【ラグビー】運命の一戦に見事勝利!!明大に4年ぶりの白星/関東大学対抗戦 明大戦

 

4年ぶりの勝利に大喜び

4年ぶりの勝利に大喜び

 

 遂に迎えた運命の一戦。伝統の慶明戦だ。慶大は青学大にまさかの敗戦を喫してしまい、大学選手権出場に黄色信号が灯っていた。そしてこの試合は、勝てば3位以内がほぼ確実、負ければ6位となることが濃厚という、まさに運命の一戦と呼ぶにふさわしい一戦となった。宮川主将が「たった80分だけど、人生で一番の80分にしよう」と試合前に語ると、この試合に懸ける思いからか校歌斉唱の際に泣き出す部員もいるほどこの一戦に懸ける想いが強かった慶大。試合は序盤こそ自分たちのラグビーが出来ず15点のビハインドを背負うも、服部のトライを皮切りに自分たちのペースを掴むと後半一気に逆転を果たし24-18でノーサイド。4年ぶりに対抗戦で明大に勝利するとともに、対抗戦3位以内をほぼ確実とする非常に大きな一勝を手にすることとなった。  

 

関東大学対抗戦A VS明大 2013/11/3(日)12:00 K.O.@秩父宮ラグビー場

得点
慶大 明大
前半 後半 前半 後半
1 2 T 2 0
1 2 G 1 0
0 1 PG 1 1
0 0 DG 0 0
7 17 小計 15 3
24 合計 18
得点者(慶大のみ)

T=服部、石橋、青木

G=宮川3

PG=宮川

慶大出場メンバー
ポジション
1.PR 三谷俊介(総4・国学院久我山)
2.HO 中尾廣太朗(環4・長崎北)
3.PR 青木周大(商3・慶應) →18秋田智樹(総4・川越)
4.LO 小山田潤平(経3・慶應) →19松野裕大(経4・慶應)
5.LO 川原健太郎(環3・小倉) →20白子雄太郎(商3・慶應)
6.FL 濱田大輝(総4.桐蔭学園)
7.FL 木原健裕(総3・本郷)
8.No8 森川翼(環3・桐蔭学園)
9.SH 南篤志(総2・清真学園)
10.SO 宮川尚之(環4・成蹊) →22佐藤龍羽(環4・茗溪学園)
11.WTB 服部祐一郎(総3・國學院久我山)
12.CTB 石橋拓也(環3・小倉)
13.CTB 大石陽介(環4・修猷館)
14.WTB 児玉健太郎(環4・小倉)
15.FB 下川桂嗣(商3・修猷館)
 

開幕戦筑波大戦以来の出場となった三谷

開幕戦筑波大戦以来の出場となった三谷

試合開始早々、いきなり慶大は明大の猛攻にあう。ペナルティーからピンチを作り、左サイドに展開され大きなゲインを許すと、そのまま押し込まれ5点を先制され出鼻を挫かれる。その後も反則が多く自陣に釘付けとなる苦しい展開となる慶大。すると10分、絶好の位置でPKを献上するとしっかりとこれを決められ3点を追加される。何とかしてきっかけを掴みたい慶大であったが、ブレイクダウンでの攻防で競り負けチャンスを作ることができない。そして21分、ゴール前での反則からピンチを作るとそこからゴール前での防戦を強いられる。一度はターンオーバーをするもピンチを脱することができない。そんな中追加点となるトライを決められてしまい差は15点に広がってしまう。もう攻めるしかない慶大は25分、相手のキック処理のミスから敵陣に侵入すると宮川主将(環4)、石橋(環3)のゲインでチャンスを作るがこれは惜しくもターンオーバーを許してしまう。33分には南(環2)のハイパントを児玉(環4)がキャッチしてチャンスを演出。モールドライブでゲインをする場面もあり徐々にきっかけをつかむことができた。そして慶大らしい攻撃が垣間見られると39分、「普段から練習していた」(宮川主将)児玉のハイパントを下川(商3)が見事にキャッチしチャンスに。そこから左サイドに展開すると最後はエース・服部(総3)がハンドオフで相手をかわして一気に走り込んでトライを決め慶大が7点を返す。このまま前半は終了した。

 

 

三谷とともに筑波大戦以来の出場となった主将宮川

三谷とともに筑波大戦以来の出場となった主将宮川

「まだ焦ることはない」(和田監督)。この言葉を胸に勝負の舞台へと向かっていった慶大フィフティーン。すると慶大は試合の入りとは全く別人のようなプレーを披露する。児玉の持ち味であるロングキックで一気に敵陣に侵入すると、ラインアウトからボールを受けた石橋が一気にインサイドブレイクをしてインゴールへ。慶大が7点を返し一気に流れをたぐり寄せる。いっきに畳み掛けたい慶大は7分、相手のスクラムでの反則から南がクイックスタートを選択。石橋のゲインでチャンスを作ると明大の反則を誘い絶好の位置でPGのチャンスを獲得。これを宮川がしっかりと決めて慶大が逆転に成功する。10分には大石が相手のハイパントを落ち着いて処理すると宮川→石橋→下川とボールを回し一気に敵陣に侵入。その後相手のペナルティーからゴール前での攻防へと持ち込み、三谷(総4)の決死のゲインから最後は青木(商3)が押し込んで貴重なトライをあげリードを9点に広げる。その後は明大の猛攻にあってしまう。明大の外への早い展開に手を焼いた慶大はついに反則をしてしまい3点を返されてしまう。これで慶大のリードは6点。1T1Gで逆転される点差となった。何とかして追加点を奪いたい慶大は木原(環3)と白子(商3)のゲインから児玉の絶妙なキックパスでチャンスを作るもフェーズを重ねる中で反則を犯してしまい得点には至らず。その後は明大の必死の猛攻の前に防戦一方の戦いを強いられてしまう。しかし苦しかったこれまでの練習、そしてこの試合に懸ける強い思いをもって必死に守る慶大。最後は相手のラインアウトをスチールしノーサイド。慶大が4年ぶりに明大に勝利し、対抗戦3位以内をほぼ確実とした。

 

勝利の瞬間、選手たちは皆勝利の雄叫びをあげた。青学大に敗戦し、大学選手権出場も危うくなった状態で臨んだ伝統の慶明戦。勝てば3位以内、負ければ6位というまさに天国と地獄の分かれ道となる試合で見事に慶大は生き残った。この試合、特に光ったのはモールでの攻防とハイパント。この2つが流れを掴むきっかけとなった。また、前半終了間際と後半の入りという大事な時間帯に高い集中力を発揮できたのも大きかった。しかし、最大の勝因は「自分たちの夢を叶えたいという気持ちが強かった」(宮川主将)こと。なんとしてでも国立の地に立ちたい、この想いが慶大を栄光へと導いたのだ。前半の試合の入り、反則の多さ、石橋と服部という能力の高いBksの個人技頼みの攻撃は改善すべきであるが、この気持ちの強さを胸に、慶大蹴球部は栄光へとまっしぐらに進んでいく。

 

【ケイスポ的MOM】 流れを変えるペネトレーター・石橋

石橋はペネトレーターとしての素質は十分だ

石橋はペネトレーターとしての素質は十分だ

この日慶大に試合の流れを引き寄せたのはこの男で間違いないだろう。石橋拓也(環3・小倉)。この日は「試合の流れを一気に変えた」と和田監督が絶賛したインサイドブレイクでのトライを奪った。その他にも幾度となく好ゲインを見せて相手の防御網を撃破。慶大の攻撃の足がかりを作った。CTBを初めて1年経ってないとはとても思えないほど高いラグビーセンスを持つこの男がこれからも慶大の攻撃の足がかりを作っていく。    

           (記事・住田 孝介)

 

 

和田監督

(今日の試合を振り返って)慶大にとっては負けられない一戦で、後先のことは考えずまずはこの試合一戦必勝するつもりで臨みました。15点リードされる苦しい展開となりましたが、試合の最後には明大に走り勝つという自分たちのラグビーをしてくれて、監督としては非常に良いゲームが出来たと思っています。(ハーフタイムに出した指示とは)15点差はついていましたが、前半最後に1トライ返したので、まだ焦ることはない、後半20分走り勝とうと話しました。

 

SO宮川主将(環4)

(今日の試合を振り返って)僕たちにとっては本当に負けられない一戦でした。試合前にはたった80分だけど、人生で一番80分にしよう、そして最後に勝敗を分けるのは戦術とかではなく、どちらの方が自分たちの夢を叶えたいという強い気持ちであると言いました。その中で少しだけ明大より僕たちのほうが自分たちの夢を叶えたいという気持ちが強く勝利できたのだと思います。(試合終盤のピンチで意識したこと)いつも監督から言われていることではありますが、普段の練習から厳しい走り込みをしているので、後半20分にはもう1回自分たちの時間が来るからしっかりと耐えることです。(ハイパントについて)ハイパントは日頃から練習していましたが、成功したのは個人の能力もありました。

 

PR三谷俊介(総4)

(今日の試合を振り返って)勝ってよかった。その一言に尽きます。(今日は怪我からの復帰戦でしたが、試合観などはどうだったか)練習を1週間前から復帰して不安な部分もありましたが、自分のリハビリ期間も含めて今までの練習量で絶対明治に負けてないという自信があったので、リラックスしてできた。(今日はどんな事を意識していたか)明治はセットプレーが冷静で強いので、負けないようにしようということだった。前半はスクラムが押されてしまったが、後半には修正できたのでよかった。(明治のフォワードはどうでしたか)重いので、リズムに乗ったときに強いなという印象でした。(早慶戦に向けて)自分たちの練習を信じてひたむきに練習して、その練習を信じて試合に勝ち切るしかないと思っている。しっかり練習して絶対勝ちたいと思います。

 

HO中尾廣太朗(環4)

(今日の試合を振りかえって)人生かかった試合という気持ちでやっていたんですが本当にそのとおりで、マイナスのこと考えずに前向きにいったのがよかったのかなと思います。(ハーフタイムにはどんなことを共有したか)絶対いけるということを確認したくらいですね(ラインアウトが安定していたが)本当に自分の時間を削って必死にやってきた人が陰にいっぱいいてそういう人たちが頑張ってくれたおかげだと思います。(個人の課題は)継続してセットプレーを頑張ることとFwdらしい前に出るプレーが持ち味だと思うのでそれをやっていきたいと思います。(早慶戦に向けて)今回と同じで失うもの考えずに前向きに頑張ります。

 

SH南篤志(環2)

(試合を振り返って)明治相手ということで負けられない試合だったので、勝つことができてよかったです。(前半は劣勢に立たされたが)慶應は後半の方が強いというのは自分たちでも分かっていました。全然慌てることなく、後半逆転しようということだけを考えていました。(南選手は前半にけがをしながらも気迫のプレーでした)ミスも多くて納得いかないプレーも多かったですが、少しはチームに貢献できたかと思います。(勝因だと思うことは)負けられない試合だったので、気持ちで上回ったと思います。(早慶戦に向けて)伝統の一戦ですので、まずは出られるよう頑張って、出られたら最高のパフォーマンスができるように頑張っていきたいです。  

 

CTB石橋拓也(環3

(今日を振り返って)青学大に負けたので、今日も負けてしまったら対抗戦6位になってしまい、 結果次第では天国と地獄という戦いだったので、勝てて本当に良かったです。 (青学大戦と比べて改善したことは)あの試合は主将がおらず、声を出す人が少なかったのですが、今日は主将や核となるメンバーが復帰して、声を出し合ってチーム一丸となって臨めたので良かったです。(青学大戦から練習面で変化はあったか)みんな声を出すようになって、雰囲気がとてもよくなりました。(後半最初のトライを決めたが)最初はサイン通り に行こうと思いましたが、自分の目の前が空いたので、自己判断で突っ切って、そこで抜けたのですごく良かったです。(好タックルが多かったが)自分が行かないと他の人が行かないので、周りを勢いづけられるように、という気持ちで向かいました。(早慶戦に向けて)明大を倒せていい流れが来ているので、早稲田大に勝って、帝京大にも勝てるように勢いをつけていきたいと思います。

 

WTB服部祐一郎(総3)

(今日の試合を振り返って)前半最後に自分の持ち味を生かしてトライを取りきれたことには満足しているんですが、後半細かいミスもあってトライを取り切れない場面があったので次節までに修正していきたいと思います。(勝利したが率直な感想は)青学戦に負けてチームとしては悪い流れがあったんですけど、ここで勝ってまたいい流れを持ってくることができたので勝てたことには満足しています。(今日の1番の勝因は)慶應らしく最後まで守備で粘れたことが勝利につながったと思います。(自身のトライの場面を振り返って)本当に自分の得意の形でチームのみんなががんばってつないでくれたのでトライを取り切れて満足しています。(次節早慶戦に向けて)自身にとって初めての早慶戦になるので、まずはメンバーに選ばれるようしっかりと練習して出ることに満足せず必ず勝ちたいです。

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