【ソッカー女子】大学リーグ第5節 全員でつかんだ初勝利!部の歴史を塗り替える 神大戦

創部史上初となる記念すべき勝利を挙げた。8月から始まっている第29回関東大学女子サッカーリーグ戦。ここまで勝ち点を思うように伸ばせずにいる慶大は、前半の終了間際に二宮早紀(環4)が決めてリードを奪う。後半に一度は同点に追い付かれるも、後半30分にPKを獲得。二宮のこの日2得点目となるゴールが決勝点となり、目標のインカレ出場にも一歩前進した。

 

第29回関東大学女子サッカーリーグ戦 第5

 2015/10/4(日)15:30KO@神奈川大学湘南ひらつかキャンパスグラウンド

 慶應義塾大学2-1神奈川大学

 

【得点者】

〔慶〕42分、75 二宮早紀

〔神〕66田中萌

 

◇慶大出場選手

GK野村智美(総2・作陽高)

DF松本朋子(総4・十文字高)

DF田中康子(総3・常盤木学園高)

DF宮田あずさ(環3・文京学院大学女子高)

DF梅原那奈(4・常葉学園橘高)

MF下山田志帆(環3・十文字高)

MF栃木栞(環3・十文字高)

MF中島菜々子(総1・十文字高)

MF二宮早紀(環4・常盤木学園高)

FW堀井美月(環3・常盤木学園高)

FW赤羽紗里(総4・スフィーダ世田谷)→67分志鎌奈津美(環1・常盤木学園高)

 

今節は梅原那奈(環4)と赤羽紗里(総4)をスターティングメンバーに抜てき。田中康子(総3)と宮田あずさ(環3)は9/27(日)~10/1(木)に行われた第70回国民体育大会に出場しており、ハードスケジュールのもと試合に臨んだ。

 

序盤から守備の意識を高くする慶大は、手数を掛けない攻撃でチャンスを作る。10分には堀井美月(環3)がDFを振り切ってシュート性のクロスを入れるも、ゴール前の二宮と梅原は惜しくも触れず。その後も得点への意欲を強め、17分には中島菜々子(総1)がミドルシュートでゴールを狙う。

しかし、次第に決定機を生み出せなくなると、逆に攻め込まれる場面が増加。27分にはワンタッチでボールをつながれ、強烈なシュートを浴びるがクロスバーに救われた。37分に打たれたシュートもわずかに枠の外。相手の正確なパス回しに対応し切れず、苦しい時間が続く。

それでも、42分に劣勢を打開した。カウンターで堀井が左サイドを駆け上がり、シュートを放つ。ボールをGKがこぼすと、「打ち切ったら絶対詰めるというのは練習からやっていた」という言葉通り、二宮が反応。ネットを揺らすと味方が一斉に駆け寄り、待望のゴールを分かち合った。また、先制点を奪ったのはリーグ初で「すごい気持ちにも余裕ができた」(松本)。これ以上ない展開で前半を終える。

 

後半はいきなり慶大に好機が到来。右サイドからのクロスをつなぎ、最後は走り込んだ二宮がシュート。だが、味方に当たってしまう。以降は自陣でセットプレーを多く与えたことでピンチを招く。55分のFKはクロスバーを直撃。主導権を握られる展開でも野村智美(総2)を中心にしのいでいたが、66分には同点弾を許す。左サイドからフリーでクロスを送られると、スライディングシュートで押し込まれてしまった。

 

この直後に慶大は志鎌奈津美(環1・常盤木学園高)を投入。すると、その志鎌が大仕事をやってのける。ペナルティエリア内でドリブル突破を図ると、相手がたまらずファウル。その瞬間、主審のホイッスルが鳴った。PKを任されたのは、先制点を挙げている二宮。ボールをゆっくりとセットすると静寂に包まれる。「緊張して膝も震え」(二宮)るほどのプレッシャー。決めれば、初勝利が大きく近づく大事な場面――。右足から放たれたシュートは枠の右隅へ。この日2得点目は、まさに値千金の勝ち越しゴールとなった。

 

タイムアップまでは残すは約15分。前掛かりになる相手に対しても、連携を崩さずしっかりと跳ね返していく。そしてアディショナルタイムに突入し、迎えたラストワンプレー。CKを与えると、こぼれ球が相手の下へ。鋭いミドルシュートを放たれたが、わずかにゴール上に外れる。その直後にゲームは終了。ピッチ内では選手が抱擁を交わし、ベンチでは歓喜の輪が作られた。

 

 

「勝ちたいという気持ちを前面に出した」(岩崎監督)からこそつかみ取った結果。チームの歴史を遡っても、関東大学女子サッカーリーグの一部では厳しい現実を突き付けられてきた。それは今季も同様。内容である程度の収穫を得ても、なかなか結果が伴わなかった。そしてようやくたどり着いた一勝。言葉では表せないほどの重みがある。

 

ただ、今季の最大の目標はインカレ出場だ。「やっとスタートラインに立った」(松本)「これをいい機会にして勝ち進んでいけたら」(二宮)。彼女たちの逆襲はここからだ。

(記事 木下彰)

 

 

試合後コメント

岩崎陸監督

(待ちに待った初勝利ですね)ようやく勝てましたね。今日の試合内容を見ても、最後は体を張って勝ちたいという気持ちが前面に出ていました。神大の方が明らかに上手かったですけど、OGの方もたくさん来てくれましたし、いろいろな人の強い気持ちでつかみ取った勝利だと思います。(前節からメンバー・配置ともに変更があったが)赤羽が調子を上げてきていて、赤羽を含めた4年生が「やってくれるな」という雰囲気を出してくれました。勝ちたい状況で力になるのはやっぱり4年生なので。(主体的に攻撃を組み立てるシーンが増えたと感じたが)「(パスを)出して動く」という自分たちのサッカーの原点のところをもう一度意識付けるトレーニングをしてきて、それが相手に脅威を与えることにつながったし、得点シーンもその流れから生まれたので。これまで続けてきた成果がやっとここで出せたと思います。(その得点シーンは先制点となりました)厳しい時間でね。その中で堀井が仕掛けて二宮が詰めたと。先制点を奪えたことは大きかったと思います。(勝利が決まった瞬間の気持ちを)ケビンコーチ(留学生)が今週の木曜に帰ってしまうので、誰かのために戦おうという気持ちがピッチの中で出たのが良かったと思いました。また、田中と宮田と傍田は国体にも参加していて、全国で準優勝したんですよ。相当きつかったと思うんですけど、最後までやり切ったことは素晴らしいと思います。(次節に向けて)一つきっかけをつかめたので、今週また良い準備をして、次節も勝ちたいと思います。

 

 松本朋子(総4・十文字高)主将

(今の気持ちを)本当に嬉しいです。やっとスタートラインに立てたと感じています。(今日の一番の勝因は)試合前に「皆で戦おう」という話があって、そこを最後まで意識できていたし、点を取られた後も中で話し合いながら修正できました。自分たちから崩壊することなく、力を出し切れたことが勝因だと思います。(先制点を奪えたことについて)今まで先制点を取ったことがなかったので、すごい気持ちにも余裕ができましたし、押し込まれていた時間だったので良かったと思います。(リードして迎えた終盤を振り返って)自分の両サイドの2人(田中、宮田)が国体に行っていて、4日連続で試合をして、しかもフル出場で。その中でも足を止めずに最後まで頑張ってくれたので、自分も励まされました。(次節に向けて)あと4戦で(インカレに出場できるか)決まるので、もう一回皆で締め直してここからやっていきたいと思います。

 

二宮早紀(環4・常盤木学園高)

(記念すべき初勝利となったが、今の率直な気持ちを)すごく嬉しいですけど、順大が勝って今勝ち点では順大と国士大と並んだ状態になったので、もう1回ここから全員でこれをいい機会にして勝ち進んでいけたらいいなと思います。(1点目のシーンを振り返って)(堀井)美月がシュートを打つと思っていて、打ち切ったら絶対詰めるというのは練習からやっていたことだったので、練習でやってきたことができてよかったなと思います。(2点目のPKのシーン、ボールをセットした時はどんなことを考えていたか)すごく緊張していて、膝も震えていたんですけど、応援してくれている人もいるし、チームの出ている11人もスタッフの方もベンチもベンチ外の選手も全員で戦っているから大丈夫だと思って、蹴りました。(インカレ出場に向けて踏みとどまった。次の試合に向けて意気込みを)今日の勝利で良かったことは良かったこととして、反省点は反省点でしっかり振り返って次に活かしていきたいと思います。

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