鬼門ともいえる筑波大戦は、ゲームを支配するも決定力を欠き、非常に悔しい敗戦となった。内容では負けていない自信がある、だがスコアがそれを証明してくれない。10月23日、西が丘球技場へ久しぶりに姿を見せた荒鷲たちだが、その表情は晴れなかった。
2010/10/23(土) 11:30 KO @西が丘球技場
筑波大学2-1慶應義塾大学
{得点者}前20分赤崎秀平(筑波大)、前37分小澤司(筑波大)、後11分深澤良(慶大)
前半開始から筑波大の果敢なプレッシャーに圧倒された慶大は、三上(政4)の体を張ったブロックなどで耐えしのぐも、前半20分、相手選手の突破に黄(総3)がぺナルティーエリア内でファールを犯してしまい、PKを与えてしまう。このPKは、一度は筑波大24番赤崎の蹴ったボールをGK中川(環3)がセーブするも、再び赤崎に詰められ、先制点を許す。その後は一進一退の攻防が続くも、前半37分、筑波大の鮮やかなカウンターから10番小澤へ追加点を許す形に。ただ、前半は、内容では決して遅れを取らず「つくりの部分では、慶應のほうがはるかに良かった」(三上政4)。後半に期待の持てる内容だった。
迎えた後半、序盤からゲームを支配し、反撃に出る慶大は後半11分、右サイドを突破した田中(環3) がぺナルティーエリア内で倒されPKを得ると、これを深澤(理4)が落ち着いて決め、1点差に詰め寄る。その後、終始ゲームを支配し、数多くのチャンスを作るも点が取れない。終了間際には風間(商3)、山浦(商2)などの攻撃的な選手を投入し、攻撃の活性化を図るも、最後まで点を取ることができず、2-1のまま試合終了。
37年間勝てていない筑波大に、またしても勝てず、涙をのむ結果になってしまった。常にボールを支配し、シュート数でも筑波大11本に対し慶大17本と圧倒していただけに、選手、監督としても悔いの残る試合であったことは間違いない。今節の敗戦により、インカレ出場が大きく遠のいた今の課題は、選手達がインカレ出場の可能性を捨てず、どれだけモチベーションを保って試合に臨めるかだろう。ただ、それだけではなく、今日の試合で見つかった「決定力向上」という課題にもどれだけ取り組めるかが次の勝利のカギになることは言うまでもない。今日の敗戦を糧に、もっと強くなって戻ってくる慶大に期待したい。
By Hiroyuki Tanaka
コメント
李監督
(試合を振り返って)まだまだ、悔しいかなと。内容は悪くなかったんですけども、結果、負けてしまった。前の試合もそうだったが、勝ち切れなかったっていうのが悔しい。(前半は相手にチャンスを作られるシーンが多かったが)でも、相手はPKを入れてシュートは4本、こっちは7本。その4本のうち2本で2点入れられたわけだから、そういった意味ではもったいなかったかなと。内容は、悪くなかったと。うちのリズムになったと思うし、PKからはちょっとね、悪くなっていってしまったかなと。(後半は特に、慶大が終始ペースを握っていたと思うが)ただ、その流れで、1点しか取れなかったっていうのは課題。っていうのはクロスの精度にしろ、入り方、フィニッシュの仕方。前からずっとやれてきたこと。そこがまだまだ弱いと。(今日の試合でよかった点は)まあ、これに負けたら、チャンスがほぼなくなってしまうっていうのをみんな意識していたと思うんで、まあ結果で負けたっていうのが、仕方ないというか、我々の今の力ってことが考えられるってことですね。(今日は中盤での相手のプレッシャーが激しくて、いつも通りのパス回しができていなかったと思うが)でも、今日は8、9特に8なんかは一番ボールをもてる選手。そういった意味では今日はあまり仕事をさせなかった。藤田と日高、中盤はそこまで悪くなかったと思います。(ということはやはり、最後に決め切れなったったか)こちらも何回もあったし、最後は相手も体を張って守っていたから、相手もうちには勝てないってふいんきがあったと思うし勝ったチームが強いです。(次節に向けて)まだ下が決まってないんで、サッカーってどうなるか分かんないし、最後まで一戦一戦しっかりと戦いたいです
三上主将
(今日の試合を振り返って)ゲームをコントロールしていたのは慶應だったと思うんですけど、サッカーの試合に勝ったのは筑波だったということ。(その、勝った筑波大の勝因もしくは慶大が負けた敗因は)ゴール前の怖さというか、ゴール前の精度に尽きると思います。つくりの部分では、慶應のほうがはるかに良かったと思うし、ただ、サッカーっていうのはどっちが点を多く取るかっていうスポーツなので、そういう意味で。ゴール前での精度が高くて、サッカーに勝ったのは筑波だったということ。(今日の三上さんは終始体を張って守っていたが、自身の出来は)普通ですね。そんなに満足できる出来ではないんですけど、2点目に関しても、自分がコースに入ったつもりだったんですけど、うまく、股を抜かれてしまって、責任を感じています。(最後、次節に向けて一言)今まで目指していたインカレっていうのが厳しい状況になってしまって、後は下も見えてるし、何かを目指すというよりも、プライドをかけて、プライドをかけた戦いになると思うんで、慶應の名に恥じないような試合を一試合、一試合やっていきたいと思います。
笠松副将
(今日の試合を振り返って)自分達でボールを回せていたので、内容としてはよかったが、内容で勝っていても試合での失点の場面とかは集中出来てなかったり、まだまだ自分達の甘さが見えたし、守備面でも攻撃面でも甘さが出た甘さが出た試合だったと思う。(結構チャンスもあったが)工夫というかゴールに対する恐さという部分では相手に勝てなかったと思う。(個人的な出来は)相手のFW2枚が非常に動き出しがいいので、それにつられないように意識してやった。2失点はしたが、自分の中ではヘディング戦でも勝てたし、よかったと思う。でも試合内容としては結果が来なかったので、チームとしてもっと改善していける点があったと思う。(今節から黄選手が復帰したが)久しぶりに大城が復帰して、連携の部分では非常にやりやすかったし、守備面での問題というのは少なかったように思う。(次節流経戦に向けて対策は)結果を出すことが難しい環境になってしまったが、慶應のサッカーというものを見せるために、チームを改善していかなくてはならないし、あとはゴール前での恐さとか工夫をしっかりもって、あと失点を0に抑えるためにディフェンスもう一度連携をしっかりやり直していければと思う。
加美副将
ふりかえって)インカレ出場の望みをかけて重要な試合になるとわかっていたんですけれど、結果が出せなくて残念です。(流れは悪くないようにも)そうですね、全体的に自分たちのペースでボールもまわせていたし、いいカタチも作れていたんですけれど、得点が1点しかとれなかったので。もっと最後のところのもうひとつの工夫というか勢いというかが足りなかったかなと。(中の枚数不足のシーンもありましたが)相手がちゃんとラインを作っている中で、入り方もそうですし、裏を欠くというか、状況を見て入り方とかを考えていくことも必要かなと。(プレッシャーの早いチームに対して意識することはありましたか)思ったよりプレッシャーは軽くて、中盤でもテンポ良く回せていたという感覚もありましたし、ダイレクトプレーとか2、3タッチではたくとかもできていたので。すごくプレッシャーが早いという風には思わなかったですね。(最近は躊躇無くシュートにいくシーンが目立ちますが)そうですね、迷い無くできているという部分で、最近は自信をもってプレーできています。(また今日の敗戦でインカレ出場圏は苦しくなりましたが、今後どう部内のモチベーションをもっていこうという展望は)やっぱりインカレが苦しくなったとしても、自分たちには慶應というプライドもあるし、去年5位だったので、去年よりは下に行かないようにという意味で、あと4試合を1試合1試合無駄にせずに後輩に残せる物を示していきたいですね。
深澤
(振り返って)今日はうちのペースで試合を運べていたし、内容は悪くなかったんですけど、少ないチャンスをものにされてしまいました。残念です。(後期の初得点について)PKだったんですが、自分がキッカーを任されているので。しっかり決められて良かったです。(シュートへの意識は強かったか)シュートで終わることでチームに勢いをつけられると思っているので。特に失点の後など流れが悪い時間帯にはシュートを打つ意識が強かったです。(筑波は苦手の相手ということで意識したことはあったか)それもあったが、単純に自分たちより上の順位にいる相手ということ。選手個人の能力が非常に高いことを皆認めていた。そういった相手に対しても前向きに強い気持ちを持って戦おうということを意識していました。(やってみてDFの競り合いは激しかったか)どちらかというと相手は非常に攻撃的なチームだなと感じました。その中で押し込まれることがあったという印象です。(流経大戦への意気込み)残り試合が少なくなっている中で、インカレ出場から少し遠のいてしまった。でも慶大の選手として試合に出場する。そのピッチは誰もが立てる場所ではないので。サポートしてくれる人への感謝と慶應のプライドを持って戦いたいです。
日高
(振り返って)本当にもったいないという感じ。試合前から、相手は良いサッカーをしてくるけど、自分たちのサッカーを貫こうと話していた。やってみて自分たちのサッカーは出来ていた。けどその中で負けてしまったことが悔しい。(相手の中盤は良い選手が多かったがそこにも負けていなかったですね)自分はそう思います。相手のボランチの8と9を意識してやっていたが、個人個人の戦いでも負けていなかったと思う。やれていた。(惜しいシュートがあったが、シュートへの意識は強かったか)自分は簡単にシュートを打つよりもしっかり崩したいという気持ちがある。今日は試合中に監督から「狙っていくように」という指示があったのと、シュートを打つことで相手を引き出せるという狙いもあったので、後半はシュートを少し強く意識していました。(次の流経大も選手は揃っているチームですよね)ここ2試合中央、筑波とやって、勝ちという結果はついてこなかったが、十分やれると感じたし内容も良かったと思う。この上位チームに対してこのような試合が出来るのであれ
ば、他のチームが来ても自信を持ってやれる。ただ今年は勝負強さに欠けていると思うので、一つの勝ちにこだわって次も戦いたいです。
河井
(ふりかえって)前半の2点がもったいなかったなと。1点取った後に「いける」という雰囲気にはなったものの点が取れなかったことも課題かなと。(流れは悪くない中で点が取れなかった原因は)相手のゴールに向かって危険な位置に入っていけなかったことが、得点の匂いがしなかった原因かと思います。みんな綺麗にもらうことに足元にこだわってしまったのかなというのがあります。(途中からはDF2枚にあたられて大変な部分もあったと思いますが)やっぱりFWで落ちてくるとボランチにつかまることが多いので。そこはFWでやっている期間が短い、経験が少ないというのもあるのでこれからもっとそのプレッシャーをかわせるように、いいところでもらえるようにならないとと思いますね。(下がらざる)入らなきゃいけないというのはだいたいわかるし、みんなも見てくれているので。そうですね、その分自分も準備していかないと戸いう感じがありますね。(次節にむけて)センタリングの精度と入り方とゴールを取るという意識をもっと強くもつこと、先制点が取れると楽になると思うので、そのためにもっとゴールにむけての意識を高めていきたいと思います。
藤田
(試合を振りかえって)残り試合を考えると内容よりも結果だけを求めないといけない試合だったので、負けてしまったことが全てだと思います。自分らが上にいくためには残り試合考えると一つの引き分けも許されないくらいな状況で今日を迎えたので、そういう意味では勝ちだけが必要だったので。(勝つために戦い方で意識したところは)自分らのサッカーをしようってことになったので、内容のところでは自分らはいいサッカー出来ていたと思うので、あとは失点しないことと、シュートは打っていたので、決めるところ決められたらなと思います。(前半とくに中盤にボールが渡らない場面が多かったですが)相手のサッカーに合わせてしまったというか相手のサッカーがつないでくるので、そこのプレスが緩かったのかなと。自分らのサッカーができないっていうよりも相手のサッカーをやらせてしまったのが問題で、そこがいけなかった。(後半にむけて修正した点は)前半からそんなに流れは悪くなかったので、1点取ったら逆転できるんじゃないかっていうことは監督もおっしゃってたので、それを信じてやっていました。(次
節に向けて)何度も何度も負けてしまうと下も見えてきてしまうので、大事な一戦が続くと思うんですけど、4 年生がもう残り4試合で少ないので、少しでも勝てるように頑張っていきたいと思います。
慶大出場選手
GK 中川翔太(環3)
DF 黄大城(総3)
DF 三上佳貴(政4)
DF 笠松亮太(総3)
DF 田中奏一(環3)
MF 藤田息吹(政2)
MF 日高慶太(総3)
MF 横川達郎(総4)
MF 加美義人(環4)
後半23分加美義人→山浦公裕(商2)
FW 河井陽介(政3)
後半45分河井陽介→風間荘志(商3)
FW 深澤良(理4)
後半29分深澤良→森田達見(経2)
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