【フィギュアスケート】廣澤最後の舞 新主将・柳澤の優勝で来季へと思いつなぐ バレンタインカップ

3・4級女子で優勝を果たした柳澤

3・4級女子で優勝を果たした柳澤

 

 

ソチ五輪。いま、各国の代表選手たちがプライドをかけ、熱き戦いを繰り広げている真っ只中である。そんな中、2月14日シチズンプラザにて、慶大スケート部フィギュア部門の5名も今季の集大成として第5回バレンタインカップに臨んだ。今季見つかった課題を克服すべく来季へ意気込む多くの部員の一方で、3・4級男子の廣澤聖士(環4)にとってはスケート人生最後の試合となった。  

3・4級男子

・富田雄登(商1) 準優勝

・廣澤聖士(環4) 4位

3・4級女子

・柳澤薫(総3) 優勝

5・6級女子

・鈴木伶奈(環2) 準優勝

・奥山未季子(環2) 3位

※6点法で採点された。

 

ジャンプに挑む富田

ジャンプに挑む富田

 

3・4級男子、爽やかな衣装をなびかせ登場したのが富田雄登(商1)だ。インカレではCクラス男子で8位となった富田。今季最後の大会で、来季へのいいイメージをつくりたいところである。序盤から「練習不足」だったと言うように、ジャンプがきれいに決まらず、ツーフットが目立つ。挑戦したフライングキャメルは惜しくも失敗。しかし、曲にのり流れるようなスケーティングは今季の成長ぶりを見せた。いくつか課題を残す内容となったが、結果は3・4級男子で第2位、準優勝を飾った。インカレ後の練習で一から見直したスケーティングにさらに磨きをかけ、来季へつなげていってほしい。

 

 

手を叩き、会場を盛り上げる廣澤

手を叩き、会場を盛り上げる廣澤

 

続いて、いよいよ最後の大会を迎えた4年の廣澤が、仲間の声援に包まれながら登場。「とにかく楽しめればいい」と、大学4年間のフィナーレを迎えた。スピードにのり、表現力の高い演技を魅せる。大きなミスはなく、おきまりのポーズを決めると観客も沸き、始終笑顔で「皆を楽しませる」ことができた。結果4位とはなったが、「楽しめれば満足」と語る。初心者ではじめた廣澤副務の、最後のインカレは5位入賞。みごとに目標を達成した。大怪我など様々な壁を乗り越え、初心者でもインカレに出場できることを後輩にも証明し、最後は仲間に囲まれて華々しい引退となった。初心者でも貪欲にインカレ入賞を目指して努力した、廣澤の功績は、新入部員にも語り継がれるに違いない。

(文:須佐奈月)

 

 

 

 

笑顔で最後のポーズを決めた柳澤

笑顔で最後のポーズを決めた柳澤

3・4級女子に登場したのは柳澤薫(総3)。『fire dance』の情熱的なメロディーに乗って、終始ダイナミックなスケーティングを披露する。ジャンプにおいては、1か月前のインカレから構成を変えて3連続を演技後半で跳ぶなど積極的姿勢を見せ、最後の2回転サルコウもきっちりと決めた。昨季のインカレで準優勝に輝くも、今季のインカレでは8位にとどまったこともあってか、「悔しさが残るシーズン」だったという今季。しかし、シーズン最後の試合である今大会では出場者11人の中で見事トップに立ち、新主将の意地を見せた。来季はいよいよラストイヤー。「後輩たちを巻き込んでいけるような主将でありたい」―柳澤自身の活躍はもちろん、笑顔あふれるこの女主将のもとスケート部フィギュア部門がさらにパワーアップすることに期待したい。

 

 

 

 

スピンやステップなどでも魅了した

スピンやステップなどでも魅了した

 

続いて5・6級女子。1月30、31日に開催された国体で決勝進出を果たしたことが自信につながったのか、鈴木伶奈(環2)は曲がかかると同時にスピード感ある滑りを見せた。国体からジャンプ構成を大きく変更し、3回転トーループにも果敢に挑戦して何とか着氷。その他にも、アップテンポな『シカゴ』のリズムに合わせて3連続ジャンプを決めるなど攻め続けた鈴木の姿勢に、リンクサイドで見守っていた部員からも歓声が起こった。練習でも転倒してしまった後半のダブルアクセルで失敗する少しのミスもあったが、結果は堂々の準優勝。来季に向け「もっと攻めて、もっと順位を上げていきたい」と頼もしく語ってくれた。

 

 

 

 

 

情感たっぷりに舞う奥山

情感たっぷりに舞う奥山

昨季のバレンタインカップでは見事優勝を果たした奥山未季子(環2)。今大会では純白の新しい衣装をまとい氷上に降り立った。いくつかのジャンプで両足着氷となったり、鈴木と同様に後半のダブルアクセルで転倒したりなどのミスはあったが、しなやかなスピンや力強いステップで拍手を誘った。2年連続の優勝とはならなかったが、3位となり鈴木とともに表彰台へ。そんな奥山は、シングルで活躍する一方でアイスダンスも始めたという。今後はさらなるスケーティングスキルのレベルアップが期待できるだろう。来季以降、新しい魅力が引き出された奥山の演技が見られることを心待ちにしたい。

 

(文:窪山裕美子、写真:脇田直樹)

 

 

 

2年生となる富田はどのような成長を遂げるか

2年生となる富田はどのような成長を遂げるか

富田雄登(商1)

(今日の演技を振り返って)今回は練習不足っていうのが演技前からわかっていて、100%の演技はできないとは思っていたのですが、昨日の貸切練習よりもいい演技ができたので、満足はしています。(ジャンプの調子はどうでしたか)2、3個ツーフットになってしまったのがあって、回ったのは良かったのですが減点になってしまうので、片足でおりられるように、来シーズンに向けて頑張っていきたいです。(スピンやステップの要素を振り返って)ステップは練習時から不安があって、満足いくのはできなかったと感じました。ステップはこれからしっかり練習して、今後は細かいところミスをなくしていきたいと思います。スピンは今回初めてフライングキャメルを入れてみたんですけど、失敗してしまって、コンビネーションはまあまあかなと思うのですが、そこらへん改善していきたいです。(インカレから改善できた点は)スケーティングですね。機会があって近藤(琢哉)先輩にスケーティングを一からしっかり見て頂いて、そこできれいな滑りができるようになったなと思います。(今後の来シーズンに向けて)今年はいろいろ大きな目標があるんですけども、それ一つ一つこなして、来シーズン、インカレまでにはさらに上達をはかりたいなと思います。

 

廣澤は、独自の世界観で観る者を引き込むスケーターだった

廣澤は、独自の世界観で観る者を引き込むスケーターだった

廣澤聖士(環4)

(今日の演技を振り返って)特にあれもこれもしなきゃという気持ちではなくて、とにかく楽しめればいいかなと思ったので、満足です。(ジャンプの調子はいかがでしたか)本当はダブルジャンプ入れたかったんですけど、インカレで入れてなくてそれで練習していて、コースとか変わってきちゃうので、見栄え良くできたらいいかなと思ったので、ダブルはちょっと抜きました。アクセルも失敗しちゃったのですが、細かいことは気にせず、楽しんでできたので良かったです。(1月のインカレを振り返っていかがですか)ダブルジャンプを抜くという選択をとって、ノーミスとはいかなかったのですが、自分ができる演技はできたかなと思って、結果も入賞を目指してやってきて、5位という結果に終われたので、団体も3位とれて、すごく満足できていい試合でした。(インカレから1ヶ月経って、今大会で心がけたことは)今回はもう点数などは関係なく、とにかく学生の試合は最後になるので、笑顔で滑れて、皆が楽しんでくれればいいかなと思って、頑張りました。(大学4年間のスケート生活を振り返って)僕は大怪我から始まったスケート人生だったのですが、クラブの子も学生も含めていろんな人とスケートをやっていなかったら出会えてなかった人たちと出会えて、とても楽しい4年間を過ごせて、慶應に入って良かったなと思いました。(最後に後輩に向けてお願いします)この部では初心者でインカレに出るっていうのが、結局達成できずに終わってしまった人が多かった中で、先輩として「インカレに出る」という目標は達成できたので、初心者でもインカレに出られるんだと示せたと思うので、今初心者で頑張っている子もいますし、どんどん入部希望者が出てインカレ目指していって欲しいです。

 

2年連続の優勝 ラストシーズンも楽しみである

2年連続の優勝 ラストシーズンも楽しみである

柳澤薫(総3)

(今日の演技を振り返って)楽しく滑れたので良かったなと思っています。前回のインカレよりも、演技中に冷静に何をやるべきかとか、次はどういうふうにジャンプを跳べばいいかとかを考えながらできたので、そこはすごく良かったかなと思います。(インカレ後はどのような練習を)回転不足が反省点でした。そこを今年1年間で強化しないといけないという課題を見つけて、コンビネーションの2本目のダブルジャンプを回転不足ではないように跳ぶのを意識して練習してきました。(東インカレ、インカレからコンビネーションジャンプの構成を変更した点については)成功率はすごく上がってきていて、確実にコンビネーションを入れられるという点では良くなってきたかなと思います。だけど、やっぱりその日の調子によって左右されてしまうところがあるので、確実にきれいに回るというのをもうちょっと練習しないとダメだなと思っています。(今季を振り返って)悔しさが残るシーズンではありました。演技としては自分のできる限りやろうということはいつも意識して練習には取り組んできたんですけど、いくら試合のために調整してきても本番で小さいミスとかがあったりしたので、練習通りに本番でもできるように、体力面でも技術面でも精神面でももっともっと成長しなければいけないなと思います。(主将を務めるラストイヤーに向けて意気込みを)まず個人としては、最後の年ですので本当にやり切ったと思えるように。さっき出ていく前に廣澤さんから「来年の今日が最後だよ」と言われてハッと思ったんですけど、1年後のこの試合が最後になるので。来年の今日気持ちよく、これ以上やり残したことはないなと思えるように、1年間一生懸命練習に取り組みたいと思っています。主将に関しては、個人競技である分まとめるのがすごく難しい部活なんですけど、お互いに刺激し合って高め合いながら、部員と一緒に成長して、後輩たちを巻き込んでいけるような主将でありたいと思っています。

 

今季、確実にステップアップしていった鈴木

今季、確実にステップアップしていった鈴木

鈴木伶奈(環2)

(攻めた演技だったが、振り返って)国体が終わってからちょっとしか練習期間がなかったんですけど、国体でできなかったことを今回のフリーでできたかな、と思っています。(3回転ジャンプの感触は)自分ではもうちょっといい回転で降りたかったです。回転不足が大きく響いてしまいました。(会場が沸いたが)そうですね。この曲はいつもみんなが盛り上げてくれるので、自分も楽しく滑れていると思います。(今季を振り返って)最後の試合としては、自分の攻めのプログラムで演技できたからすごく悔いはないです。(来季に向けて意気込みを)来季はもう3年生でスケート人生も残り2年しかないので、もっと攻めて、もっと順位を上げていきたいです。ジャンプとかの質も上げていきたいなと思います。

 

 

 

 

大学生活を折り返す来季、多忙ながらも両立を誓った

大学生活を折り返す来季、多忙ながらも両立を誓った

奥山未季子(環2)

(今日の演技を振り返って)シーズンが終わってしまうので、とにかく楽しく滑ろうと心がけて滑りました。(特に意識したこと)アイスダンスも始めたんですけど、スケーティングスキルがその面で上達していればいいなと思っていて、点数はたぶん出ていたと思うので自分の強みにしていけたらなと思います。(今季を振り返って)目標としていた7級というのは取れなかったんですけど、精神面などの部分で成長できたと思っていますし、国体ではフリーに進むことですごく勉強にもなったので、いい一年だったなと思います。(来季に向けて)来シーズンは自分としては就活と勉強とスケートと、すべて両立しないといけない年で、アイスダンスの方も全日本目指してやろうと思っているので、結果がどうであれ何事にも120%の力で取り組むことを心がけてやりたいと思います。

 

 

※以上をもちましてスケート部フィギュア部門の2013年度シーズンは終了となります。お忙しい中、快く取材に御協力いただいた選手の皆様にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。来年度も慶應スポーツはスケート部フィギュア部門を精力的に取材してまいります。今後ともよろしくお願い致します。

慶應スポーツ新聞会 フィギュアスケート班一同

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