【女子ラクロス】運命の一戦 劇的勝利で青学大下しFINALへ 

 

前衛との見事な連携を見せた廣野(政2) 

 

 

 壮絶なリーグ戦を終えてから約一か月、ついに大舞台、FINAL4を迎えた慶大。負けたら終わりの一戦、彼女たちは試合開始から躍動。前半は思い通りのプレーを体現し3-1で折り返すも後半は強豪相手に大苦戦。一時同点に追いつかれるも最後は主将の一振りで勝ち越し。土壇場でFINALへの切符を手にした。

 関東学生女子ラクロスリーグFINAL4 VS青学大

2012/11/3(土)17:00ドロー@大井ふ頭中央海浜公園第二球技場

チーム 前半 後半 合計
慶大 3 3 6
青学大 1 4 5
 

 

この日ゴールを決めた期待の細田(経2) 

負けたら終わりの運命の一戦、しかし彼女たちに緊張という二文字はなかった。慶大は試合開始早々からドローを制し圧倒的ポゼッションで青学大を突き放しにかかる。前半5分に副将谷山(経4)が相手ディフェンスを振り切りミドルシュートを突き刺すとそこから慶大は徐々にエンジンをかけていく。9分、DF陣の果敢な守りからカウンターを繰り出すと細田(経2)がゴーリーの頭を越えるループシュート。これが決まり2-0と試合を優位に進める慶大。余裕のあるパス回しで相手に攻撃のチャンスを与えない。しかし青学大も個々の高いスキルを生かし、素早いカウンターを仕掛けてくる。こう着していた17分、青学大が個人技で慶大を圧倒、一気に自陣に攻め込まれ得点を許してしまう。だがこれで流れを渡さないのが慶大。この一か月、練習に練習を重ねた「一対一の強さ」が慶大に流れをもたらす。20分、またも谷山が青学大のディフェンスの隙を突き流れるようなシュートを繰り出し、これで3-1。「一対一で強さを発揮できゴールに向かえた」(谷山)と満足のいく得点でチームの士気も上がっていく。このままポゼッションで圧倒し勝利をつかむかと思われた。

 

 

チーム全体で勝利の喜びを分かち合う 

しかしこれはFINAL4、いままでのように甘くはない舞台だ。前半からゴーリーセーブに助けられていた慶大、後半はディフェンスに狂いが生じ始める。「グラウンドボールへの反応が悪かった」というように後半は前半とは打って変わり青学大が圧倒的なポゼッションで慶大を追撃していく。後半3分、足を生かした高速攻撃にディフェンスが追いつかず3-2と一点差に詰め寄られてしまうとその後も青学大の攻撃がさく裂。苦しい守りの時間をしいられてしまう。だがここまでは想定内。大きく流れが変わり始めたのはこれからだった。ファールにより立て続けに退場処分をくらうと人数が少なくなった慶大はリズムを崩し10分に同点ゴールを決められてしまう。「後半10分くらいまではほぼシナリオどおりだった」(大久保HC)だけに会場に不穏な空気が流れ始める。その後はグラウンドボール、ドロー獲得率で相手に大きく負け内容こそ悪かったが、相手のミスにも助けられ得点に差をつけられることなく試合は終盤へ。取っては取り返すゲーム展開、その流れは途切れることなく後半25分終了間際。「取ったほうが勝つ」、暗黙の了解のごとく選手たちは必死にゴールを奪いに行く。そんなゲームに終止符を打ったのは主将佐藤由佳(法4)だった。ゴール前でボールを受け取ると全速力でゴールに向かっていく。「コースとか考えずにとにかく打ち込もう」(佐藤)とゴールまでは少し距離があったが豪快に力強く放ったミドルシュート。このシュートが見事にネットを揺らし勝ち越しに成功。会場が熱気に包まれたと同時に試合終了が告げられた。

 

 

後半、人数不足の影響からかボール運びなど課題が露呈した慶大。しかしこの日は練習してきたディフェンスが機能、いつもとは違う「ディフェンスの強さ」を見せつけた。FINALを含め学生日本一まであと3勝。そしてFINALは今まで一度も勝ったことのない注目の一戦。勝てば歴史的な壁を打ち破ることになる。「このチームが最強だということを証明したい」(出原・政3)と選手たちも今までの思いをすべてぶつける。このチームが歴史を塗り替える日は目前だ。

(記事・宮本 大)

 

 

以下コメント

 

 

大久保HC

(今日の試合を振り返って)準決勝って今までの経験上一番難しいんですよね。思い通りにいかないのでこういう試合は想定していました。勝てたことが一番かなあと思います。FINAL4までにしていたこと)ディフェンスの調整はしていたのでそういう意味では、青学大は一対一強いですし5点に抑えられたのは成果でてるかなと思います。(後半は苦しい時間が続いたがどういう気持ちで見ていたか)慎重にゲームを運んだのは確かなんですよね。いつもみたいにどんどん点取りにいかなかったり、わりとポゼッション中心でオフェンス時間を長くしようということで。後半の10分くらいまではほぼシナリオどおりで、そのあと一人ファールで退場になった後リズムを崩して、二人退場になった後は本当に選手が自滅状態で、でも最後まで信じていました。(今日特によかったところ)ディフェンスじゃないですか。相手が入ってくるところに対して強く当たれるようになったところが成長だと思います。(課題は)クリアですね。ボール運び。一人足りなくなってから少し悪くなったんですけど、足りなくないときにももっと効果的にボール運ばなければならないしもともと課題なんですけど露呈した部分がありますね。FINALに向けて意気込み)最後、主将の佐藤が決めてくれて、替わって出た4年のゴーリーがうまく止めてくれて、谷山が二点取ってくれてと本当に4年生ががんばってくれているのでそのへんの主力になる選手が自分の実力を出してくれれば必ず勝てると思います。あとはしっかり準備するだけです。

 

 

佐藤由佳主将

(今日の試合を振り返って)全体としてはもっと自分たちのラクロスを体現したかったというのはあるんですけど勝ったことは何よりの結果だと思っていて素直に喜びたいです。(対策はしていたか)ワンワンが主体のチームなのでそこに対して絶対に接点で負けないというディフェンス面、アタックに関してはこちらから流れを失うようなプレーはしないということを意識して取り組みました。FINAL決めたが今の率直な気持ち)FINAL4は通過点だと思っているんですけど率直に今は安心したという気持ちが大きくてFINALに向けて修正するところは修正してこれからのFINALからの3戦に備えていきたいと思います。(今日の最後のゴールシーンを振り返って)もう最後まで自分でゴールまで決めきるしかないなと思っていたのでコースとか考えずにとにかく強く打ち込もうと思っていました。(課題は)自分たちの武器としてやってきたグラウンドボールが相手に取られてしまってドロー獲得率も後半は全然よくなかったのでそこをもっとあげていきたいと思います。FINALに向けて)昨年負けた舞台で、私たちはFINALがそんなに甘くない舞台だということは知っているのでしっかり教訓にして次絶対勝ちたいと思います。

 

 

谷山副将

(今日の試合を振り返って)本当はこんなにハラハラさせないゲームにしたかったですが、それを勝ちきったことは大きかったです。(予選リーグ終わってからどのような準備をしてきたか)やはり、一対一であったりだとか個人の力をつけようということで一ヶ月間練習しました。(今日の試合にむけての意気込み)まずは、一対一で負けないようにすることを心がけました。(青学大で意識したこと)相手の7番がリーグ戦でも一対一で強いことがスカウティングでも分かっていました。また、青学大は全員が一対一で崩してくるため、そこを意識しました。(自身のゴールシーンを振り返って)最初はゴールに向かっていったら、ゴーリーが前にいてゴールが空いていたので狙いました。2点目はビハインドからゴールを狙ったらディフェンスがよってこなかったため、ゴールに向かうことだけを意識しました。(自身のプレーについて)良かったことは、得点にもつながったことですが、ゴールに向かえたことです。一対一で強さを発揮できました。悪かったことは、自分自身もチームもグランドボールへの反応が悪かったことです。(ゲームプラン通りにいかなかったこと)グランドボールを取りきって自分たちのペースにしたかったですが、相手の方が上手くいかなかったです。(去年涙をのんだfinalに向けて)去年学んだことは、final4からfinalへの期間が短かったことです。それを生かして勝ちたいです。しかし、finalだから意気込むのではなく、目標である学生日本一への通過点だと思って臨みたいです。

 

 

出原副将

(今日の試合を振り返って)内容的には全然、誉められた内容ではないと思いますが、まずFINAL4という大きな舞台で、やっぱり今までのリーグ戦を一つずつしっかり勝ちきって、今日という舞台に進めてきたので、その舞台で勝利をおさめられたというのは、1点差であれ、圧倒的なゲームは見せられなかったんですけど、勝てたことというのは本当に良かったと思います。(FINAL4への対策は)まずしっかり相手のスターティングを予想して、相手のキーマンとか、相手の特徴を、しっかりチーム内で共有して、それに対応する対策というのを練った練習をしてきました。この空いた期間の間に、関西遠征を行って、東京からちょっと離れた関西地区のラクロスっていうのを見て、練習試合を組んでいただいて、いつも経験できないような経験ができたので、それが私たちの成長に繋がったかなと思います。(本日の試合の収穫は)チームとしては、クリアがちょっと運びあぐねてしまったシーンとか、苦しい時間帯での切り替え、立て直しっていうのがこれからの課題だと思ったので、FINALっていう大きな舞台になってくると、もう甘えたプレーとかはできないと思うので、しっかり、強いプレーを選択して、苦しい時間でも巻き返せるような自分たちのチーム作りというのを、これからやっていきたいと思います。(自身のシュートシーンを振り返って)1点得点できたのは、味方のシュートのリバウンドで、味方のミスをしっかりフォローして最後決めきれたのは良かったです。2本目、相手のゴールに阻まれたシュートは、絶対に決めなきゃいけなかったシーンだったので、同点のシーンだったんですけど、しっかり自分のシュートで1点リードできなかったのは、今日の試合での一番の大きな反省なので、しっかり1週間取り組んで、来週までに改善したいと思います。(FINAL進出を決めた今の率直な気持ち)すごく楽しみです。日本一まであと3戦ですけど、去年は一戦一戦しっかり勝っていこうというのに対して、今年は通過点として、日本一までまだあと3試合もあるので、4年生とできる残り3戦のゲームを楽しみたいというのと、やっぱりFINALっていうのは、今まで慶應ラクロスが打ち破れたことのない大きな歴史的な壁だという話がさっきコーチからもあったんですけど、まずしっかりその舞台で勝ちきって、このチームが最強だということを証明したいと思います。(FINALへの意気込み)絶対打破したいです。勝ったこともない試合だし、相手も明治、最初に戦った相手なので、またそれからお互いに時間が経って強くなってると思うので、もう一度明治とやれるっていうのも楽しみですし、個人的には明治のヘッドコーチは去年U-19の代表活動でお世話になった方なので、しっかりそのコーチを打ち破って、関東を制覇したいと思います。

 

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