辺副将)と、ターンオーバーを許す。55分にはWTB川原(環2)の大胆な突破から、早い球出しでチャンスを得るも、筑波大が後半、前半以上に圧力をかけてきた接点で圧力を受けてしまう。58分には、筑波大の陣地でのスクラムから、突破を図る相手に痛恨のタックルミスをしてしまい、自陣までゲインされてしまう。その後、サポートの遅れからターンオーバーされ、トライを奪われるなど、接点での働きの差が、如実に点数になって表れていく。76分には、大外に展開されたところを、ディフェンスが簡単に破られトライを献上。最終スコア12-36での敗戦となった。

 

試合を通して、慶大はタックルには入るものの、やや飛び込んで入っている形のものが多く、個で上回る筑波大を止めきれない場面を誘発。また、ボックスキックの判断などにもチームとしての意思疎通が不足した。さらに、被ターンオーバー数7という数字が示すように、接点での戦いで劣勢に回ってしまった。

しかし、前半戦のように愚直に確実なタックルを決める場面も見られた。「伝統の継承」は低いタックルやルーズボールへのリアクションの早さ、相手キックに対しての果敢なチャージなどに表れる。黒星発進となった以上、選手権出場、そして優勝に向けて負けられない戦いは続く。

 

【ケイスポ的MOM】魂のタックル体現者FL・石橋拓也

石橋は下級生ながらチームに欠かせない存在だ

FL石橋拓也のタックルの成功度とゲームに与える影響では部内でも随一だ。確実に相手を止め、試合の流れを変えるようなパフォーマンスを発揮。アタックでも存在感を見せるなど、今の慶大の中心選手として成長を続けている。

 

(記事・黒瀬 健太郎)

 

 

 

 

 

コメント

 

田中監督

 

(今日の試合を振りかえって)対抗戦の日程が発表され、相手が筑波大と決まったときから、今年の夏の強化はこの日に焦点を合わせていきました。自分たちのなかではこの一戦に万全の準備をして臨んだが、後半に突き放されて負けてしまいました。やはりボールキャリアが確実にボールを押さえて出すことであったり、タックルで確実に相手を止めることであったりと、個々人が仕事をすれば防げたトライが多かったです。しかし、対抗戦の初戦でこういったことに気付けたのは良いことでした。次は立教大との戦いになります。三週間空きますが、この筑波大戦で出た課題を修正していきたいです。大事なことは一戦ごとに強くなっていくことです。与えられた時間はどのチームも同じなので、しっかりと成長していきたいです。(今日の試合で、FL石橋(環2)とWTB鈴木副将が負傷交代したが)両選手とも中心的な存在です。まだドクターの判断を仰いでいないので分かりませんが、チームにとって痛いことは確かです。しかし、部内の競争を重視しています。虎視眈々と上のチームを狙って頑張ってきた選手も多いです。(チーム内の雰囲気は)非常に今年のチームは団結力があります。人間というものは厳しい練習をすると団結が生まれてくるのか分かりませんが、キャプテンを中心に非常にまとまっています。ただし、筑波大に敗れたことで求心力が下がらないか心配です。このような状況だからこそ、チームが一丸となって明日からの練習に取り組んでいきたいと思います。

 

FL茂木主将

(今日の試合を振り返って)僕たちは最初の15分で先手を取ろうというゲームプランで臨みました。それでも開始1分でトライを取られてしまい、そこでまずひとつ崩れてしまいました。立て直せたのかもしれないんですけれども、少しパニックに陥ってしまったところがありました。前半勝って折り返すことも1つの目標でしたが、結果的には12対17で前半を終えることになってしまいました。後半の最初にもトライを取られてしまい、ラインアウトやモールを含め、自分たちのやってきたことが出せなかったのが良くなかった点だと思います。対策はしてきたのですが、そればかりに気を取られて、自分たちのやろうとしてきたことを出し切れずに終わってしまいました。そこを修正して次に臨みたいです。(後半に失速してしまったように見えたが)僕たちは最初の10分、15分で先手をとろうと決めてきていました。そこで全力を出すことが夏から取り組んできたことでもありました。後半に入る際に入りをよくしよう、ということにはなったのですが、暑さのせいもあり前半の疲れが出てしまいました。後半も前半のように相手に刺さってプレッシャーをかけていけるようにすることも課題です。今日やろうとしてもできなかったので、次への課題になってくると思います。(個人の出来は)自分的には20点くらいの出来です。前半はタックルもそこそこいけたのですが、後半はモールも押せなかったですし、結果として勝てなかったので出来は悪かったと思います。今日は良くなかったです。(筑波大は接点にこだわりをもっていたが)そうですね、感じましたね。前半は慶大も元気だったので、筑波大の速さや強さにも対応できていたんですけれども、後半は筑波大の2人目のほうが速かったですし、さしこまれてしまうことも多くなってやられました。意識しているんだな、と伝わってきました。(今日の課題をいかに修正したいか)今日は相手のやってくることに対して対策をするという点はできていたとは思います。逆に僕たちがやろうとしてきたことがやれなかった、という感じでした。相手が変わってもゲームフォーカスは大きく変わることはないです。夏からずっとやろうとしてきたことを、より精度を高くして体現していきたいです。(次戦の抱負は)もう今日負けてしまったので、次は勝たないと後がないと思っています。次は絶対勝ちます。

 

HO渡辺祐副将

 

(今日の試合を振り返って)ラインアウトでもっと自分たちの攻撃をやりたかったんですけどラインアウトのつぶしあいになってしまったところが僕としては本当に責任を果たせなかったところだと思います。入りとか夏合宿ですごく改善してきたので取られてしまったのはすごくもったいないと思います。(筑波大の印象)タレントチームという感じで個々が強かったんですけど走っている量だったりうちらのほうが強かったのにそこまで持っていけなかったのが今日の敗因だと思います。(全体的なFwd戦について)ラインアウト崩せたのに崩されてしまったというのが勝てなかった要因でもありますしスクラムで取りきれなかったことも敗因ではあります。(今日の収穫は)Fwdで取りきった場面とか前半粘れて折り返せたのが収穫だと思います。(ブレイクダウンでも圧倒されていたが)一人目が倒れてしまって二人目が相手のほうの寄りが早かったというのが押された要因でもあると思います。二人目の寄りの速さをもっと修正していきたいです。(次の立教大戦に向けて)愚直に前に進んでいきたいです。

 

PR青木

 

(今日の試合を振り返って)絶対に先制点取りたかったんですけど取られてしまって、先に点を取るというのがチームとしては課題で、個人的にはスクラムを安定させてボールをBksに供給させようとしたんですけど少しスクラムが乱れてしまうところがあってペナルティも犯してしまったのでそこはすごく悔やまれました。(初めての対抗戦だったが緊張はあったか)前日まではそんなにしていなかったんですけど当日になってすごく緊張してきて、でもみんな落ち着け、頑張れ、と言ってくれたので自分のできることだけしっかりやろうと思っていました。(筑波大の印象)やっぱりFwdよりもBksが強いと思っていて、だから慶應のFwdが前に出ることで相手のBksに対抗しようとしたんですけどFwdも負けたと言われたらそうは思わないですがあんまりいい局面を作れなかったのが悔しいですね。(全体的なFwd戦の出来)夏合宿もずっとモールをやってきて、僕がメンバーに入るのはそれが持ち味だからと思っているんですけど、自分が出ているのに一本もモールでトライが取れなかったのが悔しいですね。(収穫は)対抗戦という舞台を初めて経験させてもらって負けてしまったんですけどすごく楽しかったし、またここ秩父宮でプレーしたいと思ったので明日からまた練習を頑張っていきたいと思います。(立教大戦に向けて)絶対メンバーに選ばれるように明日からまた気持ち切り替えて頑張っていきたいです。

 

LO遠藤

(今日の試合を振り返って)前半は良い感じで折り返したんですけど、後半セットプレーが安定しなくて、筑波にやられてしまったかなという印象があります。(Fwd戦を振り返って)結構良い分だと思ったのですが、筑波さんはやっぱり2人目の寄りが早くて、受ける部分もありました。(筑波大は接点への反応が早かったが対応は)2人目のレースに勝つっていうのを、慶應は夏合宿でずっとやってきたんですけど、やっぱり1人目が勝って立つということをやっていました。(後半の入り方について)開始10分ですべて出し切るつもりでいこうっていうのを、監督や首脳陣から言われたことで、ただそこで出し切れなかったのかなと思います。(今日みつかった課題は)セットプレーを安定させないと、流れが回ってこないので、セットプレーアタックをする時間を増やせばもっと良くなるのではないかなと思います。(遠藤選手自身は)僕はもうラインアウトを取られてしまったので、そこを修正してやっていきたいと思います。(次戦の立教大戦に向けて)僕らはいつでもチャレンジャーなので、そういう気持ちでやりたいと思います。

 

LO佐藤

 

(今日の試合を振り返って)分析していて前半は自分たちの作戦通りにできたんですけど、後半はセットプレー、特にラインアウトで精度の高いディフェンスをされてうまくBksに供給できなくて、練習してきたモールも組めなかったのでそこから破綻していった感じです。(筑波の印象は)タレントもいて一人一人はレベルの高い選手が多いです。でも逆にそこはチームで勝とうと思ってやってきました。実際に前半はタレントをチームで封じて、やりたいことができたんですけど、後半は一人一人にやられてすごくゲインされてしまったという印象です。(自身のトライについて)あれは個人的なトライではなくFwdみんなでとったトライという感じです。(Fwdとしての出来は)スクラムは安定していて、ラインアウトディフェンスもよかったと思うんですけど、肝心の自分たちのラインアウトでしっかり球が出せなかったのでそこは反省して次に生かさなければいけないところです。(そのラインアウトについて)相手のディフェンスは身長が高くて跳びも早かったので、相手がいないところでとれるようにサイン出しとか動きとかを修正して切り替えていければよかったんですけど、ちょっとパニックになってしまって試合中に修正できなかったです。(次戦に向けて)結構練習できる時間があるので、今日できなかったところや課題を洗い出して次の試合でできるようにしっかり練習していきたいと思います。

 

 

SH渡辺諒

(今日の試合を振り返って)やっぱり、ところどころでミスをしたり、自分たちのラグビーができなかったなっていうのが正直ありますね。(開幕戦だったが)開幕戦っていつも何があるか分からないっていうそういう難しい試合になるなあと思っていたのですが、焦らず丁寧なラグビーをしようと思いました。(筑波大の印象は)1人1人が強くて、個人で勝てるチームだなと思います。(その対策は)組織で勝つ、人数をかけて勝つということを意識しました。(筑波大の接点への反応について)かけるところかけてきたんで、僕がそこをしっかり捌ければ良かったんですけど、ミスが出たのが課題だと思います。(球出しについて)ボールキャリアについてのファンダメンタルな部分もできていなかったし、寄りの早さについてはもっと見極めが必要だったのかなと思います。(今日みつかった課題は)僕の中では完全に精度ですね。パス一つキック一つでも、もっとプレーの精度さをあげて、ラグビー理解を高めたいです。(次戦の立教大戦に向けて)絶対に負けられないので、勝つしかないと思います。

 

SO浦野

 

(今日の試合を振り返って)チームとして練習してきたことをすべて出してやれば勝てると思いましたが、前半FWが調子いい時にBksでミスをしてしまったり、後半Bksが調子いい時にFWがセットプレーで不安定になるなど、後手後手に回ってしまい、相手に勢いをつけられて、やりたいことをやられて、自分たちのやりたいことが出来なかったです。(トライシーンを振り返って)筑波大はプレッシャーをかけてミスを誘えば勝機があると思っていたので、よかったです。(久しぶりの慶大の公式戦だが)チームに合流してまだ間もないですが、まだまだ課題が多いです。(対抗戦初戦ということで緊張はあったか)緊張というより、不安半分とチャレンジャー精神半分でした。(攻撃の組み立てで意識したことは)後ろからも無理しない範囲で攻撃して、相手がラインアウトに不安を抱えていると思ったので、そこから攻めようとしました。SOというポジションについて)まだまだ経験が必要です。(今後に向けて)まだ初戦負けただけなので、この負けにしっかりと向き合いたいです。

 

CTB 高田

(今日の試合を振り返って)筑波は個々が強いということで一人一人が食い下がってということだったんですけど、上につながれることが多くて。そういったミスから失点してしまって残念でした。(開幕戦ということでどういう気持ちで試合に臨んだのか)2.3か月前から筑波対策ということをやってきたのですが、僕らのミスが多くて負けてしまったのがとても悔しいです。(筑波大の印象)タレントが多いということですかね。一人一人がゲインできるということで、非常に良いチームだと思います。(自身のキックの出来に関して)2本中1本外してしまったので、全然ダメでしたね。(チーム、個人両面の課題は)チーム面で言うと、ミスが多いということですね。いつもはストラクチャーでラグビーをやっているが、それが出来ない時に、いかにゲインできるのかということが重要なのかなと。個人としては、自分がボールを持つ時間が長くなかったので、もう少しボールをもらってチームに貢献していきたいです。(練習中、次戦までにやりたいことは)ブレイクダウンをやられていたことが多かったのでそこの改善と、一人で倒せなかったときに2人目が行くということを徹底していきたいです。(次戦に向けての意気込みは)立教は、1部に上がってきたばかりなんですけど、決して気が抜ける相手ではないですし、しっかり調整して勝っていきたいと思います。

 

WTB 新甫

(試合を振り返って)前半は自分たちの準備してきたものがしっかりとできて、筑波の対策もやれることはしっかりできて、良いかたちで折り返したと思うんですけど、後半に詰めの甘さといいますか、相手に食い込まれる部分が多くなってきて。こんなに点差が開く試合じゃなかったですし、とれる試合だったなと思いました。(試合の入りに関しては)前半は入りの15分、後半は10分を意識するように意思統一していたんですけど、どちらもそこで簡単なトライを許してしまったので、そこはいただけないかなと思います。(この暑さの中での試合でしたが)気候や天候はお互いイーブンですので、走り勝つというところにおいては、天候を味方に付けるような、暑い中でいかに走り勝つかというところに重点を置いていたんですけど、陣地と走り勝つことの二つのバランスが課題になってくると思います。(今後に向けて、修正点などは)もっともっと精度を上げていかなければならないのが一つと、個人的にはもっとガツガツいければいいかなと思っています。

 

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