4月19日(日)、第84回早慶レガッタが隅田川にて行われた。荒波立つ隅田川で両校の闘志がぶつかり合い、熱戦が繰り広げられた。雲が厚く途中予報にない雨も降り始めたが、すべてのレースが順調に行われた。と、誰もが思っていたが最終レース、一番の盛り上がりを見せる対校エイトで、両校ゴールした後に早大がコースアウトによる失格というまさかの事態に。伝統ある早慶レガッタでは異例の結果になってしまった。
中高生、職員によるレースの後、行われたのが対校女子舵手付クォドルプル。慶大は厚い早大の壁をなかなか打ち破れずにいるが、今年こそ壁を乗り越えようと挑んだ。しかし、レースは序盤から劣勢に立たされる。早大は容赦ない女王の漕ぎでリードを広げ、慶大は追いかける展開に。しかし、差が広がるなか慶大は桜橋手前でトラブルもあり、早大に大きく遅れてゴール。大差とはなったが、最後までゴールを目指し戦った慶大女子クルーに拍手が送られた。
続いて行われたのが第二エイト。昨年は早大のアクシデントによりレースが延期され、戸田ボートコースにて行われた。勝利はしたものの、選手にはやはり隅田川で決着をつけたいという気持ちがあったに違いない。レースはスタート直後、慶大が早大よりわずかに遅れた位置につける。中盤からスパートをかけ、並走するかたちで熱戦に。しかし、ピッチを上げた慶大が一歩先に出ると、少しずつリードし差を広げていく。そのまま1艇身の差をつけると早大を引き離し、全く弱みを見せない慶大が先着。結果、2+1/2艇身差で慶大が勝利した。
カヌーエキシビションをはさみ、最後に行われたのが対校エイト。慶大の4連覇が懸かかったレースに、応援席からも期待の声が高まった。今年は慶大が墨田区側のインコース。スタート位置に着くのにまず手間取ってしまった慶大クルーは、少し遅れをとり、スタート後は半艇身差をつけられ追いかける展開に。なかなか差は縮まらないが、「メンバーを信じて漕ぐ」(吉田航主将)ことを徹底して、いつも通りの漕ぎで勝負する。中盤、1艇身以上の差になるも、後半にかけて徐々にスパートをかけ猛追。しかし、桜橋に先着したのは早大だった。慶大がゴールした瞬間、米澤一也舵手(政3)の手が上がる。8人の漕手が肩を落とすなか、米澤が審判に抗議の意を示した。両校ともにゴールしたのち、早大のコースルール違反について審議される。ビデオ判定などが行われた結果、早大はコース外を通行したため失格の判定に。これを受けて慶大が1着となり、悲願の4連覇達成となった。
「喜び一色ではなかった」(大河原敦史漕手)今回の対校エイト。クルーたちにとっては喜びの気持ちとそれ以上に、あいまいな結果にはっきりしない気持ちが残っているだろう。「実力的には負けていた」と語る吉田主将。慶大にとっても課題と収穫のあるレースとなった。決着は夏、インカレ・全日本と、最大の目標である日本一を取るために、その目はすでに先へと向けられている。何が起こるか分からない早慶レガッタ。歴史と伝統のなかにはこうしたアクシデントも必ずやあるものだ。3,750mもの距離を激漕し、また観る者に感動を与えた早慶両校のクルーに健闘を称えたい。
(記事 須佐奈月)
以下、会見時コメント
小澤祐資監督
「今日は全く勝ちだとは思っていません。スタート地点でまず、着けるのにご迷惑おかけしていますし、こちら側としても勝負なしにして頂きたいと思うぐらいです。結果は結果として受け入れて、夏しっかりとしたかたちで決着をつけたいと思います。」
吉田航主将(政4)
「公式的には一応勝敗が着いたかたちにはなったのですが、実力的には負けたわけで、夏の大会で決着がつけられればと考えています。 ―レース自体について― スタートしてからは思うような展開にならず、ただその後は立て直して練習の成果を出せたかなと思います。 ―隅田川の舞台はどうだったか― 早慶だけが対校戦をこの隅田川で行うことができて、非常に多くの方々がこの大会の運営のために動いてくださって、歴史と伝統も感じますし、そのように支えられて漕げるということに幸せを感じ、非常に誇りをもっていました。 ―後輩に向けて― この一戦はあいまいなまま終わってしまったので、来年出る選手にははっきりとした勝利を掴んでもらいたいと思います。」
以下、選手コメント
吉田航主将(政4)
(早慶戦を終えて今の率直な感想を)ほっとしたというのが率直な感想としてはあるのですが、もやもやした気持ちが残ります。(レースを振り返って)スタートから出られていて、あまりよくなかったのですが、その後はやろうとしていた9人の漕ぎができていて、そこは練習の成果が出たかなと思います。(選手同士ではどのような声掛けを)常に9人で、チームとして、メンバーを信じて漕ぐことを徹底させました。終わった後もそれだけは徹底しようと話しました。(勝負は夏ということになりましたが、今後の目標を)インカレ、全日本でいかに良い結果を出せるか、日本一とれるかが勝負になると思うので、これからも精進してまいりたいと思います。
大河原敦史選手(政4)
(今日の試合振り返って)結果的には勝利だが、艇速の面では勝ったとは言えないが、審判の言うことは絶対で勝ちは勝ちはなので、率直に嬉しい。けど、練習に問題があったのかなと思います。(悔いの気持ちはあるのでしょうか)悔いがあるとは違う。その時その時で全力を出していたので悔いは残ってないです。(ずっと1.5艇身差が付いていたが、どの様な気持ちで漕ぎ続けていましたか)クルーに集中する。9人で一つの事をその時々にすると決めていたので、後ろにいようが、前にいようがやる事は変わらないと思っていたので、いつかは追いつけるとおもって意思を揃えてやりました。(ゴールした時は負けたという感じでしたか)はい(その後の審判による発表の後は)最初は審判から引き分けと言われていて、そうなんだという感じで、その後早稲田の距離不足で慶應の勝利だと言われて勝利は勝利だねと噛み締めてからすぐ、夏に気持ちの良い勝利をしましょうとまとまりました。(後輩に向けて一言)今年の早慶戦は、僕は今年を合わせて3回出ていますが、今年は喜び一色ではなかったので、来年は喜び一色で艇差で勝って早慶戦の勝利の喜びを味わって欲しいと思います。
コメント