1月28日~2月2日、栃木県日光市にて行われている第69回国民体育大会冬季大会。30日、慶大からは成年女子ショートプログラムに奥山未季子(環2)と鈴木伶奈(環2)、成年男子フリースケーティングに近藤琢哉主将(商4)が出場した。今回の国体は、奥山と鈴木にとっては昨年に続く2度目の挑戦。そして4年生の近藤にとっては最後の試合となった。
成年女子ショートプログラム
・鈴木伶奈(環2・栃木県) 33.07点 18位
・奥山未季子(環2・茨城県) 31.30点 23位
成年男子フリースケーティング
・近藤琢哉(商4・東京都) 109.08点 7位
総合 167.40点 7位
年始に行われたインカレ女子Bクラスにおいて、3位入賞に輝いた奥山。6分間練習では入念にダブルアクセルの確認を行っていた。そのダブルアクセルはうまく着氷したものの、他のジャンプでミス。ショートプログラムが終わった時点での上位24名のみがフリースケーティングに進出できるため、小さなミスでも命取りになってしまう。そのためか、柔軟性抜群のスピンや迫力あるステップなどで拍手をもらうも、フィニッシュで見せたのは浮かない表情だった。だが全選手の演技が終わってみると、奥山の順位は23位。昨年逃したフリースケーティング進出をかなえたのは、1年間での確かな成長の証だ。フリースケーティングに向け、「(ショートプログラムの)リベンジを果たせるように頑張りたい」とほっとした様子で語ってくれた。
鈴木は、奥山と入れ替わりの5番滑走でリンクに降り立った。栃木県代表である彼女にとって、今大会はひのき舞台だといえよう。『シンデレラ』の美しい音色に合わせてダブルアクセル、2回転フリップ–2回転ループ、2回転ルッツとジャンプを着氷するたび、地元の人々からの歓声が響き渡った。スピンやステップなども丁寧にこなし、会場を魅了。結果は18位となり、奥山とともに見事フリースケーティング初進出を果たした。舞踏会に訪れたかのごとく優雅な滑りを見せた鈴木は、「明日は堂々と楽しみたい」と語る。フリースケーティングでは『シカゴ』のリズムに乗って、氷上を熱いショーステージに染め上げてくれることだろう。
(文・写真:窪山裕美子)
これが最後。今までの思いを胸に抱き挑んだフリー。龍を背負った近藤主将は最終グループ2番滑走で登場した。演技前には、1番滑走で演技を終えた、同じく東京都代表の中村健人選手(立教大)からもエールを受けた。多くの仲間に囲まれて、ドラゴンがいよいよ最後の銀盤を舞う。冒頭のジャンプは転倒するも、序盤からスピードを見せつける。課題であったトリプルアクセルにも挑戦。惜しくも着地を合わせることはできなかったが、慶大主将の意地を見せた。その後のジャンプはしっかり決め、多少のミスはあるものの、3連続、2連続のジャンプも成功。客席の声援が大きくなるのを力に、スピードを安定させ、ステップでは手足を大きく使い魅了した。完璧な演技とはならなかったが、「逃げずにやったことは自分の中では悔いはない」と語るように、勢いは最後まで衰えることはなく、自身納得のいく演技となった。
中村選手と合わせた合計点で、東京都代表は第2位。見事に有終の美を飾った。近藤選手の演技に、これまでどれほどの人が感動し、涙し、スタンディングオベーションを送っただろうか。近藤選手の強さとは体力、技術だけではなく、応援を自分の力にかえる強さである。慶大主将の大きな背中を目に焼き付け、慶大スケート部フィギュア部門の今後のさらなる活躍に期待する。
(文:須佐奈月、写真:脇田直樹)
奥山未季子(環2)
(フリースケーティング進出を決めた今のお気持ちは)今はすごくうれしい気持ちでいっぱいです。でも、自分のできることを最低限してフリーに行けたわけではないので、明日リベンジを果たせるように頑張りたいと思います。(2度目の国体出場だったが)去年東京国体を経験しているからこそ、今回自分が落ち着いてできたのかなと思います。(インカレ後はどのような練習を)とにかくショート落ちをしないようにと思って必死に練習してきたので、それが達成できて良かったなと思います。(明日のフリースケーティングに向けて意気込みを)何かを考えたりせずに、自分のできることだけを考えてやりたいと思います。
鈴木伶奈(環2)
(今日の演技を振り返って)2年連続の国体出場だったんですけど、去年より順位が上がって、自分なりに今回はスピンとかも安定してできてうれしかったです。(どのような意気込みで国体に臨んだか)18年ぶりの地元開催で来てくれた人も大勢いたので、その人たちに感謝の気持ちを残すように、という意気込みで臨みました。(地元の方からの歓声については)栃木県の選手のときは歓声が多かったです。栃木県代表というだけでこんなに多くの人が観に来てくれて、感謝しています。(演技中に心がけたことは)今回『シンデレラ』を1年ぶりぐらいに滑ったので、『シカゴ』とは違うきれいな滑りができるようにということだけを心がけて滑りました。(明日のフリースケーティングに向けて意気込みを)今日は緊張して演技前に泣きそうになってしまったので、明日は堂々と楽しみたいと思います。
近藤琢哉(商4)
(今日の演技を振り返って)ミスもあって、良いところも悪いところもあったのですが、総じて自分らしさが出ていたかなと思います。(今日の国体の意気込みは)最後だったので、細かいことというよりは、とにかくもっているものを全部出す。小さいことにとらわれて小さくなってしまったらつまらないので、大きくのびのびとやることを心がけていました。(ジャンプのミスは心残りになってしまいましたか)ミスしたことは心残りですが、逃げずにやったことは自分の中では悔いはないという感じです。(とてもスピードが出ていましたが)フリーは体力的にもきつい面があるのですが、今までの試合もそうですけど、まわりの皆が応援してくれたので、力がわいてきました。(試合の前にはハイタッチもしていましたね)最後ってことで、仲間からも応援してくれたのがとてもうれしかったです。(最後の舞台の印象は)ここにいたるまで、スケートやめたいと思ったりとか、逆に親からやめろと言われたこともあったし、何とかここまで続けてこれたので、そういう意味での達成感がこの場所で得られたので良かったです。(スケート人生を振り返って最後にコメントお願いします)今までつらいことも、ふてくされることもありましたが、スケートを通して一生懸命やってきたので、それがまず自分自身嬉しいですし、財産になったと思います。またスケートを通して、コーチだったり、仲間だったり、いろんな人と一緒にいられたので、いろんな人たちから力もらって、それもまた財産になりました。
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