慶應スポーツ新聞会

【ラグビー】どうした慶大… 影をひそめた魂のタックル/関東大学対抗戦 早大戦

必死のゲインを見せる大石

必死のゲインを見せる大石

 第90回目を迎えた伝統の早慶戦。大学での公式戦初出場となる日本代表藤田擁する早大が依然優勢、しかし明大、筑波大と強豪を破ってきた慶大がどこまで通用するかという試合だった。だが試合は予想以上に慶大の歯車がかみ合わず、一方的な展開に。前半終わって7-36。後半に入ると、ここまでマーク厳しく思い通りのプレーができていなかった藤田のマークが甘くなった。さらに慶大の混乱と動揺はおさまらず、Fwd、Bksすべてにおいて競り負け、7-69の完敗。慶大らしさの全く見られない信じられない結果となってしまった。

 

関東大学対抗戦 VS早大 2013/11/23(土)14:00 K.O.@秩父宮ラグビー場

得点
慶大
早大
前半
後半
前半
後半
1
0
T
6
5
1
0
G
3
4
0
0
PG
0
0
0
0
DG
0
0
7
0
小計
36
33
7
合計
69
得点者(慶大のみ)

T=森川

G=宮川

慶大出場メンバー
ポジション
1.PR
三谷俊介(総4・国学院久我山)
→16吉田貴宏(総3・本郷)
2.HO
中尾廣太朗(環4・長崎北)
→17佐藤耀(総2・本郷)
3.PR
青木周大(商3・慶應)
4.LO
小山田潤平(経3・慶應)
5.LO
川原健太郎(環3・小倉)
6.FL
濱田大輝(総4.桐蔭学園)
→20佐々木大也(環4・国学院久我山)
7.FL
木原健裕(総3・本郷)
→19白子雄太郎(商3・慶應)
8.No8
森川翼(環3・桐蔭学園)
9.SH
南篤志(総2・清真学園)
→21渡辺諒介(経4・慶應)
10.SO
宮川尚之(環4・成蹊)
11.WTB
服部祐一郎(総3・國學院久我山)
→23中村敬介(2・慶應)
12.CTB
石橋拓也(環3・小倉)
13.CTB
大石陽介(環4・修猷館)
→22佐藤龍羽(環4・茗溪学園)
14.WTB
児玉健太郎(環4・小倉)
15.FB
下川桂嗣(商3・修猷館)
 

 

春の交流戦では43-5で慶大が完勝した。しかしこの日は気持ちが違った。やはり秋の早慶戦は特別な一戦、選手たちは今までのすべてをかけてこの節目の一戦に身を投じた。

 

LOとして必死に戦い抜いた川原

LOとして必死に戦い抜いた川原

最初にチャンスを作ったのは慶大だった。早大のペナルティからFB児玉(環4)のロングキックで敵陣深くでラインアウトの権利を得る。しかしここでのラインアウトで息が合わず、早大にターンオーバーを許してしまった。そのまましっかりと確実に展開され、WTB荻野のビッグゲインにより一気にピンチに。このまま間髪いれずSO小倉が中央を突破しグラウンディング。慶大がチャンスから一転、早大のカウンターにより先制点を献上してしまった。反撃を試みたい慶大だったがブレイクダウンで勝てず、終始ゲインをゆるす。低いタックルも早大の「グラウンドを大きく使ってくるアタック」(SO宮川主将・総4)によってことごとくはずされ、試合の主導権を徐々に早大に渡していってしまう。たたみかける早大は先制点からわずか3分後にLO芦谷が中央にトライを決め0-14。慶大もキーマンをしぼり、重点的にディフェンスを講じるもそれでも早大のエリア拡大はとまらない。そして16分には自陣でのスクラムでそのまま押し込まれトライ。Fwdが力負けを喫し、実力の差が如実に表れた。「スクラムは今日のままでは勝負にならない」(和田監督)と最悪の形で追加点をあげられてしまう。その後も慶大は勝機を見いだせない。18分にはマークをかいくぐってFB藤田が左サイド50m以上を一気に駆け上がる。独走トライかと思われたがWTB服部(総3)が最後の最後で必死に食らいつき、独走トライを阻んだ。FL木原(総3)の好チャージなど随所にナイスプレーをみせるも、慶大には守ることが精いっぱい。さらにノックオンなど自分たちのミスからもピンチを招き、さらに点差を広げられていく。前半30分こえて、0-36。明らかに違う運動量、熱量、そしてセットプレーでの完敗で慶大は自慢のBksにボールが回らない。しかしチャンスは最後にやってきた。久々に敵陣に入ると、ラインアウトから展開し、ラックを形成。そして苦しい攻防の中、抜け出したPR青木(商3)がしっかりともぐりこんでグラウンディング。しかしこのプレーはノットリリースザボールを取られ、初得点ならず。だが続く数少ないチャンスを慶大は無駄にはしなかった。40分に再び同じ場所でマイボールラインアウトを得ると、モールを使って強引に押し切った。No.8森川(環3)のトライで7-36。後半にわずかでも期待を残す形で長くつらい前半を終えた。

 

途中出場でよい流れをもたらした渡辺諒

途中出場でよい流れをもたらした渡辺諒

慶大のトライで終えた前半。しかし後半はその勢いを打ち消すかのように早大がさらにギアを上げていく。開始直後に小倉にいきなりトライを奪われ、出鼻をくじかれると、すぐさまCTB飯野にもトライを決められてしまう。一方、慶大は完全に流れを渡すまいとBksを使って敵陣へと切り込むがインゴール目前で早大のディフェンスに阻まれてしまう。何度もラックをつくるも、わずか1mが非常に遠く、大学屈指の早大Fwd陣営を突破できない。その後も再三チャンスを作る慶大だったが、早大Fwdに一対一で仕留められ、そのラインを越えられない。そしてボールを持てば必ずゲインする早大Bks陣。まさに「FwdもBksも隙がない」(和田監督)チーム。そうして体力の消耗、圧倒的力の差で集中力を切らした慶大が早大・藤田をノーマークにしてしまう。16分に流れの中でトライを決められると、その後も見事なステップとロングパスで会場を沸かせる藤田。「キープレーヤーばかりマークしていても他の人に行かれてしまうし止めにくい」(CTB大石・環4)、そんな状況に混乱し、前半よりも一人一人のマークが甘くなってしまった。35分には藤田が縦に横に華麗なステップでタックルをかわしにかわし、約50mの圧巻の独走トライ。次元の違うプレーで早大全体を活気づかせると、38分にはキックパスから素早く抜け出しインゴール。3連続トライを決められ、最後まで慶大はこの男を止められなかった。そしてここで無情にもノーサイド。慶大は春の大勝から一転、どん底へと叩き落される屈辱的な大敗を喫してしまった。

 

「完敗の一言」と指揮官もお手上げの圧巻のトライラッシュだった。日本代表・藤田の出場を考えても、このスコアは誰にとっても想定外だったであろう。慶大得意のタックルは影をひそめ、早大は圧巻のスムーズなパス回しをみせるなど明らかに組織力に差が出てしまった一戦。ディフェンスではインサイドブレイクを何度も許し、ラインが確立されていなかった。アタックでは早大のようにスピード感のある展開ができなかった。「もっとコミュニケーションをとって修正していけばよかった」と試合中の修正能力も強豪との試合では試されていく。特に早大の絶対的安定感のあるセットプレーから学ぶべき点はたくさんある。対処すべき課題は山積しているのだ。

 

この敗北で対抗戦優勝の可能性が消滅した慶大。しかしきっと慶大はこのまま終わりはしないだろう。12/1には帝京大との最終戦を控えている。そこで勝利し、必ずや大学選手権で早大にリベンジを果たしてくれるはずだ。代表・藤田の合流で層を増した早大と、チーム力に優れる慶大、両雄が再び拳を交えたとき、一体何が起こるのだろうか。期待は高まるばかりである。

 

【ケイスポ的MOM】幻の先制トライ PR青木周大

青木の積極的な姿勢がチームを鼓舞する

青木の積極的な姿勢がチームを鼓舞する

 

前半終盤に幻の先制トライを演出したのがPR青木周大(商3)。ラックからもぐりこみ、グラウンディング。これは惜しくもトライとはならなかったが、小さな体でもぐりこんでグラウンディングに成功した力は評価に値する。今後の強豪との連戦、密集をこじ開けていく青木の姿に注目だ。

 

           (記事・宮本 大)

 

 

 

以下コメント

 

和田監督

(試合を振り返って)完敗の一言です。応援してくださったみなさん、出場できなかった部員にお詫びしたいと思います。私の指導力の至らなさだと思います。ただここで下を向いている暇はありません。帝京大戦、大学選手権と続いていきますので、次を見据えてやっていきたいと思います。チャンスは何回か作れましたが決め切れませんでした。11トライを許した原因をまずしっかりつきとめて改善したいと思います。(藤田選手を意識してスペースが空いたというのはありますか)藤田選手以外も非常にいいランナーがいますし、FwdもBksも隙がない。一人一人の攻撃力の高さは選手たちも感じたと思います。(大学選手権でもう一度戦うチャンスがある)負けて終わりにするわけにはいかないですし、幸いにも今日で負けて終わりという試合ではなく、まだまだ長い戦いがあります。下を向いている暇はないと選手にも伝えました。(修正点は)まずはセットプレー。スクラムは今日のままでは勝負にならない。チャンスはありましたが、そこで取りきれなかったのがアタックの課題です。ディフェンスではターンオーバーするまでがディフェンスというのをもう一度徹底したいと思います。

SO宮川尚之主将

(振り返って)相手がグラウンドを大きく使ってくるアタックに対して、自分たちはしっかりディフェンスしようということで臨みました。しかし早稲田の思った以上の展開力とブレイクダウンの強さに圧倒されてしまい、事実上の完敗だったと思います。和田監督も仰いましたが、目指すところは大学選手権ベスト4ですので、ここで下を向くことなく日々の練習から一歩一歩成長していきたいと思います。(慶大らしいディフェンスが見られなかった)一人目はしっかり下にいけたが、そこで早稲田さんがオフロードをしてきたことは正直想定外でした。そこをしっかり一人目は低く、二人目はボールにいくという修正ができればもう少しいい試合ができたかと思います。藤田くんはすごくいいランナーなので、僕たちも二人で見ようということでしたが、オフロードを使われてしまったのは予想外でした。(アタックでは複雑なことをしていたようだが、相手のディフェンスの圧力があったか)相手が出てくるディフェンスを想定していたので僕たちもダイレクトプレーでアタックしようと思いました。相手の圧力を受けて細かいミスが起こったので、その部分がよくなかったです。

 

PR青木周大

(試合を終えた感想は)伝統ある試合でもっと競った試合とか見ている人に感動を与えるような試合をしたかったんですけど結果として大敗してしまったのは非常に残念です。(意気込みは)去年はリザーブでやっとファーストジャージの一桁の番号をもらえて自分の中では最高の準備をしたつもりだったんですけど、結果が伴わなかったのでまだ足りない部分がたくさんあるのかなと思います。(Fwdについて)低く刺さるのを強みとしてやっているのに入りでそれを体現できなかったことがこういう結果に結びついてしまったと思います。自分たちの強みをしっかり生かせるようにプレーしていけばここからチームも変わると思うのでもう一回頑張っていきたいと思います。(惜しくもトライならずという場面があった)

反則があって膝をついてからワンアクションは可能だと思っていたので自分ではそうしたつもりだったんですけど、反則を取られてしまいました。膝をつかなければトライになっていたと思います。パスもタックルもうまくないプレーヤーなんですけどゴール前で取りきる力というのを買われて試合に出させてもらっていると思っているので、そこで取りきれなかったのは自分に責任があると思います。次の試合では自分の長所を出せるように頑張りたいと思います。(次に向けて)今日大敗してしまって前を向くしかないですし学生チャンピオンの帝京との試合なので慶應強いと多くの人に知ってもらうために絶対に倒したいと思います。

 

FL濱田大輝副将

(今日を振り返って)自分たちでも課題にしていた入りの20分のなかで、早大の猛烈なアタックを受けて3トライくらい連続でとられてしまい、どうにか変えようと思ったのですが、修正できずに進んでしまったことがこの結果につながったと思います。入りの20分の大切さを痛感しました。(早大のFwdについて)攻め方が広いので、その部分に対応しきれなかったと思います。スクラムも強かったので、次に当たるときには勝てるように修正してきたいです。(惜しい展開が多かったが)練習中からミスに対しては厳しくやっていたのですが、少し目立ってしまいました。しかし、チャレンジした結果のミスが多かったので、悲観的になりすぎず、取り切れなかったものに関しては、今後ビデオを見て修正していきたいと思います。(今日の課題と帝京戦に向けて)広いレンジに対してのディフェンスやスクラムをしっかり修正するのはもちろん、今日は組織ディフェンスが出来ていなかったのでそこを見直して帝京戦に挑んで、その結果を受けてまた細かく修正していきたいと思っています。

 

CTB大石陽介

(試合を振り返って)最初からディフェンスでやられてしまって修正することができなかったので、修正をしっかりしていかなければいけないと思いました。(早大の印象)一人一人がうまくてキープレーヤーがしっかりと働けるチームでキープレーヤーばかりマークしていても他の人に行かれてしまうし止めにくいチームでした(自身最後の早慶戦)悔しい思いはあるんですけど、まだ試合はあるので次の試合に切り替えていきたいと思います。(敗因は)一発目ディフェンスでやられたときにそれを修正できなかったというのが大きいと思います。同じ抜かれ方を何回もしたので。選手同士でもっとコミュニケーションをとって修正していけばよかったかなと思います。(課題は)いろいろあったんですけど、自分たちのやっていることは間違ってないんで相手にあわせないで一個一個修正してまた次の試合に挑みたいと思います。(次に向けて)不甲斐ない試合を見せてしまったので次の試合はもっと気持ちの入ったプレーとチームとして機能しているところを見せたいと思います。

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