慶應スポーツ新聞会

【弓道女子】あと一歩届かなかった王座進出… /東京都学生弓道1部リーグ順位決定戦

 

王座への切符はつかめなかった。今年から1部に昇格した慶大女子。昇格初年度ながらリーグ戦を3勝1敗の好成績で終え、勝ち星で並んだ桜美林大との優勝決定戦に臨んだ。勝てば女子史上初の王座決定戦進出となる大一番。慶大は各選手が堂々とした行射をみせ、2立目に4本のリードを奪う。ただ3立目から一気に的中を伸ばした相手に対し、慶大は次第にペースダウン。3立目に逆転を許すとそのまま差を縮められず敗戦。弓術部女子の王座、日本一の夢は叶わなかった。

 

 

平成27年度東京都学生弓道1部リーグ戦順位決定戦vs桜美林大学

10月19(日)11:00開始 @日本大学弓道場

先攻・桜美林大  後攻・慶大

 

※女子リーグ戦は4名が20射、計80射の的中数によって勝敗を決する



平成27年度東京都学生弓道1部リーグ戦 女子順位決定戦

慶應義塾大学

 

名前

1立目

2立目

3立目

4立目

5立目

合計

大前

小林由紀恵     (看3・清真学園高)

4

4

3

1

4

16

2番

西田葵       (経3・慶應女子高)

2

3

1

3

2

11

落前

陣内友莉     (総2・西武文理高)

4

4

3

4

4

19

福西理紗子    (経4・慶應湘南高)

3

3

3

3

2

14

合計

 

13

14

10

11

12

60

桜美林大学

1立目

2立目

3立目

4立目

5立目

合計

合計

 

13

10

15

15

12

65

※慶大2番は4立目から 五十嵐瑛美子(商4・慶應女子高)に交代

 

 



平成27年度東京都学生弓道1部リーグ戦 女子星取表

 

順位

成績

桜美林大

1位

3勝1敗

慶大

2位

3勝1敗

早大

3位

2勝2敗

日大

4位

2勝2敗

明大

5位

0勝4敗

1位、2位は順位決定戦で決定

3位、4位は的中率で決定

 

王座への夢を矢に乗せて的に届ける

王座への夢を矢に乗せて的に届ける

 学生弓道において、誰もが憧れ4年間追い駆けるもの。それが王座獲得、日本一の称号だ。11月に伊勢神宮で行われる全日本学生弓道王座決定戦に出場するためには、各地区のリーグ戦で優勝しなければならない。昨年1部に昇格した勢いそのままに3勝した慶大と、勝ち星で並んだ桜美林大。慶大女子にとってリーグ優勝、王座進出をつかめばそれは史上初の快挙となる。部の歴史に栄光の1ページを刻めるか―。試合前の道場には互いの王座出場への思いが張り詰め、緊張感が最高潮に達していた。

 

集中を切らさず引き続けた

集中を切らさず引き続けた

弓道の試合中は聞こえるのは弦音と矢が的を射抜く乾いた音のみ。独特な空気が試合するなか、特に今回のような大一番で選手にかかるプレッシャーは尋常ではない。しかし各自の「自信を持っていました」(福西副将・経4)という言葉通り、慶大選手はそのプレッシャーを微塵も感じさせない伸び伸びとした射をみせる。リーグ3連勝で迎えたこと、練習では「70中を超えてきていた」(福西)ことの自信が、昨年の昇格の原動力になった「攻めの気持ち」(福西)を生んだのだ。2立目を終えて27中。一方リーグ戦で慶大に一敗を喫している桜美林大には硬さが出たか、会で伸び切れず下に外す矢が目立つ。2立目に10中と大きくつまずきこの時点で慶大が4本リード。「今日はいけるかなと思った」(五十嵐・商4)と夢の王座進出が現実味を帯びてきた。




19中の陣内(右)、会で懸命に伸びあう落・福西(左)

19中の陣内(右)、会で懸命に伸びあう落・福西(左)

通常試合中に一度崩れてしまうと短時間で修正するのは非常に難しい。だが3立目に桜美林大は15中、計38中とすぐに修正。相手に長年1部で戦う強豪校の実力の高さを見せられたことが、リードしているはずの慶大に若干の焦りを生じさせてしまったか。後攻の慶大・3立目。2番・西田(経3)が続けて2・3本目を続けて外すなか、11本連続的中の大前・小林(看3)が留め矢(4本目の矢)を外してしまう。すると続く西田も留め矢を外し、この試合チーム初めて連抜け(チーム内で続けて外すこと)を起こしてしまう。さらに小林と同様11本連続的中の落前・陣内(総2)、そして落・福西もこの悪い流れを止められず。結局12本目を全員が外してしまい、この回10中と失速し計37中。連抜けを止められなかったことが、桜美林大に逆転を許す結果となってしまった。

 

 

 

 

ここから試合の流れは大きく相手に傾く。続く4立目も15中と完全に波に乗った桜美林大に対し、慶大は経験豊富な五十嵐を投入して流れを変えようとしたが4立目も11中と持ち直せず。5立目で先攻・桜美林大が12中を出したことで、慶大の5立目の結果を待たずして無情にも敗戦が決してしまった。だが最終5立目に慶大は今シーズンの集大成をみせる。最後の2本は全員皆中。まさに現役最後の立に臨んだ五十嵐と福西は、同期の思いに応えるように会で的に向かって懸命に伸びあい潔い離れで的中させた。また陣内はこの試合19中と圧巻の成績。「いつも通りやることを意識して堂々と弓を引きました」(陣内)の言葉通り、持ち前の大きな射、力強い離れに磨きがかかったように見える。来年以降もチームの柱としての活躍に期待だ。


試合後の選手は一様に目を真っ赤にして泣いていた。勝てば初の王座という一戦で力及ばなかった悔しさ。3連勝中、そして練習でも好調だっただけに残念でならない。特に前半に4本のリードを奪うなか、「精神面、セルフコントロール」(鈴木コーチ)の面で弱さが出て連抜けによって自ら流れを手放してしまった。だが裏を返せば王座に出場する桜美林大との「技術面での差はない」(鈴木コーチ)ということ。「去年2部から昇格して、今年は挑戦者として臨んでいました。1つ1つコツコツと積み上げてきた力が発揮できて、2位になれた」(五十嵐)。昇格初年度に王座まであと一歩に迫った事実は彼女たちの誇り、自信になる。

 

 入替戦で強豪・法大に勝ち1部校として迎えた今年。しかしリーグ開幕までなかなか結果が出せずに苦しんだ。全関東でベスト8に入るも、全国選抜では1回戦敗退。さらに8月のインカレでは2年連続で予選敗退の屈辱を味わった。開幕直前での練習試合も負けが続き、「これは2部に落ちるんじゃないか、という焦りの方が大きかった」(福西)という。だがその窮地から救ったのはやはり4年生だった。鈴木コーチは「4年生とミーティングをしてとにかくお前らがやれと指示を出しました。そして本当にやってくれた。」と語り、何度も4年生へのねぎらいを口にした。元々今年の4年生は慶應女子高時代に全国制覇を果たした代にあたる。「最終的には4年生全員が選手層に入ってずっと戦ってこられた」と福西が話したように、実力のある最上級生が最後まで部を牽引し優勝決定戦までやってきた。「仲間にとても感謝しているし、悔いはない」(五十嵐)。「たくさんの人の笑顔に助けられた」(福西)。涙をぬぐってそう語った4年生の顔は晴れやかだった。

 

確かに今年の弓術部女子の王座進出、日本一への戦いは終わった。しかしそれは来年の日本一へ向けた挑戦の始まりを意味する。陣内は「4年生が引っ張ってくださった姿は十分見させていただいたのでそれ以上になれるように」と前を向く。「また明日から王座に向けて練習をしよう」と鈴木コーチ。4年生の涙は後輩が必ず晴らしてみせる。来年こそは伊勢神宮で王座を掴む―。新たな戦いの火蓋は切って落とされた。

                                                                                                                                     (記事 砂川昌輝)

 

 

コーチ・選手コメント

鈴木清久コーチ

(今日の結果を振り返って)非常に残念でした。4年生がよく頑張ってくれて、最後に全員が選手になってくれたのは素晴らしい4年生だったと思います。(桜美林大と技術的な差はあったか)技術面での差はないと思います。あとは精神面でセルフコントロールが今一つ足りずに、まだそこの鍛え方ですね。自分たち自身の勝利に対する持って行き方が足りなかったんだろうなと思います。(1部に上がってすぐ優勝決定戦まで来られた)合宿から言ってきた4年生が部を引っ張れ、ということを実践してくれたことに尽きると思います。かつ的中的にも彼女たちが引っ張ってくれたことがこの結果につながっていると思います。3年生以下は今年の4年生がやってきたことをよく見習って、また明日から王座に向けて練習をしようと指示を出したところです。(インカレでの予選敗退からどのように今日まで持ってきたか)やはりこのチームを引っ張っていくのはとにかく4年生だと。合宿中にちょっと気が抜けてふわっとした感じだったので、4年生とミーティングをしてとにかくお前らがやれと指示を出しました。そして本当にやってくれた。それがインカレでの敗退から立て直してくれた要因だと思います。(最後に3年生以下に向けて)もう技術的には今日の試合でも(差がないことは)はっきり分かることだから、王座に行くという気持ちをしっかり持って練習に臨むか、2部に落ちるんじゃないかという気持ちで練習に臨むかでは大きく結果に差が出ると思います。目標をしっかり持って、きっちりとした練習をしてほしいと思っています。

 

 

五十嵐瑛美子(商4)

(今日を振り返って)今週めっちゃ中っていたので試合前は勝てると思っていました。それで試合が始まって、2立目までは勝っていたので今日はいけるかなと思っていたのですけど。自分は4立目から出場したのですが、思うようにいきませんでした。勝てると思っていたから、悔しいの一言に尽きます。(リーグ2位という結果はどう受け止めるか)去年2部から昇格して、今年は挑戦者として臨んでいました。1つ1つコツコツと積み上げてきた力が発揮できて、2位になれたので成果が出たと思います。(今日で引退ですが)私は中学のときから10年間弓道をやってきて、やればやるほど弓道は深いなと感じていました。上手くいかなくて辛いこともいっぱいありましたけど、周りの仲間にずっと恵まれていたので今までやってこられました。大学に入って、2部スタートでしたが、こうして1部に上がって2位になれたのも周りの仲間のおかげだと思っています。とても感謝しているし、悔いはないです。(今後も弓道を続けるか)続けます。社会人になって弓道部に入るわけではないですが、何かしらの形で弓道に触れていたいと思っています。

 

福西理紗子副将(経4)

(今日は落として出場、意気込みは)ここ数週間チームとしてすごく伸びてきていていました。個人中でも20射皆が出たりとか、全体中でも70中を超えてきていていけるなという空気を感じていたのでそこには自信を持っていました。あとはとにかく守りに入らないで、その自信をそのまま攻めの気持ちにして引いて来ようと思っていました。(昇格してすぐに優勝決定戦まで来た)リーグ戦始まる前は練習試合でも50中台が出てしまっていて。これは2部に落ちるんじゃないか、という焦りの方が大きかったです。ただここ1カ月半の間に全員がものすごく成長をしていて、3勝できたというのは本当に成長した秋シーズンだったなと思います。あと一歩届かず負けて終わったのですが、成長という言葉に尽きると思います。(今日で弓術部の4年間が終わったが振り返ってみて)やっぱり上手くいかない時期も多かったのですが、すごく周りの人に励まされて最後まで自分が選手でいたいという気持ちを失わないで来られました。最終的には4年生全員が選手層に入ってずっと戦ってこられたので、そういう気持ちを失わないで今日まで来たのはすごく良かったです。本当に後輩や先輩、同期、コーチ、男子の方の笑顔に助けられてやってこられました。たくさんの人に助けてもらって感謝の気持ちでいっぱいです。(後輩に向けて)やっぱり最後まで自分が(試合に)出て自分が中てて勝つんだ、という気持ちを絶対に諦めずに持ってやってほしいです。うちの部は他の大学に比べて部員が多いので、当事者意識が薄れがちなんですがしっかり全員が自分が選手という意識を持って競争することでもっと層が厚くなると思います。どんなにうまくいかない時も自分が選手なんだという気持ちを忘れないで練習してほしいと思います。

 

 

陣内友莉 (総2)

(試合前の心境は)普段通りやろうと考えていました。(個人としてもチームとしても好調でしたが)ラッキーな勝ち試合も多かったのですが、全体の成長が勝ちにつながっていったと思います。(今日は19中、調子は良さそうに見えたが)先週の明大戦では私が足を引っ張ってしまったので、そこでの反省を今日取り返そうと決めていました。外しても焦らずに、いつも通りやることを意識して堂々と弓を引きました。(夏のインカレからどう持ち直したか)インカレで1中を出してしまったときの悔しさが自分の中にずっとあったので、それを取り返すためにリーグであてようと思っていました。(今シーズン全体を振り返って)中り頭と言われる人が一人だとその人が大変だし、その人が倒れたらチームも倒れてしまいます。去年は中り頭に頼ってしまうところがあったので、今年は自分が中り頭になるんだという気持ちで始めました。インカレでいけると思ったのにダメだったりもしましたが、中り頭になってチームを勝ちに導くという気持ちを持って練習してきたことで成長したかなと思います。(来シーズンに向けて)来年から上級生になるので、下級生の面倒や部の運営をもっとよくしていきたいです。4年生が引っ張ってくださった姿は十分見させていただいたのでそれ以上になれるように次の4年生と一緒に作っていきたいと思います。

 

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