【ラグビー】課題残すも圧勝で春季大会優勝/日体大戦

けがからの復帰戦となったFL濱田副将

けがからの復帰戦となったFL濱田副将 

先週の法大戦は試合開始10分までに2トライを取られる苦しい展開のなかなんとか勝利をモノにした慶大。春季大会優勝を懸けたこの1戦の相手は同じ対抗戦の日体大。特にFwdに経験の浅い選手を起用した慶大であったが、先制点こそ奪われたものの80分間通して試合の主導権を握り終わってみれば53-13と圧勝。「課題も残る試合」(和田監督)であったが、見事に白星で飾り全勝で春季大会グループB優勝を決めた。

関東大学春季大会グループB 第5戦 vs日体大

 

6月16日(日)14:00K.O.@ ニッパツ三ツ沢球技場

 

得点
慶大 チーム 日体大
前半 後半 前半 後半
T
G
PG
DG
24 29 小計
53 合計 13
 

得点者(慶大のみ)

T=服部3、浦野3、徳永、村井、佐藤

G=宮川2 矢川2

 

慶大メンバー表
1.PR 堀切厚輝(環1・國學院久我山)
2.HO 中尾廣太朗(環4・長崎北) →17神谷哲平(総3・桐蔭学園)
3.PR 秋田智樹(総4・川越) →18吉田貴宏(総3・本郷)
4.LO 野田一宇(商3・修猷館) →19大塚健太(環2・国学院久我山)
5.LO 白子雄太郎(商3・慶應)
6.FL 濱田大輝(総4.桐蔭学園)
7.FL 徳永将(商2・慶應義塾) →21鈴木達哉(環1・茗溪学園)
8.No8 村井大観(商2・慶應義塾)
9.SH 南篤志(総2・清真学園) →20猪狩有智(経4・慶應志木)
10.SO 宮川尚之(環4・成蹊) →22矢川智基(環2・清真学園)
11.WTB 服部祐一郎(総3・国学院久我山)
12.CTB 佐藤龍羽(環4・茗溪学園)
13.CTB 大石陽介(環4・修猷館)
14.WTB 浦野龍基(政3・慶應志木)
15.FB 下川桂嗣(商3・修猷館)
 

パスとゲインで好機を生み出したCTB佐藤

パスとゲインで好機を生み出したCTB佐藤 

今日の試合のテーマは「試合の入りをしっかりとすること」(和田監督)。先週の法大戦では開始10分までに2つトライを取られてしまい、試合展開が苦しくなってしまったからだ。何とかして先制点を取りたい慶大であったが、先制点を取ったのは日体大。2分に慶大の反則から敵陣に侵入するとDGを決め3点を先制。慶大は先週に引き続き追いかける展開を余儀なくされる。さらに6分にはまたもや反則からPGを決められ0-6と突き放される。しかし、ここから慶大は自分たちの力を発揮する。直後の7分、ターンオーバから宮川尚之(環4・成蹊)がボールをもつとそのまま左サイドにいた服部祐一郎(総3・国学院久我山)にパス。服部が持ち前の決定力を生かしてトライを決めるとコンバージョンも決まり7-6と慶大が逆転する。さらに、14分にはマイボールラインアウトから得意のモールで押し込み最後は徳永将(商2・慶應義塾)がトライを決め日体大を突き放す。慶大もパスミスが多く中々流れをつかめないでいたが、実力の差を見せつける結果となった。その後も慶大は敵陣でプレーする時間が続くものの「ペナルティーが多い」(和田監督)と春シーズン通しての課題が見え中々フィニッシュまで至らないもどかしい時間が続いてしまう。それでも31分、宮川からパスを受けた大石陽介(環4・修猷館)のゲインでチャンスを作ると最後はまたも服部が決め待望の追加点を奪う。その後ターンオーバーされるなど苦しい場面もあったが39分、ターンオーバーから宮川がゲイン。その後佐藤龍羽(環4・茗溪学園)が走りこんで日体大を突き放し24-5で前半を折り返す。

 

NO8村井が存在感を示した

NO8村井が存在感を示した 

後半の出だしも慶大の攻撃は続く。1分に佐藤と浦野龍基(政3・慶應志木)の連続ゲインで敵陣に侵入すると3分、大石のゲインから宮川がボールを受ける。そして宮川が浦野にボールを回すと持ち前の決定力を生かしてトライを奪う。しかし、そこからは日体大の時間。慶大は特にFwdでのミスが目立ち中々自陣から抜け出すことのできない苦しい時間を過ごすことになる。すると14分、スクラムでの反則からクイックスタートでゲインを許しついにトライを取られてしまう。ブレイクダウンでの攻防で競り負ける場面が散見された。しかし、日体大の反撃もここまで。22分にスクラムから左サイドに展開し服部が独走トライをあげたのを皮切りに慶大のトライラッシュが幕を開ける。その6分後には神谷哲平(総3・桐蔭学園)・吉田貴宏(総3・本郷)といった途中出場の選手がチャンスを作ると最後は村井大観(商2・慶應義塾)がダメ押しのトライ。その後も慶大は攻撃の手を緩めない。30分に猪狩有智(経4・慶應志木)のクイックから神谷のゲインでチャンスを作ると33分、スクラムから猪狩がボールを持つと浦野にパスを出し浦野が今日2つ目のトライを決める。最後は大塚健太(環2・国学院久我山)のゲインから左サイドに走り込んだ浦野のトライで試合を締めた。先制点こそ奪われたものの終わってみれば9トライをうばうなど53-13の圧勝で春季大会Bグループ優勝を決めた。

 

今日のテーマであった試合の入りは、先制点を取られるなどまだ課題が残る部分が多い。しかし、今日は特にオフェンス面で今季の慶大らしいプレーが見られた。まずは服部・浦野の両翼がそろってハットトリックの活躍。慶大の強みであるBks3の決定力はこの日も健在だった。また、経験の浅いメンバーが多かったFwdであったが、モールでトライを取れたことは収穫だろう。また、堀切厚輝(環1・國學院久我山)や鈴木達哉(環1・茗溪学園)といった高校日本代表に選ばれた期待の新人が順調に育っていることも好材料だ。一方のディフェンスも1つトライこそ取られたものの「この大会で大きく成長できた」と安定感が光った。何より春季大会を全勝で優勝できたことは「選手たちにとって非常に自信に繋がった」(和田監督)。だが、あくまで目標は対抗戦・大学選手権優勝。この大会ででた課題をいかにして克服するかが鍵となる。次の相手は同大。今季は帝京大・筑波大と接戦を演じるなど強豪校だ。春シーズンの総決算として、今まで宮川組がやってきたことを全て出して実りのある試合になることを期待したい。

 

【ケイスポ的MOM】究極のマルチプレイヤー・白子雄太郎

身体能力の高さが光るLO白子

身体能力の高さが光るLO白子 

白子雄太郎(商3・慶應)ほど大学入学後コンバートを経験した選手はそういないだろう。元々はWTBであったが、昨年No.8/FLにコンバート。さらに今季は層の薄いLOにコンバートされた。WTB仕込みの走力は健在。今日もFwdとは思えない俊敏さでチームのチャンスを演出した。LO/FL/No.8全てを器用にこなすマルチプレイヤーの今後に目が離せない。                             (記事・住田 孝介)

 

コメント

 

和田監督

(今日の試合を振り返って)今日のテーマは、法大戦では前半10分で2トライを取られてしまい、試合全体の流れが悪くなってしまったことが最大の反省点でした。なので、入りをしっかりとして21点以上差がつくまでは確実にプレーすることを心がけました。最初DGとPGで6点とられてしまいましたが、あまり気にすることのない取られ方でした。トライは取られなかったですし、その後は着実にトライを積み重ねていって勝ちきれたことは良かったです。Fwdのメンバーを入れ替えたことについて)今は選手層を厚くすることが大事です。今のFwdには経験を積んで欲しいメンバーがたくさんいますし、特にFwdは多かったのでこういうメンバーにしました。Fwdを振り返って)運動量やリアクションでまだまだだと感じています。また、ディフェンス面でもキック処理やスクラム後なのでまだまだだと思います。(オフェンス面は今季の慶大らしい両WTBが走りきる場面が多かったが)両WTBの個人技で取ったトライが多いので、もう少しチームでとるトライを増やしたいです。(ディフェンス面を振り返って)トライを取られた場面はペナルティーが多く、ディフェンスへの戻りが遅かったです。それ以外にも反則から流れを掴みきれない場面が多く、毎試合の課題であるペナルティーがこの試合も出てしまいました。(春季大会を振り返って)この大会の優勝を目標にやってきたわけではありませんが、優勝できたのは選手が頑張ってくれた証拠ですし、選手も勝つことで自信につながると思います。しかし、春季大会の優勝ではなく、対抗戦優勝、大学選手権優勝を目標にやっていますのでそれを忘れないでおきたいです。(春季大会で得たこと)30~40人近くの選手が試合を経験できたことです。また、東海大戦・早大戦のよかった試合と、日大戦・中大戦・法大戦・この日体大戦といい試合と反省が残る試合がほぼ交互に来て、勝った試合の中でも得るものが非常に多くありました。(次の同大戦に向けて)同大は帝京大・筑波大といった強豪と競った試合をしており、まだ実際に試合を見たことはありませんが、非常に強くなってきているチームであると思いますので、そういったチームにチャレンジャーとして春の総決算として挑みできたら実りある試合をして勝ちたいです。

 

SO宮川 尚之主将

(今日の試合を振り返って)1トライ取られたことが課題です。もっとゴール前で粘ってペナルティーを誘うことができたらよかったのです。(攻撃面では成果が得られたか)ノーミスでゲインできる場面が多かったので、そこは良かったです。(自身のキックの精度は反省点か)コンバージョンの2点はとても大きいので、まだまだ練習が足りないです。しかし、逆にいえば自分のキックでまだまだチームが良くなるということでもあるので、今後修正していきたいです。(自身の良かった点)裏に出られたことが良かったです。(春季大会を振り返って)課題と収穫がともに数多くあったので、良かった点は秋も継続できるように、悪かった点はしっかりと修正できるようにしたいです。(具体的な収穫)すごいデイフェンスが良くなってきています。また、アタックも自分たちの形で取りきれています。(監督から試合前に言われたこと)入りをしっかりとしろと言われましたが、先制点を取られまだまだです。(同大戦にむけて)Aチームでやる最後の試合になりますので、いい形で春の締めくくりをしたいです。

 

LO白子 雄太郎

(試合を振り返って)だいぶ気温が暑くて湿度も高くて、みんな結構きつかったですけど、最後まで走れていてよかったと思います。(自身のプレーについて)腰痛で早稲田戦と法政戦は出られず悔しい思いをしたので、今日は目立てるように頑張りました。(春のシーズンを振り返って)あっという間でした。でも今年は一つ一つの試合でいい結果を残せているので、引き続きチームまとまって、秋に向けて春シーズンを締めたいと思います。LOとしての現状は)楽しくやらせてもらっています。いろいろ分からないこともありますが、チャレンジ精神を忘れずにというか。FLに入ってもLOに入っても求められていることはボールキャリアーとして前に進むことで、そこは変わらないと思っています。(春シーズンをどのように締めくくりたいか)やっぱり勝って終わりたいです。あとはけがのないようにですね。

 

CTB佐藤 龍羽

(試合を振り返って)入りを意識して、8点差、15点差を意識していくということでしたが初っ端に6点を取られてしまいました。でもその後うまく修正していけたので、落ち着いていけたと思います。(自身のプレー、ボールに積極的に絡んでいきゲインもあったが)でもミスが多かったです。CTBはレギュラー争いが激しいので、ミスを少なくしていかないといけないと思います。(春シーズンを振り返ってどうか)石橋くんと大石くんが、すごくタックルのいい選手なので、僕はその二人にはないパスというものを意識してやっていますが、今日はそこで少しミスをしてしまったので、そこで二人には負けないように意識してやってきましたし、これからもやっていきたいと思います。(ミスの修正についてはどのような意識で)8点差をつけるまでは安全なプレーを選択することを意識していました。それが今日は成功したのでよかったです。(6点をとられて焦るのではなく堅実なプレーを)そこで焦って攻めてまたとられてしまうと一番よくない流れになるので、落ち着いてやろうということは試合前にも試合中にも話していました。(春シーズンも終盤だがどう締めくくりたいか)試合も少ないですが、しっかりアピールしてCTBのレギュラー争いに食い込みたいと思います。

 

WTB服部 祐一朗

(今日の試合を振り返ってどうだったか)個人的にはボールキャリアスキルのミスが多くあったので、そこが課題かなと思います。チームとしては最初から慶應のラグビーができていなかったので、次の試合ではそこがポイントになってくると思います。(関東春季大会を全勝で終えたが、今期の手ごたえはどうだったか)春季大会優勝というのは目標としてなかったというのは嘘になりますが、マストだったのでそこがクリアできたのは素直にうれしいのと僕らが見据えているのは秋なので、そこに向けて夏いい準備ができるようにやっていきたいと思います。(今日のトライシーンを振り返ってどうだったか)取りきれた部分はとても良かったんですが、あと取り切れない部分がいくつかあったので、そこはもう一度修正して次は取り切れるようにしていきたいと思います。(今後に向けての意気込み)春シーズンはけっこうトライを決めることができたので、そこは秋も継続していきたいなと思っているのと、ディフェンスでチームに貢献できるように夏にいい準備をしたいと思います。

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